※本記事は、ソフトマックス株式会社の有価証券報告書(第53期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ソフトマックスってどんな会社?
総合医療情報システムの開発から保守までを一貫して手掛け、医療現場の業務効率化を支援しています。
■(1) 会社概要
1974年にビクター計算機九州販売として設立され、2001年にグループ5社が合併し現在のソフトマックスに商号変更しました。2011年にWeb型電子カルテシステムの開発・販売を開始し、2013年に東京証券取引所マザーズに上場。その後、2025年12月にスタンダード市場へ区分変更しています。
単体で230名の従業員を擁しています。筆頭株主は同社の関係会社で不動産管理等を行うリンクスであり、第2位は創業者で代表取締役会長を務める野村俊郎氏、第3位は光通信に関連する投資ファンドとなっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| リンクス | 24.95% |
| 野村俊郎 | 21.29% |
| 光通信KK投資事業有限責任組合無限責任組合員光通信 | 5.16% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性12名、女性1名の計13名で構成され、女性役員比率は7.7%です。代表取締役社長は萩原千恵子氏が務めています。社外取締役の比率は23.1%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 野村俊郎 | 代表取締役会長 | 1974年設立の同社前身企業の代表取締役に就任。2001年の合併に伴い代表取締役会長に就任。社長兼任を経て2022年より現職。 |
| 萩原千恵子 | 代表取締役社長 | 1985年同社前身企業入社。2001年に常務取締役に就任し、ヘルスケアシステム技術部担当などを歴任。コンサルティング本部等を経て2025年より現職。 |
| 野村俊幸 | 専務取締役 | 1997年船井総合研究所入社。東芝等を経て2022年に同社入社。社長室長や東日本事業部担当の常務取締役を経て2025年より現職。 |
| 齊藤克司 | 常務取締役管理本部担当 | 1984年同社前身企業入社。ソリューション部部長などを経て2018年常務取締役に就任。ソリューション事業部担当等を経て2025年10月より現職。 |
| 野村竜彦 | 常務取締役西日本事業部担当 | 2002年グッドウィルグループ入社。リンクスを経て2014年同社入社。福岡支店長等を務め、2021年常務取締役に就任。2024年より現職。 |
| 下玉利一志 | 常務取締役システム開発事業部担当 | 2001年同社前身企業入社。システム開発部Ⅰ部の上席部長等を歴任し2022年取締役に就任。製品開発統括を経て2025年より現職。 |
| 長澤宗年 | 取締役関西事業部担当兼近畿四国営業本部部長兼大阪支店長 | 2000年日産プリンス福岡販売入社。2007年同社入社。マーケティング本部営業部部長等を歴任し2022年取締役に就任。東日本事業部担当等を経て現職。 |
社外取締役は、福元紳一(弁護士法人福元法律事務所代表社員)、愛甲孝(元鹿児島大学病院長)、今和泉悟(元九州共同社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、システム事業の単一セグメントで事業を展開していますが、販売区分として「システムソフトウェア」「ハードウェア」「保守サービス等」を設けています。
■(1) システムソフトウェア販売
医療機関向けに、電子カルテ、オーダリング、医事会計システムなどを統合した総合医療情報システム「PlusUs」を提供しています。また、健診やリハビリなどの各種部門支援システムも展開し、院内業務の効率化を支援しています。
医療機関からシステムの導入費用やライセンス料を受け取るモデルです。自社開発による高品質なシステムの提供を主力としており、すべての事業運営はソフトマックスが単独で行っています。
■(2) ハードウェア販売・保守サービス等
システムの稼働に必要なサーバーやPCなどのハードウェア機器の販売と、導入後のユーザーサポート、24時間体制のメンテナンス、消耗品の販売を行っています。また、クラウド型でのシステム提供も推進しています。
医療機関へのハードウェア機器の販売代金のほか、稼働後の継続的な保守・メンテナンスによるサービス料やクラウドデータセンターの利用料を収益源としています。こちらも運営はソフトマックスが単独で担っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の業績は、医療DXの推進やクラウド型システムの需要増を背景に、売上高は一貫して右肩上がりで成長しています。利益面でも高水準を維持しており、特に当期は大型案件の受注や保守売上の伸長により、過去最高の売上高と利益を記録するなど好調に推移しています。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 45.0億円 | 50.5億円 | 52.6億円 | 54.3億円 | 69.3億円 |
| 経常利益 | 6.3億円 | 5.9億円 | 6.3億円 | 7.0億円 | 7.9億円 |
| 利益率(%) | 14.0% | 11.7% | 11.9% | 12.9% | 11.5% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 4.2億円 | 4.2億円 | 4.5億円 | 4.8億円 | 5.7億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の大幅な成長に伴い、売上総利益・営業利益ともに前期を上回る結果となりました。利益率に関しては、開発投資や人的資本への投資拡大などの影響からわずかに低下しているものの、安定した2桁台の営業利益率を確保しています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 54.3億円 | 69.3億円 |
| 売上総利益 | 16.7億円 | 18.6億円 |
| 売上総利益率(%) | 30.8% | 26.9% |
| 営業利益 | 6.6億円 | 7.4億円 |
| 営業利益率(%) | 12.2% | 10.7% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が2.6億円(構成比23.2%)、役員報酬が1.4億円(同12.7%)を占めています。売上原価の合計50.7億円のうち、材料費が34.2億円(同67.0%)、労務費が12.0億円(同23.5%)を占めています。
■(3) セグメント収益
売上高の内訳をみると、主力となるソフトウェア売上をはじめ、全区分で増収を達成しています。特にハードウェア売上は大型案件の導入に伴い大幅に増加し、稼働施設の拡大によりストック収益である保守サービス等の売上も順調に積み上がっています。
| 区分 | 売上(2024年12月期) | 売上(2025年12月期) |
|---|---|---|
| ソフトウェア | 24.7億円 | 29.1億円 |
| ハードウェア | 13.3億円 | 21.0億円 |
| 保守サービス等 | 16.3億円 | 19.2億円 |
| 連結(合計) | 54.3億円 | 69.3億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 6.6億円 | 3.9億円 |
| 投資CF | -0.9億円 | -11.7億円 |
| 財務CF | -1.0億円 | 8.8億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は15.4%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は43.0%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「顧客の成功と利益」を経営理念に掲げています。情報技術を駆使し、高品質かつ柔軟性・拡張性のあるシステム構築を通して、顧客に最適なソリューションを提供するトータルなシステムインテグレーションサービスの実現を使命としています。
■(2) 企業文化
「お客様と共にさらなる成長」を基本方針とし、顧客ニーズに適応できる体制づくりと迅速な意思決定・業務執行を重視しています。また、国際品質保証規格(ISO9001)や情報セキュリティ認証(ISO27001)、プライバシーマークを取得し、高品質な開発とサービス提供に取り組む姿勢を大切にしています。
■(3) 経営計画・目標
経営資源を総合医療情報システムの開発・販売・導入指導に集中させ、基幹システムであるWeb型電子カルテシステムの市場拡大と稼働施設数の増加を目標に掲げています。また、システムの機能強化や次世代システムの開発に取り組むことが、さらなる成長の基盤となるという見通しを示しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
医療DXの推進を契機とし、生成AIなどの新しい技術の研究に取り組み、診療支援機能の強化や診療報酬請求業務の効率化を目指しています。また、クラウド提案の積極的な展開による市場シェア拡大や、サポートセンターでの24時間体制によるカスタマーサービスの強化を重点施策として推進しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
事業拡大と技術革新に対応できる優秀な人材の確保と育成を重要課題としています。積極的な採用活動を進めるとともに、社員一人ひとりのやりがいや達成感を重視した教育を実践し、多様な人材が健康で意欲的に働けるよう、テレワークや時短勤務制度など柔軟な働き方を可能にする社内環境の整備に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 41.3歳 | 10.8年 | 5,714,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 15.9% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | - |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | - |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | - |
※男性労働者の育児休業取得率および労働者の男女の賃金の差異については、関連法律の規定による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 医療制度改革や診療報酬改定の影響
高齢化社会に伴う医療費適正化の方針や診療報酬のマイナス改定が行われた場合、医療機関の投資意欲が低下し、電子カルテシステム等の導入が延期・中止されることで、同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 医療情報システム市場の競争激化
医療情報システムの市場は大手メーカーなどとしのぎを削る厳しい競合環境にあります。将来的に競争環境の変化により製品価格の低下等が生じた場合、収益性が低下するリスクがあります。同社は生成AIの活用や機能拡充で差別化を図っています。
■(3) 医療分野の法規制とセキュリティ対応
医療情報の取り扱いやシステム仕様に関する規格標準化等の法規制への対応が遅れた場合、事業に影響が生じるリスクがあります。また、ランサムウェア等のサイバー攻撃やシステムの不具合による情報漏洩などが発生した場合、社会的信用の低下や損害賠償に繋がるおそれがあります。



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