仙波糖化工業 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

仙波糖化工業 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場の食料品メーカー。カラメル色素や粉末調味料、乾燥・冷凍食品素材等の製造販売を主力とします。第78期は、中国子会社の連結除外等の影響で減収となりましたが、経費削減や値上げの浸透により、営業利益・経常利益ともに増益を確保しました。


※本記事は、仙波糖化工業株式会社 の有価証券報告書(第78期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 仙波糖化工業ってどんな会社?


食品メーカー向けの中間原料として、カラメル色素や粉末調味料、乾燥食品などを製造販売するBtoB企業です。

(1) 会社概要


1947年にカラメル製造販売を目的に設立され、1964年に粉末製品の製造を開始しました。2004年にジャスダック証券取引所へ上場し、市場統合を経て現在は東証スタンダード市場に上場しています。2016年にはベトナムに現地法人を設立するなど海外展開を進めるほか、2025年には中国上海市に新会社を設立しています。

2025年3月31日時点の従業員数は連結505名、単体327名です。筆頭株主は即席麺大手の東洋水産で、第2位は食品商社のUNITED FOODS INTERNATIONAL、第3位は食品メーカーのユタカフーズです。東洋水産とは製品の販売取引があるほか、ユタカフーズとも取引関係があります。

氏名 持株比率
東洋水産 17.61%
UNITED FOODS INTERNATIONAL 12.23%
ユタカフーズ 8.78%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性2名の計11名で構成され、女性役員比率は18.2%です。代表取締役社長は小林光夫氏です。社外取締役比率は18.2%です。

氏名 役職 主な経歴
小林 光夫 取締役社長(代表取締役) 1977年入社。大阪支店長、取締役管理本部長、常務取締役を経て、2016年6月より現職。
保坂 晴彦 取締役専務営業本部長(代表取締役) 1986年入社。営業本部長、常務取締役を経て、2021年6月より現職。ベトナム子会社社長も兼務。
前田 立志 常務取締役生産本部長 1984年入社。特販部長、取締役大阪支店長、生産部担当を経て、2019年6月より現職。
石塚 則行 取締役大阪支店担当 1991年入社。生産管理部長、開発本部長、生産本部長を経て、2024年4月より現職。
田中 明子 取締役財務本部長営業管理本部長 1985年入社。マーケティング部長、執行役員生販管理部長を経て、2021年6月より現職。
市川 剛久 取締役管理本部長総務部長中国事業担当 1993年入社。総務部長、執行役員総務部長を経て、2024年6月より現職。


社外取締役は、川上裕(元藤井産業専務取締役)、澤田真由美(税理士法人澤田会計事務所代表社員)です。

2. 事業内容


同社グループは、食品製造販売事業の単一セグメントですが、製品の種類別区分として「カラメル製品」「乾燥製品類」「組立製品類」「冷凍製品」および「その他」事業を展開しています。

(1) カラメル製品


カラメル色素、焙焼製品等を製造販売しており、デザート関連商品向けなどが主力です。
収益は製品販売によるもので、運営は主に同社が行うほか、海外ではSEMBA TOHKA VIETNAM COMPANY LIMITEDなどが製造販売を担っています。

(2) 乾燥製品類


粉末茶、粉末醤油、粉末山芋などの乾燥粉末製品を製造販売しています。
収益は製品販売によるものです。運営は同社が主体ですが、粉末山芋等は子会社の東北センバが製造し同社が仕入れて販売するほか、ベトナム子会社なども製造を行っています。

(3) 組立製品類


コーンスープ、粉末ソース、味噌汁、小麦粉加工品、サプリメント商材などを製造販売しています。
収益は製品販売によるもので、運営は主に同社が行っています。

(4) 冷凍製品


冷凍山芋や冷凍和菓子等を製造販売しています。
収益は製品販売によるもので、運営は子会社の東北センバが行っています。

(5) その他


食品包装加工や、その他仕入品の販売を行っています。
収益は包装加工の受託加工賃や商品販売によるもので、運営は子会社の仙波包装および同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は180億円から190億円台で安定的に推移しています。利益面では、第76期に原材料価格高騰などの影響で利益率が低下しましたが、その後は価格改定やコスト削減等の効果により回復傾向にあります。第78期は子会社の連結除外等の影響で減収となりましたが、営業利益・経常利益は増益となりました。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 195億円 184億円 186億円 191億円 187億円
経常利益 10億円 9億円 4億円 8億円 8億円
利益率(%) 5.0% 4.9% 2.1% 3.9% 4.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 7億円 5億円 4億円 5億円 3億円

(2) 損益計算書


前期と比較すると、売上高は減少したものの、売上原価率の低下等により営業利益率は改善しました。売上総利益率はほぼ横ばいですが、販売費及び一般管理費のコントロールも寄与し、営業増益を達成しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 191億円 187億円
売上総利益 42億円 42億円
売上総利益率(%) 21.9% 22.2%
営業利益 7億円 8億円
営業利益率(%) 3.6% 4.0%


販売費及び一般管理費のうち、給料賞与手当が8.3億円(構成比24%)、運賃が7.4億円(同22%)を占めています。

(3) セグメント収益


製品区分別の売上高を見ると、乾燥製品類が粉末茶や即席麺向け商材の回復により増加しました。一方、冷凍製品は中国子会社の連結除外により減少しました。組立製品類もヘルスケア関連の受託減少で減収となっています。なお、同社は単一セグメントのため利益情報の開示はありません。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
カラメル製品 42億円 45億円
乾燥製品類 62億円 70億円
組立製品類 38億円 32億円
冷凍製品 38億円 29億円
その他 12億円 11億円
連結(合計) 191億円 187億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

仙波糖化工業は、食品製造販売事業を展開しており、そのキャッシュ・フローの状況は以下の通りです。

営業活動によるキャッシュ・フローは、主に減価償却費や税金等調整前当期純利益、棚卸資産の増減などにより、前年同期と比較して減少しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、関係会社出資金の売却や有形固定資産の取得、差入保証金の差入などにより、前年同期よりも多く資金を使用しました。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済と新規借入れのバランスなどにより、前年同期よりも使用額が減少しました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 14億円 10億円
投資CF -7億円 -14億円
財務CF -4億円 -0.6億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループの経営の基本方針は、すべてのステークホルダーからの信頼を拡大し、ブランド力を向上させることです。より良いものを作り、顧客信頼度を向上させ、収益を伸ばすことで、株主、従業員、地域社会への還元を増やす企業を目指して取り組んでいます。

(2) 企業文化


「人材こそが企業価値を向上させる」を基本とし、人間力を兼ね備えた信頼されるプロフェッショナル人材の育成を重視しています。また、働きやすい組織風土および環境の整備に努め、人材の価値向上に取り組む文化があります。

(3) 経営計画・目標


同社は、目標とする経営指標として「簡易営業キャッシュフロー(営業利益+減価償却費)」を掲げています。これを最大化させることで、成長のための投資資金確保と株主還元強化を図る方針です。

* 売上高:197億円
* 営業利益:9億円

(4) 成長戦略と重点施策


市場ニーズの発掘と自社商材新製品の素早い投入、およびグループ経営力強化により中期的収益拡大を図っています。今後は海外顧客を意識した新製品開拓や営業強化、内外生産拠点の整備に注力する方針です。

* 既存事業の市場変化対策:商材開発力を前面に出した提案営業の徹底
* 海外市場開拓:アジア市場での日本食需要に対応するため、ベトナム子会社の生産体制確立や輸出対応強化
* 原燃料価格高騰への対応:適切な値上げや製品設計の見直し、構造改革の推進
* サステナビリティ経営の構築:環境配慮と人的資本を意識した企業活動の推進

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材の成長なしに企業の成長はあり得ないという考えのもと、社員が自らチャレンジできる仕組みと、活き活きと働き個人と企業がともに成長する環境づくりを推進しています。階層別研修や専門性強化のための機会提供に加え、ジョブローテーションによる能力発揮の場の提供、多様性の確保、健康経営の推進などに取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 41.3歳 17.5年 6,216,333円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 8.8%
男性育児休業取得率 22.2%
男女賃金差異(全労働者) 73.7%
男女賃金差異(正規) 73.2%
男女賃金差異(非正規) 74.1%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、管理職に占める女性労働者の割合(目標値15%以上)、男性労働者の育児休業取得率(目標値30%以上)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 食品の安全性について


同社グループはHACCPやFSSC等の品質管理システムに従い製造していますが、製品事故が発生する可能性はゼロではありません。万一、製品事故や社会的な品質問題が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。対策として、品質保証部会での未然防止活動や「フード・ディフェンス」の体制構築に取り組んでいます。

(2) 原材料の調達及び価格の変動について


異常気象や円安進行等による原材料価格・ユーティリティーコストの高騰は、製造コスト上昇につながり、業績に影響を与える可能性があります。これに対し、適正な製品価格の改定やコスト削減施策を実施し、影響の最小化に努めています。

(3) 海外市場での事業拡大に伴うリスクについて


海外事業においては、為替変動、人件費高騰、現地の法規制やカントリーリスク等の影響を受ける可能性があります。これらが顕在化した場合、事業成長や業績に悪影響を及ぼす恐れがあります。対策として、現地情報の収集や外部コンサルタントの活用により、適時適切な対応を図っています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。