仙波糖化工業 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

仙波糖化工業 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

仙波糖化工業は東証スタンダード市場に上場し、カラメル製品や粉末茶などの食品製造販売を主力とするメーカーです。直近の業績は外食需要の堅調な推移により増収となり、価格改定や経費削減に努めたことで経常利益も増益となりました。今後は自社商材の開発強化と海外市場の開拓による収益力向上を目指します。


※本記事は、仙波糖化工業株式会社の有価証券報告書(第79期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 仙波糖化工業ってどんな会社?

カラメル製品や乾燥製品、組立製品などの食品素材の製造・販売を手掛ける食品メーカーです。

(1) 会社概要

1947年に栃木県真岡市にカラメルの製造販売を目的として設立されました。1964年に粉末製品、1974年に凍結乾燥製品、1978年にブレンド製品へと事業領域を拡大してきました。2004年に株式を上場し、近年は中国やベトナムにも生産・販売拠点を設立するなど、国内外で事業を展開しています。

同社グループの従業員数は連結で491名、単体で317名です。筆頭株主はその他の関係会社である東洋水産で、第2位は主要株主のUNITED FOODS INTERNATIONAL、第3位はユタカフーズとなっており、主要取引先等の事業会社が上位株主を占めています。

氏名 持株比率
東洋水産 17.61%
UNITED FOODS INTERNATIONAL 12.23%
ユタカフーズ 8.78%

(2) 経営陣

同社の役員は男性9名、女性2名の計11名で構成され、女性役員比率は18.2%です。代表取締役社長は小林光夫氏が務めています。社外取締役比率は18.2%です。

氏名 役職 主な経歴
小林光夫 取締役社長(代表取締役) 1977年同社入社。大阪支店長、総務部長、管理本部長、常務取締役を経て2016年6月より現職。
保坂晴彦 取締役専務営業本部長(代表取締役) 1986年同社入社。営業本部長、子会社社長、常務取締役を経て2021年6月より現職。
前田立志 常務取締役生産本部長 1984年同社入社。特販部長、大阪支店長、取締役生産部・生産技術部担当を経て2019年6月より現職。
石塚則行 取締役大阪支店長 1991年同社入社。生産管理部長、開発本部長、生産本部長等を経て2026年4月より現職。
田中明子 取締役財務本部長営業推進本部長 1985年同社入社。マーケティング部長、生販管理部長等を経て2021年6月より現職。
市川剛久 取締役管理本部長総務部長中国事業担当 1993年同社入社。総務部長等を経て2024年6月より現職。


社外取締役は、川上裕(元藤井産業専務取締役・管理部門統括)、澤田真由美(税理士法人澤田会計事務所代表社員)です。

2. 事業内容

同社グループは、食品製造販売事業の単一セグメント内で複数の製品区分を展開しています。

(1) カラメル製品・乾燥製品類

カラメル製品では、カラメル色素や焙焼製品の製造・販売を行っており、チルドデザートや和洋菓子向けのシラップやソース等を顧客に提供しています。乾燥製品類では、粉末茶や粉末醤油などの基礎調味料や和風調味料を製造・販売しています。

両製品ともに、食品メーカーや量販店等への製品販売から収益を得ています。運営は仙波糖化工業が行うほか、中国・ベトナムの海外子会社や、関連会社の東北センバ等が製造・販売を担っています。

(2) 組立製品類・冷凍製品・その他

組立製品類では、コーンスープや粉末ソース、味噌汁、スポーツサプリメントなどの製造・販売を行っています。冷凍製品では、冷凍山芋や冷凍和菓子などを製造・販売し、その他では食品包装加工や仕入品の販売を行っています。

これらの事業も製品の販売や受託加工から収益を得ています。組立製品類は仙波糖化工業が運営し、冷凍製品は子会社の東北センバが製造・販売を担っています。また、食品包装加工は子会社の仙波包装が受託しています。

3. 業績・財務状況

同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移

売上高は184億円から194億円の間で安定的に推移しており、直近は外食需要の堅調な推移により増収を記録しました。経常利益も原価低減や適正な価格改定の効果により回復傾向にあり、利益率は4%台で安定しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 184億円 186億円 191億円 187億円 194億円
経常利益 9.0億円 3.9億円 7.6億円 8.2億円 8.7億円
利益率(%) 4.9% 2.1% 3.9% 4.4% 4.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 5.4億円 2.3億円 5.0億円 3.2億円 5.5億円

(2) 損益計算書

売上高の増加に伴い売上総利益も増加し、売上総利益率は22%台を維持しています。原材料価格の高騰等の影響を価格改定や経費削減で補い、営業利益率も改善傾向にあります。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 187億円 194億円
売上総利益 42億円 44億円
売上総利益率(%) 22.2% 22.4%
営業利益 7.6億円 9.0億円
営業利益率(%) 4.0% 4.6%


販売費及び一般管理費(35億円)のうち、給料賞与手当が8.0億円(構成比23.1%)、運賃が7.6億円(同22.0%)、研究開発費が3.4億円(同9.8%)を占めています。

(3) セグメント収益

主力の乾燥製品類をはじめ、全製品区分で前年を上回る売上高を記録しました。特に当期は、外食需要の回復を背景に乾燥製品類が堅調に推移し、ヘルスケア関連を含む組立製品類の販売も伸びています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
カラメル製品 45億円 45億円
乾燥製品類 70億円 71億円
組立製品類 32億円 35億円
冷凍製品 29億円 30億円
その他 11億円 13億円
連結(合計) 187億円 194億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

営業CFはプラス、投資CFおよび財務CFはマイナスであり、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う健全型です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 10.1億円 12.3億円
投資CF -14.1億円 -4.2億円
財務CF -0.6億円 -5.1億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は4.5%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は59.5%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略

同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念

同社グループは、「すべてのステークホルダーからの信頼を拡大し、ブランド力を向上させること」を経営の基本方針として掲げています。より良いものを作り、顧客信頼度を向上させることで社会に貢献する企業を目指しています。

(2) 企業文化

収益を伸ばすことで株主、従業員、地域社会への還元を増やす企業を目指しています。また、メーカーとしての原点に立ち返り、構造改革を推進するとともに、人間力を兼ね備えたプロフェッショナル人材の育成と働きやすい組織風土の整備に取り組む姿勢を重視しています。

(3) 経営計画・目標

同社は目標とする経営指標として「簡易営業キャッシュフロー(営業利益+減価償却費)」の最大化を掲げ、成長のための投資資金の確保と株主還元の強化を目指しています。
* 売上高:201億円
* 営業利益:9.5億円
* 経常利益:9.6億円
* 親会社株主に帰属する当期純利益:7.1億円

(4) 成長戦略と重点施策

人口減少による国内市場の構造変化を見据え、海外顧客を意識した新製品の開拓加速や営業強化、内外生産拠点の整備に注力しています。また、利益を生み出しやすい生産体制の構築に向け、生産ロスの削減や自動化・省人化を推進し、東南アジアや中国市場での生産・販売体制の強化による早期の収益貢献を目指しています。

5. 働く環境

同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針

「人材こそが企業価値を向上させる」という基本方針のもと、信頼されるプロフェッショナル人材の育成に取り組んでいます。従業員に困難な課題への挑戦機会を提供し、自律的に行動できる人材を育成するとともに、人材育成力を備えた管理職の登用や専門人材の積極採用を進め、働きやすい環境づくりを推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計

同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 41.1歳 16.8年 6,398,131円

※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示

同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 11.0%
男性育児休業取得率 50.0%
男女賃金差異(全労働者) 70.5%
男女賃金差異(正規雇用) 71.1%
男女賃金差異(非正規雇用) 76.4%

6. 事業等のリスク

事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 海外市場での事業拡大に伴うリスク

海外における事業展開において、外貨の切り上げによる為替リスク、インフレ進行に伴う人件費の高騰、法的基準の相違に起因する商品事故等が発生する可能性があります。同社は現地の法律や規制動向を適時把握し、外部コンサルタントも活用しながら適切に対応する体制を整えています。

(2) 災害によるリスク

主要な生産拠点が栃木県真岡市に集中しているため、大規模な地震等の自然災害やパンデミックが発生した場合、生産ラインの中断等により業績に影響を及ぼす可能性があります。定期的な設備点検や必要に応じた災害防止点検、サプライチェーンの複線化等の対策に努めています。

(3) 原材料の調達及び価格の変動

異常気象に伴う原材料価格の急騰や円安進行によるエネルギーコストの上昇は、製造コストの増加につながる可能性があります。同社は、影響を最小限に抑えるため、原材料価格に見合った適正な製品価格の改定や抜本的なコスト削減施策を実施しています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。