※本記事は、OATアグリオ株式会社 の有価証券報告書(2025年12月期、2025年1月1日 ~ 2025年12月31日、2026年3月24日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
OATアグリオは、『食糧増産技術(アグリテクノロジー)と真心で世界の人々に貢献します』という経営理念のもと、農薬、肥料、栽培技術の研究開発、製造、国内外での販売を主たる事業としています。同社グループは、防除技術、施肥灌水技術、バイオスティミュラントの3つの技術を軸に、食糧増産に向けたソリューションを提供しています。
単体従業員数は170名、連結従業員数は596名です。セグメントはアグリテクノ事業の1つです。
主な国内グループ会社は、旭化学工業(アグリテクノ事業)、インプランタイノベーションズ(同)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
OATアグリオは、アグリテクノロジーを通じて食糧増産に貢献する専門性の高い事業を展開しています。同社グループでは、社員一人ひとりの専門性向上とチームワークを重視した企業文化を育んでいます。DX推進や制度整備を通じて、変化に対応し、社員が安心して働ける環境づくりにも力を入れていることがうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均年齢が40代前半、平均勤続年数が8年台後半となっており、一定の経験を積んだ社員が長く活躍している傾向が見られます。専門性の高いアグリテクノロジー分野において、中長期的なキャリア形成が可能な環境がうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,999,380円 |
| 平均勤続年数 | 8.6年 |
| 平均年齢 | 42.4歳 |
| 単体従業員数 | 170人 |
| 連結従業員数 | 596人 |
| 単体のグループ内比率 | 28.5% |
同社グループは、給与や勤続年数に応じて給付額が決まる確定給付型と、会社が拠出した資金を従業員が運用する確定拠出型の退職給付制度を採用しています。これらの制度は、国内および海外の同社グループに適用されています。退職一時金制度も採用されていますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。2025年12月31日時点の退職給付債務は12.9億円、年金資産は12.3億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、「食糧増産技術(アグリテクノロジー)と真心で世界の人々に貢献します」という経営理念を軸に、人材育成と企業文化の醸成を進めています。社員一人ひとりが専門性を高め、互いに協力し合うことで革新的なソリューションを生み出す組織づくりを目指しており、社内外の研修や技術交流を通じて知見を広げる機会を提供しています。
また、物価上昇を踏まえた年収の安定性を高める賃金体系への改定を進め、社員がライフプランを立てやすい環境を整備しています。DX推進にも注力しており、AIプロジェクトを立ち上げて業務改善を加速させ、変化に適応する力と柔軟性を育む文化の定着を目指しています。
育児・介護との両立支援や健康経営にも積極的に取り組んでおり、介護セミナーの実施や健康診断受診率100%を目指すなど、社員が安心して最大限のパフォーマンスを発揮できる環境づくりを継続しています。ハラスメント撲滅やコンプライアンス強化のための研修も定期的に実施し、人権・コンプライアンス意識の向上を図っています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データを示します。連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、記載を省略しています。非正規雇用労働者の男女賃金差異については、女性の非正規雇用労働者全てが短時間勤務であるため格差が生じていると考えられます。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 9.6% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 0.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 79.6% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 86.4% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 33.1% |
多様性・登用
提出会社単体の目標値です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率目標 | 20.0% |
健康・安全
提出会社単体の目標値です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 健康診断受診率目標 | 100.0% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
OATアグリオは、食糧増産技術(アグリテクノロジー)と真心で世界の人々に貢献することを経営理念としています。先進的な農薬や肥料の研究開発、栽培技術の探求、製造、そして国内外での販売を主たる事業として展開しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、農薬や肥料、バイオスティミュラントといった製品と、それらを活用した栽培技術を通じて、食糧増産を目指す多面的なソリューションを提供しています。生産者や一般消費者のニーズに応え、現場で得られた知見を研究開発にフィードバックする循環型のビジネスモデルを構築しています。
同社グループの事業は、主に「防除技術」「施肥灌水技術」「バイオスティミュラント」の3つの技術分野に分けられます。防除技術では、農作物に悪影響を与える病害虫や雑草から作物を守る「農薬」を提供しています。施肥灌水技術では、作物の生育に必要な栄養分を与える「肥料」と、農作業の省力化・効率化を図る「養液土耕栽培システム」を供給しています。バイオスティミュラントは、植物が本来持つ能力を高め、耐寒性や病害虫耐性、成長促進を促す物質や技術の総称であり、同社グループではこれに属する肥料や活力剤を提供しています。
これらの技術を組み合わせることで、農業従事者が直面する環境問題や食糧増産問題に対し、包括的な解決策を提供しています。また、ウェブ直販サイト「AGRIO」の運営を通じて、家庭菜園向けの製品や切り花の品質保持剤など、一般消費者向けの多様な製品も提供しています。
同社グループの収益は、農薬分野と肥料・バイオスティミュラント分野が中心です。当連結会計年度においては、農薬分野の売上高は増加し、特に主力製品や環境に配慮したグリーンプロダクツの販売が好調に推移しました。肥料・バイオスティミュラント分野も売上高が大きく増加しており、バイオスティミュラント剤や養液土耕栽培システムの普及が寄与しています。
海外市場での売上高は国内を上回っており、特にアジア・中南米・アフリカ地域への販売体制を強化しています。特定の顧客としては、丸善薬品産業株式会社への販売が総販売実績の一定割合を占めています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの直近5期間の業績は、売上高が継続的に増加傾向を示しています。経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益も、一時的な変動はあったものの、全体としては増加基調で推移しています。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 227億円 | 270億円 | 290億円 | 298億円 | 320億円 |
| 経常利益 | 19.9億円 | 33.9億円 | 38.0億円 | 32.4億円 | 35.8億円 |
| 経常利益率 | 8.8% | 12.6% | 13.1% | 10.9% | 11.2% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 14.6億円 | 22.6億円 | 24.9億円 | 20.8億円 | 23.3億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 135.36 | 214.12 | 236.45 | 201.86 | 230.39 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は、前期から当期にかけて増加しています。また、従業員1人あたり営業利益も同様に増加しており、同社グループの生産性が向上していることを示しています。これらの数値は、組織全体の効率化が進み、従業員一人ひとりの稼ぐ力が強化されている傾向にあることを示唆しています。
| 指標 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 49.5百万円 | 53.6百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 5.2百万円 | 5.8百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、堅実な財務基盤と安定したキャッシュフローを維持しており、事業活動を継続するための資金的な余力があることが示されています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率とROE(自己資本利益率)のいずれも、プライム市場の平均と比較して高い水準にあります。手元資金である現金及び預金も厚みがあり、事業の安定性を支える要素となっています。これらの指標は、同社グループが安定した事業運営を継続できる状態にあることを示しています。
| 指標 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 171億円 | 200億円 |
| 自己資本比率 | 46.0% | 50.4% |
| ROE(自己資本利益率) | 13.9% | 13.4% |
| 現金及び預金 | 48.5億円 | 52.8億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュフローは増加し、本業で安定的に資金を生み出している状況です。これは、税金等調整前当期純利益や減価償却費、のれん償却額、仕入債務の増加などが主な収入要因となっています。
投資活動によるキャッシュフローは支出が増加しており、定期預金の預入や有形固定資産の取得、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得、無形固定資産の取得などに資金を投じています。財務活動によるキャッシュフローも支出が増加しており、長期借入金の返済や配当金の支払い、自己株式の取得などが行われています。フリーキャッシュフローはプラスであり、本業で得た資金で投資を賄い、さらに余剰資金を生み出している状態です。これらのキャッシュフローの状況は、同社グループが安定した事業運営を継続しつつ、将来に向けた投資も行っていることを示しており、雇用や給与の安定性にもつながる財務状況であると言えます。
| 項目 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 37.6億円 | 49.0億円 |
| 投資CF | △5.6億円 | △15.4億円 |
| 財務CF | △24.8億円 | △33.3億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 32.1億円 | 33.6億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの主要製品である農薬・肥料の最終消費者は農業従事者であり、国内の農業市場は人口減少や農作物の販売価格下落、農業従事者の高齢化・後継者不足により漸減傾向が続いています。政府の農業政策変更や市場縮小が経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、農薬や肥料の生産・販売活動は国内外のさまざまな法規制を受けており、法令改正や新たな法令の制定が行われた場合には、経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクの記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
OATアグリオは、食糧増産技術(アグリテクノロジー)を通じて世界の食料問題解決に貢献することを目指しています。持続可能な農業の未来を切り拓くため、革新的な技術開発と社会貢献を重視する企業文化を育んでいます。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「食糧増産技術(アグリテクノロジー)と真心で、世界の人々に貢献します。」という企業理念を掲げています。この理念のもと、農薬や肥料、独自の栽培システムなどを開発・製造・販売し、作物の増収に寄与する総合的かつ包括的な技術の開発と体系化に取り組んでいます。増え続ける世界人口を支えるための食糧問題を解決し、企業価値の最大化を図ることを経営の基本方針としています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、経営理念を軸に、社員一人ひとりが専門性を高め、互いを尊重し協力し合う組織づくりを進めています。誠実な対応とチームワークを大切にする企業文化を礎に、顧客やパートナーとの信頼関係を強化し、製品・サービスの価値向上に繋げています。また、『栽培の楽しさ・難しさを自ら体験し、世界に発信する』ことを企業文化とし、全ての人々に『育てる喜び』『観る感動』『食べる幸せ』をSNSやイベントなどを通してお届けしています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、持続可能な農業に貢献するため、イノベーションに向けた研究開発への集中投資を重点課題としています。
人や環境に優しいグリーンプロダクツ、バイオスティミュラント事業、施設園芸分野でのスマート農業への取り組み、グローバル製品展開に継続して注力しています。
DX技術を活用して効率化を常に考え、変化を恐れず挑戦する文化の定着を目指し、AI活用の高度化を通じてさらなるDXを推進しています。
グループ全体で操業時の環境負荷低減、持続可能な経営に取り組み、すべてのステークホルダーにとっての会社価値の向上を目指しています。
人権・コンプライアンス面では、ハラスメント撲滅に向けたeラーニングや研修を継続的に実施し、コンプライアンスの自主点検と改善に繋げています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
OATアグリオは、コーポレート・ガバナンスの強化とグループ経営における意思決定・業務執行の迅速化を図るため、監査等委員会設置会社としています。取締役会に監査等委員会を置くことで、取締役会の監督機能を強化し、経営における監督責任と執行責任を明確にしています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
OATアグリオの筆頭株主は光通信KK投資事業有限責任組合です。その他、日本マスタートラスト信託銀行や伊藤忠ケミカルフロンティア、大塚化学などが上位株主として名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 光通信KK投資事業有限責任組合 | 6.56% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 6.51% |
| 伊藤忠ケミカルフロンティア | 5.34% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性8名・女性1名)で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は岡尚氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 岡 尚 | 代表取締役社長 | 1983年3月 大塚化学薬品株式会社入社、2020年3月 同社代表取締役社長就任より現職。 |
| 北口 聡史 | 取締役 上席執行役員 経営企画室室長 生産統括部部長 | 2012年11月 同社事業推進部専任課長、2025年3月 同社取締役上席執行役員経営企画室室長生産統括部部長研究開発部担当より現職。 |
| 奥村 亘 | 取締役 上席執行役員 海外営業本部本部長 | 2010年9月 同社海外営業部専任課長、2023年3月 同社取締役上席執行役員海外営業本部本部長より現職。 |
| 高瀬 尋樹 | 取締役 執行役員 総務部部長 | 2015年1月 同社事業推進部経営企画室専任課長、2024年1月 同社取締役執行役員総務部部長経理部知財・法務室管掌株式会社インプランタイノベーションズ取締役より現職。 |
| 末村 泉美 | 取締役 執行役員 国内営業本部本部長 | 2011年11月 同社大阪支店四国出張所所長、2022年3月 同社取締役執行役員国内営業本部本部長より現職。 |
| 渡辺 伊都子 | 取締役 執行役員 人事部部長 | 2011年11月 同社経理・情報システム部専任課長、2023年3月 同社取締役執行役員人事部部長DX担当より現職。 |
社外取締役は、木村稔氏(木村稔会計事務所代表・監査等委員)、小川順氏(京都大学大学院農学研究科教授・監査等委員)、荒木源德氏(モルガン・ルイス・アンド・バッキアス外国法事務弁護士事務所パートナー・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、社外取締役3名全員が監査等委員を務めています。これにより、取締役会の監督機能が強化され、客観的な視点からの経営監視が行われる体制となっています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
OATアグリオの取締役(監査等委員である取締役を除く)の報酬は、現金報酬と自社株報酬(非金銭報酬)で構成されています。現金報酬は役職に基づいた基本報酬と個人別の業績目標達成度合いに応じた業績報酬からなり、自社株報酬は業績指標(KPI)による評価に基づいています。一方、取締役(監査等委員)の報酬は、固定報酬としての月額報酬で構成されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 6名 | 1.4億円 | 24.2百万円 |
| 社外役員 | 3名 | 23百万円 | 7.7百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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