※本記事は、株式会社エラン の有価証券報告書(2025年12月期、2025年1月1日 ~ 2025年12月31日、2026年3月26日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
エランは、病院や介護施設に入院・入所する利用者に対し、衣類・タオル類の洗濯サービス付きレンタルと日常生活用品の提供を組み合わせた「CS(ケア・サポート)セット」を主力事業として展開しています。このサービスにより、利用者は手ぶらで入院・入所が可能となり、家族の負担も軽減されます。
エランの単体従業員数は310名、連結従業員数は974名です。同社グループの報告セグメントは「介護医療関連事業」の1つです。
主な国内グループ会社は、(親会社)エムスリー、(連結子会社)エランサービス(介護医療関連事業)などです。
前連結会計年度には、TMC VIET NAM TRADING AND SERVICE JOINT STOCK COMPANYの連結子会社化により、グループの事業規模が拡大しました。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
エランは、介護医療関連事業を主軸に展開しており、従業員の成長と働きやすい環境づくりに注力しています。多様な人材が活躍できるような制度設計や、ワークライフバランスを重視した取り組みを進めている点が特徴です。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、平均年齢が比較的若く、勤続年数も堅実な傾向が見られます。これは、若手人材がキャリアを築きながら定着している状況を示唆しており、活気ある組織文化が形成されていることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,317,000円 |
| 平均勤続年数 | 4.8年 |
| 平均年齢 | 35.0歳 |
| 単体従業員数 | 310人 |
| 連結従業員数 | 974人 |
| 単体のグループ内比率 | 31.8% |
退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、人材を事業価値創出の要と位置づけ、従業員の高いワーク・エンゲージメントを重視した人的資本経営を推進しています。経営理念に基づき、「社員と組織の成長」を核とした取り組みを進めており、人材価値の最大化、多様性の推進、働き方改革と女性活躍の推進、健康経営、コンプライアンスと倫理、そして経営戦略への反映を重要テーマとして掲げています。
具体的には、OJTやメンター制度、中堅・幹部向けの各種研修といった人材教育制度を整備し、2018年には行動と業績を軸とした新人事制度を導入しました。また、従業員のモチベーション向上を目的とした社内表彰制度「エランアワード」を年に一度開催しています。多様性を高める取り組みとして、外国人採用を推進し、特例子会社「エランクルール」を設立して障がい者雇用にも積極的に取り組んでいます。
働き方改革では「エラン輝きプロジェクト」を発足し、アニバーサリー休暇制度やストック休暇制度、育児短時間勤務制度、育児応援手当、ライフサポート短時間勤務制度などを通じて、全従業員が働きやすい環境を整備しています。健康経営にも力を入れ、「健康経営優良法人」に認定されるなど、従業員の心身の健康を積極的に支援しています。さらに、コンプライアンス教育の徹底や、次世代リーダー育成のための社外研修、資格取得奨励制度など、多角的な視点から人材育成と組織強化を図っています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 8.8% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 63.6% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 59.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 74.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 47.6% |
グループ全体(連結)
国内連結会社を対象とした集計値です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 13.0% |
| 男女間賃金格差(全労働者) | 41.7% |
| 男女間賃金格差(正社員) | 73.6% |
| 男女間賃金格差(パート・有期社員) | 84.5% |
多様性を高める
国内連結会社を対象とした集計値です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 外国人社員数 | 9人 |
働き方改革と女性活躍の推進
月平均残業時間は国内連結会社、有給休暇取得率、育休取得率、男性育休取得率は提出会社、女性管理職比率および男性労働者の育児休業等取得率および企業独自の育休を目的とした休暇制度利用率は行動計画の実績値です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 月平均残業時間 | 20時間22分 |
| 有給休暇取得率 | 69.8% |
| 育休取得率 | 73.3% |
| 男性育休取得率 | 63.6% |
| 女性管理職比率(役員除く) | 8.8% |
| 男性労働者の育児休業等取得率および企業独自の育休を目的とした休暇制度利用率 | 63.6% |
健康経営の推進
提出会社を対象とした集計値です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 定期健康診断受診率 | 100.0% |
人材育成・エンゲージメント
研修参加率、社員一人当たり研修時間平均、人材育成・開発費用はグループ正社員を対象とした集計値です。20~30代の役員数は国内連結会社を対象としています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 研修参加率 | 48.8% |
| 社員一人当たり研修時間平均 | 50.7時間/年 |
| 人材育成・開発費用 | 135,774千円 |
| 20~30代の役員数(参画時、グループ会社・執行役員を含む) | 7人 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
エランは、病院や介護施設に入院・入所する方々に対し、衣類やタオル類の洗濯サービス付きレンタルと日常生活用品の提供を組み合わせた「CS(ケア・サポート)セット」を主力サービスとして展開しています。利用者が「手ぶらで入院・入所し、手ぶらで退院・退所する」ことを可能にするサービスです。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループの事業は、主に介護医療関連事業の単一セグメントで構成されています。CSセットは、入院・入所中に必要な衣類・タオル類の洗濯・交換や日常生活用品の補充の手間を利用者やその家族から省くことを目的としています。利用料金は日額制を採用しており、使用量を気にせず安心して生活を送れる点が特徴です。
同社グループは、CSセットの導入時にプラン設計や運営支援、リネンサプライ業者等への納入手配を行い、導入後は利用者からの利用料金回収や問い合わせ対応などを担っています。病院や介護施設は、利用者へのサービス説明や物品の貸与・回収などを行い、その対価として同社グループから業務委託手数料を受け取ります。リネンサプライ業者等は、衣類や日常生活用品の納入・回収・洗濯を行い、同社グループから洗濯代金等を受け取る仕組みです。
この事業は、利用者とその家族だけでなく、病院・介護施設、リネンサプライ業者等にもメリットを提供し、同社グループが中心となってWin-Winの関係を構築できる特徴があります。国内事業が中心であり、特定の顧客への収益集中は見られません。一方で、海外事業についても積極的な成長投資を検討している状況です。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの業績は、過去5期間にわたり売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益ともに増加傾向を示しています。特に当連結会計年度においては、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも前期から増加となりました。国内経済の緩やかな回復と高齢化の進行による市場規模の拡大を背景に、CSセット導入施設数の順調な増加が業績に貢献しています。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 316億円 | 363億円 | 414億円 | 475億円 | 554億円 |
| 経常利益 | 28.2億円 | 34.1億円 | 36.8億円 | 35.4億円 | 41.8億円 |
| 経常利益率 | 8.9% | 9.4% | 8.9% | 7.5% | 7.5% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 19.1億円 | 20.8億円 | 25.2億円 | 23.5億円 | 27.7億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 31.49 | 34.45 | 41.66 | 38.94 | 45.77 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は前期から減少しており、従業員1人あたり営業利益も前期から減少しています。これは、業容拡大に伴う従業員数の増加が、売上高や営業利益の伸びを上回ったことによるものと考えられます。
| 指標 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 70.3百万円 | 56.9百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 5.3百万円 | 4.4百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
エランは、本業で安定的に資金を稼ぎ出し、将来に向けた投資も積極的に行いつつ、手元に余剰資金を残している状況です。このような財務状況は、事業の持続可能性と成長性を示すものとなっています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
エランの財務基盤は、自己資本比率とROE(自己資本利益率)の両面で安定した水準を示しています。自己資本比率はプライム市場の非製造業平均と比較して高い水準にあり、強固な財務体質を構築していることがうかがえます。また、ROEもプライム市場平均を大きく上回っており、効率的な資本活用によって利益を生み出している状況です。手元資金も潤沢に確保されており、事業運営の安定性につながっています。
| 指標 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 125億円 | 147億円 |
| 自己資本比率 | 57.6% | 54.9% |
| ROE(自己資本利益率) | 20.2% | 20.5% |
| 現金及び預金 | 68.5億円 | 68.5億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
エランの営業活動によるキャッシュ・フローはプラスで推移していますが、前期に比べて減少しています。これは法人税等の支払いが資金減少要因となったものの、年間を通じた営業活動により資金が増加したためです。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得や連結の範囲の変更に伴う子会社株式の取得による支出が増加し、資金を使用する状況となっています。財務活動によるキャッシュ・フローは、主に株主への配当金の支払いにより資金を使用しています。フリーキャッシュ・フローはプラスを維持しており、本業で稼いだ資金を成長投資に充てつつ、余剰資金も生み出している状況です。
| 項目 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 45.0億円 | 43.0億円 |
| 投資CF | △22.3億円 | △34.7億円 |
| 財務CF | △8.5億円 | △8.5億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 22.7億円 | 8.4億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、介護医療関連事業において他社との競合が激化した場合、既存顧客の喪失や収益力の低下が生じる可能性があると認識しています。また、新規導入施設への導入計画が想定通りに進まない場合、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、事業拡大と成長のために優秀な人材の確保が重要課題であると認識しています。人材の確保や育成が計画通りに進まない場合、競争力の低下や事業拡大の制約要因が生じる可能性があるとしています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
エランは、医療・介護業界において「心豊かな生活環境の実現」を経営理念に掲げ、お客様の「困った」を解決し「笑顔」を届けるサービスを提供しています。同社グループは、サステナビリティ経営を推進し、社会全体の持続的な発展に貢献することを目指しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「私達は、お客様に満足していただける最高の商品とサービスを追求し、情熱を持った行動を通じて、心豊かな生活環境の実現に貢献します。」を経営理念としています。事業活動を通じて、より多くの人々、ひいては社会全体に笑顔があふれる状態を目指すことをVision(ビジョン)としています。医療・ヘルスケア領域における社会の課題を解決していくことをMission(ミッション)と位置づけています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループでは、全ての活動を支える「ELAN Credo(エランクレド)」を定義し、入社時に配布しています。これは、同社グループが大切にしている価値観や行動を明確に提示し、従業員一人ひとりが主体性を持って活動に取り組むことを促すものです。社内表彰制度「エランアワード」では、「失敗を恐れずに挑戦する姿勢」を最も体現した社員や、ELAN Credoを体現する社員を表彰しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、2024年10月にエムスリー株式会社のグループに入り、シナジーによるさらなる事業規模の拡大と中長期的な企業価値向上に注力しています。優先的に対処すべき課題として、全国的な営業網整備と事業継続対応、物価高騰に伴う価格転嫁及びシステム化の促進による収益性の改善を挙げています。また、顧客満足度の向上、新事業開発、海外展開、人材の育成、SDGs・ESGへの対応も重点テーマです。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
エランは監査等委員会設置会社として、取締役会の監督機能強化と経営意思決定の迅速化を図る体制を構築しています。独立社外取締役を主要な構成員とする指名・報酬委員会や特別委員会も設置し、コーポレート・ガバナンスの強化に取り組んでいます。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
エランの筆頭株主はエムスリー株式会社であり、同社グループの資本構成において重要な位置を占めています。その他、個人株主も上位に名を連ねています。支配株主の存在に伴い、少数株主の保護を図るための特別委員会が設置されています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| エムスリー | 55.00% |
| 櫻井 英治 | 4.49% |
| 中島 信弘 | 4.00% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 3.76% |
| SAKURAコーポレーション | 3.04% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
エランの役員は10名(男性7名・女性3名)で構成され、女性役員比率は30.0%です。代表取締役社長社長執行役員CEOは峯崎友宏氏が務めています。社外取締役比率は40.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 峯崎 友宏 | 代表取締役社長 社長執行役員CEO | 1997年4月 中島雄三税理士事務所入所。2003年8月 同社入社。2011年7月 同社取締役営業部長。2025年3月 同社代表取締役社長 社長執行役員CEOより現職。 |
| 石塚 明 | 取締役 執行役員CSO 経営戦略本部長 | 2005年8月 メディカル・ケア・サービス取締役。2017年12月 デジタルプラス取締役CFO。2019年4月 同社入社。2022年3月 同社取締役執行役員CSO経営戦略本部長より現職。 |
| 上條 陽一 | 取締役 執行役員CFO 管理本部長 | 1995年4月 みずほリサーチ&テクノロジーズ入社。2015年10月 同社入社。2024年5月 同社執行役員CFO管理本部長。2025年3月 同社取締役執行役員CFO管理本部長より現職。 |
| 松本 友紀子 | 取締役 | 2004年4月 サイバーエージェント入社。2011年2月 エムスリー入社。2018年6月 エムスリーキャリア取締役。2025年3月 同社取締役より現職。 |
社外取締役は、江守直美氏(福井大学医学部付属病院 看護部長・副病院長)、愛川直秀氏(愛川法律事務所 所長・監査等委員)、齋藤美帆氏(ストラテジー・アドバイザーズ 資本市場本部 執行役員・監査等委員)、三浦太氏(M'sGAパ-トナ-ズ事務所 代表・監査等委員)です。
エランは監査等委員会設置会社であり、監査等委員である取締役が取締役会における議決権を持つことで、取締役会の監督機能を強化しています。これにより、コーポレート・ガバナンスの一層の強化を図っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
エランの業務執行取締役の役員報酬は、役職に応じた固定報酬と業績に連動する役員賞与で構成されています。役員賞与は金銭報酬と株式報酬の形態で支給され、連結営業利益の達成割合などを勘案して決定されます。一方、社外取締役および監査等委員である取締役には、その役割と独立性の観点から金銭による固定報酬のみが支給される仕組みです。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 5名 | 92百万円 | 18.4百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 16百万円 | 15.6百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 24百万円 | 5.9百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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