RS Technologies 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

RS Technologies 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

RS Technologiesは東京証券取引所プライム市場に上場し、半導体製造用のモニターウェーハ再生事業を主力とする企業です。近年は新品のシリコンウェーハ製造や半導体関連装置・部材等の販売にも事業を拡大しています。直近の業績は旺盛な半導体需要や生産効率向上により、大幅な増収と営業増益を達成しています。


※本記事は、株式会社RS Technologiesの有価証券報告書(第16期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. RS Technologiesってどんな会社?


半導体製造に不可欠なシリコンウェーハの再生加工を主力とし、グローバルに事業を展開する企業です。

(1) 会社概要


同社は2010年に設立され、ラサ工業からシリコンウェーハ再生事業を引き継いで操業を開始しました。2015年に上場を果たし、2018年には中国に合弁会社を設立してプライムシリコンウェーハ製造販売事業に参入しました。近年も台湾や中国での生産拠点を拡充し、再生可能エネルギー事業や車載カメラモジュール等の新規事業にも進出しています。

現在の従業員数は連結2,744名、単体371名です。筆頭株主は代表取締役社長の方永義氏の資産管理会社であるR.S.TECH HONG KONG LIMITEDで、第2位も方永義氏個人となっています。第3位は資産管理業務を行う信託銀行が名を連ねています。

氏名 持株比率
R.S.TECH HONG KONG LIMITED(常任代理人 方 永義) 35.85%
方 永義 8.04%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 7.94%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性2名の計8名で構成され、女性役員比率は25.0%です。代表取締役社長は方永義氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
方 永義 代表取締役社長 1999年永輝商事設立、代表取締役。2010年同社代表取締役社長就任。艾爾斯半導體や北京有研RS半導体科技など多数の海外子会社の董事長を兼任し、現在に至る。
遠藤 智 取締役製造部長 1991年ラサ工業入社。2011年同社入社、製造部長。2017年取締役製造部長就任。艾爾斯半導體などの関連会社役員を兼任し、現在に至る。
大澤 一生 取締役 2006年永輝商事入社。2012年同社入社。2025年2月取締役就任。ユニオンエレクトロニクスソリューションやLEシステムの代表取締役社長等を兼任し、現在に至る。
戸松 清秀 取締役経営戦略本部長兼経営管理本部長 1998年金商又一(現三菱商事RtMジャパン)入社。きらぼし銀行等を経て、2024年3月取締役経営戦略本部長兼経営管理本部長就任。艾索精密部件の董事長を兼任し、現在に至る。


社外取締役は、伊澤太郎(元TOPPANホールディングス常務取締役)、金森浩之(金森公認会計士事務所所長)、清水夏子(清水・新垣法律事務所共同代表弁護士)、張翠萍(西村あさひ法律事務所パートナー)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ウェーハ再生事業」「プライムシリコンウェーハ製造販売事業」「半導体関連装置・部材等」および「その他」事業を展開しています。

ウェーハ再生事業


半導体製造工程のモニタリングに使用された使用済みシリコンウェーハを預かり、洗浄・研磨等の加工を施して再利用可能な状態にするサービスを提供しています。また、仕入れたモニタウェーハ等の再生販売や酸化膜成膜加工サービスも行っています。
主な収益源は、半導体製造会社からのウェーハ再生加工にかかる手数料や再生ウェーハの販売代金です。事業の運営は同社のほか、台湾の艾爾斯半導體や中国の山東有研RS半導体材料等の子会社・関連会社が行っています。

プライムシリコンウェーハ製造販売事業


半導体を製造する際の基板材料となる新品のシリコンウェーハ(プライムシリコンウェーハ)を製造・販売しています。主に中国国内の半導体メーカーのニーズに合わせて、5インチから8インチの製品を提供しています。
収益源は、半導体メーカーへのプライムシリコンウェーハ等の販売代金です。事業の運営は、中国にある子会社の北京有研RS半導体科技、有研半導体硅材料股份、山東有研半導体材料が担っています。

半導体関連装置・部材等


半導体製造装置用の消耗部材の製造・販売や、電子部品・半導体製造装置の販売を手掛けています。また、近年は蓄電池用電解液や光学ピックアップ、車載カメラモジュール等の製造・販売にも事業領域を広げています。
収益源は、これら関連装置や部材、モジュール等の販売代金です。事業の運営は、DG Technologiesやユニオンエレクトロニクスソリューション、LEシステム、艾索精密部件等の子会社が行っています。

その他


国内や台湾の工場敷地内に太陽光発電システムを設置し、発電した電力の販売を行うソーラー事業を展開しています。また、半導体ウェーハ製造工程の技術指導や教育サービスを提供する技術コンサルティング事業も行っています。
収益源は、売電収入やコンサルティング手数料です。事業の運営は同社等が担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績は、旺盛な半導体需要やM&Aによる事業領域の拡大を背景に、売上高が右肩上がりで成長しています。利益面でも高い水準を維持しており、積極的な設備投資を進めながらも堅調な経常利益率を確保し、順調な成長軌道を描いています。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 346億円 499億円 519億円 592億円 767億円
経常利益 88億円 155億円 149億円 157億円 166億円
利益率(%) 25.5% 31.1% 28.8% 26.5% 21.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 22億円 29億円 40億円 36億円 38億円

(2) 損益計算書


直近2期間の比較では、販売数量の増加と新規子会社の連結化により大幅な増収となりました。売上総利益も増加しましたが、事業規模拡大に伴う人件費や減価償却費等の増加により、営業利益率はやや低下しています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 592億円 767億円
売上総利益 194億円 236億円
売上総利益率(%) 32.7% 30.7%
営業利益 131億円 143億円
営業利益率(%) 22.1% 18.6%


販売費及び一般管理費のうち、研究開発費が19億円(構成比21%)、給与手当が14億円(同15%)を占めています。

(3) セグメント収益


ウェーハ再生事業は国内外の需要が堅調に推移し、増産設備投資の寄与もあって増収増益でした。プライムシリコンウェーハ製造販売事業は中国市場での競争激化による単価低下が影響し、微減収減益となりました。半導体関連装置・部材等は新規子会社による光学ピックアップの販売が寄与し、大幅な増収増益を記録しています。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期) 利益(2024年12月期) 利益(2025年12月期) 利益率
ウェーハ再生事業 238億円 275億円 91億円 102億円 36.9%
プライムシリコンウェーハ製造販売事業 190億円 188億円 47億円 42億円 22.1%
半導体関連装置・部材等 163億円 302億円 9億円 16億円 5.4%
その他 1億円 2億円 0.1億円 -0.1億円 -3.2%
連結(合計) 592億円 767億円 131億円 143億円 18.6%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社は、事業展開に必要な資金を機動的に調達しつつ、健全な財政状態の維持に努めています。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益や棚卸資産の減少等により増加しました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資や関係会社株式の取得等により減少しました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れ等により増加しました。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 131億円 148億円
投資CF -66億円 -152億円
財務CF 20億円 103億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは「地球環境を大切にし、世界の人々に信頼され、常に創造し挑戦する。」という経営理念を掲げています。持続可能な社会の実現への貢献と技術革新を両立させながら、半導体関連事業を通じて世界の産業発展に寄与することを目指しています。

(2) 企業文化


行動指針として「多様性を尊重し、自由闊達な企業風土をつくり、『就業環境No.1』を目指す。」を掲げています。コンプライアンスの重視をガバナンスの基本とし、人材育成を経営の重要課題と位置づけ、従業員一人ひとりが能力を発揮できる社内環境の整備に努めています。

(3) 経営計画・目標


同社は、AI関連の需要拡大を背景とした世界の長期的な半導体需要の増加を見据え、国内外を問わず半導体メーカーの需要を広く取り込むことを目指しています。また、次世代育成対策推進法等に基づく行動計画として、有給休暇取得率65%以上や女性社員割合40%以上などの目標を設定しています。

(4) 成長戦略と重点施策


ウェーハ再生事業においては、年々微細化が進む世界最先端の半導体技術に適応する12インチハイエンド向け再生技術のさらなる高度化や、環境に配慮した効率的な自動化ラインの構築を目指しています。プライムウェーハ事業では8インチウェーハの世界標準結晶技術の早期確立や12インチの量産体制に向けた安定稼働を推進し、新規事業を含めた海外事業体制の強化にも注力します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は人材の育成を経営の重要課題の一つに位置づけ、計画的かつ継続的な取り組みを行っています。多様な人材の確保や女性活躍推進を含め、従業員一人ひとりが能力を発揮できる社内環境の整備に注力し、階層別研修や専門知識の勉強会、eラーニング等を活用したスキルアップ支援を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 40.6歳 7.1年 6,400,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 10.3%
男性育児休業取得率 50.0%
男女賃金差異(全労働者) 83.7%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 91.0%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 63.0%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有給休暇取得日数(10.3日)、女性社員の割合(31%)、本社の外国籍比率(24%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 特定の取引先への依存に関するリスク


同社グループは、世界有数の半導体受託生産企業であるTSMCとの円滑な取引を継続しており、同社に対する売上高が設立以来高い水準にあります。そのため、同社の販売や設備投資の動向によっては、同社グループの経営成績に短期的な影響を与える可能性があります。

(2) 業界動向と他社との競合に関するリスク


主な需要先である半導体業界の需給変動により、シリコンウェーハの使用量減少や販売価格の低下が生じる可能性があります。また、国内外の同業他社との厳しい競争環境において、高シェア製品の市場支配力が低下した場合、事業や財政状態に悪影響を及ぼす恐れがあります。

(3) 加工工程と設備投資に関するリスク


半導体市場での継続的な製品価格低下に対し、生産効率の向上が追いつかなくなった場合、利益が圧迫される可能性があります。また、大規模な設備投資に伴う先行費用の発生や、想定通りの受注が期待通りに獲得できなかった場合、経営成績に重大な影響を与えるリスクがあります。

(4) 特定人物への依存に関するリスク


現在、代表取締役社長である方永義氏の前職までの経験や人脈が、新規営業先の開拓やグローバルな事業展開において重要な役割を果たしています。同氏への依存を低減する組織変革の途上で、何らかの理由により同氏の業務遂行が困難となった場合、業績に重要な影響が及ぶ可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。