【平均年収516万円】ツバキ・ナカシマ 転職ガイド:知っておきたい給与と業績(2025年12月期)

【平均年収516万円】ツバキ・ナカシマ 転職ガイド:知っておきたい給与と業績(2025年12月期)

ツバキ・ナカシマは、グループ各社とともに精密ボール、精密ローラー、送風機の製造販売をグローバルに展開しています。日本を含む11カ国で事業を行い、直近期は売上収益が減少し、損失を計上しました。


目次

※本記事は、株式会社ツバキ・ナカシマ の有価証券報告書(2025年12月期、2025年1月1日 ~ 2025年12月31日、2026年3月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。

1. 企業概要:どんな会社?


ツバキ・ナカシマグループは、奈良に本社を置き、精密ボール、精密ローラー、送風機の製造販売をグローバルに展開しています。日本を含む11カ国で事業を行っています。

単体従業員数は432名、連結従業員数は2,447名です。セグメントはプレシジョン・コンポーネントビジネス、ブロア・リアルエステイトビジネスの2つです。

国内においてはツバキ・ナカシマが精密ボール、精密ローラー、送風機の製造販売を担い、海外20社の連結子会社を通じてグローバルに事業を展開しています。

2025年10月3日には、ボールねじ及びボールウェイの製造販売事業をミネベアミツミ株式会社に譲渡しました。

2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?


株式会社ツバキ・ナカシマは、精密部品製造をグローバルに展開する企業として、従業員の安定したキャリア形成と多様な働き方を重視しています。経験豊富な人材が長く活躍できる環境が整っており、個々の成長を支援する人材戦略にも力を入れています。

■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢


同社では、従業員の平均勤続年数が長く、安定したキャリア形成が可能な環境であることがうかがえます。平均年齢も比較的落ち着いており、経験豊富な人材が多数在籍している傾向が見られます。

項目 数値
平均年間給与 5,162,000円
平均勤続年数 16.9年
平均年齢 43.0歳
単体従業員数 432人
連結従業員数 2,447人
単体のグループ内比率 17.7%


同社には、給与や勤続年数に応じて給付額が決まる確定給付型と、会社が拠出した資金を従業員が運用する確定拠出型の両方の退職給付制度があります。これらの制度は国内グループ会社を対象としています。

なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。

■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方


同社グループは、「精密の力で世界を動かす」というパーパスを掲げ、人的資本を中長期的な企業価値向上の重要な基盤と位置付けています。2025年には、パーパス、ビジョン、ミッション、バリューの再構築・刷新をグローバル組織全体で共有し、一体感の醸成と戦略との整合性向上を図りました。

また、表彰制度、業績管理制度、従業員意識調査を含む標準化された人事制度・運用手続の導入と高度化を実施し、海外拠点を含む組織全体の強みを活かした業務簡素化と情報可視化を進めています。人材層の強化と定着率向上にも注力しており、多様性・公平性・包摂性を重要な経営課題としています。

管理職研修や階層別育成制度、全社会議、社内情報共有システム「Gemba SNAP」を活用し、情報共有と対話活性化に努めています。約500名の選抜人材を対象とした体系的な学習制度を開始し、従業員の能力向上を支援しています。公正かつ一貫性のある評価制度を整備し、管理職向け研修や従業員向け自己評価研修を実施するなど、目標設定の精度向上と業績対話の質の向上に取り組む方針です。

■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標


有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。

法定開示


提出会社単体の法定開示データです。

指標 数値
管理職に占める女性労働者の割合 14.5%
男性労働者の育児休業取得率 100.0%
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) 85.5%
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) 84.8%
労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) 52.7%

人的資本多様性

ダイバーシティ推進

指標 数値
経営幹部層における女性比率 37.5%
部長級・上級専門職層における女性比率 19.2%
一般管理職層における女性比率 19.8%

研修

指標 数値
選抜人材向け学習制度 修了率 50%~75%
各研修の満足度(5点満点中) 4.0点以上

従業員満足度調査

指標 数値
従業員推奨度 7.03

3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?


株式会社ツバキ・ナカシマは、精密ボールや精密ローラーなどのプレシジョン・コンポーネントビジネスと、送風機などのブロア・リアルエステイトビジネスを展開しています。グローバルに製造販売拠点を持ち、幅広い産業分野に製品を提供しています。

■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか


ツバキ・ナカシマグループは、精密部品の製造販売と送風機の製造販売を主な事業としています。精密ボールはボールベアリングの重要な構成要素として自動車や工作機械などに使用され、精密ローラーは油圧ポンプやモーターなどにも使われています。セラミックボールは軽量・高強度で、耐摩耗性、耐熱性、耐食性に優れており、風力発電機や電気自動車、半導体製造装置などの成長分野で重要な役割を担っています。また、ボールペンのペン先ボールや医療用プラスチック球といった非ベアリング用途も手掛けています。

同社グループの収益は、主に製品の販売によって得られています。製品の支配が顧客に移転し、法的所有権や物理的占有、製品の所有に伴うリスクと経済価値が移転した時点で収益を認識しています。

セグメント 売上収益(2024年12月期) 売上収益(2025年12月期) セグメント利益(2024年12月期) セグメント利益(2025年12月期) 利益率
プレシジョン・コンポーネントビジネス 752億円 689億円 6.3億円 △225億円 △32.6%
ブロア・リアルエステイトビジネス 8.2億円 9.1億円 1.8億円 1.6億円 18.1%

プレシジョン・コンポーネントビジネス

このセグメントは、精密ボール、精密ローラー、リテーナー、シートメタル部品の製造販売を行っています。顧客の厳しい要求に応えるため、様々な材質とサイズの高品質な精密製品を幅広く提供しています。収益は、製品の販売から得ています。

ブロア・リアルエステイトビジネス

このセグメントは、主に中・大型送風機の製造販売、メンテナンス、および不動産の賃貸を行っています。収益は、製品の販売とサービス提供、不動産賃貸から得ています。

同社グループの売上収益は、欧州地域での販売やグローバルでのセラミックボール、ローラーの販売が前期を大きく下回りました。特にプレシジョン・コンポーネントビジネスにおいて、自動車産業の低迷や価格競争の激化が影響しています。一方で、ブロア・リアルエステイトビジネスは前期から売上収益が増加しています。主要な顧客としては、AB SKFとSCHAEFFLERが同社グループ全体の売上収益の10%以上を占めています。

■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移


ツバキ・ナカシマグループの直近5期間の業績を見ると、売上収益は変動があり、当期は前期から減少しました。利益面では、当期は営業損失および親会社の所有者に帰属する当期損失を計上しています。これは、売上収益の減少に加え、競合他社との価格競争激化、人件費等の上昇、棚卸資産評価損、有形固定資産及びのれんの減損損失が大きく影響しています。特に減損損失は、プレシジョン・コンポーネントビジネスの将来キャッシュ・フロー見直しによるもので、非現金項目が利益を大きく圧迫しました。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上収益 679億円 790億円 771億円 759億円 698億円
税引前利益 50.1億円 △96.5億円 42.7億円 17.5億円 △240億円
税引前利益率 7.4% △12.2% 5.5% 2.3% △34.4%
親会社の所有者に帰属する当期利益 35.5億円 △90.9億円 △12.9億円 9.1億円 △272億円
1株当たり当期純利益(円) 88.04 △225.35 △32.38 22.91 △702.80

■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る


ツバキ・ナカシマグループの従業員1人あたり売上収益(連結)は、前期から増加しました。これは、当期の売上収益が減少したものの、連結従業員数が前期から減少したことによるものです。また、従業員1人あたり営業利益(連結)は、前期は黒字でしたが当期は赤字に転じています。これは、当期に計上された営業損失が大きく影響しており、減損損失や棚卸資産評価損といった一時的な要因も含まれています。これらの指標は、同社グループの収益体質や組織の効率性を示すものとなります。

指標 2024年12月期(前期) 2025年12月期(当期)
従業員1人あたり売上収益(連結) 27.3百万円 28.5百万円
従業員1人あたり営業利益(連結) 0.3百万円 △9.1百万円

4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?


同社グループは、当連結会計年度に営業損失および当期損失を計上しました。しかし、営業活動によるキャッシュ・フローはプラスであり、フリー・キャッシュ・フローもプラスとなっています。財務制限条項に抵触したものの、金融機関からの承諾を得ており、資金繰りに大きな支障はないと判断されています。

■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み


同社グループの自己資本は前期から減少しています。自己資本比率は前期から低下し、プライム市場の製造業平均と比較すると低い水準にあります。ROE(自己資本利益率)は前期はプラスでしたが、当期は大幅なマイナスとなっています。現金及び現金同等物は前期から増加しており、手元資金は厚みを持っています。これらの財務状況は、今後の事業展開や雇用・給与の安定性を検討する上で重要な要素となります。

指標 2024年12月期(前期) 2025年12月期(当期)
自己資本 615億円 370億円
自己資本比率 35.2% 24.4%
ROE(自己資本利益率) 1.6% -55.3%
現金及び現金同等物 231億円 346億円

■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ


同社グループの営業活動によるキャッシュ・フローは前期から増加し、プラスとなっています。これは、税引前当期損失があったものの、減損損失の計上や棚卸資産の減少などが資金増加要因となったためです。投資活動によるキャッシュ・フローは、前期はマイナスでしたが当期はプラスに転じました。これは有形固定資産の取得による支出があった一方で、事業売却による収入や有形固定資産の売却による収入があったためです。財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得や配当金の支払いによりマイナスとなっています。
これらの結果、フリー・キャッシュ・フローは前期から大幅に増加し、プラスを維持しています。本業で資金を生み出し、事業売却による収入も得ている状況は、今後の事業運営における資金の柔軟性につながる可能性があります。

項目 2024年12月期(前期) 2025年12月期(当期)
営業CF 48.7億円 105.2億円
投資CF △38.0億円 11.2億円
財務CF △19.1億円 △13.0億円
フリーCF(営業CF+投資CF) 10.7億円 116.4億円

■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント

① 継続企業の前提に関するリスク


同社グループは、当連結会計年度に営業損失を計上し、財務制限条項に抵触しました。しかし、金融機関から期限の利益喪失請求を行わない承諾を得ており、資金繰り計画に大きな支障はないと判断されています。

② 事業構造・収益性に関するリスク


同社グループは、自動車、電子機器、消費財、工作機械等の最終需要に連動する事業構造を持っています。特に自動車産業の市況悪化は、同社グループの需要に相対的に大きな影響を与える傾向があります。また、セラミック球事業は重要な成長戦略の一つですが、品質確保や原材料調達、競合製品の拡大、知財保護の困難性などが業績に影響を与える可能性があります。

③ 人材・組織に関するリスク


同社グループの事業遂行には、国内外で専門性の高い熟練人材の確保が不可欠です。必要な人材を確保・育成できない場合、生産性や品質、事業運営に影響が生じるリスクがあります。

④ 雇用安定性・リストラ


解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。

5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?


ツバキ・ナカシマは、90年以上の歴史を持つ精密加工分野の専門知識を基盤に、グローバルに事業を展開しています。同社グループは、変化の激しい世界で持続的な成功を目指し、明確なパーパス、ビジョン、ミッション、バリューを掲げています。

■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか


ツバキ・ナカシマグループは、90年にわたる歴史の中で培った「精密加工」分野の専門知識と経験を活かし、グローバルに事業を展開しています。同社グループのパーパス(存在意義)は「精密加工の力で世界を動かす」ことです。

ビジョン(目指す姿)としては、「回転/転がり」における最高の品質、効率、イノベーションを追求し、お客様にとって最も信頼される存在であり続けることを掲げています。ミッション(使命)は「グローバルでの協働」「お客様を支える」「業績達成」の3つです。

■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー


ツバキ・ナカシマグループでは、全社員が目指す働き方や考え方として5つのバリュー(価値観)を共有しています。これらは「安全に」「誠実に」「成果主義」「ダイナミックに」「成長」です。

互いを守り支え合う安全への配慮、誠実な行動、課題解決と目標達成への責任感、情熱を持ってより良い方法を追求する姿勢、そして会社・チーム・個人の成長を大切にしています。

また、同社グループは「ビジョンゼロ」という目標を掲げています。これは事故ゼロ、職業病ゼロ、廃棄物ゼロ、不平等ゼロ、知識不足ゼロを目指すもので、継続的な改善を通じてより安全で公平、持続可能な世界を創造することに貢献しています。

■(3) 経営課題と今後の重点テーマ


ツバキ・ナカシマグループは、サステナビリティの推進、従業員や地域社会への支援、倫理に則したガバナンスの維持を重要な課題としています。気候変動対策では、温室効果ガス削減目標についてSBTiの認証を取得しています。

人的資本の多様性も重要な経営課題と捉え、2025年にはパーパス、ビジョン、ミッション、バリューの再構築と刷新をグローバル組織全体で共有しました。人材層の強化と定着率の向上にも注力しています。

多様性・公平性・包摂性も重要な経営課題として推進しており、2025年には男女比率に関する主要指標の進捗管理を実施し、目標を達成しました。

6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?


ツバキ・ナカシマは、透明性・客観性の高いガバナンス体制を目指しています。業務執行を担う執行役と、社外取締役が過半数を占める取締役会を分離し、監督機能を強化しています。

■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か


ツバキ・ナカシマの株主構成を見ると、筆頭株主は日本マスタートラスト信託銀行(信託口)です。上位には複数の信託銀行や海外の投資ファンドが名を連ねています。特定の創業家や事業会社が支配的な影響力を持つような構成ではありません。

株主名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 14.82%
BBH CO FOR ARCUS JAPAN VALUE FUND(常任代理人 三菱UFJ銀行) 3.82%
日本カストディ銀行(信託口) 3.30%
日本マスタートラスト信託銀行(株式付与ESOP信託口・80189口) 2.25%
青木 達也 2.10%

■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか


同社の役員は7名(男性5名・女性2名)で構成され、女性役員比率は28.6%です。代表執行役CEOは松山達氏が務めています。社外取締役比率は57.1%です。

氏名 役職 主な経歴
松山 達 取締役 代表執行役 CEO 2001年Boston Consulting Group, Inc.入社後、DuPont de Nemours, Inc.、KKR & Co. Inc.等を経て、2024年5月同社執行役。2025年3月より現職。
上田 洋一 取締役 執行役 CFO 2001年デロイト トーマツ コンサルティング入社後、ソフトバンクBB、ヤンセンファーマ等を経て、2024年10月同社執行役副社長CFO。2025年3月より現職。
アンナ・ドルギーフ 取締役 執行役 CHRO 1996年National Aeronautics and Space Administration入局後、Boeing Operations International、British American Tobacco等を経て、2024年9月同社執行役CHRO。2025年3月より現職。


社外取締役は、淡輪敬三氏(リブセンス取締役・指名委員長・報酬委員)、山本昇氏(XIB代表取締役代表パートナーCEO・報酬委員長・監査委員)、加藤忠智氏(マネジメント・コンサルティング・ネットワーク代表取締役・指名委員・監査委員)、加藤ゆう里氏(パナソニックコネクト執行役員・監査委員長)です。

同社は指名委員会等設置会社であり、社外取締役が過半数を占める指名委員会・報酬委員会・監査委員会を設置することで、経営の透明性向上と取締役会の監督機能強化を図っています。

■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計


ツバキ・ナカシマの役員報酬は、報酬委員会が決定方針を定めています。執行役を兼務しない社外取締役には職務に応じた基本報酬(固定)が支給されます。執行役の報酬は、役職や職責に応じたベース報酬(固定)、業績連動型金銭報酬、そして株式報酬制度で構成されています。業績連動型金銭報酬は、売上収益やフリー・キャッシュ・フローなどを評価指標とし、企業価値向上へのインセンティブとして機能するよう設計されています。

区分 人数 総額 1人あたり平均
取締役(社外除く) 1名 14百万円 14.0百万円
社外取締役 5名 33百万円 6.6百万円
執行役 12名 3.7億円 31.0百万円


なお、取締役と執行役を兼務する者の支給人員の数および報酬等の額は、執行役の欄に記載されています。また、報酬等の額および役員の員数には、当事業年度中に退任した執行役9名および取締役2名が含まれています。

個人別報酬が開示されている役員は、松山達氏(1.48億円)、アンナ・ドルギーフ氏(1.42億円)です。

※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。