ノムラシステムコーポレーション 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ノムラシステムコーポレーション 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ノムラシステムコーポレーションは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、ドイツSAP製品の導入コンサルティングや保守サービス等のERPソリューション事業を主力として展開しています。直近の業績は、企業のIT投資需要の増加を背景に、売上高と各利益ともに過去最高を更新し、堅調な増収増益を達成しています。


※本記事は、株式会社ノムラシステムコーポレーションの有価証券報告書(第41期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ノムラシステムコーポレーションってどんな会社?


SAP ERPの導入コンサルティングに特化し、独自のテンプレート活用による付加価値の高いサービスを提供する企業です。

(1) 会社概要


1986年にソフトウェアの設計・制作請負を目的として設立されました。2001年にSAPジャパンとサービス・パートナー契約を締結し、2002年よりERPソリューション事業を本格的に開始しました。2011年には独自の人事ソリューションテンプレートがSAPの認定を取得し、2016年に東京証券取引所JASDAQ市場への上場を果たしています。

同社単体の従業員数は136名です。筆頭株主は創業者であり代表取締役の野村芳光氏で、第2位には証券業務を行うSBI証券が名を連ねています。

氏名 持株比率
野村 芳光 59.48%
SBI証券 2.07%
河野 信夫 1.65%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性2名の計12名で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役プライム企画部長 営業企画部長は野村芳光氏が務めており、社外取締役の比率は41.7%となっています。

氏名 役職 主な経歴
野村 芳光 代表取締役プライム企画部長 1969年トヨタ自動車入社。1986年に同社を設立し代表取締役に就任。2025年より現職。
根本 康夫 取締役管理部長 1976年宮崎電線工業入社。1988年同社に入社し、常務取締役管理部長等を経て2021年より現職。
内山 勉 取締役コンサルティング事業部長 2002年に個人事業主として開業。2011年同社に入社し、2017年より現職。
杉山 雄一郎 取締役PMO戦略部長 営業企画部長 1986年サンビジネスコンサルタント入社。2022年同社に入社し、2025年より現職。
鈴木 一聖 取締役PMOコンサルティング事業部長 2005年同社入社。2024年に執行役員を務め、2025年より現職。
古屋 隼人 取締役コンサルティング事業部長 2007年日拓リアルエステート入社。同年同社に入社し、執行役員を経て2025年より現職。
川崎 洋幸 取締役コンサルティング事業部長 2005年同社入社。2024年に執行役員を務め、2025年より現職。


社外取締役は、太田健一(元みずほキャピタル執行役員)、冨谷正明(元三菱商事出身・関連会社代表取締役等)、田部井修(田部井会計事務所所長)、日高共子(埼玉県入間市教育センター入職)、酒井奈緒(サン綜合法律事務所入職)です。

2. 事業内容


同社は、「ERPソリューション事業」の単一セグメントで事業を展開しています。

(1) プライム

エンドユーザーと直接取引を行い、課題の抽出からシステム構築、運用までをワンストップで提供しています。また、パートナー企業が受注した案件でも同社主導が最適と判断された場合は「準プライム」としてコンサルティングを実施します。顧客やパートナー企業からのコンサルティング料等を収益源とし、運営は同社が行っています。

(2) PMOコンサルティング

SAP等のERP導入やDX推進において、戦略策定から現場の実装・定着までを一気通貫で支援する伴走型サービスです。進捗管理にとどまらず、経営視点での課題解決にコミットします。エンドユーザーからのコンサルティング料等を収益源とし、同社が主体となって運営しつつ、必要に応じて外部パートナー企業や個人事業主に支援を外注しています。

(3) FIS(ファンクション インプリメント サービス)

パートナー企業に対し、顧客の要件分析やシステムの設計、アドオン(新機能の作り込み)開発の技術支援等を提供するサービスです。プライムベンダーの求めるスキルに合致したコンサルタントを常駐させたり同社内で支援を行います。パートナー企業からの技術支援料等が収益源であり、同社が運営を行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


一時的な踊り場はあったものの、直近数年間は売上高および経常利益ともに拡大傾向にあります。企業のシステム投資需要を取り込み、利益率も13%〜17%台と高い水準を安定して維持しています。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 28億円 27億円 29億円 33億円 33億円
経常利益 5億円 4億円 5億円 5億円 6億円
利益率(%) 17.7% 13.8% 15.8% 15.7% 17.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 3億円 3億円 4億円 4億円 4億円

(2) 損益計算書


売上高の着実な成長に加えて売上総利益率が向上しており、それに伴って営業利益率も17%台へと高まっています。高付加価値なコンサルティング提供により、収益性の向上が進んでいることが分かります。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 33億円 33億円
売上総利益 9億円 9億円
売上総利益率(%) 26.6% 28.5%
営業利益 5億円 6億円
営業利益率(%) 15.7% 17.6%


販売費及び一般管理費のうち、役員報酬が1億円(構成比28%)、給与手当が0.7億円(同19%)を占めています。また、売上原価のうち外注費が12億円(構成比51%)、労務費が10億円(同41%)を占めています。

(3) セグメント収益


同社はERPソリューション事業の単一セグメントですが、企業のDX推進や基幹システム移行対応の需要を的確に捉え、売上高は堅調に推移しています。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期)
ERPソリューション事業 33億円 33億円
連結(合計) 33億円 33億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


本業の営業活動で得た利益から投資と借入金の返済などを賄っている「健全型」のキャッシュ・フロー状況です。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 4億円 4億円
投資CF -0.1億円 -3億円
財務CF -2億円 -3億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は12.0%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は88.6%で、いずれも市場平均を大きく上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念

経営理念として「社員の物心両面の幸福の追求」および「社会の進歩発展に貢献」を掲げています。顧客企業の経営課題を解決し、競争力向上の支援をサービスとして提供することで社会の進歩と発展に貢献し、同時に企業価値の向上に努めています。

(2) 企業文化

従業員が長く活躍できる持続可能な働き方を目指し、心身ともに健康でパフォーマンスを向上できる環境・組織風土づくりを図っています。社長自ら対話を重視し、役職や年齢に関わらず誰もが積極的に発言できる風通しの良いフラットな組織文化を醸成しています。

(3) 経営計画・目標

経営指標として、最終的な目的である企業価値の向上のため、収益性を示す「経常利益率」と、安全性を示す「自己資本比率」を重視して事業運営を行っています。

(4) 成長戦略と重点施策

SAP製品を中心としたITコンサルティングの領域拡大と、クラウドやAI等の最新技術を活用した高度なサービス提供を目指しています。優先課題として、人材の確保と育成、新たなサービス導入による収益基盤の拡充、そしてプロジェクトノウハウの共有を通じたオリジナルテンプレートによる供給力向上に取り組んでいます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針

従業員一人ひとりがパフォーマンスを最大限に発揮できるよう、人材育成を事業の要と位置づけています。新卒・中途を問わず多様なプロジェクトへの参画機会を提供し、現場を重視した育成とキャリア形成を行っています。また、若手社員のモチベーション向上と持続可能な働き方ができる体制整備に注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 36.1歳 9.6年 6,444,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 12.0%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規雇用) -
男女賃金差異(非正規雇用) -


※同社は公表義務の対象ではないため、男性育児休業取得率および男女賃金差異の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経済、市場の動向

同社の事業は企業を主要顧客としているため、国内の景気後退や顧客企業のIT関連の設備投資動向が悪化した場合、受注の減少などを招き、同社の業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 特定のERP製品への依存度

SAP ERP関連の売上が占める割合が98.8%(2025年12月期)と非常に高くなっています。そのため、SAP社の製品競争力の変化や、新製品に対する同社の対応の遅れが、事業展開や経営成績に直接的な影響を及ぼすリスクがあります。

(3) 契約不適合責任のリスク

システムの導入プロジェクトにおいて、顧客や在宅環境での業務など役務提供の実態把握が困難なケースがあります。何らかの理由で同社が契約不適合責任を負うことになった場合、人員を投入して無償修補を行う必要が生じ、利益を圧迫する可能性があります。

(4) 人材の確保と育成

高品質かつ短期間でのシステム導入を実現し、最新技術に対応していくためには、優秀なコンサルタントや営業人員の育成と定着が不可欠です。必要とする人材を十分に確保できない場合、同社の継続的な成長や業績に支障をきたす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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