※本記事は、ロードスターキャピタル株式会社の有価証券報告書(第14期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ロードスターキャピタルってどんな会社?
主に東京23区の中規模オフィスビルを対象とした不動産投資と、クラウドファンディング等を展開する企業です。
■(1) 会社概要
2012年3月にロードスターキャピタルを設立し、2014年に国内初となる不動産特化型クラウドファンディングサービスを開始しました。2017年には東京証券取引所マザーズに上場し、2022年にプライム市場へ移行しています。2025年にはデジタル証券関連企業を完全子会社化するなど事業領域を拡大しています。
同社グループの従業員数は連結で85名、単体で66名体制で事業を運営しています。大株主については、筆頭株主が創業者の岩野達志氏であり、第2位と第3位には信託業務を通じて資産管理を行う信託銀行がそれぞれ名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 岩野 達志 | 20.36% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 8.04% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 5.75% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役社長は岩野達志氏であり、社外取締役の比率は約33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 岩野 達志 | 代表取締役社長 | 日本不動産研究所、ゴールドマン・サックス等を経て、2012年同社設立とともに現職。 |
| 久保 直之 | 取締役 | 農林中央金庫、日本不動産研究所等を経て、2014年同社入社。2019年より現職。 |
| 川畑 拓也 | 取締役最高財務責任者兼財務経理本部長 | 新日本有限責任監査法人を経て、2016年同社入社。2021年より現職。 |
社外取締役は、和波英雄(元東京国税局調査一部特別国税調査官)、大西純(大西東京法律不動産鑑定事務所所長)、舩木真由美(シプード代表取締役社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、不動産関連事業の単一セグメントであり、各サービス別に展開しています。
■(1) コーポレートファンディング事業
不動産投資事業、不動産賃貸事業、ホテル運営事業を展開しています。東京23区内の数十億円規模の中規模オフィスビル等を取得し、バリューアップを施して付加価値を高めるとともに、賃貸運用や市場動向を見据えた売却を行います。ホテル運営では日本有数の観光都市でホテルを保有し、運営を委託しています。
主な収益源は、付加価値を高めた物件の売却益やテナントからの賃料収入、ホテル宿泊者からの宿泊料です。これらの事業は主に同社および連結子会社のLD1などが運営を行っています。
■(2) アセットマネジメント事業
主に機関投資家を対象に、投資効率とリスクに見合ったリターンの最大化を図るため、投資用不動産の取得・運用・売却の戦略策定に関するアドバイスや実際の運用業務を提供しています。
主な収益源は、運用資産の取得、管理、運用、譲渡の各段階において役務提供等により受領するアセットマネジメント報酬や手数料です。同事業の運営は、主に連結子会社のロードスターインベストメンツが行っています。
■(3) クラウドファンディング事業
インターネット上で一口1万円から不動産投資が可能な資産運用サービス「OwnersBook」を運営しています。投資家から集めた資金を原資とした法人向けの貸付型商品と、特別目的会社を通じたエクイティ型商品を提供し、不動産セキュリティトークン・オファリング(STO)にも取り組んでいます。
主な収益源は、貸付先から受領する手数料や返済利息、エクイティ案件組成時の手数料などです。同事業の運営は、主に連結子会社のロードスターインベストメンツやロードスターファンディングが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の業績は、売上高が毎期着実に拡大を続けており、それに伴って各利益項目も増加傾向を示しています。利益率も高い水準で安定して推移しており、成長と高収益を両立させた力強い業績拡大が確認できます。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 179億円 | 236億円 | 287億円 | 344億円 | 446億円 |
| 経常利益 | 53億円 | 72億円 | 75億円 | 107億円 | 122億円 |
| 利益率(%) | 29.7% | 30.6% | 26.0% | 31.1% | 27.4% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 33億円 | 47億円 | 46億円 | 62億円 | 77億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の大幅な成長に伴い、売上総利益および営業利益の絶対額も着実に増加しています。利益率は前期からやや低下したものの、引き続き約30%という高い営業利益率を維持しています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 344億円 | 446億円 |
| 売上総利益 | 134億円 | 154億円 |
| 売上総利益率(%) | 38.8% | 34.6% |
| 営業利益 | 11億円 | 134億円 |
| 営業利益率(%) | 33.3% | 30.1% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が6億円(構成比27%)、賞与が3億円(同12%)、租税公課が2億円(同11%)を占めています。
■(3) セグメント収益
サービス別の売上高を見ると、主力のコーポレートファンディング(不動産投資)事業が全体の成長を牽引しています。また、ホテル運営事業やアセットマネジメント事業なども順調に売上を伸ばしており、各領域で事業規模の拡大が進んでいます。
| 区分 | 売上(2024年12月期) | 売上(2025年12月期) |
|---|---|---|
| コーポレートファンディング(不動産投資) | 280億円 | 342億円 |
| コーポレートファンディング(不動産賃貸) | 29億円 | 35億円 |
| コーポレートファンディング(ホテル運営) | 17億円 | 43億円 |
| アセットマネジメント | 12億円 | 18億円 |
| クラウドファンディング | 7億円 | 8億円 |
| その他 | 0.2億円 | 0.3億円 |
| 連結(合計) | 344億円 | 446億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社のキャッシュ・フローは、本業がマイナスとなる一方で、資金調達を行って将来成長のための投資を継続する「勝負型(事業拡大に伴う不動産資産増加)」の傾向を示しています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -187億円 | -26億円 |
| 投資CF | -5億円 | -11億円 |
| 財務CF | 199億円 | 56億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は27.7%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は26.1%と、いずれも市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「不動産とテクノロジーの融合が未来のマーケットを切り開く」というミッションを掲げています。不動産および不動産金融に関するプロフェッショナル集団としての知見とITを駆使した事業戦略の差別化により、収益を最大化し、不動産投資業界において独自のポジションを確立することを目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、経験豊富かつ専門性の高い役職員を擁し、その知見とネットワークを活用するとともに、スピーディーな意思決定により競争優位を築く文化を持っています。リーマンショックを経験したメンバーが多く、景気動向を踏まえた事業展開を常に意識しながら、風通しの良い社風の醸成や個々人が成長できる職場環境の提供に努めています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、売上高と税金等調整前当期純利益を重要な経営指標ととらえ、これらを中長期的に成長させていくことを基本目標としています。また、持続的な事業拡大を図るために、コーポレートファンディング事業では不動産ストック残高、アセットマネジメント事業では受託資産残高、クラウドファンディング事業では年間投資金額を重要な指標として掲げています。
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、賃貸利益のみで固定費を安定的に賄えるよう不動産ストックの拡大を図り、安定的な経営基盤を確立します。アセットマネジメント事業では国内外の投資家開拓により受託資産残高を積み上げ、クラウドファンディング事業では不動産市場をITの力で個人に開放します。さらに、デジタル証券を活用した市場開拓も推進します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社グループは、持続的な成長のために多様な経験・技能・属性を持つ優秀な人材の確保と育成を不可欠としています。通年採用により即戦力人材を獲得するとともに、目標管理制度や1on1、資格取得補助制度を通じて従業員の自律的な成長とキャリア構築をサポートし、働きやすい環境と風通しの良い社風を醸成しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 42.3歳 | 4.6年 | 12,401,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 15.0% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 56.8% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 67.5% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | - |
※非正規雇用の男女賃金差異は、パートタイム労働者が女性のみのため算出されていません。
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性役員比率(12.5%)、女性従業員比率(38.4%)、定期健康診断受診率(100.0%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 経済状況等の影響
同社グループが属する不動産業界は、景気、金利および地価動向などの経済情勢の影響を受けやすく、これらの変化により当初想定した収益が確保できず、業績に影響を及ぼす可能性があります。同社は流動性の高い東京を中心とすることでリスクを回避し、借入期間を原則長期として短期的な変化の影響を抑制しています。
■(2) 有利子負債への依存と金利変動
物件の取得資金を主に金融機関からの借入金で調達しているため、市場金利が上昇する局面やリスクプレミアムが上昇した場合には、支払利息が増加し業績に影響を及ぼす可能性があります。特定の金融機関に依存せず個別に融資を打診し、エクイティファイナンス等の資金調達の多様化も検討して対応しています。
■(3) 業績の偏重と変動
コーポレートファンディング事業における物件売却は引渡基準を採用しており、売却物件1件あたりの売上高の割合が大きいため、引渡し時期によって四半期ごとの業績に偏りが生じる可能性があります。迅速な決済時期のコントロールに加え、賃貸収益等のストック収益の割合を拡大することでリスク軽減に努めています。
■(4) 法的規制等の影響
宅地建物取引業法や金融商品取引法、貸金業法などの規制を受けており、法令等の解釈の変更、改正、新たな法令の制定が行われた場合、事業内容の変更やコスト発生により業績に影響が生じる可能性があります。社内弁護士等によるコンプライアンスの徹底や外部専門家との連携により適正な対応を図っています。



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