シンシア 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

シンシア 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

シンシアは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、コンタクトレンズの製造・販売を主軸に展開する企業です。リユース業界向けパッケージシステム事業なども手掛けています。直近の業績は、主力ブランドの販売拡大やシステム事業の貢献により売上高75億円、営業利益5億円となり、増収増益を達成しています。


※本記事は、株式会社シンシア の有価証券報告書(第18期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. シンシアってどんな会社?


コンタクトレンズの製造・販売を中心に、システム事業やコンサルティング事業も展開する企業です。

(1) 会社概要


2008年に設立され、事業譲受によりコンタクトレンズ製造・販売事業を開始しました。2010年にカラーコンタクトレンズを発売し、その後も多様なブランドを展開しています。2016年に東京証券取引所マザーズに上場し、2023年にはタロスシステムズを子会社化してシステム事業を開始しました。

従業員数は連結で60名、単体で44名です。筆頭株主は事業会社であるユカリアで、第2位は代表取締役執行役員社長の中村研氏、第3位は個人株主となっています。

氏名 持株比率
ユカリア 61.99%
中村研 4.24%
萩原隼人 1.71%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性0名の計5名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役執行役員社長は中村研氏です。社外取締役比率は60.0%です。

氏名 役職 主な経歴
中村研 代表取締役執行役員社長 公認会計士登録後、キャピタルメディカ(現ユカリア)入社。同社代表取締役社長を経て、2016年1月より現職。
荒井慎一 取締役執行役員管理部長 日本ディジタルイクイップメント等を経て2012年に同社入社。管理部長等を経て、2016年7月より現職。


社外取締役は、早川聡之(元三菱UFJ銀行業務監査部上席調査役)、加瀨豊(公認会計士・税理士)、小川宏(弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「コンタクトレンズ事業」「コンサルティング事業」および「システム事業」を展開しています。

(1) コンタクトレンズ事業


1日使い捨て、2週間交換、1ヶ月交換タイプなどの使い捨てクリアコンタクトレンズやカラーコンタクトレンズの製造・販売を行っています。コンタクトレンズ量販店やドラッグストア、ECサイトなどを通じて幅広い顧客に提供しています。

商品の販売代金を顧客から受け取るモデルです。同社が製造および販売を行うほか、カラコンワークスやジェネリックコーポレーションなどが販売を運営しています。また、海外子会社を通じた販売も行っています。

(2) コンサルティング事業


自由診療クリニック向けに、WEBマーケティングおよび運営管理のサポートなどのコンサルティング業務を提供しています。同社がカラーコンタクトレンズ事業で培ったブランディングノウハウを活用しています。

顧客である医療脱毛クリニックなどとの業務委託契約に基づき、コンサルティング業務の対価として手数料を受け取るモデルです。運営は同社が行っています。

(3) システム事業


リユース業界におけるPOSシステムのリーディングカンパニーとして、リユース業界向けパッケージシステムの設計、開発、販売および保守サービスを提供しています。

システムの販売代金や、保守サービスの対価を顧客から受け取るモデルです。運営はタロスシステムズが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績は、売上高が約46億円から75億円へと順調に拡大しています。経常利益も成長傾向にあり、利益率は2%台から一時7%台まで上昇した後、足元でも6.9%と安定した収益性を維持しています。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 46億円 56億円 60億円 65億円 75億円
経常利益 1億円 1億円 4億円 5億円 5億円
利益率(%) 2.5% 2.0% 7.5% 7.2% 6.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 0.8億円 0.7億円 3億円 3億円 3億円

(2) 損益計算書


売上高の成長に伴い、売上総利益も順調に増加しています。売上総利益率は約32%で安定しており、営業利益率も7%台を維持するなど、堅調なコスト管理が伺えます。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 65億円 75億円
売上総利益 21億円 24億円
売上総利益率(%) 32.1% 31.9%
営業利益 5億円 5億円
営業利益率(%) 7.4% 7.0%


販売費及び一般管理費のうち、支払手数料が3億円(構成比18.1%)、荷造運賃が3億円(同15.1%)、給料及び手当が3億円(同14.1%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力のコンタクトレンズ事業は、主力製品の販売増や事業譲受により売上と利益が拡大しました。システム事業も堅調に推移し増収増益に貢献しています。一方、コンサルティング事業は顧客の経営環境悪化により減収減益となりました。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期) 利益(2024年12月期) 利益(2025年12月期) 利益率
コンタクトレンズ事業 61億円 70億円 6億円 7億円 9.9%
コンサルティング事業 0.6億円 0.3億円 0.3億円 0.1億円 44.4%
システム事業 4億円 4億円 0.6億円 0.9億円 20.2%
連結(合計) 65億円 75億円 5億円 5億円 7.0%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFはプラス、投資CFはマイナス、財務CFはマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」を示しています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 4億円 4億円
投資CF -4億円 -3億円
財務CF -3億円 -3億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は9.6%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は52.4%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「さまざまな事情で暮らす、さまざまな方にとって、購入先や価格帯で手に入れやすいコンタクトレンズを提供したい」というポリシーを掲げています。また、「ひとみに、誠実に」という企業理念の下、より高品質な商品をよりお買い求めやすい価格で提供できるよう、商品開発力の向上を図っています。

(2) 企業文化


同社は、自社の強みである「WEBマーケティング」「品質管理」および「営業力」を活かした事業展開を重視しています。また、コンプライアンス経営の重要性を認識し、役員および社員が常に倫理観を持って行動するよう定期的な研修を実施するなど、社会的信用の構築と誠実な企業風土の醸成に努めています。

(3) 経営計画・目標


同社グループが重視する経営指標として、売上高と営業利益の伸長、および営業利益率の改善を経営上の重要課題として捉えています。適正価格の維持による営業利益率の確保と、業務効率化や経営資源の選択と集中を通じて、持続的な利益拡大を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


眼科併設店や量販店チャネルにおける主力製品「シンシアS」シリーズの拡大や、ドラッグストアチャネルの開拓に注力しています。また、新素材を活用した高機能レンズの開発や、多様化するニーズに応える商品デザインの整備を進めるほか、M&Aによるシステム事業やカラーコンタクトレンズ事業の取得など、事業の多様化を推進しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、多種多様な優秀な人材の確保を重要な経営課題と位置づけています。ニューノーマルの時代を見据え、多彩な人材が多様な働き方を選択できる人事制度や環境を整備し、持続的な成長を支える組織体制の盤石化を図っています。また、専門知識を有する人材の育成と獲得を通じた開発力の強化に努めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 45.2歳 8.6年 7,095,127円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 25.0%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規雇用) -
男女賃金差異(非正規雇用) -


※同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性従業員の割合(約32%)、外国人の割合(約3%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 業界動向と競争環境の変化


少子高齢化に伴う人口減少による市場縮小や構造変化のリスクがあります。また、コンタクトレンズメーカー各社との競争が激化する中で、市場のニーズに的確に対応できない場合、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 製造物責任と知的財産権


コンタクトレンズは眼に直接触れるため、製品の不備により障害が発生し、製造物責任を問われるリスクがあります。また、第三者の知的財産権を意図せず侵害してしまった場合、損害賠償請求等に発展する可能性があります。

(3) 法規制と商品調達への依存


医療機器製造販売業などの許認可事業であるため、法令違反等により許可が取り消された場合、事業活動に重大な支障を来します。また、一部の海外協力工場への商品調達依存度が高く、不測の事態で供給が滞るリスクが存在します。

(4) 為替変動の影響


海外からの商品仕入において米国ドル建て決済を行っているため、為替相場の急激な変動(円安など)が輸入取引価額を押し上げ、収益を圧迫するリスクがあります。為替予約等でリスク軽減を図っていますが、完全に回避できるものではありません。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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