トレードワークス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

トレードワークス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所スタンダード市場に上場。証券フロントシステムを中心とした金融ITソリューションの提供を主力事業として展開しています。2025年12月期の連結業績は、売上高が前期比10.0%増の51億円、営業利益が3億円(前期は赤字)となり、収益性の改善等による増収および黒字転換を達成しました。


※本記事は、株式会社トレードワークスの有価証券報告書(第28期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. トレードワークスってどんな会社?


証券インターネット取引システムを主軸に、幅広い金融ITソリューションを提供する企業です。

(1) 会社概要


1999年に証券システム開発を目的に設立され、インターネット取引システムの提供を中心に成長を遂げてきました。2017年に東京証券取引所JASDAQ(現スタンダード市場)に上場しています。近年は、2022年にあじょ、2023年にペガサス・システムを完全子会社化するなど、システム開発体制やIT人材サービスの拡充を進め、さらなる事業展開を推進しています。

同社グループは連結で270名、単体で154名の従業員を擁しています。筆頭株主は創業者の浅見勝弘氏で、第2位は事業会社のSBIホールディングス、第3位には松井証券が名を連ねています。

氏名 持株比率
浅見 勝弘 28.76%
SBIホールディングス 5.12%
松井証券 4.73%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は齋藤正勝氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
齋藤 正勝 代表取締役社長 1989年野村システムサービス入社。カブドットコム証券(現三菱UFJeスマート証券)社長やミンカブ・ジ・インフォノイド副社長などを経て、2024年より現職。
浅見 勝弘 代表取締役会長 1999年同社を設立し取締役に就任。2004年に代表取締役社長を務め、2022年にあじょ取締役、2023年にペガサス・システム取締役等を経て、2024年より現職。
徳島 直哉 取締役 1999年全商コンピュータサービス入社。2002年に同社入社後、システム事業本部長や金融ソリューション事業部長などを歴任し、2026年より現職。
加藤 雅也 取締役 2006年に同社入社。金融ソリューション事業副部長やデジタルコマース事業部長、事業本部副部長などを経て、2026年より現職。


社外取締役は、水上公晴(元日興ビジネスシステムズ取締役)、森田宗男(元金融庁金融国際審議官)です。

2. 事業内容


同社グループは単一セグメントですが、事業を区分してビジネスを展開しています。

金融ITソリューション

証券会社や金融情報システム事業者向けに、インターネット証券取引システム「Trade Agent」をはじめとする取引プラットフォームの企画・開発を行っています。国内・米国株式、FXから暗号資産、Web3.0などの次世代金融向けシステムまで、マルチアセットに対応するソリューションを幅広く提供しています。

主にSaaS型クラウドサービスとして機能のみを提供するストック型ビジネスを主力としており、金融機関から利用料等を受け取っています。本事業は親会社である同社が主体となって開発から保守・運用までを担い、安定したシステムインフラを提供しています。

セキュリティサービス・その他事業

顧客のWebおよびネットワーク環境の脆弱性を点検するセキュリティ診断サービスや多要素認証基盤「SpotPath」を提供し、安全な事業運営を支援しています。また、非金融セクター向けのIT人材・受託開発サービス、最先端技術を活用したオンライン投資助言サービスなども展開しています。

セキュリティに関するコンサルティング料やサービスの利用料を収益源としています。これらの事業は、同社のほか、IT人材サービスを手掛けるペガサス・システムや、投資助言事業を担うトレードアドバイザリーテクノロジーズなどの子会社を通じて運営されています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は安定的に右肩上がりの成長を継続しており、2025年12月期には51億円を突破しました。利益面では2024年12月期に先行投資等により赤字を計上しましたが、2025年12月期は収益性の高い事業構造への転換等により経常利益3億円と大幅な黒字回復を果たしています。

項目 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 33億円 38億円 46億円 51億円
経常利益 3億円 0.4億円 -0.5億円 3億円
利益率(%) 10.0% 1.1% -1.2% 5.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 2億円 -0.5億円 -2億円 0.6億円

(2) 損益計算書


売上総利益率は前年の17.1%から24.7%へと大きく改善し、付加価値の向上が見られます。これにより、前年にマイナスだった営業利益率も5.1%のプラスへと転じ、本業の収益力が着実に強化されていることが確認できます。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 46億円 51億円
売上総利益 8億円 12億円
売上総利益率(%) 17.1% 24.7%
営業利益 -0.6億円 3億円
営業利益率(%) -1.2% 5.1%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が2.5億円(構成比25%)、役員報酬が1.5億円(同15%)を占めています。また、売上原価では、外注加工費が23億円(構成比60%)、労務費が14億円(同37%)を占めています。

(3) セグメント収益


同社はシステム開発事業及びこれらの付帯業務の単一セグメントで事業を展開しています。主力である証券システム事業の拡大に加え、金融分野における新たな事業領域の獲得が進展したことで、全体として順調な増収を達成しました。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期)
システム開発事業等 46億円 51億円
連結(合計) 46億円 51億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 3億円 3億円
投資CF -4億円 -9億円
財務CF 3億円 8億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は3.6%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も46.3%で市場平均をいずれも下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念

「情報通信技術で社会に貢献及びお客様の繁栄に寄与し、最も信頼されるパートナー」であることを経営の基本方針としています。また、「エンドユーザーの視点にたって、高い信頼性と安全性を備えたシステム構築を目指し、金融資本市場の発展と豊かな社会の実現に貢献する」ことを基本理念とし、IT業界のリーディングカンパニーを目指しています。

(2) 企業文化

従業員をはじめとしたステークホルダーの「彩りある未来」の実現を目指し、社会的存在意義をサステナブル推進方針と位置づけています。事業の質を高めながら「品質と安定性」及び「変化への適応力」の両立を重視し、コンプライアンスを遵守して社会的責任を果たすことを重要視する文化が形成されています。

(3) 経営計画・目標

2026年12月期の目標値として、以下の数値目標を掲げて事業を推進しています。

・売上高:57億円
・営業利益:4.8億円
・営業利益率:8.4%
・親会社株主に帰属する当期純利益:3.0億円

(4) 成長戦略と重点施策

収益性の改善を伴う成長を重視し、事業の質を高めながら安定的な利益創出力の強化に取り組んでいます。AI等の自動化技術を活用した開発・運用の高度化による市場競争力強化、大手総合証券や海外展開に向けた顧客基盤の強化、グループシナジーの拡大などを重点施策として推進しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針

従業員一人ひとりが働きがいを持って成長できるよう、経営理念・ビジョン・行動指針を基軸とし、多様な個性や能力を持つ人材が活躍できる人事制度や人材育成体系へと進化させるための投資を推進しています。「働きがいと個の成長を醸成する人事制度の導入」「多様なチームワークを機能させる環境整備」「教育機会の提供」を柱としています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 40.3歳 6.5年 6,350,000円

※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 4.8%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 66.3%
男女賃金差異(正規雇用) 63.4%
男女賃金差異(パート・有期) 105.7%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 戦略投資に関するリスク

従来のフロー型から利用型・ストック型へのビジネスモデル転換に向け、データセンター増強などの積極的な戦略投資を実施しています。しかし、想定通りに利用者を獲得できず十分な収益が見込めない場合や、業務標準化の遅れで想定以上のコストが発生し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) システム及びサービスの不具合等に関するリスク

安定的なシステム運用のためクラウド基盤の活用や機器の二重化などの障害対策を行っていますが、インターネット回線のトラブルやサイバー攻撃、自然災害など予測困難な要因でシステム障害が発生した場合、顧客への機会損失の発生や多額の損害賠償請求が生じるリスクがあります。

(3) 証券業界の動向と法的規制に関するリスク

同社は証券業界を中心とした事業展開を行っており、証券業界は景気や株式市況の影響を大きく受けます。市況の急激な悪化等により証券会社のIT設備投資が大きく減退した場合や、金融機関のシステムを制限するような法規制の変更が行われた場合、受注減などにより業績に影響が及ぶ可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。