※本記事は、株式会社船場 の有価証券報告書(2025年12月期、2025年1月1日 ~ 2025年12月31日、2026年3月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
同社グループは、商業施設やオフィス、教育・文化施設、医療・福祉施設などの空間創造を手がける企業です。調査・分析から企画・コンサルティング、デザイン・設計、監理、施工、デジタル技術を活用した空間演出まで一貫して提供しています。
単体従業員数は420名、連結従業員数は554名です。セグメントは商環境創造事業の1つです。
主な国内グループ会社は、当社、装備、ノンスケールなどです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
船場は、空間づくりを通じて社会に貢献する「Good Ethical Company」をビジョンに掲げ、エシカルデザインやDX推進に力を入れています。このような事業特性から、創造性や変化への対応力を重視する働き方が期待できるでしょう。また、人材育成にも注力しており、社員の成長を支援する環境が整っていることがうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、平均勤続年数が比較的長く、平均年齢も40歳を超えていることから、従業員が長期的にキャリアを築きやすい環境にあると考えられます。安定した組織体制の中で、経験を積んだ人材が活躍している傾向が見られます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,613,000円 |
| 平均勤続年数 | 14.4年 |
| 平均年齢 | 40.7歳 |
| 単体従業員数 | 420人 |
| 連結従業員数 | 554人 |
| 単体のグループ内比率 | 75.8% |
同社及び国内連結子会社は、従業員の退職給付に充てるため、積立型の確定給付制度(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)を採用しています。退職一時金制度もありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
なお、退職給付債務は31.0億円、年金資産は41.4億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、顧客へのサービスを創造する源泉を「人財」と位置づけ、経営の根幹としています。2025年から開始した中期経営計画では、「未来を創る人材の育成と獲得」を戦略に掲げ、ビジネスにおける課題発見と解決能力を持った創造性人材の育成と採用に取り組んでいます。
多様なキャリアパスが描ける人事制度や研修プログラムを再設計し、社員が成長できる環境への投資を行っています。報酬体系においては、年齢や性別に囚われない成果給の推進を目指しています。
具体的には、新卒学部不問採用や多様なバックグラウンドを持つキャリア採用の充実、社内公募制度、社内複業制度、女性管理職登用の推進などにより、創造性人材の採用と配置を進めています。育成面では、多様性理解学習e-learning、メンター制度、キャリア別研修、全職種参加BIM研修、1on1の活性化などを実施しています。また、健康診断の受診勧奨など、心身の健康維持にも配慮した環境整備を行っています。
DXの推進も重要な戦略の一つであり、BIMを内装業における中核的なデジタル基盤と位置づけ、設計・施工プロセスの効率化やデータの一元管理による生産性向上を目指しています。モバイル機器の活用やクラウド化、ペーパーレス化を通じて、柔軟な働き方を実現し、社員一人ひとりのライフスタイルに配慮した労働環境を構築しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 13.9% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 75.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 74.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 72.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 33.8% |
多様性・登用
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 中途採用比率 | 74.3% |
| 障がい者雇用率 | 0.92% |
健康・安全
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 法定時間外労働時間(月平均) | 17.0時間 |
| 健康診断推奨期間内受診率 | 98% |
人材育成・エンゲージメント
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 多様性理解学習e-learning受講率 | 93% |
| 年次有給休暇取得率 | 53% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
船場は、商業施設やオフィス、教育・文化施設など、多様な空間の創造を手がける企業です。企画から設計、施工、空間演出までを一貫して提供し、顧客のビジネスを支える空間づくりを強みとしています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
船場グループは、商業施設、オフィス・ショールーム、教育・文化施設、医療・福祉関係施設など、多岐にわたる空間の調査・分析、企画・コンサルティング、デザイン・設計、監理及び施工、デジタル技術を活かした空間演出などの業務を展開しています。同社グループは「商環境創造事業」の単一セグメントで事業を行っています。
市場分野としては、物販専門店・飲食店・サービス専門店等の「専門店」、百貨店・量販店・商業ビル・ショッピングセンター等の「大型店・複合商業施設」、そしてオフィス・ショールーム・ホテル・教育施設等の「オフィス・余暇施設等」に大きく分けられます。当連結会計年度の販売実績を見ると、「専門店」分野の販売高は前期から増加しています。また、「オフィス・余暇施設等」分野の販売高も前期から大きく増加しました。一方で、「大型店・複合商業施設」分野の販売高は前期から減少しています。
地域別の販売実績では、国内の販売高が前期から増加し、海外の販売高も前期から増加しています。特定の顧客への収益集中として、イオングループへの販売実績が当連結会計年度に存在しています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績推移を見ると、売上高は継続的に増加傾向にあります。経常利益も同様に、5期間を通じて増加傾向を示しており、特に直近の数期間で大きく伸びています。親会社株主に帰属する当期純利益も、売上高や経常利益と同様に増加傾向で推移しています。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 193億円 | 228億円 | 249億円 | 290億円 | 328億円 |
| 経常利益 | 4.7億円 | 7.4億円 | 13.6億円 | 20.1億円 | 23.5億円 |
| 経常利益率 | 2.4% | 3.2% | 5.5% | 6.9% | 7.2% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 3.0億円 | 4.5億円 | 10.3億円 | 15.0億円 | 15.2億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 29.05 | 44.00 | 99.97 | 142.10 | 142.15 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は、前期から当期にかけて増加しています。これは、従業員一人ひとりが生み出す売上が向上していることを示しています。また、従業員1人あたり営業利益も前期から当期にかけて増加しており、組織全体の収益性が高まっている傾向が見られます。
| 指標 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 55.7百万円 | 59.3百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 3.7百万円 | 4.2百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
船場は、財務基盤の健全性を維持しつつ、事業活動と投資活動を通じて資金を運用しています。現在は成長に向けた投資を積極的に行っている状況を示しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
船場の財務基盤は、自己資本比率がプライム市場の非製造業平均を上回る水準で推移しており、安定した状態を示しています。ROE(自己資本利益率)もプライム市場平均を上回っており、効率的な経営が行われていることがうかがえます。手元資金である現金及び預金は前期から減少していますが、引き続き一定の厚みを維持しており、事業運営に必要な流動性を確保している状況です。
| 指標 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 136億円 | 146億円 |
| 自己資本比率 | 58.4% | 65.9% |
| ROE(自己資本利益率) | 11.6% | 10.7% |
| 現金及び預金 | 125億円 | 97.4億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの当連結会計年度における営業活動によるキャッシュフローは、税金等調整前当期純利益を計上したものの、売上債権及び契約資産の増加や仕入債務の減少、法人税等の支払により資金が減少したため、マイナスとなりました。これは、事業の拡大に伴う運転資金の増加が影響している状況です。投資活動によるキャッシュフローは、投資有価証券の売却や定期預金の払戻による収入があった一方で、定期預金の預入や敷金及び保証金の差入による支出があり、プラスとなっています。財務活動によるキャッシュフローは、配当金の支払によりマイナスとなりました。これらの結果、フリーキャッシュフローはマイナスとなっており、事業拡大に伴う資金需要が増加している状況を示しています。
| 項目 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 35.3億円 | △21.4億円 |
| 投資CF | 0.0億円 | 0.3億円 |
| 財務CF | △4.6億円 | △7.5億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 35.3億円 | △21.1億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの事業は流通・小売業界を主要顧客とする受注事業であり、顧客の投資動向に大きく影響されます。Eコマースの定着やキャッシュレス化の浸透により、実店舗における販売が縮小傾向にあることがリスクとして挙げられています。また、イオングループへの売上割合が当連結会計年度で約12%を占めており、イオングループの設備投資抑制が業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、役職員の創造性が競争力の源泉であると考えており、優秀な人材の確保と育成に努めています。しかし、業容拡大に向けて優秀な人材の採用及び育成に十分対応できない場合や、優秀な人材が多数流出した場合、同社グループの成長力や競争力に影響を受ける可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
船場は「SUCCESS PARTNER」を企業理念とし、未来にやさしい空間づくりを通じて社会に貢献することを目指しています。エシカルとデジタルを基軸に、持続的な成長と企業価値向上に挑む企業です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループの企業理念は「SUCCESS PARTNER」です。この理念を根底に、新しい時代を生きるための長期的な経営方針として、ミッション・ビジョン・バリューを掲げています。
ミッションは「未来にやさしい空間を」であり、社員一人ひとりが仕事に取り組む際の指針です。ビジョンは「Good Ethical Company」として、同社グループにしかできない新しい魅力や価値提供を行う仕事に誇りを持ち、企業価値向上に邁進しています。
また、中期経営計画2027のスローガンは“Create More Fun and More Fans!”(私たちの発想が“ビジネスを楽しく”する!そして“熱狂的なファン”を増やそう!!)です。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、企業改革の中核価値として「エシカルとデジタル」を基軸としています。サステナビリティに関するビジョンとして「Good Ethical Company 気のあうエシカルな仲間たち」を掲げています。
これは、空間づくりで培った人への配慮や思いやりを地域や自然環境にまで広げ、循環型社会の共創を目指すものです。人や地域・環境への「おもいやり」を重視したエシカルデザインの考え方を社内外へ広め、未来にやさしい空間づくりを共創する活動を展開しています。
DXの推進においては「働き方と考え方をTransformする」を基本戦略とし、デジタル技術を活用した戦略を継続的に推進しています。「人財」を経営の根幹と考え、多様なキャリアパスが描ける人事制度や研修プログラムを再設計し、社員が成長できる環境への投資を行っています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、中期経営計画2027において5つの重点テーマを定めています。これらのテーマは、クライアントにとどまらず、すべてのステークホルダーからの共感と支持の獲得を目指すものです。
具体的には、「未来を創る人材の育成と獲得」に取り組んでいます。また、「“Good Ethical Company”のファンベース構築」も重点テーマの一つです。
さらに、「サービス領域の拡大と提供価値の向上」や「持続的成長を支えるサプライチェーン」を推進しています。「グローバル市場の深耕」も重点テーマとして、各施策を一体的に推進しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
船場は監査等委員会設置会社であり、取締役会は監査等委員である取締役を含む5名で構成されています。これにより、業務執行の監督機能が強化された体制となっています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
船場の筆頭株主はリヤ興産です。個人株主として栗山浩一氏が上位に名を連ねており、他にも栗山姓の株主が複数見られます。また、船場従業員持株会も主要な株主の一つとなっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| リヤ興産 | 41.09% |
| 栗山 浩一 | 7.91% |
| 船場従業員持株会 | 4.61% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 3.35% |
| 栗山 茂 | 2.99% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
船場の役員は5名(男性4名・女性1名)で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長は小田切潤氏が務めています。社外取締役比率は60.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 小田切 潤 | 代表取締役社長 | 1998年株式会社コスモ・コミュニケーションズ入社後、丸紅株式会社、アクセンチュア株式会社、株式会社オンワードホールディングスを経て、2025年3月より同社代表取締役社長に現職。 |
| 秋山 弘明 | 取締役常務執行役員 | 1989年同社入社後、経営企画室部長、執行役員などを歴任し、2025年3月より同社取締役常務執行役員コーポレート・海外担当に現職。 |
社外取締役は、甲斐太氏(元NECプラットフォームズ株式会社常勤監査役・常勤監査等委員)、松尾美香氏(アサヒグループホールディングス株式会社顧問・監査等委員)、清水一身氏(Ci FLAVORS株式会社社外取締役・監査等委員)です。
船場は監査等委員会設置会社であり、監査等委員である取締役が取締役の職務執行について厳正な監査と監督を行っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
船場の役員報酬は、固定報酬としての基本報酬、業績連動報酬としての変動報酬、および株式報酬で構成されています。変動報酬は、連結売上高、連結営業利益、親会社株主に帰属する当期純利益の対目標達成度と対前年比を業績指標として算出されます。社外取締役に対しては、その職務に鑑み固定報酬である基本報酬のみを支払う方針です。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 5名 | 2.8億円 | 56.6百万円 |
| 社外役員 | 3名 | 30百万円 | 9.9百万円 |
なお、総額には期中に退任した役員の報酬が含まれます。また、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。
個人別報酬が開示されている役員は、栗山浩一氏(1.46億円)です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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