※本記事は、フロンティア・マネジメント株式会社の有価証券報告書(第19期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. フロンティア・マネジメントってどんな会社?
経営コンサルティングやM&A、再生支援などの経営支援サービスと投資事業をワンストップで提供する独立系ファームです。
■(1) 会社概要
2007年1月に経営課題の総合的解決を目的としてフロンティア・マネジメントを設立。2011年に中国上海に子会社を設立し海外展開を開始しました。2018年に東証マザーズへ上場。2022年にはフロンティア・キャピタルを設立して投資事業を本格化し、2025年にホビーリンク・ジャパンを連結子会社化しました。
現在の同社グループは、連結従業員数417名、単体327名体制で事業を展開しています。筆頭株主は事業会社のM&Aキャピタルパートナーズで、第2位は創業者の大西正一郎氏、第3位は矢島政也氏となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| M&Aキャピタルパートナーズ | 19.43% |
| 大西正一郎 | 18.71% |
| 矢島政也 | 5.22% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役会長(CEO)を大西正一郎氏が務めています。社外取締役は3名です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 大西正一郎 | 代表取締役会長(CEO) | 弁護士。産業再生機構マネージングディレクター等を経て2007年1月同社設立、代表取締役に就任。2025年1月より現職。 |
| 西田明徳 | 取締役 | 会計事務所や山崎製パン等を経て2007年7月同社入社。常務執行役員、専務執行役員などを歴任し、2025年12月より現職。 |
| 西原政雄 | 取締役 | 大蔵省入省後、金融庁監督局長、証券取引等監視委員会事務局長などを歴任。2022年8月同社顧問を経て2023年3月より現職。 |
| 梅本武 | 取締役(監査等委員) | イトーヨーカ堂入社後、セブン銀行監査役室長等を経て2012年2月同社社外監査役。2024年3月より現職。 |
社外取締役は、大杉和人(元日本銀行政策委員会室長)、鵜瀞惠子(元公正取引委員会経済取引局長)、南晃(元丸紅代表取締役常務執行役員)です。
2. 事業内容
同社グループは、「コンサルティング・アドバイザリー事業」および「投資事業」を展開しています。
■(1) コンサルティング・アドバイザリー事業
経営戦略の立案やM&Aアドバイザリー、事業再生支援などの各種経営支援サービスを提供しています。小売、流通、製造、情報通信など幅広い業界の顧客企業に対し、最適なソリューションや常駐型での経営執行支援、ESGやDXへの対応など高度化する企業課題をサポートしています。
収益源は、作業時間に応じた固定報酬や、M&A案件の成約時に受け取る成功報酬などから構成されています。多様な専門家チームを組成してワンストップで課題解決を導く事業であり、運営は主にフロンティア・マネジメントが行っています。
■(2) 投資事業
ビジネスモデルの変革や業界再編を図る企業に対し、中長期的な企業価値向上を目的とした直接投資と経営人材の派遣を行っています。また、2025年に連結子会社化したホビーリンク・ジャパンを通じて、模型やプラモデルなどの玩具小売事業を国内外に向けて展開しています。
収益モデルは、投資先に対する経営指導料や投資回収(イグジット)に伴う株式譲渡益、および玩具の小売販売による売上から構成されています。運営はフロンティア・キャピタルやホビーリンク・ジャパンなどが主体となって行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高はM&Aアドバイザリー事業や投資事業の拡大により増加傾向にあり、当期は135億円と過去最高を記録しました。一方で利益面は、投資事業における人件費等の固定費の先行や人員適正化に伴う費用計上により、直近2期連続で経常損失および当期利益のマイナスを計上する厳しい状況となっています。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 57億円 | 79億円 | 100億円 | 93億円 | 135億円 |
| 経常利益 | 5億円 | 9億円 | 12億円 | -7億円 | -7億円 |
| 利益率(%) | 9.0% | 11.6% | 12.4% | -7.7% | -4.9% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 3億円 | 8億円 | 12億円 | -1億円 | -3億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期から大きく増加したものの、玩具小売事業の連結化に伴う売上原価の増加や、投資先行による販売費及び一般管理費の増加が利益を圧迫しています。これにより、営業利益は前期に引き続きマイナスとなりました。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 93億円 | 135億円 |
| 売上総利益 | 43億円 | 50億円 |
| 売上総利益率(%) | 46.0% | 37.2% |
| 営業利益 | -6億円 | -3億円 |
| 営業利益率(%) | -6.8% | -2.5% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が20億円(構成比37%)、賞与引当金繰入額が4億円(同7%)を占めています。また、売上原価(85億円)のうち、商品売上原価が35億円(構成比42%)、給料及び手当が22億円(同26%)となっています。
■(3) セグメント収益
コンサルティング・アドバイザリー事業は、人員適正化の影響等により減収となりました。一方、投資事業は投資先企業のイグジットによる株式譲渡益の計上や玩具小売事業の新規連結化により大幅な増収を達成しましたが、固定費の先行により両セグメントともに営業損失を計上しています。
| 区分 | 売上(2024年12月期) | 売上(2025年12月期) |
|---|---|---|
| コンサルティング・アドバイザリー事業 | 92億円 | 85億円 |
| 投資事業 | 1億円 | 50億円 |
| 連結(合計) | 93億円 | 135億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
フロンティア・マネジメントは、財務活動による資金調達を積極的に行い、事業運営に必要な資金を確保しています。
営業活動では、主に税金等調整前当期純損失や営業投資有価証券の増加、利息・法人税等の支払いにより資金を使用しました。投資活動では、定期預金の預入や子会社株式の取得により、多額の資金を使用しました。財務活動では、短期借入金や長期借入れによる収入があったものの、長期借入金の返済により、前連結会計年度と比較して獲得した資金は減少しました。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -25億円 | -21億円 |
| 投資CF | -0.6億円 | -27億円 |
| 財務CF | 43億円 | 11億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「クライアントの利益への貢献」「ステークホルダーの利益への貢献」「社会への貢献」を企業理念として掲げています。多様性に富むプロフェッショナルの叡智を集め、複雑化・高度化する顧客の経営課題解決の支援を通じて、豊かな地球環境と持続可能な社会への貢献を果たすことを使命としています。
■(2) 企業文化
多様なバックグラウンドを持つ専門家が一つのチームを組成し、案件ごとに緊密に連携して全体最適解を導き出す「ワンストップサービス」を重視しています。また、業務の失敗が企業の破綻に直結する事業再生業務を祖業とすることから、顧客の企業価値向上に対する「コミットメントの強さ」を全てのサービスに通底する価値観としています。
■(3) 経営計画・目標
2026年12月期から2028年12月期を対象とする中期経営計画において、以下の数値目標(フロンティア・キャピタル連結を除く)を掲げています。
* 売上高成長率:10%超
* 営業利益率:12.5%超
* 1人あたり売上高:30百万円
* ROE:20%
* 総還元性向:40%
* 親会社株主に帰属する当期純利益:1,000百万円
■(4) 成長戦略と重点施策
創業当時の最先端を新たなモデルとして実現するため、「構造改革プラン」に基づく固定費削減と収益構造の改善を進めています。フロント部門の再編による生産性向上や国内・中規模案件への重点化を図るとともに、コンサルティングとM&Aの一体支援の強化、グロースM&A・プリンシパル事業投資の推進などに取り組んでいます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人材を最大の資産と位置づけ、多様性に富むプロフェッショナルが互いに切磋琢磨し、人格と能力を高められる職場環境の整備を進めています。公正な評価・登用を実施し、部署間異動や海外・提携先企業への出向、クライアントへのCxO派遣など、難易度の高い課題解決を通じた経営人材の育成と輩出に注力しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 37.2歳 | 3.2年 | 11,709,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 5.2% |
| 男性育児休業取得率 | 70.6% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 54.9% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 57.1% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 29.5% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有給休暇取得率(34.5%)、幹部人材の平均勤続年数(4.6年)、従業員に占める女性従業員の割合(25.4%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 外部環境・市場の動向等について
国内およびアジア地域や欧米において経営支援サービスを展開しているため、景気変動が顧客企業の経営状態に悪影響を与え、同社が受託する案件の質や数量が減少した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 競争激化と価格競争について
同社の事業分野は必要な許認可が少なく参入障壁が低いため、競争が激しい環境にあります。サービスの高度化やワンストップ化で差別化を図っていますが、価格競争がさらに激化した場合、収益性が低下するリスクがあります。
■(3) 大型M&A案件の成約への依存について
M&Aアドバイザリー事業の売上は成功報酬の割合が高く、特に大型案件において当事者間で成約に至らなかった場合、収益が大きく減少します。また、成約時期の偏りによって四半期ごとの業績が大きく変動する可能性があります。
■(4) 優秀な専門人材の確保・育成について
多種多様な専門家が事業の中核を担うため、経験豊富で専門性の高い人材の確保・育成が不可欠です。必要な人材を適時に確保できなかったり、重要な人材が流出した場合や、採用・人件費コストが想定以上に増大した場合は事業展開に影響が及びます。



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