BuySell Technologies 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

BuySell Technologies 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

BuySell Technologiesは東京証券取引所(グロース市場)に上場し、出張訪問買取や店舗買取を主軸とする総合リユース事業を展開しています。2025年12月期はM&A等の効果もあり、売上高が1,006億円と前期から大幅に増加し、経常利益も85億円と好調な増収増益を達成しました。


※本記事は、株式会社BuySell Technologiesの有価証券報告書(第25期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. BuySell Technologiesってどんな会社?


出張訪問買取サービス「バイセル」等を中心とした総合リユース事業を展開する成長企業です。

(1) 会社概要


2001年に設立され、2015年に出張訪問買取事業を譲受してリユース事業を開始しました。2016年に現在の社名に変更し、2019年に東京証券取引所マザーズ市場(現グロース市場)へ上場しました。近年はレクストホールディングス等を完全子会社化するなど、積極的なM&Aにより事業規模を拡大しています。

従業員数は連結で2,466名、単体で1,254名です。筆頭株主および第2位株主は、同社取締役が実質的に業務執行を行うミダスキャピタル関連の投資組合であり、第3位株主は代表取締役会長の岩田匡平氏となっています。

氏名 持株比率
吉村英毅・ミダスA投資事業有限責任組合 35.51%
ミダス第2号投資事業有限責任組合 11.72%
岩田匡平 6.57%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性4名の計11名で構成され、女性役員比率は36.3%です。代表取締役社長兼CEOは徳重浩介氏が務めており、社外取締役は6名選任されています。

氏名 役職 主な経歴
徳重浩介 代表取締役社長兼CEO リクルートにて執行役員や飲食ディビジョン長を歴任後、2024年に同社代表取締役社長兼CEOに就任。
岩田匡平 代表取締役会長 博報堂を経て、2016年に同社取締役に就任。代表取締役社長兼CEOを経て2024年より現職。
吉村英毅 取締役 エボラブルアジア(現エアトリ)設立などを経て、ミダスキャピタル代表取締役等を務め、2024年より現職。
小野晃嗣 取締役CFO 監査法人トーマツ、野村證券を経て2016年に同社取締役CFOに就任し現職。
今村雅幸 取締役CTO ヤフーなどを経て、ZOZO NEXT執行役員CTOを務め、2021年より現職。


社外取締役は、秋山友紀氏(グローブアドバイザーズベンチャーズパートナー)、我堂佳世氏(我堂代表取締役)、渡部恒郎氏(元日本M&Aセンター取締役)、鈴木真美氏(公認会計士)、原敏弘氏(元公正取引委員会審査局犯則審査部長)、洞澤美佳氏(弁護士・国民生活センター特別委員)です。

2. 事業内容


同社グループは、「着物・ブランド品等リユース事業」の単一セグメントで事業を展開しています。

(1) 出張訪問買取事業


一般の顧客の自宅を訪問し、着物やブランド品、骨董品などの不要品を買い取るサービスを提供しています。「バイセル」ブランドを中心に、「買取福ちゃん」や骨董品に強みを持つ「日晃堂」などを展開し、国内出張訪問買取事業において国内最大級のポジションを確立しています。

買い取った商品は、主に業者向けオークションや古物市場などの法人向けに販売するほか、自社ECサイトやECモールなどを通じて一般消費者向けにも販売して収益を得ています。運営はBuySell Technologies、REGATE、日晃堂などが行っています。

(2) 店舗買取事業


全国の主要都市や百貨店、ショッピングセンターなどに店舗を構え、顧客が持ち込んだ商品を買い取るサービスを提供しています。「バイセル」のほか、「総合買取サロンタイムレス」やフランチャイズ展開する「WAKABA」など多様なブランドで展開しています。

出張買取と同様に、店舗で買い取った商品を自社で最適に選定した法人向け販路や一般消費者向け販路で販売し、利益を生み出すモデルです。フランチャイズ契約店舗からは加盟金やロイヤリティ収益も得ています。運営はBuySell Technologies、タイムレス、フォーナイン、むすびなどが担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績は、売上高が毎期連続して大幅な成長を遂げています。特に直近事業年度は、出張訪問買取および店舗買取の好調に加え、M&Aによる連結子会社化の効果が大きく寄与し、売上高が1,000億円を突破しました。利益面でも積極的な成長投資を吸収し、利益水準を大きく拡大させています。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 248億円 337億円 426億円 600億円 1006億円
経常利益 23億円 37億円 28億円 42億円 85億円
利益率(%) 9.3% 10.9% 6.5% 7.0% 8.4%
当期利益 11億円 16億円 5億円 12億円 53億円

(2) 損益計算書


売上高の大幅な成長に伴い、売上総利益も順調に拡大しています。売上総利益率は50%台を安定して維持しており、事業拡大に伴う積極的な採用や広告宣伝投資を行いつつも、営業利益率は前期から改善し、高い収益性を確保しています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 600億円 1006億円
売上総利益 317億円 533億円
売上総利益率(%) 52.8% 53.0%
営業利益 47億円 90億円
営業利益率(%) 7.9% 9.0%


販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費が132億円(構成比30%)、給与手当が109億円(同25%)を占めています。

(3) セグメント収益


同社グループはリユース事業の単一セグメントです。当期は、出張訪問買取での再訪率向上やアポイントメント率の改善、店舗買取におけるグループ店舗数の順調な増加などが奏功し、仕入高と販売高がともに大幅に伸長しました。自社ECサイトなどの個人向け販売も堅調に推移しています。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期)
着物・ブランド品等リユース事業 600億円 1006億円
連結(合計) 600億円 1006億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う状態です。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 21億円 75億円
投資CF -144億円 -11億円
財務CF 178億円 4億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は31.9%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は38.2%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは「人を超え、時を超え、たいせつなものをつなぐ架け橋となる。」をミッションとして掲げています。買取から販売までを一貫して行うことで「誰かの不要なモノを誰かの必要なモノへ」というリユース事業の循環を実現し、循環型社会の発展に貢献していくことを目指しています。

(2) 企業文化


同社は、ビジョンである「優れた人と技術で、循環型社会をリードする」の実現に向け、人とテクノロジーの力を掛け合わせることを重視しています。従業員には高い倫理観やコンプライアンス意識を求め、社会規範やグループ企業行動憲章に基づき良識を持って行動する文化の醸成に努めています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、売上高、営業利益、経常利益、売上高営業利益率を重要な経営指標と位置付けています。また、2027年12月期を最終年度とする中期経営計画を策定し、以下の目標に向けた事業推進を行っています。

* グループ店舗数600店舗以上への拡張

(4) 成長戦略と重点施策


対処すべき課題として、顧客付加価値・顧客体験の向上による競争優位性の強化、LTV最大化を実現可能な事業モデルへの進化、リユース市場の業界再編を含めたロールアップの推進を掲げています。連続的なM&Aの実行によるインオーガニック成長とともに、テクノロジーによる生産性向上を図り、成長性と持続可能性の両立を目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


事業規模拡大に伴い、生産性の高い人材・組織体制の構築を重視しています。新卒採用と中途採用を組み合わせて多様な人材を確保し、採用後はミスマッチを防ぎ定着率の向上を図っています。社内の専門教育部門によるトレーニングや幹部候補育成を実施し、新人事制度の導入を通じて従業員の主体的なキャリア構築を支援しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 28.8歳 2.9年 5,353,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 24.1%
男性育児休業取得比率 63.6%
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) 55.2%
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) 73.9%
労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) 88.3%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、eNPS(△52.8)、お客様対応満足率(91.9%)、Scope1・2排出量(1,538.67t-CO2)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 古物営業法等の法的規制対応


同社はリユース事業を営むため、古物営業法や特定商取引法などの各種法令の規制を受けています。コンプライアンス専門部署による顧客へのフォローコールや社内研修の徹底など遵守体制を構築していますが、万が一法令に抵触する事象が発生し、許可の取り消しや行政指導を受けた場合、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(2) コピー商品の買取・販売防止リスク


著名ブランドや高価格商品を取り扱う中で、精巧なコピー商品が流入するリスクが潜んでいます。真贋鑑定マニュアルの整備や複数名でのチェック体制、鑑定能力向上の研修を実施して防止に努めていますが、万一大きなトラブルが発生し、顧客からの信頼が低下した場合には業績に悪影響を及ぼすおそれがあります。

(3) M&A実行後のシナジー創出リスク


同社は非連続な成長を実現するため、M&Aの実行とシナジーの創出を重要な戦略と位置付けています。買収にあたっては対象企業の業績やリスクを十分に検討していますが、市場環境や競争環境の著しい変化などにより、買収した事業が計画通りに展開できず想定した収益力が確保できない場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。