パワーソリューションズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

パワーソリューションズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

パワーソリューションズはグロース市場に上場し、金融機関等を対象としたDX推進・DXコンサルティングやRPA関連サービス、インフラエンジニアリングを展開する企業です。直近の業績は、既存顧客の需要拡大やM&Aによる子会社化の貢献により、売上高81億円、経常利益7億円と大幅な増収増益を達成しています。


※本記事は、株式会社パワーソリューションズの有価証券報告書(第24期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. パワーソリューションズってどんな会社?


同社は金融機関等へのDX推進コンサルティングやRPA関連サービスを提供するITソリューション企業です。

(1) 会社概要


2002年1月に設立され、同年12月より証券会社向けの業務コンサルティングおよびシステム開発等を開始しました。2018年8月に一般事業者向けRPAライセンス販売等を始め、2019年10月に東京証券取引所マザーズ(現グロース)に上場しました。その後、エグゼクション、イノベーティブ・ソリューションズ、八興システムズなどを次々と子会社化し、提供サービスの幅と事業規模を拡大しています。

従業員数は連結で481名、単体で215名体制となっています。筆頭株主は執行役員の資産管理会社であり、第2位は取締役相談役の資産管理会社、第3位は代表取締役社長です。

氏名 持株比率
一誠堂 18.17%
未来企画 16.67%
高橋忠郎 7.33%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長執行役員は高橋忠郎氏です。社外取締役比率は37.5%となっています。

氏名 役職 主な経歴
高橋忠郎 代表取締役社長執行役員 2001年AIGシステムズ入社。2004年同社入社。システムコンサルティング本部長等を経て、2021年代表取締役社長、2022年より現職。
藤田勝彦 代表取締役会長執行役員 1985年野村コンピュータシステム入社。野村総合研究所常務執行役員等を経て、2020年同社代表取締役会長、2022年より現職。
高森要 取締役常務執行役員コーポレート管掌 1989年野村総合研究所入社。NRIワークプレイスサービス取締役事業企画部長等を経て、起業後2023年同社に入社し現職。
佐藤成信 取締役相談役 1997年野村総合研究所入社。2002年同社設立、代表取締役社長。エグゼクション代表取締役社長等を経て、2025年より現職。
川嶋しづ子 取締役執行役員経営管理本部長 1993年日本生命保険相互会社入社。2002年同社入社。常勤監査役を経て、2020年取締役経営管理本部長に就任し2022年より現職。


社外取締役は、尾崎弘之(元SBIホールディングス等・大学教授)、中村修一(税理士事務所所長)、岩下誠(元農林中央金庫営業第一部長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ビジネステクノロジーソリューション事業」の単一セグメントで事業を展開しています。

(1) DX推進・DXコンサルティング


資産運用会社等の金融機関や製造業、物流業を対象に、業務のDX推進やコンサルティングを提供しています。顧客企業が各種汎用サービスを導入した後、ビジネス部門が実際にシステムを利用できるまでの最後の調整部分である「ラストワンマイル」を最適化することを主眼としています。

収益源は、システム間の連携や付加機能の開発、SaaSインテグレーション等の対価です。運営は同社および連結子会社のイノベーティブ・ソリューションズ、ウィズ・テックが行っています。

(2) RPA関連サービス


一般事業会社向けに、業務プロセスの自動化を支援するRPAソフトウェアのライセンス販売や導入サポート、テクニカルサポートなどを提供しています。「ラストワンマイルの最適化」を行う同社のコンサルティングと親和性が高い事業です。

収益源は、UiPath社のRPA製品のライセンス販売や導入支援による対価です。運営は主に連結子会社のOLDEが行っています。

(3) インフラエンジニアリング


オンプレミス環境やクラウド環境におけるサーバ構築、ネットワーク構築、システム運用支援などの基盤構築支援を展開しています。多様なニーズに応えるため、導入サポート等も実施しています。

収益源は、インフラ環境の構築や導入支援を通じた役務提供の対価です。運営は主に連結子会社のエグゼクションおよび八興システムズが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の売上高は右肩上がりで拡大を続けており、2025年12月期には81億円に達しています。経常利益も概ね増加傾向にあり、M&A等による事業領域の拡大や金融機関向けを中心とした需要の増加を背景に、安定した成長と高水準の利益率を維持しています。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 38億円 53億円 59億円 67億円 81億円
経常利益 4億円 5億円 6億円 5億円 7億円
利益率(%) 10.0% 8.8% 10.6% 7.6% 8.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 3億円 3億円 4億円 3億円 4億円

(2) 損益計算書


売上高の大幅な増加に伴い、売上総利益および営業利益も順調に拡大しています。営業利益率も改善傾向にあり、既存顧客の深耕とSaaS等の先端技術を活用した効率的な事業運営が奏功しています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 67億円 81億円
売上総利益 23億円 28億円
売上総利益率(%) 33.4% 34.3%
営業利益 5億円 7億円
営業利益率(%) 7.8% 8.8%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が5億円(構成比23%)、役員報酬が2億円(同10%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力であるDX推進・DXコンサルティングサービスが全体の成長を牽引しており、大幅な増収を達成しています。RPA関連サービスやインフラエンジニアリングも旺盛な需要や特需案件の獲得により堅調に推移し、全領域で売上を伸ばしています。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期)
DX推進・DXコンサルティング 45億円 56億円
RPA関連サービス 10億円 10億円
インフラエンジニアリング 13億円 14億円
連結(合計) 67億円 81億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

パワーソリューションズは、事業運営に必要な流動性と資金源泉の安定確保を基本方針としています。

同社は、既存事業拡大に必要な資金を多様な方法で調達し、持続的な成長を図っています。営業活動による資金は、事業基盤強化や広範な業界への関与に充てられています。投資活動では、将来の成長に向けた先端IT商材の有用性検証等に研究開発費を投じています。財務活動では、金融機関からの借入金も活用し、安定的な資金調達を行っています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF -1億円 11億円
投資CF 1億円 -3億円
財務CF -3億円 -3億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「誰もが新たな一歩を踏み出せる社会」を企業ビジョンに掲げています。顧客の業務プロセス全体を俯瞰し、既に導入されている各種汎用サービスをビジネス部門がスムーズに利用できるよう最適化する「ラストワンマイル」ソリューションの提供を社会的使命として事業を展開しています。

(2) 企業文化


同社は、「あらゆるラストワンマイルにITで立ち向かう」というミッションのもと、顧客に密着した課題解決を重視しています。各部署を疑似的な企業とみなす「MD(Managing Director)制」を導入しており、リーダーシップや起業家精神の養成とモチベーションの向上を図る仕組みを採用しています。

(3) 経営計画・目標


2025年度を初年度とする3ヵ年の中期経営計画において、この3年間を「変革期」と位置づけ、安定的な利益確保を目指しています。客観的な経営指標として、以下の項目を重要な指標に設定しています。

・売上高の年間平均成長率(CAGR)
・EBITDA(営業利益+償却費)の年間平均成長率
・総人員数

(4) 成長戦略と重点施策


主力である金融業界を深耕させつつ、物流や製造など非金融業界への進出により顧客領域の拡大を図ります。データ活用により「つくる」から「つかう」へのシフトを推し進め、以下の重点施策を掲げています。

・既存顧客との取引拡大(カスタマーサクセス戦略)
・新規顧客獲得(AI搭載SaaS企業とのパートナーシップ)
・人員の増強と顧客単価の向上
・コンサルティング領域への進出

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


事業規模拡大のため、質の高い優秀な人材の確保を最重要経営課題と位置づけています。積極的な採用活動を進めるとともに、社内に「企業内大学」を創設し、階層別研修やナレッジ共有を通じてITコンサルタントやシステムエンジニアの育成を図っています。また、多様な人材が定着しやすい環境整備にも注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 35.0歳 6.3年 6,935,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 13.5%
男性育児休業取得率 40.0%
男女賃金差異(全労働者) 63.8%
男女賃金差異(正規雇用) 68.3%
男女賃金差異(非正規雇用) 63.5%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 資産運用ビジネスへの依存度と競合

主要顧客が資産運用ビジネスを行う金融機関に集中しており、景気悪化や業界再編が業績に影響を及ぼす可能性があります。また、既存のシステムインテグレーター(SIer)や顧客の内製化による競合リスクがあり、同社はノウハウを活かした高付加価値なサービスの提供で差別化を図っています。

(2) IT業界における技術革新への対応

情報技術の急速な進歩に対し、新たなシステムやソフトウェアへの対応が遅れた場合、事業機会の喪失や採算悪化のリスクがあります。同社は社内研修やナレッジ共有を通じ、RPAやSaaSソリューションなどの最新技術の習得に継続して取り組んでいます。

(3) 特定の顧客への高い依存度

野村グループに対する売上依存度が相対的に高く、同グループからの受注減少や取引条件の悪化が業績に影響を与える可能性があります。全業界へのサービス展開や新規顧客の積極的な開拓により、依存度の低減と顧客基盤の分散を進めています。

(4) 人材の確保と育成

優秀な人材の確保と育成が計画通りに進まない場合や社外に流出した場合、サービスの質や競争力の低下を招くリスクがあります。採用活動の強化に加え、労働環境の整備や評価・報酬制度の構築により離職率の低減と従業員のスキルアップを図っています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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