コーユーレンティア 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

コーユーレンティア 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

コーユーレンティアは東京証券取引所スタンダード市場に上場する企業です。建設現場やイベント会場、オフィス向けに家具・備品やICT機器を貸し出すレンタル事業を主力としています。直近の業績は、建設現場向けや大型イベント向け需要の好調により、売上高および各段階の利益が過去最高を更新する増収増益を達成しました。


※本記事は、コーユーレンティア株式会社の有価証券報告書(第56期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. コーユーレンティアってどんな会社?


家具や什器、備品などのレンタルサービスを主力事業として全国展開する企業です。

(1) 会社概要


1970年に広友リースとして設立し、建設現場事務所向けのレンタルサービスを開始しました。2000年にはイベント向けの総合レンタルも開始し、事業領域を拡大しています。2018年に広友ホールディングス等との吸収分割によりグループの事業持株会社となり、現在のコーユーレンティアへ商号を変更しました。2020年に東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)に上場し、2022年にスタンダード市場へ移行しています。

同社グループは、連結で893名、単体で408名の従業員を擁しています。筆頭株主は親会社であるワイドフレンズで、第2位は信託業務を行う日本カストディ銀行、第3位は従業員持株会であるアクアブルー会です。

氏名 持株比率
ワイドフレンズ 68.33%
日本カストディ銀行(信託口) 2.22%
アクアブルー会 1.68%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は梅木孝治氏が務めています。取締役6名のうち社外取締役は1名です。

氏名 役職 主な経歴
梅木孝治 代表取締役社長 1993年同社入社。2004年取締役、2012年専務取締役を経て、2013年より現職。ワイドフレンズ代表取締役社長を兼任。
寺澤重治 取締役専務執行役員営業部門担当 1991年同社入社。東京支店長兼関東支店長、建設営業部長等を経て、2017年より現職。営業本部本部長を兼任。
小倉隆男 取締役執行役員管理部門担当 法務部長 1991年同社入社。営業管理部長等を経て、2014年執行役員。2017年より現職。コーユーロジックス取締役を兼任。
梅木健行 取締役 1993年同社入社。情報企画グループ長等を経て、2009年より現職。ワイドフレンズ取締役を兼任。
長田朋久 取締役 1989年同社入社。事業開発推進部長等を経て、2017年より現職。コーユーロジックス代表取締役社長を兼任。


社外取締役は、田村圭(進藤・田村法律事務所パートナー)です。

2. 事業内容


同社グループは、「レンタル関連事業」、「スペースデザイン事業」、「物販事業」、「ICT事業」を展開しています。

レンタル関連事業

建設現場事務所やイベント会場、法人オフィスへ家具、什器、備品やICT機器のレンタルサービスを提供しています。あわせて、インフラ工事、室内の間仕切り作業、事務用品の販売、中古販売、引越や残置物処分のサポートなども行っています。
運営は主にコーユーレンティアが行い、レンタル料金や関連サービスの対価を収益源としています。商品の保管・保守・配送はコーユーロジックスが行っています。

スペースデザイン事業

主にマンションギャラリーに関わる案件をワンストップで提供しています。デザイン・設計・施工のほか、家具や備品のレンタル、インテリアコーディネート、調度品の販売、間取り変更などのリノベーションを顧客向けに展開しています。
運営はONEデザインズが行っており、マンションデベロッパー等からの請負代金やインテリア商品の販売・レンタル代金を収益源としています。

物販事業

主に官公庁や民間企業に対して、オフィス家具、防災品、ICT機器、金銭機器、セキュリティ関連商品などを販売しています。また、各種施設への抗ウイルス・抗菌などのコーティング施工サービスも提供しています。
運営は広友物産および広友サービスが行っており、顧客からの商品販売代金や施工サービス料金を収益源としています。

ICT事業

納入した複合機等の保守業務や、事務所のLAN構築、ICT機器のレンタルサービスを行っています。また、音響・映像・制御システムの設計施工、セキュリティ設置、ネットワーク工事なども提供しています。
運営はコーユーイノテックス、イノテックスビジネスソリューションズ、イノテックスエンジニアリングが行っており、レンタル料、販売代金、保守・工事代金を収益源としています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績推移を見ると、売上高は一貫して増加傾向にあり、順調な事業拡大がうかがえます。経常利益は21億円から30億円の間で推移しており、直近の2025年12月期には売上高の増加とともに大幅な増益を達成しました。利益率も8.6%へと回復しています。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 240億円 262億円 310億円 319億円 347億円
経常利益 25億円 24億円 25億円 21億円 30億円
利益率(%) 10.5% 9.2% 8.0% 6.7% 8.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 12億円 12億円 12億円 13億円 16億円

(2) 損益計算書


売上高の順調な拡大に伴い売上総利益も伸長しており、売上総利益率は39.6%から41.2%へと改善しています。営業利益も大きく増加しており、事業全体での収益性向上が確認できます。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 319億円 347億円
売上総利益 126億円 143億円
売上総利益率(%) 39.6% 41.2%
営業利益 21億円 30億円
営業利益率(%) 6.5% 8.7%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が66億円(構成比58%)、地代家賃が12億円(同11%)を占めています。また、売上原価のうち、保守外注費が45億円(構成比22%)、賃借料が33億円(同16%)、運賃が26億円(同13%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力であるレンタル関連事業は、建設現場向けやイベント向けの需要が好調に推移し、全社の増収を牽引しました。ICT事業もレンタルや工事案件が伸びて売上を拡大しています。一方でスペースデザイン事業は市場環境の厳しさもあり、前期並みの売上水準となっています。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期)
レンタル関連事業 186億円 207億円
スペースデザイン事業 61億円 60億円
物販事業 30億円 32億円
ICT事業 41億円 48億円
連結(合計) 319億円 347億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


本業の営業活動で生み出したキャッシュを元手に、設備投資等の将来に向けた投資を行いながら、借入金の返済や株主還元も進めている健全型のキャッシュ・フロー状況です。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 23億円 50億円
投資CF -22億円 -21億円
財務CF -9億円 -16億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は16.4%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も61.2%で市場平均を上回っています。いずれも市場平均を上回る良好な水準です。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念

経営理念は「レンティアグループは 顧客を創造し 社業発展 進歩を図り 社会に貢献する」です。これを実現するための長期的なグループビジョンとして、「人的資本の充実を通じて、自律した事業を確立し、企業価値向上を図るとともに、事業の進化によって社会・環境の持続的な発展に寄与する」ことを掲げ、持続的な成長を目指しています。

(2) 企業文化

同社グループは、サステナビリティ(持続可能な発展)への取り組みを推進し、環境問題の側面からも「リデュース」「リユース」「リサイクル」をキーワードに環境負荷を低減する文化を重視しています。また、ESG経営を深め、年齢、性別、雇用形態に関係なく多様な人材が成長し活躍できるダイバーシティ&インクルージョンの社内風土づくりを進めています。

(3) 経営計画・目標

2024年を初年度とする3カ年の中期経営計画「Next Evolution 26」を策定し、最終年度である2026年12月期に向けて以下の数値目標を掲げています。
・連結売上高:329億円
・連結営業利益:30億円
・売上高営業利益率:9.1%
・ROE:12%以上

(4) 成長戦略と重点施策

中期経営計画に基づき、ESG経営を深化させる新規事業の創出と経営基盤の強化に取り組んでいます。既存領域の深耕に加え、ICT関連のアライアンスパートナーの拡大やDX関連商品・サービスの拡充を進めます。また、物流DXの推進やAIを活用したスマートロジスティクスの最適化により、生産性の向上と省人化を図っていく方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針

「人的資本の充実」を主眼としており、専門性や事業に係る視座の高い自律した人材の育成やエンゲージメント向上につながる投資を実施し、生産性の向上を図る方針です。より公平で納得度の高い人事制度の再構築、階層別教育やキャリア開発支援などの教育体系の整備を進め、多様な人材が成長し活躍できる環境づくりを推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 41.5歳 14.5年 5,982,778円

※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 1.1%
男性育児休業取得率 75.0%
男女賃金差異(全労働者) 57.7%
男女賃金差異(正規労働者) 61.7%
男女賃金差異(非正規労働者) 34.6%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、採用に占める女性労働者の割合(41.7%)、年次有給休暇取得率(59.1%)、エンゲージメントスコア(4.85点)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 国内市場の変化による業績の変動

同社グループは国内市場を主な事業基盤としており、建設市場やマンション市場に一定の需要は見込まれるものの、将来的な人口減少やレンタルサービス事業における競争激化により需要動向が変化するリスクがあります。これに対し、既存領域の深耕や新規領域への展開を通じた収益源の多様化を図っています。

(2) 市場動向の変化による商品管理(需給・在庫)

レンタル需要の増加により100万点を超える保有商品の高い稼働率を維持していますが、需要が想定を下回る場合には過剰在庫による保管・運用コストの増加が生じるリスクがあります。過剰調達の抑制や適切な在庫水準の維持、物流DXを通じた運用効率の向上により、需要変動の影響を抑えるよう努めています。

(3) 重大なインシデントリスク(情報流出等)

同社グループは多くの顧客情報を取り扱っており、サイバー攻撃や不正アクセス、情報管理の不備等により情報の流出や不正使用などのセキュリティインシデントが発生した場合、社会的信用の低下や対応費用の発生につながるリスクがあります。情報セキュリティ体制の強化やデータ管理の高度化により未然防止に努めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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