イボキン 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

イボキン 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所スタンダード市場に上場し、解体、環境、金属を中心とした総合リサイクル事業を展開しています。直近の業績は、売上高約100億円で増収を達成した一方、経常利益は約7億円と減益傾向にあります。都市鉱山開発企業として資源循環型社会の形成に貢献し、持続可能な成長を目指しています。


※本記事は、株式会社イボキンの有価証券報告書(第42期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. イボキンってどんな会社?


解体、環境、金属を中心とした総合リサイクル事業を展開し、都市鉱山開発企業として資源循環を推進する企業です。

(1) 会社概要


1984年に揖保川金属として設立され、産業廃棄物収集運搬業等の許可を取得しました。2003年に現在のイボキンへ社名変更しています。2018年に東京証券取引所JASDAQ(現スタンダード市場)へ上場を果たしました。2025年にはミツエを子会社化し、解体事業の拡大を進めています。

従業員数は連結189名、単体160名です。筆頭株主はHS興産で、第2位は代表取締役社長の創業者一族である高橋克実氏、第3位は内藤征吾氏となっています。

氏名 持株比率
HS興産 38.94%
高橋克実 11.07%
内藤征吾 3.09%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長は高橋克実氏が務めています。取締役における社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
高橋克実 代表取締役社長 1993年津田鋼材(現三井物産スチール)入社。1998年同社入社。常務取締役、専務取締役を経て、2007年より現職。
髙橋守 取締役金属事業部長 1981年岩田建材入社。2000年同社入社。製造部統括部長などを経て、2016年より現職。


社外取締役は、永津洋之(永津公認会計士事務所代表)、橋本法知(元三菱電機取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「解体事業」「環境事業」「金属事業」を展開しています。

(1) 解体事業


建築構造物やプラントの解体・撤去工事を請け負っています。解体現場で発生する副産物を自社の中間処理工場や他セグメントへ供給し、ワンストップサービスを提供しています。特定建設業許可を取得しており、大型案件の元請受注も可能です。

顧客や排出事業者から解体工事の請負代金を受け取って収益を得ています。運営は同社および子会社の国徳工業、ミツエが行っています。

(2) 環境事業


産業廃棄物の収集運搬、中間処理、および再生資源の販売を行っています。製造業や建設業などの顧客から発生する廃棄物を受け入れ、選別や加工を施した後に再生資源として販売します。

廃棄物の排出事業者から処理料金を受け取るほか、選別・加工した再生資源を販売して収益を得ています。運営は主に同社が行っています。

(3) 金属事業


鉄や非鉄などの金属スクラップを発生元から仕入れ、自社工場で選別・加工して製鋼メーカーなどに出荷・販売しています。使用済み自動車の解体やリサイクルも手掛け、創業以来の安定基盤となっています。

加工した金属系再生資源の販売代金を製鋼メーカー等から受け取ります。相場変動の影響を最小限に抑える事業運営を行っており、運営は同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は順調に拡大し直近で100億円を突破しましたが、経常利益や当期利益は案件の採算性や相場変動の影響を受け、増減を繰り返す傾向にあります。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 84億円 80億円 87億円 97億円 100億円
経常利益 8億円 5億円 6億円 8億円 7億円
利益率(%) 9.6% 6.6% 7.0% 8.5% 6.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 5億円 3億円 4億円 5億円 6億円

(2) 損益計算書


売上高は増加したものの、一部案件における原価の超過やスクラップ相場等の影響により売上総利益が減少し、結果として営業減益となっています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 97億円 100億円
売上総利益 19億円 18億円
売上総利益率(%) 19.2% 17.9%
営業利益 8億円 6億円
営業利益率(%) 8.3% 6.4%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が3億円(構成比27%)、役員報酬が1億円(同13%)を占めています。

(3) セグメント収益


解体事業は大型案件の進捗により大幅な増収を達成しましたが、環境事業と金属事業は再生資源の販売量や相場変動の影響を受けて減収となりました。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期)
解体事業 25億円 35億円
環境事業 21億円 20億円
金属事業 50億円 45億円
連結(合計) 97億円 100億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う積極型の状態です。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 9億円 0.7億円
投資CF -2億円 -14億円
財務CF -2億円 7億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は12.4%で、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も63.2%となっており、いずれも市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「明るく積極堅実経営」を経営理念に掲げています。持続可能な開発目標(SDGs)の実現に向けて、資源循環型社会の形成を通じ豊かな住・生活環境を提供することを目指しています。「都市鉱山開発企業」として質の高いサービスを提供し、地域や社会との共生を図りながら永続的な発展を追求しています。

(2) 企業文化


社員本位の取り組みを進め、働くことを通して人として成長し、互いに貢献し合える関係づくりを重視しています。「積極行動、情熱行動」をスローガンとし、多様な視点や価値観を認め合う文化があります。毎朝礼で「イボキンフィロソフィ手帳(大感謝手帳)」を唱和し、考え方や価値観を共有する習慣が根付いています。

(3) 経営計画・目標


解体事業、環境事業、金属事業の3つを柱とし、事業規模の拡大と収益性の向上を当面の重要な課題と位置づけています。連結売上高および連結営業利益を最も重要な経営指標として掲げ、長期的かつ安定的な成長を目指しています。

* 2033年末までにグループ合計人員数を350名まで増員
* うち解体工事の監督者数を98名に増員

(4) 成長戦略と重点施策


解体事業を成長エンジンとし、金属事業と環境事業のシナジーを活かしたワンストップサービスの提供による売上拡大を図ります。特定建設業許可を活かした大型案件の元請受注の増加や、リサイクル率の向上、全国のアライアンスネットワークを通じた事業地域の拡大、および人材確保と先端技術の導入に注力しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材の確保と育成を重要な経営課題と位置づけ、資格取得支援や研修、有資格者の中途採用を積極的に行っています。働きやすさと働きがいにより社員が活躍できる場づくりを目指し、育児や介護と仕事の両立支援、安全な作業環境の整備、DXによる効率化、人事評価制度や改善提案制度の継続的運用を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 40.0歳 8.0年 4,990,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 10.0%
男性育児休業取得率 20.0%
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規雇用労働者) -
男女賃金差異(非正規雇用労働者) -


※同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、労働者の男女の賃金の差異について有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 法的規制や許認可の取消し


事業活動において、特定建設業許可や産業廃棄物収集運搬業、中間処理業などの各種許認可が必要です。法令違反等によりこれらの許認可が取り消された場合や事業停止命令を受けた場合、事業継続が困難になり業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(2) 原材料の相場変動


金属事業では鉄や非鉄などの金属スクラップを取り扱っており、販売価格は相場に連動して変動します。仕入れから販売までの加工に日数を要するため、短期間に急激な相場変動が起きた場合には、適正な利幅が確保できず損益が大きく悪化するリスクがあります。

(3) 工事原価の不確実性


解体事業は請負契約による案件が中心です。解体工事の性質上、有価物の価値を正確に見積もることが難しく、実際の売却額が想定を下回る場合や、当初の見積もりと異なる作業工数が発生した場合、案件の採算性が悪化するリスクを抱えています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。