※本記事は、アクシスの有価証券報告書(第35期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. アクシスってどんな会社?
アクシスは、金融・公共分野に強みを持つシステム構築と、独自のクラウド型ITサービスを展開しています。
■(1) 会社概要
1991年にコンピュータシステムに関する事業を目的として設立されました。2018年にオークネットからクラウドサービス事業を承継し、現在のITサービス事業の基盤を構築しています。2020年に東京証券取引所マザーズへ上場を果たし、2022年にスタンダード市場へ移行しました。金融や公共分野を中心に事業を拡大しています。
従業員数は単体で545名です。筆頭株主は創業者の小倉博文氏で、第2位は個人株主の日向宏氏、第3位は経営陣である横田佳和氏が名を連ねており、経営陣や個人が上位を占める構成となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 小倉 博文 | 44.64% |
| 日向 宏 | 5.13% |
| 横田 佳和 | 3.51% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役会長執行役員CEOは小倉博文氏が務めています。社外取締役は3名選任されています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 小倉 博文 | 代表取締役会長執行役員 CEO | アクトリソース等を経て1991年当社設立代表取締役。2024年3月より現職。 |
| 横田 佳和 | 代表取締役社長執行役員 COO | 1994年当社入社。取締役ビジネスサービス本部長等を経て2024年3月より現職。 |
| 小菅 直哉 | 取締役常務執行役員 CFO | あらた監査法人等を経て2019年当社入社。取締役管理本部長等を経て2025年1月より現職。 |
社外取締役は、栗屋野盛一郎(ハンドトラスト代表取締役)、辺見香織(ウィルパートナーズ代表取締役)、奥原玲子(光和総合法律事務所パートナー弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「システムサービス事業」および「ITサービス事業」を展開しています。
■システムサービス事業
金融機関、官公庁、一般事業会社などを対象に、各種業務アプリケーションの設計開発および運用保守、インフラシステムの設計構築などを提供しています。特に金融業務に関する高度な専門知識と、クラウド環境下での基盤構築に強みを持ちます。
顧客からのシステム開発や運用保守の業務請負に対する対価が主な収益源です。大手システムインテグレーターやメガバンクを中心とする顧客と継続的な取引基盤を築いており、運営はアクシスが主体となって行っています。
■ITサービス事業
リアルタイムでの車両運行管理を可能にするフリートマネジメントサービス「KITARO」などのクラウドサービスと、企業のDX化を支援するデジタルコンサルティングサービスを提供しています。
クラウドサービスは車両ごとの月額利用料を徴収するサブスクリプションモデルで安定収益を確保し、コンサルティングサービスでは導入支援やアウトソーシングによる対価を得ています。運営はアクシスが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は一貫して増加傾向にあり、順調な事業拡大が続いています。各利益指標も売上成長に伴って着実に増加しており、10%以上の安定した経常利益率を維持しつつ、高い収益性を確保しています。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 41億円 | 49億円 | 66億円 | 74億円 | 81億円 |
| 経常利益 | 5億円 | 5億円 | 7億円 | 8億円 | 9億円 |
| 利益率(%) | 12.4% | 10.9% | 10.1% | 11.4% | 11.3% |
| 当期純利益 | 4億円 | 4億円 | 5億円 | 6億円 | 6億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は着実に増加しており、それに伴い売上総利益と営業利益も拡大しています。利益率も安定的に推移しており、成長と収益性のバランスを保ちながら堅調な業績を上げています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 74億円 | 81億円 |
| 売上総利益 | 18億円 | 20億円 |
| 売上総利益率(%) | 24.9% | 25.1% |
| 営業利益 | 8億円 | 9億円 |
| 営業利益率(%) | 10.6% | 10.9% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が4億円(構成比33%)、地代家賃が1億円(同13%)を占めています。また、売上原価の内訳としては、労務費が30億円(構成比49%)、外注費が28億円(同46%)と大半を占めており、システム開発における人材や外部パートナーへの依存度が高いことが伺えます。
■(3) セグメント収益
主力のシステムサービス事業は、公共社会インフラの大型案件の受注や情報通信業・銀行向けの案件拡大により順調に売上を伸ばしています。ITサービス事業も、サービスの機能拡充や新規顧客開拓が進み、安定した増収を記録しています。
| 区分 | 売上(2024年12月期) | 売上(2025年12月期) |
|---|---|---|
| システムサービス事業 | 70億円 | 77億円 |
| ITサービス事業 | 4億円 | 4億円 |
| 連結(合計) | 74億円 | 81億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社のキャッシュ・フローは、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う「健全型」の優良企業といえます。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 6億円 | 6億円 |
| 投資CF | 0.3億円 | -0.8億円 |
| 財務CF | -0.4億円 | -1億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は15.8%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も75.4%といずれも市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「全社員の物心両面の幸せを実現する」「公明正大に判断し、素直な心で全力で取り組む」「全社員が同じベクトルを持つことに努める」「事業を通して社会・人類に貢献をする」を掲げています。これらを軸に顧客の企業価値向上を図るとともに、すべてのステークホルダーへの社会的責任を果たすことを基本方針としています。
■(2) 企業文化
「持続的競争優位を保つ当社の資産である人材の確保・育成」を重視し、「アクシスで働き続けたいと思える環境を作る」といった社内環境整備方針があります。従業員エンゲージメントの向上や働き方改革を推進し、全社員が同じベクトルを持って素直な心で全力で取り組む文化が伺えます。
■(3) 経営計画・目標
中期経営計画「Go Beyond」を策定し、売上高営業利益率10%以上を目標として掲げています。また、株主への積極的な利益還元として、累進配当を導入し配当性向を40%以上へ引き上げる方針を打ち出しています。事業規模の拡大と高収益化により、継続的な企業価値の向上を目指しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
システムサービス事業では、生成AIなどの最新技術領域へ注力し、SI上流工程やデジタル基盤構築など高単価なビジネスへシフトします。ITサービス事業では、モビリティ中心のクラウドサービス拡充とAIプラットフォームの展開を進めます。人材投資やM&A、AI活用による業務生産性の向上を通じ、事業基盤の強化を図ります。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人材の確保・育成を持続的競争優位の源泉と位置づけ、「次世代デジタル人材を育成する」方針を掲げています。AIなど戦略的人材の育成に累計30億円規模の積極的な投資を行い、資格取得を推進しています。「アクシスで働き続けたいと思える環境を作る」ことを目指し、健康経営や育児・仕事の両立支援にも注力しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 33.7歳 | 6.8年 | 5,207,000円 |
※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 11.1% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 85.7% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 85.8% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 103.1% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、コンサル関連資格取得のべ人数(49名)、技術関連資格取得のべ人数(172名)、年次有給休暇取得日数(10.6日)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 特定の事業分野・特定顧客への依存
同社は金融関連分野や大手システムインテグレーターからの受注に大きく依存しています。他分野や新規顧客への拡大を進め依存度の低減を図っていますが、金融業界の動向や顧客の事業方針の変更があった場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) プロジェクトの採算管理に関するリスク
システム開発において、当初想定できなかった事象や不具合による納期遅延が発生し、追加コストや損害賠償が生じた場合、プロジェクトの採算が悪化し、社会的信用が低下するリスクがあります。
■(3) 人材の確保及び育成について
同社の事業は人材に大きく依存しているため、優秀な人材の確保と定着、育成が計画通りに進まない場合や、人材が社外へ流出した場合には、競争力の低下を招き、業績に影響を及ぼす可能性があります。



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