※本記事は、ZETA株式会社の有価証券報告書(第21期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月31日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ZETAってどんな会社?
ZETAは、EC事業者向けに商品検索やクチコミ、レコメンドなどのCXソリューションを提供する企業です。
■(1) 会社概要
ZETAは、2005年にサイジニアとして設立されました。2014年に東京証券取引所マザーズ市場へ上場を果たしています。その後、2021年にEC商品検索などを手掛ける旧ZETAを完全子会社化し、2024年に同社およびデクワスを吸収合併して、現在のZETAへと商号を変更しました。
同社グループの従業員数は連結で80名、単体で80名となっています。筆頭株主はアイ・アセットマネジメントで、第2位は事業展開等で関係を有するレッドポイント、第3位は経営陣である吉井伸一郎氏です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| アイ・アセットマネジメント | 18.60% |
| レッドポイント | 9.40% |
| 吉井 伸一郎 | 8.40% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性1名の計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長CEOは山﨑徳之氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 山﨑 徳之 | 代表取締役社長CEO | 1995年デジタルテクノロジー入社。アスキー等を経て2006年旧ZETAを創業し代表取締役。2021年同社取締役社長を経て2024年より現職。 |
| 吉井 伸一郎 | 代表取締役執行役員上級副社長CSO | 2001年ソフトバンク・コマース入社。2007年同社代表取締役社長、2021年代表取締役会長を経て、2024年より現職。 |
| 森川 和之 | 取締役執行役員上級副社長CFO | 2002年プラネックスコミュニケーションズ入社。2006年旧ZETA取締役に就任し、同社執行役員副社長等を経て、2024年より現職。 |
| 出張 純也 | 取締役執行役員上級副社長CTO | 2012年ゴーガ入社。2015年旧ZETAに入社し、同社執行役員副社長や当社の執行役員副社長を経て、2026年より現職。 |
社外取締役は、伊藤健吾(01STUDIO代表取締役)、渡辺英治(渡辺税理士事務所代表税理士)、松園詩織(AND OWNERS創業代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「デジタルマーケティングソリューション事業」の単一セグメントで事業を展開しています。
■デジタルマーケティングソリューション事業
同社は、ECサイトやリアル店舗における購買体験の向上を支援するCX改善サービスを提供しています。主にアパレル業や小売業を中心としたEC事業者を対象に、高速で高精度な商品検索エンジン「ZETA SEARCH」や、レビュー・Q&A機能を通じてUGCを創出する「ZETA VOICE」などを展開しています。
収益は、ライセンス提供や保守・ホスティングサービスに基づく固定型課金のほか、利用実績等に応じた成果報酬型課金から得ています。また、第三者の情報プラットフォームへ企業情報を発信する「デクワス・マイビジネス」も固定課金で提供しています。運営は主にZETAが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、決算期変更に伴う変則決算の影響があるものの、売上高は主力サービスの堅調な受注を背景に拡大基調にあります。利益面でも、リテールメディア広告などの高収益サービスの成長が寄与し、経常利益は大幅な黒字を計上するなど、収益性の向上が確認できます。
| 項目 | 2022年6月期 | 2023年6月期 | 2024年6月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 26.0億円 | 22.4億円 | 14.2億円 | 6.8億円 | 18.6億円 |
| 経常利益 | 3.5億円 | 1.8億円 | 1.6億円 | -1.3億円 | 3.7億円 |
| 利益率(%) | 13.7% | 8.0% | 11.5% | -19.4% | 19.9% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -10.8億円 | 1.1億円 | 0.8億円 | 1.9億円 | 2.3億円 |
■(2) 損益計算書
決算期変更により前期間は6ヶ月間の変則決算となっていますが、当期間はEC市場の成長を追い風にCXソリューションの導入が進み、高い売上総利益率を維持しています。営業利益率も大きく改善し、高付加価値なサービス提供による収益構造の強化が進んでいることが分かります。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 6.8億円 | 18.6億円 |
| 売上総利益 | 4.8億円 | 15.2億円 |
| 売上総利益率(%) | 70.9% | 82.0% |
| 営業利益 | -1.2億円 | 4.0億円 |
| 営業利益率(%) | -17.1% | 21.3% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当が3.7億円(構成比33%)、役員報酬が1.8億円(同16%)を占めています。
■(3) セグメント収益
同社は単一セグメントであるため、提供するCX改善サービスの売上高を記載しています。ハイエンドのEC事業者向けの新規開拓やクロスセル・アップセルが順調に推移し、製品間のシナジー効果も発現したことで、売上高は着実に拡大しています。
| 区分 | 売上(2024年12月期) | 売上(2025年12月期) |
|---|---|---|
| デジタルマーケティングソリューション事業 | 6.8億円 | 18.6億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFがプラス、投資CFと財務CFがマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う「健全型」のキャッシュ・フローの状況です。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -1.1億円 | 2.9億円 |
| 投資CF | -0.5億円 | -0.4億円 |
| 財務CF | 5.8億円 | -1.0億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は26.5%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は30.7%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、「企業と消費者のエンゲージメントを高めて幸福な購買体験を実現する」ことを経営方針として掲げています。この方針のもと、国内のデジタルマーケティングソリューション領域でナンバーワンとなることを目指し、株主や顧客、社員などすべてのステークホルダーの視点に立った経営により、企業価値の最大化を追求しています。
■(2) 企業文化
同社は、企業風土を固定せず、社員全員の価値を最大化できるような企業を目指して、経営陣も含めた「企業文化の最適化」を追求し続けています。変化の激しいデジタルマーケティング事業の領域において、常により良い組織へと柔軟に変貌し続ける姿勢を重視し、組織能力の継続的な向上を図る文化が根付いています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、適時・的確な判断による機動的な事業展開を可能にするため、具体的な数値による目標とする経営指標は特別に設けていません。ただし、業容の拡大と経営基盤の安定化に向けて「収益率の向上」を重要な経営課題と位置づけています。また、AIシフトを前提とした新たな中期経営計画を今後発表する予定です。
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、コマース市場の環境変化やAIシフトを前提とした成長戦略に取り組んでいます。具体的な重点施策として、CX改善サービスへの経営資源の集中投下による継続的成長、検索履歴やレビューデータなどの膨大な行動履歴の管理と活用に向けた投資を掲げています。また、自社のマーケティング強化による正の事業成長スパイラルの獲得や、将来のスキル獲得を見据えた優秀な人材の確保と育成を推進しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、競争力の高いサービスの開発や効率的なマーケティングの実践において、優秀な人材の確保と育成を最重要な経営課題の一つと位置づけています。新卒・中途を問わず積極的な採用活動を展開するとともに、共通かつ公平な人事評価制度を構築しています。また、少人数のユニット制度によるグループ間連携の促進や、英語教育・専門知識習得の研修を通じた人材の多様性とスキルアップを図っています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 30.8歳 | 3.6年 | 5,889,000円 |
※平均年間給与は基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 競合サービスの増加と競争激化
国内BtoCのEC市場を主たる事業領域としているため、多くの企業が事業展開しており、競合サービスが増加する可能性があります。今後、十分な差別化や機能向上などが行えなかった場合や、新規参入などにより競争が激化した場合には、同社の事業および業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 特定人物への依存と人材確保
代表取締役をはじめとする役員や幹部社員などの専門的な知識、技術、経験に依存している面があります。特定の人物に過度に依存しない体制の構築を図っていますが、これらの人材が退任・退職し、後任者の採用が困難になった場合には、同社の事業戦略や業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 設備およびネットワークの安定性
同社が提供するCXソリューションは24時間稼動での運用が求められています。監視やデータのバックアップなど障害の発生防止に努めていますが、災害やサイバー攻撃、不具合など予期せぬ事象によりシステムが利用できなくなった場合、サービスの停止に伴う信用の低下を引き起こし、業績に影響を及ぼす可能性があります。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。