※本記事は、株式会社ダイショー の有価証券報告書(第59期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ダイショーってどんな会社?
「焼肉のたれ」や「味・塩こしょう」など、家庭用および業務用の液体・粉体調味料を製造販売する食品企業です。
■(1) 会社概要
1966年に設立し、「焼肉一番」の製造販売を開始しました。1968年には「味・塩こしょう」を発売し、主力製品へと育成しました。1994年に現社名へ変更し、1997年に店頭登録、2000年に東証二部へ上場しました。2022年の市場区分見直しに伴い、スタンダード市場へ移行しています。
単体での従業員数は677名です。筆頭株主は資産管理会社の有限会社山田興産で、第2位は一般財団法人金澤記念育英財団、第3位は個人株主となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 有限会社山田興産 | 25.30% |
| 一般財団法人金澤記念育英財団 | 15.41% |
| 松本賢子 | 8.84% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性0名の計10名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は松本俊一氏です。社外取締役比率は14.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 松本俊一 | 代表取締役社長 | 2014年入社。生産本部部長、管理本部長、取締役副社長等を経て2024年4月より現職。 |
| 松本洋助 | 代表取締役会長 | 1983年入社。取締役副社長等を経て2000年社長就任。2016年4月より現職。 |
| 坂田恵補 | 専務取締役営業本部長 | 1985年入社。生産本部長、常務取締役等を経て2024年6月より現職。 |
| 矢野宏一 | 取締役生産本部長兼物流部担当 | 2000年入社。管理本部副本部長、管理本部長等を経て2024年4月より現職。 |
| 根岸宏樹 | 取締役商品本部長兼調達部担当 | 2001年入社。商品本部部長、執行役員等を経て2023年4月より現職。 |
| 三浦和信 | 取締役管理本部長兼経営企画室長兼品質保証部担当 | 1998年入社。関東工場長、経営企画室長等を経て2024年6月より現職。 |
社外取締役は、本夛伸介(本夛知財総合事務所所長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「食品事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 液体調味料群
焼肉のたれ、鍋スープ、ドレッシング、ソース等の液体調味料を製造・販売しています。主力製品には「焼肉一番」「秘伝 焼肉のたれ」や各種鍋スープなどがあり、家庭用から業務用まで幅広く展開しています。量販店や食品加工業者などが主な顧客です。
収益は、これらの製品を販売することによる対価として得ています。運営は主にダイショーが行っています。
■(2) 粉体調味料群
「味・塩こしょう」シリーズや青汁などの粉末調味料を製造・販売しています。特に「味・塩こしょう」は同社の代表的なブランドの一つであり、家庭での調理に広く利用されています。
収益は、製品の販売代金として顧客から受け取ります。運営はダイショーが行っています。
■(3) その他調味料
上記に含まれない仕入商品やその他の調味料を取り扱っています。サラダ用揚げ麺調味料セットやスープはるさめなどが含まれます。
収益は商品の販売によって得られます。運営はダイショーが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
過去5期間の業績を見ると、売上高は着実な右肩上がりを続けており、直近では260億円規模に達しています。一方、経常利益は原材料価格の高騰等の影響を受け変動しており、利益率は2%台から3%台で推移しています。当期は増収ながらもコスト増により減益となりました。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 218億円 | 227億円 | 234億円 | 254億円 | 262億円 |
| 経常利益 | 8.3億円 | 8.7億円 | 5.0億円 | 9.0億円 | 6.7億円 |
| 利益率(%) | 3.8% | 3.8% | 2.1% | 3.6% | 2.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 5.3億円 | 5.6億円 | 3.1億円 | 6.0億円 | 4.6億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間を比較すると、売上高は増加しましたが、売上総利益はほぼ横ばいでした。これは原材料費や労務費の上昇による製造原価の増加が影響しています。販管費も物流費や人件費を中心に増加したため、営業利益は前期を下回る結果となりました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 254億円 | 262億円 |
| 売上総利益 | 97億円 | 97億円 |
| 売上総利益率(%) | 38.3% | 37.0% |
| 営業利益 | 8.9億円 | 6.6億円 |
| 営業利益率(%) | 3.5% | 2.5% |
販売費及び一般管理費のうち、配送費が25億円(構成比28%)、給料及び手当が20億円(同22%)を占めています。売上原価においては、原材料費が122億円で売上原価合計の74%を占めています。
■(3) セグメント収益
各製品群ともに増収を達成しました。液体調味料群は焼肉のたれや鍋スープの新製品が寄与し、粉体調味料群は主力製品が堅調に推移しました。その他調味料もスープはるさめ等が好調でした。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) |
|---|---|---|
| 液体調味料群 | 190億円 | 197億円 |
| 粉体調味料群 | 40億円 | 41億円 |
| その他調味料 | 24億円 | 24億円 |
| 連結(合計) | 254億円 | 262億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業活動によるキャッシュ・フローはプラスを維持していますが、関東工場拡張等の設備投資により投資キャッシュ・フローは大幅なマイナスとなりました。これを補うため長期借入を行い、財務キャッシュ・フローはプラスとなっています。積極的な投資を行っている状態です。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 9.8億円 | 9.9億円 |
| 投資CF | -2.3億円 | -32.7億円 |
| 財務CF | -4.1億円 | 23.4億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は4.7%で市場平均を下回っており、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も52.4%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「おいしさで・しあわせをつくる」を企業理念とし、豊かな食文化の創造を目指しています。安心・安全を第一義に、品質の高い調味料製品を通じて食卓においしさと楽しさを提供し、社会貢献を追求する企業として成長することで企業価値を高めていく方針です。
■(2) 企業文化
「ファンを大切にし、食の楽しさを創造する」企業風土の醸成を目指しています。また、社是・社訓や行動規範に基づき、自らの責任と役割を果たすことで社会と関わり、活力ある魅力的で社会貢献する企業を目指しています。
■(3) 経営計画・目標
2025年度から2027年度までの新中期経営計画「Challenge 2028 ~世界に誇れる企業へ~」を策定しています。市場づくりとモノづくりにおいてビジョンを徹底的に追求し、企業価値向上と消費者に選ばれる企業づくりを目指します。
* 2028年3月期 売上高:295億円
* 2028年3月期 経常利益:8億円
* 2028年3月期 当期純利益:5.6億円
■(4) 成長戦略と重点施策
国内市場では主要都市圏への経営資源投入によるシェア拡大、関東工場の生産能力増強による安定供給と生産性向上を図ります。また、海外市場への投資を継続し市場拡大を目指します。「ビジョン追求」「適正利益の確保」「組織づくり」をテーマに、競争と共創の両輪で企業価値向上に取り組みます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「会社の成長の基盤は人である」という信条のもと、多様な人材が活躍できる仕組みづくりを進めています。部門横断的な研修によるコミュニケーション活性化や、給与・評価制度改革、健康経営の推進などを通じ、自発的な成長を促す環境整備に努めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 39.1歳 | 13.9年 | 5,239,035円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 4.4% |
| 男性育児休業取得率 | 40.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 58.8% |
| 男女賃金差異(正規) | 74.2% |
| 男女賃金差異(非正規) | 84.6% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 食品の安全性について
食品表示偽装や異物混入等の問題が発生した場合、消費者の信頼を損ない業績に影響を与える可能性があります。同社はFSSC22000に則った製造や品質管理体制の強化により安全確保に努めていますが、予見不能な問題が発生した場合、対応コストやブランド毀損により影響を受ける可能性があります。
■(2) 市場動向に伴うリスク
同社の主力製品は食肉、野菜、鮮魚類の調味料として使用されるため、生鮮食品の消費動向や価格変動の影響を受けます。また、家畜の疾病発生や人口減少による市場縮小、消費者の節約志向の高まりなどが需要に悪影響を及ぼし、業績に影響を与える可能性があります。
■(3) 原材料の価格変動の影響
原油や原材料価格の変動、国際的な需給逼迫等は調達コストに影響を与えます。同社は複数社購買等で対策していますが、想定を超える急激な価格高騰が発生した場合、製造原価の上昇分を価格転嫁できず、利益を圧迫する可能性があります。
■(4) 気象変動に伴うリスク
冷夏や暖冬、台風などの気象変動は、鍋スープ等の季節性商品の需要や生鮮食品の価格に影響を与えます。予測を超える天候不順が生じた場合、主力事業である食品事業の販売が伸び悩み、業績に影響を及ぼす可能性があります。



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