※本記事は、rakumo株式会社の有価証券報告書(第22期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. rakumoってどんな会社?
クラウド型の法人向けグループウェアや各種ITソリューションサービスの開発・提供を行っています。
■(1) 会社概要
2004年に日本技芸として設立され、Web関連の受託開発を開始しました。2010年にグループウェア「rakumo」シリーズのサービス提供を始め、以降様々な機能を追加しています。2015年に現在のrakumoへ商号変更し、2020年に東京証券取引所マザーズへ上場しました。直近では積極的なM&Aを進めています。
従業員数は連結で124名、単体で61名です。筆頭株主は創業者の御手洗大祐氏で、第2位は平井康博氏、第3位は子会社役員の田近泰治氏です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 御手洗大祐 | 16.53% |
| 平井康博 | 13.43% |
| 田近泰治 | 9.03% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長グループCEOは清水孝治氏です。社外取締役比率は14.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 清水孝治 | 代表取締役社長グループCEO | ニフティ入社後、SREホールディングス常務執行役員などを経て同社に入社。2025年3月より現職。 |
| 石田和也 | 取締役CTOプロダクト部長 | アイ・デザイン・システムズ入社後、同社に入社。執行役員プロダクト部長等を経て2022年3月より現職。 |
| 石曽根健太 | 取締役CFO | 有限責任あずさ監査法人入所後、公認会計士登録。同社入社後、経営管理部長等を経て2025年9月より現職。 |
社外取締役は、金子昌史(ZEN代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「ITビジネスソリューション事業」の単一セグメントで事業を展開しています。
■rakumoサービス
企業向けグループウェア製品「rakumo」の開発や販売、導入支援等のソリューションサービス、および他社ライセンスの代理店販売を提供しています。主な顧客は、業種や規模を問わない多種多様な企業です。
収益源は、顧客企業の使用期間やユーザー数に応じた定期定額のサブスクリプション料金です。また、他社ライセンスの販売手数料や導入支援等のコンサルティング料金も得ています。運営は主に同社が行っています。
■その他サービス
人材管理・採用支援ソリューション、社内SNS型日報共有アプリ、IR動画配信サービス、WebサイトCMS等の各種ITサービスを提供しています。また、ベトナムを拠点としたITオフショア開発も行っています。
収益源は、各サービスの利用料金やシステム開発の受託料金などです。運営は同社のほか、gamba、アイヴィジョン、スタートレ、エージェントシェア、RAKUMO COMPANY LIMITED等の子会社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績は、一貫して売上高の拡大が続いています。特に主力のサブスクリプション型サービスが順調に成長し、解約率も低水準を維持していることで安定した収益基盤を確立しています。利益面でも着実な増益傾向にあり、20%を超える高い経常利益率を継続して維持するなど、成長性と収益性を両立しています。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 9.6億円 | 11.0億円 | 13.0億円 | 14.4億円 | 18.3億円 |
| 経常利益 | 2.2億円 | 2.3億円 | 3.0億円 | 3.8億円 | 4.3億円 |
| 利益率(%) | 23.0% | 20.6% | 22.9% | 26.0% | 23.4% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 1.7億円 | 1.9億円 | 1.9億円 | 2.3億円 | 2.9億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の順調な成長に加え、原価低減の取り組み等により売上総利益率が大きく改善し、70%を超える水準に達しています。一方で、積極的なM&Aの実施に伴う費用の増加もあり、営業利益率はやや低下していますが、増益を確保しています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 14.4億円 | 18.3億円 |
| 売上総利益 | 9.5億円 | 12.9億円 |
| 売上総利益率(%) | 65.9% | 70.4% |
| 営業利益 | 3.8億円 | 4.3億円 |
| 営業利益率(%) | 26.6% | 23.4% |
販売費及び一般管理費のうち、役員報酬及び給料手当が3.2億円(構成比37.2%)、支払手数料が1.3億円(同14.5%)、のれん償却額が1.0億円(同11.2%)を占めています。また、当期総製造費用のうち経費が4.1億円(同67.6%)、労務費が1.9億円(同32.4%)となっています。
■(3) セグメント収益
主力であるrakumoサービスは、価格改定や特化型マーケティングが奏功し、売上高が順調に増加しています。その他サービスについても、新たな子会社が加わったことで売上高が大幅に拡大しており、グループ全体での成長を牽引しています。
| 区分 | 売上(2024年12月期) | 売上(2025年12月期) |
|---|---|---|
| rakumoサービス | 12.1億円 | 14.1億円 |
| その他サービス | 2.4億円 | 4.2億円 |
| 連結(合計) | 14.4億円 | 18.3億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は、サブスクリプション型リカーリングレベニューモデルを基盤とした事業展開を行っています。
営業活動によるキャッシュ・フローは、主に事業活動から得られた利益やのれん償却等により増加しました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、子会社株式の取得が主な支出要因となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入による収入が主な獲得要因となりました。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 4.6億円 | 5.1億円 |
| 投資CF | -0.7億円 | -15.8億円 |
| 財務CF | -0.0億円 | 6.1億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「仕事をラクに。オモシロく。」というビジョンのもと、「次のいつもの働き方へ。」をミッションに掲げています。ITを活用して仕事の効率化や柔軟な働き方を実現する製品やサービスを開発・提供し、企業の各組織が抱える課題をテクノロジーで解決することを目指しています。
■(2) 企業文化
同社グループでは、「情熱」「協働」「変化」という3つの行動指針を共通の価値観として大切にしています。これらの価値観を基盤として、顧客の業務の生産性向上に直結する操作性やデザインにこだわり、誰もが直感的に使えて業務効率につながるツールの提供に取り組んでいます。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、持続的な成長と企業価値の向上を目指し、主な経営指標として売上高、営業利益、調整後EBITAを重視しています。また、安定的なストック収益を確保するため、ユーザー数、利用企業数、ストック収益の成長率、および解約率を重要なKPIとして事業運営を行っています。配当性向については、2027年12月期に30%とすることを目標としています。
■(4) 成長戦略と重点施策
販売パートナーとの関係強化や業界特化型のマーケティングにより、販売チャネルの強化を図ります。また、生成AIを活用した機能強化や新たな製品の開発を進め、既存サービスの付加価値を高めます。さらに、M&Aや業務提携を通じて注力するHR領域等の新たな事業領域への展開を進め、持続的な企業価値の向上を目指します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社グループのビジョンや事業方針に共感し、高い意欲を持った優秀な人材の採用を推進しています。リファラル採用やアルムナイ採用も活用し、多様な人材の確保に努めています。また、目標管理評価制度への一本化や等級制度の導入、資格取得支援制度などを通じて、従業員一人ひとりの自律的な成長と人材育成を支援しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 37.5歳 | 5.8年 | 5,500,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組み」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有給休暇取得率(72.31%)、Google、Salesforce及びMicrosoft 365認定資格保有者数(18人)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 経営環境の変化やクラウド市場の動向
主力サービスはサブスクリプション型で安定した収益モデルですが、経済情勢の悪化等により企業の情報化投資が抑制されたり、解約率が想定を上回った場合、またはクラウド市場の成長が鈍化した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) プラットフォーム提供企業との関係
同社のサービスはGoogle社やセールスフォース社、Microsoft社が提供するクラウドプラットフォームと密接に連携しています。これらの企業の経営戦略の変更による機能の停止や大幅な仕様変更、利用料の引き上げ等が生じた場合、事業運営に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) システムトラブルと情報管理体制
サービスはインターネットを経由して提供されており、通信ネットワークに依存しています。自然災害や不正アクセスによる大規模なシステム障害、または顧客の重要な情報資産の漏洩や消失が発生した場合、信用の失墜や損害賠償等により業績に影響を及ぼす可能性があります。



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