ダイレクトマーケティングミックス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ダイレクトマーケティングミックス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ダイレクトマーケティングミックスは、東京証券取引所スタンダード市場に上場し、アウトバウンドコールを核とした営業支援やBPOサービスを主力としています。直近の業績は、通信インフラ向け領域の堅調な受注や新規事業の伸長により、売上収益および当期利益ともに前年を大きく上回る増収増益を達成しました。


※本記事は、株式会社ダイレクトマーケティングミックスの有価証券報告書(第9期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月26日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はIFRSです。

1. ダイレクトマーケティングミックスってどんな会社?


同社は、アウトバウンドコールを中心としたダイレクトマーケティングで企業の営業成果向上を支援しています。

(1) 会社概要


2007年にアウトバウンド中心のコンタクトセンター業務を営むカスタマーリレーションテレマーケティングが設立されました。2018年にダイレクトマーケティングミックスへ商号変更し、2020年に株式を上場しました。近年はアーキテクトやサイヨウブ、マネーペディアを子会社化し事業領域を拡大しています。

現在の従業員数は連結で665名、単体で50名です。筆頭株主は投資事業組合で、第2位は役員の資産管理会社、第3位は資産管理業務を行う信託銀行となっています。

氏名 持株比率
インテグラル3号投資事業有限責任組合 36.22%
23.7 8.94%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 6.13%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性3名の計14名で構成され、女性役員比率は21.4%です。代表執行役社長CEOは植原大祐氏が務めており、社外取締役比率は54.5%です。

氏名 役職 主な経歴
植原 大祐 取締役 代表執行役社長CEO 光通信を経て、カスタマーリレーションテレマーケティングに入社。同社代表取締役社長等を歴任し、2024年7月より現職。
土井 元良 取締役 執行役CFO 日興シティグループ証券等を経て、同社に入社。執行役員経営戦略本部長等を経て、2022年3月より現職。
伊藤 佳奈子 取締役 執行役 カスタマーリレーションテレマーケティングに入社し常務執行役員等を歴任。同社代表取締役社長を務め、2024年3月より現職。
小林 祐樹 取締役 光通信を経て、カスタマーリレーションテレマーケティング代表取締役に就任。同社代表取締役社長CEO等を経て、2024年7月より現職。
池田 篤穗 取締役 新日本有限責任監査法人を経て、インテグラルに入社。マケレボ取締役等を経て、2021年3月より現職。


社外取締役は、水谷謙作(インテグラル取締役)、三嶋政美(税理士法人CROSSROAD代表社員)、三宅稔男(元アーバンサービス代表取締役副社長)、前田健次郎(元パイオニアテレコム代表取締役)、松原由佳(ひふみ総合法律事務所弁護士)、米田惠美(米田公認会計士事務所代表)です。

2. 事業内容


同社グループは、「マーケティング事業」および「オンサイト事業」を展開しています。

(1) マーケティング事業


コンタクトセンターにおける電話コンタクト、直接訪問、Webコンタクトを通じて、顧客企業に代わりエンドユーザーへ商品・サービスのセールスやアポイント獲得を行っています。通信回線などの販売に加え、コンサルティングや業務一括代行を行うBPOサービスも提供しています。

顧客企業からの業務委託費が主な収益源です。ダイレクトマーケティングに基づく営業ソリューションやハイブリッド型業務、総合的なバックオフィス業務も担っています。運営はカスタマーリレーションテレマーケティングやマケレボなどが主に行っています。

(2) オンサイト事業


人材派遣事業として、顧客企業の営業・マーケティング部門やコンタクトセンターなどへ人材を派遣するサービスを提供しています。クライアントの業務運営ニーズに合わせた最適な人員配置を支援しています。

顧客企業から受け取る人材派遣料が主な収益源です。マネジメント人材によるコンサルティング業務やプロのコミュニケーター派遣を通じて、顧客の社内ノウハウ蓄積や設備活用ニーズに応えています。運営は主にスタッフファーストが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上収益は減少傾向から直近で回復基調に転じており、税引前利益も直近2期間で連続して増益を達成しています。高付加価値領域への注力とコスト構造の見直しにより、全体的な収益性の改善が進んでいます。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上収益 303億円 347億円 269億円 210億円 227億円
税引前利益 46億円 57億円 12億円 14億円 21億円
利益率(%) 15.3% 16.5% 4.4% 6.6% 9.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 32億円 38億円 3.1億円 8.3億円 13億円

(2) 損益計算書


売上収益が増加する中で営業利益率も改善しており、本業の稼ぐ力が向上しています。注力領域における高単価案件の受注増や価格転嫁の実施が奏功したと見られます。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上収益 210億円 227億円
営業利益 14億円 21億円
営業利益率(%) 6.8% 9.4%


営業費用のうち、人件費が108億円(構成比53%)、人材派遣料が48億円(同24%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力のマーケティング事業は、通信インフラ向けの堅調な受注やDXフルフィルメント領域の伸長により増収増益となりました。一方、オンサイト事業は派遣需要の縮小により減収となったものの、利益面では改善が見られます。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期) 利益(2024年12月期) 利益(2025年12月期) 利益率
マーケティング事業 189億円 212億円 23億円 33億円 15.6%
オンサイト事業 27億円 23億円 0.5億円 0.8億円 3.5%
調整額 -6.3億円 -7.3億円 -9.3億円 -13億円 -
連結(合計) 210億円 227億円 14億円 21億円 9.4%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業です。企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は9.4%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は45.5%で市場平均を下回っています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 20億円 28億円
投資CF -1.0億円 -19億円
財務CF -12億円 -6.0億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「人が輝く未来をつくる」というミッションを中核に据え、企業活動のあらゆる局面において、人が提供できる価値を起点とした付加価値創出を志向しています。持続的な社会の発展と自社の企業価値向上を両輪で目指す経営を推進しています。

(2) 企業文化


テクノロジーの活用を前提としつつも、人の状況や感情に寄り添う「共感」と、期待を超える体験から生まれる「感動」といった、人間にしか生み出せない価値を差別化の中核に据えています。人と人とのコミュニケーションが生み出す価値を追求する文化を重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、売上高およびEBITDA(税引前利益に支払利息や減価償却費等を加算した利益指標)を重要な経営指標として掲げています。新規顧客の獲得による顧客基盤の増強と、営業・マーケティングサービスの高付加価値化を進めることで、持続的な成長基盤の確立を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


自動化が難しい領域におけるプロフェッショナル集団として、顧客企業の「営業改革」にコミットしています。反復・定型業務はAI対応を進める一方で、真に人的対応が必要な高度なプロセスに特化し、体験価値の向上と運営生産性の改善を同時に実現する戦略を推進しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材こそが最も重要な資産であるという考えのもと、性別や年齢、国籍、働ける時間帯等でふるいにかけない「選ばない採用」を行っています。多様な人材を適材適所に配置し、独自の教育体制と成果に報いる評価体系により、誰もが活躍できる働きがいのある職場環境を構築しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 35.3歳 7.4年 5,013,001円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 10.0%
男性育児休業取得率 64.3%
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規雇用労働者) -
男女賃金差異(パート・有期労働者) -


※同社は公表義務の対象ではないため、有報には男女賃金差異の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 法規制および許認可に関するリスク

人材派遣事業や有料職業紹介事業において、労働者派遣法や職業安定法などの許認可を受けて事業を展開しています。また、各種消費者保護法令の規制も受けており、これら法令の予期せぬ変更や、違反による許認可の取消等が生じた場合、同社の事業継続や業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(2) 人材確保と人件費高騰のリスク

コンタクトセンターやBPOセンターの運営には多数のコミュニケーターが必要です。独自の採用活動で人員確保に努めていますが、少子高齢化や景気動向により十分な人材を確保できない場合や、労働関係法令の改正等により人件費が高騰した場合、同社グループの財政状態に影響を与える可能性があります。

(3) 情報システム障害および情報漏洩のリスク

業務の大半をコール業務管理などの情報システムに依存しています。サイバー攻撃やプログラムの不具合によりシステム障害が生じた場合、業務が停止するおそれがあります。また、顧客の大切な個人情報が漏洩した場合には、社会的信用の失墜を招き、業績に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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