※本記事は、株式会社ヤプリ の有価証券報告書(2025年12月期、2025年1月1日 ~ 2025年12月31日、2026年3月30日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
ヤプリは、ノーコードでネイティブアプリの開発・運用が可能なクラウド型アプリ運営プラットフォームを中核に、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援しています。顧客体験や従業員体験を支援するプラットフォームを提供しています。
単体従業員数は290名、連結従業員数は294名です。同社グループの事業はアプリ運営プラットフォーム事業の単一セグメントとなっています。
2025年11月には株式会社ヤプリフードコネクトを子会社化し、LINEミニアプリ市場へ本格参入しました。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
株式会社ヤプリは、従業員一人ひとりの成長と能力発揮を重視し、多様な働き方を推進する環境づくりに注力しています。給与水準は業界や事業特性に応じたものとなっており、従業員が個性を最大限に活かせるような制度や施策が展開されています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均年齢が比較的若く、勤続年数も短めであることから、活発な組織であることがうかがえます。新しい人材が継続的に加わり、組織が常に変化・成長している傾向が見られます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,047,000円 |
| 平均勤続年数 | 3.8年 |
| 平均年齢 | 35.5歳 |
| 単体従業員数 | 290人 |
| 連結従業員数 | 294人 |
| 単体のグループ内比率 | 98.6% |
退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは「デジタルを簡単に、社会を豊かに」をミッションに掲げ、持続的な企業価値向上のためには従業員一人ひとりの創造性発揮が不可欠と考えています。そのため、従業員を重要な資本と捉え、成長と能力発揮を支援するとともに、多様な働き方やダイバーシティの促進に取り組んでいます。
具体的には、カルチャー醸成・人材交流、多様性、マネジメント育成、人材育成、人材採用、出社を促進するオフィス環境作り、健康と安全を重点テーマとしています。コミュニケーション活性化のための各種イベントや社内向けアプリの推進、部活動制度、シャッフルランチなどを通じて、部門を超えた交流を促進しています。
また、年齢、性別、人種、障害等に捉われない雇用を推進し、妊活/不妊治療費の補助、結婚休暇・祝い金、保活コンサル費用補助など、ライフステージの変化をサポートする制度も充実させています。マネジメント層には外部有識者による研修やコーチング、フィードバック、1on1研修を強化し、新入社員向けのオンボーディングプログラムやメンター制度、専門性向上のための各種研修プログラムも提供しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。基準日は2025年12月31日です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 28.1% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 74.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 76.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 99.0% |
多様性・登用
なお、同社は本指標に関する具体的な目標は定めていませんが、常にモニタリングし改善に努めています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 28.1% |
| 正社員の男女の賃金の差異 | 76.2% |
| 従業員の女性比率 | 41.4% |
育児・介護支援
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
人材育成・エンゲージメント
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| eNPS | △14.29 |
| 退職率 | 9.0% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
株式会社ヤプリは、ノーコードでアプリ開発・運用が可能なプラットフォームを中核に、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援する事業を展開しています。顧客体験と従業員体験の向上をサポートし、多様なデジタル接点の構築を支援しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、「デジタルを簡単に、社会を豊かに」というミッションのもと、ノーコードでネイティブアプリの開発・運用ができるクラウド型プラットフォーム「Yappli」を提供しています。このプラットフォームは、企業の顧客体験(マーケティング領域)と従業員体験(HR領域)の双方を支援するものです。
主力プロダクトである「Yappli」は、アプリ開発の専門知識がなくてもiOSおよびAndroidのネイティブアプリを開発・管理・運営できることが特徴です。プッシュ通知、会員証・ポイント管理、コンテンツ管理、アクセス分析といった多様な機能を提供しています。
収益モデルはサブスクリプション型を基本としており、主な収益源は基本利用料と追加機能のオプション料金です。契約数の増加やオプション機能の利用拡大、低い解約率の維持によって収益が積み上がる構造となっています。
提供ソリューションは、顧客向けの公式アプリを支援する「マーケティング領域」、従業員向けの社内アプリを支援する「HR領域」、取引先向けのポータルアプリを支援する「BtoB領域」など多岐にわたります。アパレル、小売、飲食、人材、製造業など幅広い業界で導入されています。
また、同社グループはマルチプロダクト戦略を推進しており、アプリだけでなくウェブやLINEミニアプリを含む多様なデジタル接点を包括的に支援するデジタルエクスペリエンスプラットフォーム(DXP)への進化を目指しています。2025年5月にはAIとノーコード技術を活用したウェブ構築プラットフォーム「Yappli WebX」の提供を開始しました。さらに、2026年2月にはLINEミニアプリをノーコードで開発・運用できる「Yappli MiniApp」と、飲食店向けモバイルオーダー機能を提供する「Yappli MobileOrder」の提供を開始する予定です。
同社グループの売上高は、主に「プラットフォーム売上」と「プロフェッショナルサービス売上」から構成されています。プラットフォーム売上は月額利用料などのストック売上であり、同社グループの売上高の大部分を占める安定的な収益基盤です。プロフェッショナルサービス売上は、アプリやウェブサイトの初期制作支援や、契約後の運用・マーケティング施策支援といったフロー売上であり、プラットフォーム売上の拡大を補完する役割を担っています。
同社グループはアプリ運営プラットフォーム事業の単一セグメントであり、海外の外部顧客への売上高はありません。また、特定の販売先への売上高が総販売実績の10%以上を占める相手先もありません。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループは当連結会計年度より連結財務諸表を作成しており、それ以前の連結経営指標は開示されていません。当連結会計年度の業績は、売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益ともに数値が示されています。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | - | - | - | - | 60.6億円 |
| 経常利益 | - | - | - | - | 8.8億円 |
| 経常利益率 | - | - | - | - | 14.5% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | - | - | - | - | 9.2億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | - | - | - | - | 71.90 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高と営業利益は、当連結会計年度の数値が示されています。これらの指標は、組織全体の効率性や収益創出能力を示すものとなります。
| 指標 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | - | 20.6百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | - | 3.0百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務状況は、自己資本の厚みと手元資金の潤沢さから、安定した基盤を築いていることがうかがえます。本業で生み出した資金を将来の成長投資に回しつつ、財務の健全性も維持している状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、高い自己資本比率と十分な手元資金によって安定している状況です。自己資本比率はプライム市場の平均と比較しても高い水準にあり、強固な経営基盤を示しています。ROE(自己資本利益率)も高い水準で推移しており、効率的な資本活用ができていることがうかがえます。手元資金も潤沢に確保されており、不測の事態や将来の事業展開に対する耐性があると考えられます。
| 指標 | 2025年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 21.9億円 | 29.6億円 |
| 自己資本比率 | - | 59.5% |
| ROE(自己資本利益率) | - | 37.4% |
| 現金及び預金 | 19.6億円 | 22.0億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、本業で安定的に資金を生み出し、それを成長のための投資に充てている状況を示しています。営業活動によるキャッシュフローは7.8億円のプラスとなっており、税金等調整前当期純利益の計上や未払金の増加が主な要因です。これは、同社グループが事業を通じて着実に資金を獲得していることを意味します。
投資活動によるキャッシュフローは△87百万円のマイナスとなっており、主に子会社株式の取得や投資有価証券の取得による支出が要因です。これは、同社グループが将来の成長に向けた戦略的な投資を行っていることを示しています。財務活動によるキャッシュフローは△4.5億円のマイナスで、長期借入金の返済や自己株式の取得による支出が主な要因です。
結果として、フリーキャッシュフローは6.9億円のプラスとなっており、本業で生み出した資金が投資を上回り、自由に使える資金が確保されている状態です。このキャッシュフローの状況は、同社グループが安定した事業運営を継続しつつ、将来の成長に向けた投資もバランス良く行っていることを示しており、雇用や給与の安定性にもつながる基盤があると考えられます。
| 項目 | 2025年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | - | 7.8億円 |
| 投資CF | - | △87百万円 |
| 財務CF | - | △4.5億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | - | 6.9億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループが事業を展開する国内モバイルアプリ市場の拡大が鈍化または縮小する可能性があり、経営成績に影響を及ぼすリスクがあります。
また、同社グループはアプリ運営プラットフォーム事業の単一セグメントであるため、市場の変化の影響を受けやすい事業構造となっています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループが今後成長を続けるためには、優秀な人材の獲得と育成が不可欠であり、これらが円滑に進まない場合、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
ヤプリは「デジタルを簡単に、社会を豊かに」というミッションを掲げ、企業のデジタル活用を強力に支援する事業を展開しています。持続可能な社会の実現と企業価値向上を目指し、事業を通じた社会貢献を重視する企業です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
ヤプリは「デジタルを簡単に、社会を豊かに」というミッションのもと、企業のデジタル活用を強力に支援することを経営の基本方針としています。主力プロダクトであるノーコードアプリプラットフォーム「Yappli」を中核に、マルチプロダクトの展開を積極的に推進しています。
アプリ・ウェブ・LINEといった多様なデジタルチャネルを統合管理する「デジタルエクスペリエンスプラットフォーム(DXP)」の実現を目指しています。今後も自社開発による機能拡張に加え、M&A等も活用しながらDXPのさらなる推進を図る方針です。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、ミッションやサステナビリティに関する基本方針に基づき、中長期的な企業価値向上を目指した経営を推進しています。従業員一人ひとりを重要な資本と捉え、その成長と能力発揮を支援することを重視しています。
多様な働き方の推進やダイバーシティの促進に取り組み、各々が個性や能力を最大限に活かせる環境づくりに注力しています。コミュニケーション活性化のため、各種イベントや社内向けアプリ「Yappli Hang Out」、部活動制度などを実施しています。
年齢、性別、人種、障害等に捉われない雇用や、ライフステージの変化による不安を解消するサポートも行っています。出社を促進するオフィス環境作りにも力を入れ、一体感と仕事のスピード・品質向上を目指しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、持続的な成長と企業価値の向上に向けて、人材の確保・育成および組織基盤の強化を優先的に取り組むべき課題と認識しています。優秀な人材の確保および育成が重要であるとし、採用活動の強化に加え、教育研修の充実やリーダーシップ開発を通じて組織能力の向上を図る方針です。
また、事業規模の拡大に対応した組織体制の整備や働きやすい環境の構築を推進し、生産性の向上と人材の定着を図ることを目指しています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
同社は監査役会設置会社であり、取締役会と監査役会が経営の意思決定と監督を担う体制を構築しています。社外役員が経営に助言や監視を行うことで、透明性の高いガバナンスを目指しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の株主構成を見ると、代表取締役社長CEOである庵原保文氏と取締役である佐野将史氏がそれぞれ筆頭株主として名を連ねています。創業者が上位株主として同社を支える資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 庵原 保文 | 16.18% |
| 佐野 将史 | 16.18% |
| 黒田 真澄 | 5.09% |
| 木下 圭一郎 | 2.72% |
| SBI証券 | 2.19% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は7名(男性4名・女性3名)で構成され、女性役員比率は42.9%です。代表取締役社長CEOは庵原保文氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 庵原 保文 | 代表取締役社長CEO | 2001年4月トランスワールドジャパン株式会社入社、2006年2月ヤフー株式会社入社、2013年2月同社設立 代表取締役社長CEO就任より現職。 |
| 佐野 将史 | 取締役 | 2008年4月ヤフー株式会社入社、2013年2月同社設立 取締役CTO就任、2022年1月同社取締役就任より現職。 |
| 佐藤 源紀 | 取締役執行役員CTO 開発統括本部長兼システム本部長 | 2010年4月株式会社ディー・エヌ・エー入社、2018年6月同社入社、2023年3月同社取締役就任より現職。 |
社外取締役は、奥本直子氏(Amber Bridge Partners LLC CEO)です。
同社は監査役会設置会社であり、取締役会は取締役4名(うち社外取締役1名)で構成されています。監査役会は常勤監査役1名、非常勤監査役2名の合計3名(うち社外監査役3名)で構成されており、独立した立場から経営を監査する体制です。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、固定報酬としての基本報酬と、譲渡制限付株式およびストックオプションとしての新株予約権からなる非金銭報酬等で構成されています。社外取締役に対しては、その職務に鑑み基本報酬のみが支払われる仕組みです。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 4名 | 96百万円 | 24.0百万円 |
| 社外役員 | 5名 | 30百万円 | 6.0百万円 |
個人別報酬が開示されている役員はいません。
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