Kaizen Platform 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

Kaizen Platform 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

グロース市場に上場するKaizen Platformは、DX専門人材と独自のクラウド技術を組み合わせた顧客体験の改善支援を主要事業として展開しています。直近の業績は、取引アカウント数の減少等により売上高が前期比微減となる一方、経常利益は黒字転換を果たしており、収益性の改善が進んでいます。


※本記事は、株式会社Kaizen Platformの有価証券報告書(第9期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月30日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。

1. Kaizen Platformってどんな会社?


Kaizen PlatformはDX専門人材とクラウド技術を融合し、顧客体験の改善を通じた企業の事業成長を支援しています。

(1) 会社概要


2013年3月に米国でKAIZEN platform Inc.として設立され、同年8月にサイトソリューション事業を開始しました。2017年4月に現在のKaizen Platformを設立して事業を譲受し、2020年12月に東京証券取引所マザーズへ上場、2022年4月にグロース市場へ移行しました。

従業員数は連結で132名、単体で49名体制で事業を運営しています。大株主の構成を見ると、筆頭株主は創業者である須藤憲司氏であり、第2位と第3位にはSBI証券や楽天証券などの金融商品取引業者が名を連ねています。

氏名 持株比率
須藤憲司 17.83%
SBI証券 12.40%
楽天証券 7.13%

(2) 経営陣


同社の役員は男性4名、女性3名の計7名で構成され、女性役員比率は42.8%です。代表取締役執行役員CEOは須藤憲司氏が務めています。取締役4名のうち、社外取締役の比率は50.0%(2名)です。

氏名 役職 主な経歴
須藤憲司 代表取締役執行役員CEO リクルートを経て2013年に米国で前身企業を設立。2017年より現職。
高﨑一 取締役執行役員CFO リクルート、マクロミル執行役員経営戦略室長等を経て2019年同社入社。2021年より現職。


社外取締役は、杉山全功(元ザッパラス代表取締役社長)、杉之原明子(アディッシュ取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「プロフェッショナルセグメント」および「クラウドセグメント」を展開しています。

プロフェッショナルセグメント


コンサルティング、クリエイティブ制作、BPOなどの専門サービスを通じ、企業のDX推進を総合的に支援しています。15,000名を超える専門人材ネットワークから最適なプロジェクトチームを組成し、戦略策定から実行、開発フェーズに至るまでを一気通貫で伴走するソリューションを提供しています。

収益源は、施策実行体制や制作体制などの役務提供に対する業務委託料や制作物の納品に対する対価です。運営は主にKaizen Platformおよび子会社のKaizen Tech Agent、ディーゼロ、米国子会社のKaizen Platform USA, Inc.が行っています。

クラウドセグメント


独自のクラウドサービスを通じ、Webサイトや業務ツール、コミュニケーションプラットフォーム上での顧客体験の最適化を支援しています。既存システムに大幅な改修を加えることなく、タグの設置のみで導入可能な「Kaizen Engine」や生成AI基盤「Kaizen AI Cloud」を提供しています。

収益源は、クラウドサービスや成果報酬型サービスの利用期間および成果の発生に応じて顧客企業から受け取る利用料や成果報酬です。運営は主にKaizen Platformおよび子会社のディーゼロが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5期間の売上高は拡大基調にありましたが、直近は大手顧客への注力により取引アカウント数が減少し、微減収となりました。一方、クロスセルによる顧客単価の向上や生成AIを活用した新サービスの投入等により、経常利益は継続して黒字を確保し、当期純利益も黒字転換を達成するなど収益性の改善が進んでいます。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 23億円 27億円 43億円 45億円 44億円
経常利益 -0.3億円 -1.3億円 0.1億円 0.1億円 0.4億円
利益率(%) -1.1% -4.8% 0.3% 0.1% 0.9%
当期利益(親会社所有者帰属) -1.3億円 -2.6億円 -0.3億円 -1.3億円 0.5億円

(2) 損益計算書


直近2期間を比較すると、売上高は微減したものの、前年度に計上されたソフトウェアの減損に伴う減価償却費の減少などにより売上原価が下がり、売上総利益は増加しています。結果として営業利益も黒字転換を果たしています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 45億円 44億円
売上総利益 14億円 14億円
売上総利益率(%) 30.3% 32.1%
営業利益 -0.3億円 0.3億円
営業利益率(%) -0.6% 0.7%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が4億円(構成比30%)、外注費が1億円(同10%)、役員報酬が1億円(同10%)を占めています。

(3) セグメント収益


プロフェッショナルセグメントは大手顧客への注力に伴う取引アカウント数の減少により減収となりました。一方、クラウドセグメントは顧客単価と取引アカウント数がともに向上し、大幅な増収を達成して全体の業績を支えています。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期)
プロフェッショナル 42億円 39億円
クラウド 3億円 4億円
連結(合計) 45億円 44億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

営業活動によるキャッシュ・フローは、事業活動から生み出される資金の状況を示しています。投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資や有価証券の取得・売却など、将来の成長に向けた資金の動きを表しています。財務活動によるキャッシュ・フローは、借入や返済、配当金の支払いなど、資金調達や返済に関する状況を示しています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 2.2億円 2.9億円
投資CF -1.3億円 -0.2億円
財務CF 1.1億円 -2.0億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「KAIZEN the World 〜なめらかな働き方で世界をカイゼンする〜」をミッションに掲げて事業を展開しています。社会変化に伴い複雑化する企業のDX課題を、多様な能力を持つDX専門人材を結集して解決することを目指しています。既存の制約をデジタル技術で克服し、個人の才能や情熱を解放することで、活気あふれる社会の実現に貢献し続けることを存在意義としています。

(2) 企業文化


同社は創業以来、個人の才能と情熱を解放すべく、デジタルツールを積極的に活用した先進的な働き方を追求してきました。リモートワークや遠隔地勤務を通常の働き方として浸透させ、多様な働き方を受け入れながらも「1on1ミーティング」等で相互理解を深める取り組みを行っています。時間や場所の制約を超えて個人のパフォーマンスを最大限に発揮できる体制と柔軟な企業風土が根付いています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、客観的な経営指標として「取引アカウント数」と1顧客あたりの平均売上金額である「ARPU」の2つを全社KPIに設定し、経営上の目標達成状況を判断しています。規模の大きいクライアントに対するサービス提供を強化し、顧客体験そのものを変革する「攻めのDX」領域において国内主力企業へと成長することを目指しています。

* 取引アカウント数:545件(2025年実績)
* ARPU(年間):7,706千円(2025年実績)

(4) 成長戦略と重点施策


今後の成長に向け、高い成長が見込まれる顧客接点領域のDXソリューションにおいて、大手クライアントへのサービス提供強化とクロスセルを推進し、顧客あたりの取引単価向上を図ります。また、システム改修コストを抑えつつ生成AI機能を導入できるクラウド基盤の整備など、生成AIを活用した新ソリューションの開発・拡充に継続的に投資し、提供価値の最大化と持続的な成長の両立を目指します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社グループは、人的資本を最優先すべき資本と位置づけ、各種制度の整備や多様性の確保に努めています。事業拡大を推進するにあたり、従業員のモチベーションを引き出す目標管理制度や福利厚生などの人事制度の拡充を図りつつ、企業文化や経営方針に共感し、様々な分野で活躍できる優秀な人材の採用・育成に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 41.6歳 4.3年 8,216,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) DX市場の成長と競合環境


同社グループのコアターゲットであるDX市場の顧客接点領域は順調な拡大が見込まれていますが、想定通りに市場が成長しない場合や、新規参入の増加によって競争が激化し、優位性が低下した場合には、事業展開および業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 技術革新への対応遅れ


技術革新のスピードが速い市場において、先進的な技術ノウハウの獲得やエンジニアの採用・育成が計画通りに進まず、システムや人件費などの追加支出が拡大した場合には、サービスの質が低下し競争力を失うリスクがあります。

(3) システムトラブルの発生


インターネットを介したサービス基盤であるため、突発的なアクセスの増加による負荷拡大や自然災害、事故等によって大規模なシステム障害が発生した場合、安定的なサービス提供が困難となり、社会的信用の低下や業績悪化につながる恐れがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。