リベロ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

リベロ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所グロース市場に上場するリベロは、新生活を迎える個人や法人、不動産会社、引越会社向けの移転者サポート事業を主力としています。同プラットフォームを通じたサービス拡充や提携企業数の増加が牽引し、直近の業績は大幅な増収増益を達成しました。今後も新規事業等の展開で持続的な成長を目指しています。


※本記事は、株式会社リベロの有価証券報告書(第17期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. リベロってどんな会社?


リベロは、転居を伴う新生活に必要なサービスをワンストップで提供する移転者サポート事業を展開しています。

(1) 会社概要


2009年に設立され、移転者サポート事業を開始しました。2014年に法人向け「転勤ラクっとNAVI」、2015年に個人向け「引越しラクっとNAVI」、2019年に引越会社向け「HAKOPLA」などサービスを拡充しました。2021年には東京証券取引所マザーズ市場(現グロース市場)へ上場を果たしています。

現在の従業員数は連結で147名、単体で140名体制です。筆頭株主は創業者で代表取締役社長の鹿島秀俊氏であり、第2位も創業メンバーで常務取締役の横川尚佳氏が名を連ねています。第3位には事業会社であるベネフィット・ワンが入っています。

氏名 持株比率
鹿島 秀俊 36.06%
横川 尚佳 25.84%
ベネフィット・ワン 8.58%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性2名の計8名で構成され、女性役員比率は25.0%です。代表取締役社長は鹿島秀俊氏が務めています。

氏名 役職 主な経歴
鹿島 秀俊 代表取締役社長 2007年インクストゥエンター入社。2009年同社創業、専務取締役に就任。2013年代表取締役社長に就任。2018年リベロビジネスサポート代表取締役等を経て現職。
中村 和彦 専務取締役 1979年殖産住宅入社。1993年サン・ステップ入社後、専務取締役等を歴任。日本賃貸住宅管理協会副会長等を経て、2024年同社に入社し専務取締役に就任し現職。
横川 尚佳 常務取締役管理本部長 2007年インクストゥエンター入社。2009年同社創業、常務取締役経営管理本部長に就任。2025年3月より常務取締役管理本部長に就任し現職。
楠 武史 取締役事業本部長 2014年同社に入社し営業本部長に就任。2018年執行役員を経て取締役事業本部長に就任。2019年リベロビジネスサポート代表取締役に就任し現職。


社外取締役は、岡本泰彦(元広島銀行・現ライク会長兼社長グループCEO)です。

2. 事業内容


同社グループは、「移転者サポート事業」の単一セグメントにおいて、主に3つのサービスを展開しています。

(1) 不動産会社向けサービス


不動産仲介店舗で新居を決めた顧客に対して、「新生活ラクっとNAVI」を提供しています。引越しの相見積りやライフライン(電気、ガス、インターネット等)の契約手続きなどをサポートするサービスです。

提携する引越会社やライフライン事業者へ顧客情報を連携し、取次ぎや成約に応じた報酬を受け取ります。一方、不動産会社に対しては紹介手数料を支払う仕組みです。運営は同社が行っています。

(2) 法人企業向けサービス


人事異動に伴う転勤者向けに、「社宅ラクっとNAVI」「ワンコイン転勤社宅」「ヘヤワリ」等を提供しています。部屋探しから引越し手配、ライフライン手続き、社宅管理などを一元管理できるシステムです。

引越代金総額のうち、同社が受け取る手数料などを純額で収益として認識します。社宅管理においては業界最安水準の月額料金等で受託しています。運営は同社およびTANTが行っています。

(3) 引越会社向けサービス


引越会社向けのプラットフォーム「HAKOPLA」や業務基幹システム「HAKO-Tec」等を提供しています。引越案件や空きトラックのマッチング、資材の共同購入を通じて業務効率化やコスト削減を支援します。

プラットフォームを通じたサービス提供やマッチングが成立した時点で収益を認識します。個人向けサービスの「引越しラクっとNAVI」では成果報酬を受け取ります。運営は同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は対象期間を通じて右肩上がりで推移しており、堅調な事業成長を続けています。利益面は一時的に落ち込む時期もありましたが、直近2期間は提携社数の増加や業務効率化の進展により大幅な増益を達成しており、利益率も大きく改善して高い水準を記録しています。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 24億円 26億円 29億円 36億円 44億円
経常利益 3億円 0.8億円 2億円 5億円 8億円
利益率(%) 14.6% 3.1% 6.2% 13.2% 17.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 2億円 0.5億円 1億円 3億円 5億円

(2) 損益計算書


売上高の順調な拡大に伴い、売上総利益および営業利益ともに増加しています。システム投資や事業拡大によるコストは生じていますが、増収効果に加えて業務効率化が進み、営業利益率は上昇傾向にあります。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 36億円 44億円
売上総利益 29億円 31億円
売上総利益率(%) 79.6% 71.8%
営業利益 5億円 8億円
営業利益率(%) 12.7% 17.4%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が7.5億円(構成比31.8%)、業務委託費が4.3億円(同18.1%)を占めています。売上原価は、支払手数料が12.1億円(構成比93.7%)、外注費が0.8億円(同6.3%)を占めています。

(3) セグメント収益


全てのサービスにおいて売上が前期を上回って推移しています。特に不動産会社向けサービスと法人企業向けサービスが売上全体の多くを占め、着実な利用拡大が業績を牽引しています。引越会社向けサービスも業務基幹システムが好調で大きく成長しました。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期)
不動産会社向けサービス 17億円 22億円
法人企業向けサービス 16億円 19億円
引越会社向けサービス 2億円 3億円
連結(合計) 36億円 44億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業活動で得た資金を元に、投資や借入金の返済等を自己資金で賄う「健全型」のキャッシュ・フロー状況です。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 8億円 10億円
投資CF -5億円 -5億円
財務CF 0.2億円 -1億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は21.7%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は35.3%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「困った困ったを、良かった良かったに。」を経営理念として掲げています。「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」の「三方よし」に、新生活にかかわる社会問題の解決を加えた「四方よし」として、新生活を迎える方や送り出す方など関係者全体の課題解決と持続可能な社会の実現を目指しています。

(2) 企業文化


すべての顧客の満足に目を向けた「オールユーザーファースト」という考えのもと、個人・法人にとらわれることなく新生活の課題を解決していく文化があります。新生活の様々な手続きの円滑化や利便性向上、業務効率化などの課題解決を通じて顧客満足度を向上させ、パートナー企業との信頼関係を深めています。

(3) 経営計画・目標


持続的な成長と企業価値向上を目指し、全社的な主要な指標として売上高および営業利益を重視しています。また、事業特有の指標として、転貸戸数および法人企業等の登録数についても主要なKPI(重要業績評価指標)と位置づけ、毎月の開示を通じて進捗状況を管理・共有しています。

(4) 成長戦略と重点施策


既存サービスの利便性向上や外国人就労支援などの新規事業開発を推進します。さらに、システム基盤の構築やエンジニア組織の強化によるデジタル連携を図ることで、引越しワンストップサービス等を推進します。提携企業とのパートナーシップ拡大や顧客基盤の拡充にも注力します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


性別や年齢等を問わず多様な人材が活躍できるよう、公平な能力開発の機会を提供することを目指しています。役割等級制度に基づく評価や5か年計画の共有により、キャリアビジョンを踏まえた人材育成を支援します。また、高度専門人材の育成に向けてCTO職を新設し、技術・研究開発体制の強化を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 36.2歳 5.1年 4,822,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 27.3%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 77.6%
男女賃金差異(正規雇用) 77.3%
男女賃金差異(非正規雇用) 84.8%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有給休暇消化率(正規雇用者)(83.4%)、平均残業時間数(全体)(19.6時間)、退職率(11.1%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 移転者サポート事業における競合激化

同社が事業を展開する引越関連業界において、新規参入等により競争が激化した場合はシェアの獲得に影響を及ぼし、同社グループの財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。

(2) 顧客の個人情報漏洩による信用失墜

各種サービスを通じてユーザーの個人情報を多く取り扱っています。外部からの不正アクセスや関係者の過失等により個人情報が漏洩した場合、損害賠償の発生や信用失墜につながるリスクがあります。

(3) 関連法令の規制適用や許認可の取消

事業内容に応じて宅地建物取引業法や賃貸住宅管理業法など多くの法的規制を受けています。将来、法令違反などで許認可が取り消された場合、事業活動に支障を来す可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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