リベロ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

リベロ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

リベロは東京証券取引所グロース市場に上場しており、引越しやライフライン手続き等の移転者サポート事業を主力としています。個人、法人、不動産、引越事業者向けにプラットフォームを提供し、直近の業績は売上高44億円、営業利益8億円と増収増益で好調に推移しています。独自のサービス網で新生活関連の課題解決を目指す企業です。


※本記事は、リベロの有価証券報告書(第17期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. リベロってどんな会社?


移転者サポート事業を通じ、新生活に関する様々な課題をワンストップで解決するプラットフォーム企業です。

(1) 会社概要


2009年にインクストゥエンターの子会社として設立され、同年に移転者サポート事業を譲受しました。2011年に独立を果たし、その後「社宅ラクっとNAVI」「引越しラクっとNAVI」等のサービスを開始しました。2021年に東京証券取引所マザーズへ上場し、現在はグロース市場へ移行しています。

従業員数は連結で147名、単体で140名です。筆頭株主は創業者の鹿島秀俊氏で、第2位は役員の横川尚佳氏、第3位は事業会社のベネフィット・ワンとなっています。

氏名 持株比率
鹿島秀俊 36.06%
横川尚佳 25.84%
ベネフィット・ワン 8.58%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性2名の計8名で構成され、女性役員比率は25.0%です。代表取締役社長は鹿島秀俊氏です。社外取締役比率は20.0%です。

氏名 役職 主な経歴
鹿島秀俊 代表取締役社長 2007年5月 インクストゥエンター入社。2009年5月 同社創業、専務取締役。2013年1月 同社代表取締役社長に就任し現職。
中村和彦 専務取締役 1979年4月 殖産住宅入社。2024年2月 同社入社、同年3月より専務取締役に就任し現職。
横川尚佳 常務取締役管理本部長 2007年5月 インクストゥエンター入社。2009年5月 同社創業。2025年3月より常務取締役管理本部長に就任し現職。
楠武史 取締役事業本部長 2014年1月 同社入社。2018年12月より取締役事業本部長に就任し現職。


社外取締役は、岡本泰彦(ライク代表取締役会長兼社長グループCEO)です。

2. 事業内容


同社グループは、「移転者サポート事業」の単一セグメントで事業を展開しています。

(1) 不動産会社向けサービス


不動産仲介店舗で新居を決めた個人に対して、引越し相見積りやライフラインの手配サポートを提供します。不動産事業者からの依頼に基づき、新生活に必要な各種手続きを円滑化し、顧客の利便性向上や業務効率化を支援しています。

同社は提携する引越会社やライフライン事業者へ顧客情報を連携し、取次ぎや成約に対する報酬を受け取る一方、不動産会社へは紹介手数料を支払います。運営は同社が行っています。

(2) 法人企業向けサービス


転勤が発生する企業の総務人事担当者や従業員向けに、部屋探し、引越し手配、社宅管理等をワンストップで提供します。また、福利厚生として家賃割引を受けられるサービスなども展開しています。

同社のクラウドシステムを通じてサービスを無料で提供し、成約時に新生活関連事業者から成果報酬を受け取ります。社宅管理のアウトソース費用等も収益源であり、運営は同社やTANTが行っています。

(3) 引越会社向けサービス


引越事業者同士のマッチングによるプラットフォームや、引越業務の一元管理が可能なクラウド型業務基幹システムを提供しています。案件や空きトラックのマッチングを通じて引越会社のコスト削減や利益率向上を支援します。

プラットフォーム利用によるマッチングサービスや業務基幹システムの提供により収益を得ています。また、引越し資材への広告掲載サービスも展開しており、運営は同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績を見ると、売上高は継続的な成長を遂げており、特に直近の事業年度では法人企業や不動産事業者向けのサービス利用が拡大し、大幅な増収となっています。利益面でも、コールセンター業務の生産性向上や一過性費用の減少が寄与し、利益率が大きく改善して力強い増益傾向を示しています。

項目 21年12月期 22年12月期 23年12月期 24年12月期 25年12月期
売上高 24億円 26億円 29億円 36億円 44億円
経常利益 3億円 0.8億円 2億円 5億円 8億円
利益率(%) 14.6% 3.1% 6.2% 13.2% 17.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 2億円 0.5億円 1億円 3億円 5億円

(2) 損益計算書


事業拡大に伴い売上高が大きく伸びていますが、それに伴い売上原価も増加したことで売上総利益率は低下しています。一方で、業務の効率化によって販管費の抑制が進んだため、営業利益率は上昇し、効率的な収益確保が進んでいます。

項目 24年12月期 25年12月期
売上高 36億円 44億円
売上総利益 29億円 31億円
売上総利益率(%) 79.6% 71.8%
営業利益 5億円 8億円
営業利益率(%) 12.7% 17.4%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が8億円(構成比32%)、業務委託費が4億円(同18%)を占めています。売上原価の内訳(単体ベース)としては、支払手数料が12億円(構成比94%)、外注費が1億円(同6%)を占めています。

(3) セグメント収益


同社は移転者サポート事業の単一セグメントですが、サービス別の収益規模を見ると、不動産会社向けと法人企業向けが売上の柱となっています。いずれのサービスも提携先や利用者の増加により好調に推移しており、特に不動産会社向けと引越会社向けのサービスが大きく伸長して全体の増収を牽引しました。

区分 売上(24年12月期) 売上(25年12月期)
不動産会社向けサービス 17億円 22億円
法人企業向けサービス 16億円 19億円
引越会社向けサービス 2億円 3億円
連結(合計) 36億円 44億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う状態です。企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は21.7%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は35.3%で市場平均を下回っています。

項目 24年12月期 25年12月期
営業CF 8億円 10億円
投資CF -5億円 -5億円
財務CF 0.2億円 -1億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「困った困ったを、良かった良かったに。」を経営理念として掲げています。新生活を迎える方、送り出す方、そして新生活に必要なサービスを提供する方それぞれの課題解決に貢献することをミッションとしています。「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」に、社会課題の解決を加えた「四方よし」の精神で、持続可能な社会の実現を目指しています。

(2) 企業文化


すべての顧客の満足に目を向けた「オールユーザーファースト」という価値観を重視しています。特定のサービスを押し付けるのではなく、サービス利用者の立場に立って最適な選択肢を提供する姿勢を貫いています。また、パートナー企業とともに業界全体の課題解決に取り組むなど、共創を重んじる文化を持っています。

(3) 経営計画・目標


持続的な成長と企業価値向上を目指しており、全社的な主要な指標として売上高および営業利益を重視しています。また、転貸戸数や法人企業等の登録数も主要なKPI(重要業績評価指標)と位置付け、毎月開示を行うことで透明性の高い経営を行っています。

(4) 成長戦略と重点施策


既存サービスの利便性向上やデジタル連携の推進に加え、生成AIやデータ活用による事業基盤の強化を重点施策としています。
・不動産事業者や法人企業等とのパートナーシップ拡大による顧客基盤の拡充
・従業員個人が利用可能な家賃割引サービス等のクラウド賃貸契約サービスの展開
・引越事業者間のマッチングによるプラットフォーム価値の向上
・データベースを活用した新規事業および新サービスの開発

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


事業拡大と企業価値の向上に向けて、優秀な人材の確保と育成を重要課題と位置付けています。性別や年齢に関わらず多様な人材が活躍できるよう、公平な能力開発の機会を提供しています。また、役割等級制度に基づく人事評価や、技術戦略強化のためのCTO職新設など、専門人材の育成や組織体制の整備を進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
25年12月期 36.2歳 5.1年 4,822,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 27.3%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 77.6%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 77.3%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 84.8%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有給休暇消化率(正規雇用者)(83.4%)、有給休暇消化率(非正規雇用者)(97.3%)、退職率(11.1%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経済情勢や人事異動動向への依存


同社の移転者サポート事業は、法人企業の転勤や個人の引越し需要に大きく依存しています。日本国内の世帯数減少や、景気後退に伴う法人の人事異動方針の変更、働き方改革による転勤の減少などが発生した場合、サポート件数が減少し、同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 競合他社との競争激化


引越関連業界には類似のビジネスを展開する企業が存在します。同社は新生活関連事業者との幅広いネットワークにより優位性を確保していますが、今後十分な差別化が図れない場合や、新規参入によって市場競争が激化した場合には、シェアの低下や収益性の悪化を招くリスクがあります。

(3) 特定の販売先への依存


同社の売上高のうち、大手インターネットサービスプロバイダやコールセンター代行事業者などの特定取引先が占める割合が高い状況にあります。これらの企業とは良好な関係を築いていますが、双方の合意や解約通知等によって継続的取引が維持されなくなった場合、業績に直接的な影響を及ぼす可能性があります。

(4) システム障害と情報セキュリティ


サービスをインターネット上で提供しているため、アクセス数の急増やサイバー攻撃、人的ミス等によるシステム障害が発生した場合、事業活動に支障を来す恐れがあります。また、多数の個人情報を扱っているため、万一情報漏洩事故等が発生した場合には、損害賠償や社会的信用の失墜につながるリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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