プロジェクトホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

プロジェクトホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所(グロース)に上場し、デジタルトランスフォーメーション事業やDX×テクノロジー事業を展開しています。企業のDX推進やシステム開発を支援し、当期は主力事業の堅調な推移や社内稼働の適正化等による収益性改善施策が奏功して増収となり、各利益項目が黒字転換を果たすなど好調な業績トレンドを示しています。


※本記事は、株式会社プロジェクトホールディングス の有価証券報告書(第10期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. プロジェクトホールディングスってどんな会社?


企業のDX推進やコンサルティング、システム開発などを一貫して支援する事業を展開しています。

(1) 会社概要


2016年にプロジェクトカンパニーとして設立され、新規事業やメディアへのコンサルティング事業を開始しました。2021年に東京証券取引所マザーズ市場へ上場を果たしています。その後、M&Aを通じてシステム開発などのSES事業や産業医紹介などのヘルスケア事業へと領域を拡大し、2024年に持株会社体制へ移行して現在のプロジェクトホールディングスに社名を変更しました。

同社グループは連結で350名、単体で30名の従業員を擁しています。大株主の構成を見ると、筆頭株主は資本業務提携先であるSBIホールディングスで、第2位には創業者の土井悠之介氏が名を連ねています。また、第3位にはDY投資事業有限責任組合1号が入っており、事業会社と創業者ファンドが上位を占める構成となっています。

氏名 持株比率
SBIホールディングス 29.89%
土井悠之介 16.18%
DY投資事業有限責任組合1号 15.76%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性2名の計7名で構成され、女性役員比率は28.6%です。代表取締役社長執行役員CEOは土井悠之介氏です。社外取締役比率は71.4%です。

氏名 役職 主な経歴
土井悠之介 代表取締役社長執行役員CEO 2014年スカイライトコンサルティング入社。2016年同社を設立し代表取締役社長に就任。2024年より現職。
松村諒 取締役執行役員CFO 2014年みずほ銀行入行。同社専務取締役、取締役常務執行役員CFOなどを経て、2025年より現職。


社外取締役は、柳沢和正(合同会社ロゴス・パートナーズ代表社員等)、結城愛子(元エヌ・ティ・ティ・データ)、橋口晶子(橋口公認会計士事務所代表等)、桃崎有治(桃崎有治公認会計士事務所代表等)、川添丈(表参道総合法律事務所代表等)です。

2. 事業内容


同社グループは、「デジタルトランスフォーメーション事業」「DX×テクノロジー事業」「DX×HR事業」の事業を展開しています。

デジタルトランスフォーメーション事業


同事業では、主に部課長といったミドル層に対してDXを通じた新規事業開発や既存事業変革、業務改善の実行を支援するコンサルティングサービスを提供しています。あわせて、スマートフォンアプリなどのサービス体験を改善・設計するUIscopeサービスも展開し、大企業のミドル層が抱える課題をトータルにサポートしています。

収益源は、顧客企業からのコンサルティング報酬やユーザビリティテストの実施対価などです。新規事業のスキーム検討からAI利活用の推進支援まで幅広い領域をカバーしており、運営は主にプロジェクトカンパニーが行っています。

DX×テクノロジー事業


同事業では、IT企業などを主な顧客として、プログラミングスキルを有するエンジニア人材が顧客企業に常駐して業務を支援するテクノロジーサービスを提供しています。システム開発や運用保守、ソフトウェアテストなどの工程において、現場に密着した技術的サポートを行っています。

収益源は、エンジニア人材の常駐や役務提供に伴って顧客企業から支払われるシステム開発・保守費用です。デジタルトランスフォーメーション事業の新規事業開発案件における下流工程を担うなど、グループ内でのシナジーも創出しており、運営はアルトワイズが行っています。

DX×HR事業


同事業では、企業の人事労務部門を主な顧客とし、従業員の健康やメンタルヘルスケアを支援するヘルスケアサービスを提供しています。産業医紹介サービス「産業医コンシェルジュ」を主軸に、専門資格を有する保健師を企業に派遣して健康経営に関する課題解決をサポートしています。

収益源は、法人顧客からの産業医紹介手数料や保健師によるコンサルティング報酬などです。ストレスチェック制度の義務化や働き方改革、テレワークの普及といった社会的背景を追い風に展開しており、運営はDr.健康経営が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2022年12月期から2025年12月期までの期間において、売上高は44億円から55億円へと拡大基調にあります。利益面では2024年12月期に一時的な損失を計上したものの、当期は社内コンサルタントの稼働適正化や外注比率の低減といった収益性改善施策が実を結び、営業利益の黒字転換を果たしています。

項目 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 44億円 63億円 53億円 55億円
経常利益 9億円 8億円 -2億円 1億円
利益率(%) 21.8% 13.2% -4.3% 2.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 6億円 5億円 -2億円 1億円

(2) 損益計算書


売上高の成長に伴い、売上総利益も順調に増加して売上総利益率は33.3%から36.1%へと改善しています。プロジェクトマネジメントの標準化や品質管理の徹底などにより、営業利益率も2.8%とプラスに転じており、利益体質への転換が進んでいます。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 53億円 55億円
売上総利益 18億円 20億円
売上総利益率(%) 33.3% 36.1%
営業利益 -2億円 2億円
営業利益率(%) -3.6% 2.8%


販売費及び一般管理費のうち、地代家賃が3億円(構成比19%)、給料手当が3億円(同16%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力のデジタルトランスフォーメーション事業は、既存クライアントにおける支援需要が堅調に推移し、安定した売上を維持しています。DX×テクノロジー事業もエンジニア採用の好調等により大きく増収となりました。一方、DX×HR事業は一部子会社の株式譲渡による連結除外の影響で減収となっています。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期)
デジタルトランスフォーメーション事業 40億円 40億円
DX×テクノロジー事業 10億円 13億円
DX×HR事業 3億円 2億円
連結(合計) 53億円 55億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業活動で得た資金と敷金回収などの投資活動による収入を合わせ、借入金の返済などの財務活動に充てる「改善型」のキャッシュ・フロー構造となっています。営業利益の黒字転換等により営業キャッシュ・フローが大幅なプラスに転じています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF -1億円 6億円
投資CF 0.1億円 0.4億円
財務CF -0.2億円 -11億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.6%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は48.6%で、いずれも市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは「プロジェクト型社会の創出」をミッションに掲げています。日本企業が旧来型の縦割り・上意下達のタスク型の組織構造を脱却し、自らの力でプロジェクトを推進できる人材がミッションに基づいて結集する「プロジェクト型」の体制に変革していくことで、日本社会が活力を取り戻すことを目指しています。

(2) 企業文化


企業理念(Mission・Vision・Values)に準じた行動規範「PHD Professional Ism」を言語化・体系化しています。社会や顧客の課題を設定し生み出す力を育む環境、チャレンジを尊重する環境、オープンでフラットな組織などをHRポリシーとして掲げ、当事者意識を持った人材の輩出を重視しています。

(3) 経営計画・目標


中核事業であるデジタルトランスフォーメーション事業において、以下のような2026年12月期の目標を掲げています。

・期末従業員数:約226名
・新卒・中途採用数:約68名
・従業員離職率:約11%
・期末マネージャー数:約35名

(4) 成長戦略と重点施策


「次世代を率いるプロフェッショナル人材の輩出」という人材育成を目指すHR戦略と、「日本企業を変革する多様なソリューションの提供」という事業開発を目指す事業戦略の両面でアプローチしています。専門領域での支援を行うことで顧客の潜在的ニーズを検知し、スケーラビリティの高いソリューションを開発・提供することに注力しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「コンサル×事業開発」人材を競争力の源泉と捉え、多様で優秀な人材を確保・育成する方針です。人事評価・給与テーブルの改善、社内公募制度の導入、フレックスタイム制の活用など、組織としての育成ケイパビリティ向上とキャリア構築の支援に向けた社内環境の整備を重点的に進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 33.3歳 2.1年 6,656,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 57.1%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規雇用) -
男女賃金差異(パート・有期) -


※同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には男性育児休業取得率や男女賃金差異の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 他社との競合


DX市場への新規参入企業が増加する中、提供サービスの十分な差別化が行えなかった場合や競争が激化した場合に業績に影響を及ぼす可能性があります。同社はサービス多角化によるポートフォリオ構築や人員配置転換等でリスク軽減を図っています。

(2) 技術革新への対応


生成AIをはじめとする急速な技術変化に伴い、新技術への対応が遅れた場合やコンサルティングサービスの代替が起こった場合、競争力が低下するリスクがあります。最新技術を適切に活用できる人材の獲得・育成を進めています。

(3) 人材の確保、育成


高い専門性を持つ優秀な人材の確保と定着が重要課題です。採用基準を満たす人材を十分に確保できない場合や、離職率が高止まりした場合には、従業員数などの重要KPIが未達となり、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(4) 販売先への依存


当期のデジタルトランスフォーメーション事業において、NTTデータグループやSBIホールディングスグループに対する売上割合が高くなっています。各社の方針変更等で売上が大幅に減少した場合、業績に影響を及ぼすリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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