ユニソルホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ユニソルホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所プライム市場に上場するユニソルホールディングスは、機械工具や鉄骨建築関連資材、建設機械、セキュリティシステムの販売等を展開する企業です。直近の業績は、自動車や半導体向けの設備投資減少などの影響を受け、売上高が1,590億円、経常利益が42億円となり、減収減益となっています。


※本記事は、ユニソルホールディングス株式会社の有価証券報告書(第5期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ユニソルホールディングスってどんな会社?


機械・工具、建設資材、建設機械などの卸売・直販を展開する専門商社グループです。

(1) 会社概要


同社は1959年設立のフルサト工業と、1946年設立のマルカを起源とします。2021年に両社が共同株式移転によりフルサト・マルカホールディングスを設立し、東京証券取引所市場第一部に上場しました。2025年には管理部門を統合したUNISOLビジネスパートナーズを設立し、2026年に現在のユニソルホールディングスへ商号変更しました。

現在の従業員数は連結で1,966名、単体で51名となっています。筆頭株主は資産管理等を行うエフアールテイで、第2位は投資ファンドであるTHE SFP VALUE REALIZATION MASTER FUND LTD.、第3位は信託業務を行う日本マスタートラスト信託銀行となっています。

氏名 持株比率
エフアールテイ 13.17%
THE SFP VALUE REALIZATION MASTER FUND LTD. 12.03%
日本マスタートラスト信託銀行(その他信託口) 5.43%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役社長は古里龍平氏です。社外取締役は5名です。

氏名 役職 主な経歴
飯田邦彦 代表取締役会長 1980年マルカキカイに入社し最高財務責任者や代表取締役社長を歴任。2021年より同社代表取締役会長に就任し2026年よりユニソルの代表取締役会長を兼任。
古里龍平 代表取締役社長 1985年フルサト工業に入社し代表取締役社長を歴任。2021年より同社代表取締役社長に就任し2026年よりフルサト工業の代表取締役会長を兼任。
山下勝弘 取締役(専務執行役員) 1991年三和銀行に入行。メリルリンチ日本証券を経て2015年にフルサト工業に入社。2021年より同社取締役専務執行役員に就任し2026年よりユニソルの取締役専務執行役員を兼任。
大西聡 取締役(常勤監査等委員) 1979年三和銀行に入行。2008年フルサト工業に入社し取締役管理本部長などを歴任。2021年より同社常勤監査役を務め2025年より取締役常勤監査等委員に就任。


社外取締役は、中務裕之(中務公認会計士・税理士事務所代表)、武智順子(弁護士法人御堂筋法律事務所社員)、高橋尚男(元本田技研工業常務執行役員)、疋田鏡子(疋田公認会計士事務所所長)、佐々木康夫(元フタバ産業代表取締役専務執行役員)です。

2. 事業内容


同社グループは、機械・工具、建設資材、建設機械、IoTソリューションの各事業を展開しています。

(1) 機械・工具セグメント


工作機械、鍛圧機械、射出成型機、ロボットなどの産業機械とその周辺装置、および中小型の機器、工具、消耗品等の卸売や直販を行っています。国内外の製造業が主な顧客となっています。

顧客への製品の直販や卸売による販売代金、およびエンジニアリングなどのサービス提供から収益を得ています。運営は主にユニソルや岐阜商事、国内外の現地法人などが担当しています。

(2) 建設資材セグメント


鉄骨建築業者向けの鋲螺類や金物類、溶接・塗装関連資材、およびプラント配管業者向けの管工機材などの直販、システムキッチン等の住宅設備の卸売を行っています。ターンバックルブレース等の自社製造も手掛けています。

建設資材や住宅設備機器の販売代金から収益を得ています。運営は主にフルサト工業が担当しています。

(3) 建設機械セグメント


クレーン、掘削機械、高所作業車等の建設機械やその周辺装置の販売とレンタル、およびオペレーター付レンタルサービスを建設業者向けに提供しています。

建設機械の販売代金およびレンタル利用料、付帯するオペレーターサービス料から収益を得ています。運営は主にマルカやジャパンレンタルなどが担当しています。

(4) IoTソリューションセグメント


監視カメラシステムや防犯システム等のシステム導入・機器販売、および入退室管理などのアクセスコントロールシステムを用いたストック型サービスを提供しています。

セキュリティ機器の販売・システム導入代金や、継続的なサービス利用に伴う利用料から収益を得ています。運営は主にセキュリティデザインが担当しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績を見ると、経営統合後の2022年12月期に売上が大きく伸長しましたが、その後は設備投資需要の減少や建設分野の市況悪化などの影響を受け、直近の2025年12月期は減収減益となっています。利益率も低下傾向にあり、収益性の改善が課題となっています。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 743億円 1,624億円 1,730億円 1,617億円 1,590億円
経常利益 20億円 71億円 67億円 47億円 42億円
利益率(%) 2.7% 4.3% 3.8% 2.9% 2.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 10億円 45億円 47億円 46億円 19億円

(2) 損益計算書


直近2期間の比較では、売上高が微減となった一方で、売上総利益率は改善しています。しかし、販売費及び一般管理費が増加したことにより、営業利益および営業利益率は低下しています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 1,617億円 1,590億円
売上総利益 257億円 262億円
売上総利益率(%) 15.9% 16.5%
営業利益 39億円 34億円
営業利益率(%) 2.4% 2.1%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給与が101億円(構成比44%)、荷造運賃費が16億円(同7%)を占めています。また、売上原価は1,329億円であり、売上高に対する構成比は84%となっています。

(3) セグメント収益


セグメント別の売上高を見ると、機械・工具セグメントが最も大きな割合を占めており、直近でも微増と堅調に推移しています。一方で建設資材セグメントは建設業の工期延長などの影響を受けて減収となりました。IoTソリューションセグメントはプロジェクト案件の受注により増収となっています。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期)
機械・工具 1,048億円 1,049億円
建設資材 449億円 421億円
建設機械 84億円 82億円
IoTソリューション 36億円 39億円
連結(合計) 1,617億円 1,590億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローは、本業で得た資金で投資を行い、借入金の返済や株主還元も手元資金で賄う健全型となっています。企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は2.6%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は62.1%で市場平均を上回っています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 79億円 55億円
投資CF 14億円 -13億円
財務CF -34億円 -27億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「『叶えたい』が、あふれる社会へ。」というビジョンを掲げ、他にはない独自の解決策を生み出す「ユニーク・ソリューション・カンパニー」を目指しています。社会への宣言であるスローガン「『その手があったか』を、次々と。」のもと、変化の先まで伴走する感動提案をミッションとして事業を展開しています。

(2) 企業文化


グループ理念の7 STANDARDS(7つの判断基準)において、「関係法令・社会のルールを守り、高い倫理観を持ちます」とうたい、人権の尊重や公平・公正の履行を重視しています。また、独自のアイデアを生み出すため、ユニークな考えを持つ多様な人材の採用や育成、豊かな発想を生み出す環境の整備に注力する文化があります。

(3) 経営計画・目標


中期経営計画「UNISOL」のもと、2026年12月期を最終年度として成長加速化の実現に取り組んでいます。ただし、機械・工具分野の設備投資減少や建設分野の需要落ち込みなどの環境変化を踏まえ、最終年度の定量目標の修正を行っています。資本コストや株価を意識した経営を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


持続的な成長に向け、生産性の向上、多様かつ優秀な人材の確保と育成、最適な価値を提供するプラットフォーム戦略の推進に取り組んでいます。また、M&Aや業務提携による事業領域の拡大と、それに伴うグループガバナンスの強化を重点施策としています。環境負荷低減などのサステナビリティへの取り組みも推進しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「オーナーシップマインドを備えたユニーク人財の育成」を人材育成方針に掲げ、「多様性を活かす」組織づくり、「挑戦を促す」意識の醸成、「自律性を育む」人材開発に取り組んでいます。統合人事制度や教育研修制度を運用し、社員が自律的にキャリア形成を行えるよう、公募制度やFA制度なども整備しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 40.6歳 10.4年 7,060,935円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 0.0%
男性育児休業取得率 100.0%
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) 53.6%
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) 54.6%
労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) 34.7%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、外国籍社員数(20人)、理系人財採用比率(10.2%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 設備投資の市場動向に関するリスク


同社グループの事業は民間設備投資の動向に大きく影響を受けます。自動車、産業・工作機械、鉄骨建築などの業界における設備投資の減少や、競合他社との価格競争の激化、低価格品への需要シフトなどが生じた場合、同社の経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(2) サステナビリティへの対応遅れリスク


気候変動や人権侵害といった社会問題への関心が高まる中、企業への対応要請も強まっています。同社グループのサステナビリティに関する取り組みがステークホルダーから不十分とみなされた場合、企業価値の毀損や販売先からの選別による競争力の低下が生じるリスクがあります。

(3) 人材の確保と流出に関するリスク


商社である同社グループの中長期的な成長は、従業員個々の力量に大きく依存しています。少子高齢化に伴う労働人口の不足により人材獲得競争が激化しており、適切な時期に優秀な人材を確保できない場合や、優秀な人材が外部へ流出してしまった場合、事業展開に支障をきたす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。