**記事タイトル:ブロードエンタープライズ転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態**
※本記事は、株式会社ブロードエンタープライズの有価証券報告書(第26期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ブロードエンタープライズってどんな会社?
同社は、不動産オーナー向けに物件の付加価値を高め、入居率を向上させる設備やサービスを提供しています。
■(1) 会社概要
ブロードエンタープライズは2000年に設立されました。2005年にマンション向け高速インターネット「B-CUBIC」の販売を開始し、その後、後付けオートロックシステム「BRO-LOCK」や宅内IoTリノベーション「BRO-ROOM」などを展開しています。2021年には東京証券取引所に上場しました。
現在の従業員数は単体で127名です。筆頭株主は創業者の中西良祐氏で、第2位は個人株主、第3位は証券会社となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 中西 良祐 | 71.31% |
| 吉岡 裕之 | 1.40% |
| 楽天証券(共有口) | 0.83% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性12名、女性1名の計13名で構成され、女性役員比率は7.7%です。代表取締役社長は中西良祐氏が務めており、社外取締役の比率は15.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 中西 良祐 | 代表取締役社長 | 1998年12月にG・I・Nへ入社。2000年12月に同社を設立し、代表取締役社長に就任。2024年1月よりアドバイザーナビの社外取締役も兼務。 |
| 中西 美津代 | 取締役副社長 | 1994年4月に三宝工業へ入社。2011年6月にVOGUEの代表取締役社長に就任し、合併に伴い2012年7月に同社へ入社。2019年1月より現職。 |
| 上田 大介 | 専務取締役 | 2000年4月に山陽地学へ入社し、同年12月に同社へ入社。コンサルティング事業本部長や常務取締役を経て、2024年3月より現職。 |
| 金子 俊二 | 常務取締役 | 1995年4月にEB international japanへ入社。2006年10月に同社へ入社し、東日本支社長や取締役を経て、2024年3月より現職。 |
| 山口 哲央 | 常務取締役 | 2001年4月に大成社へ入社。2006年12月に同社へ入社し、九州支社長や事業推進室長、取締役を経て、2024年3月より現職。 |
| 畑江 一生 | 常務取締役経営企画室長 | 2001年6月にアチーブメントへ入社。2003年12月に同社へ入社し、経営企画室長や執行役員を経て、2024年3月より現職。 |
| 山本 和生 | 取締役提携推進室長 | 2000年4月に山陽地学へ入社し、同年12月に同社へ入社。執行役員提携推進室長を経て、2024年3月より現職。 |
| 渡邊 宗義 | 取締役経理部長 | 2007年12月にあずさ監査法人へ入所。エレコムやラクスを経て2020年12月に同社へ入社し、執行役員経理部長を経て、2024年3月より現職。 |
社外取締役は、井上北斗(元ゴールドマン・サックス証券)、木村俊雄(元伊藤忠商事執行役員)です。
2. 事業内容
同社グループは、「インターネットサービス事業」を展開しています。
■(1) B-CUBIC・BRO-LOCKの提供
マンションなどの全居室に対してインターネット環境を一斉に導入する「全戸一括型」のサービス「B-CUBIC」や、エントランスをオートロック化する顔認証付きIoTインターフォンシステム「BRO-LOCK」を提供しています。不動産オーナーが契約することで、入居者は無料で設備を利用できます。
収益源は、不動産オーナー等からの機器・工事代金および月額利用料です。独自のファイナンススキームである「BRO-ZERO」を活用することで、オーナーは初期導入費用ゼロ円で設備を導入できます。事業の運営は同社が行っています。
■(2) BRO-ROOM・BRO-WALLの提供
空室に悩む不動産オーナー向けに1戸単位で空室対策を行うリノベーションサービス「BRO-ROOM」や、外壁塗装や屋上防水などの修繕工事を行う「BRO-WALL」を提供しています。最適な工事を施すことで、魅力的な物件へと価値を向上させ、入居率の改善に貢献します。
収益源は、不動産オーナーからのリノベーション費用や修繕工事代金です。こちらも「BRO-ZERO」を適用することで、初期費用を同社が立て替え、オーナーは毎月の支払いのみでリスクを抑えて対策が可能です。事業の運営は同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は一貫して右肩上がりで成長を続けています。利益面では一時的な落ち込みが見られた時期もありましたが、その後は力強く回復し、直近では順調に利益水準を拡大させています。売上成長に伴い、安定した利益を創出できる体制が整いつつあります。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 25億円 | 30億円 | 40億円 | 47億円 | 74億円 |
| 経常利益 | 5.4億円 | 1.3億円 | 3.6億円 | 5.6億円 | 7.7億円 |
| 利益率(%) | 21.4% | 4.2% | 9.2% | 12.0% | 10.4% |
| 当期利益 | 3.5億円 | 0.8億円 | 3.3億円 | 3.5億円 | 4.2億円 |
■(2) 損益計算書
大幅な増収を達成し、売上総利益および営業利益ともに金額ベースで増加しています。一方で、売上総利益率や営業利益率はやや低下しており、事業規模の拡大や新規事業の立ち上げに伴う費用構造の変化が見られます。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 47億円 | 74億円 |
| 売上総利益 | 21億円 | 30億円 |
| 売上総利益率(%) | 44.8% | 40.0% |
| 営業利益 | 7.4億円 | 9.8億円 |
| 営業利益率(%) | 15.7% | 13.2% |
販売費及び一般管理費のうち、従業員給料及び手当が5億円(構成比26%)、貸倒引当金繰入額が3億円(同16%)を占めています。売上原価においては、外注費が38億円(構成比85%)、支払手数料が2億円(同5%)となっています。
■(3) セグメント収益
同社はインターネットサービス事業の単一セグメントであるため、全社業績がそのままセグメント業績となっています。既存のインターネットサービスの堅調な推移に加え、リノベーション事業などの新規案件が寄与し、売上高は大幅に増加しました。
| 区分 | 売上(2024年12月期) | 売上(2025年12月期) |
|---|---|---|
| インターネットサービス事業 | 47億円 | 74億円 |
| 連結(合計) | 47億円 | 74億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
ブロードエンタープライズのキャッシュ・フローの状況についてご説明します。
同社は、営業活動では売上債権の増加などにより資金の支出超過となりました。一方、投資活動では有形固定資産の取得などにより資金の支出超過となりました。財務活動では短期借入金の増加や長期借入れによる収入などにより、大幅な資金の収入超過となりました。これらの結果、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は減少しました。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -11億円 | -25億円 |
| 投資CF | -0.3億円 | -1億円 |
| 財務CF | 11億円 | 26億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
ブロードエンタープライズは、「CS(顧客満足)」「ES(社員満足)」「SC(社会貢献)」の3つを経営理念に掲げています。お客様や社員の笑顔をトコトン追求するとともに、優しさと思いやりを持って地域・社会に貢献することを目指しています。利益のみを追求するのではなく、関わるすべてのステークホルダーへの貢献につながる事業活動こそが持続的な成長において重要であると考えています。
■(2) 企業文化
同社は、従業員の多様性の尊重と確保が中長期的な企業価値の向上に資するという考えに基づき、多様な人材が働きがいをもって活躍できる環境づくりを重視しています。また、従業員の心身の健康と活力が事業活動の基盤であると考え、「健康経営」を推進し、様々な社内環境の整備や福利厚生の充実に取り組む文化が醸成されています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、収益性を高めるとともに財務の安定化を図ることを重要視しています。客観的な指標として「フロー売上総利益(粗利)」を重視しており、これを達成することで売上高の計画達成を目指しています。また、営業利益および経常利益を収益性と成長性を測る重要指標とし、各指標の継続的な拡大を目標として掲げています。
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、今後も既存不動産の価値向上ニーズが高まると見込み、内装・外装のリノベーションや修繕を中核施策として推進します。具体的には「BRO-ROOM」「BRO-WALL」の案件拡大に注力しつつ、「B-CUBIC」「BRO-LOCK」によるインフラ整備やIoT連携を組み合わせたトータルソリューションを提供します。また、初期導入費用ゼロ円のファイナンススキームを活用し、幅広い市場への展開を加速させます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、多様な人材が働きがいを持って活躍できる環境を構築するため、コンプライアンスや理念の浸透を図る研修の実施や、次世代リーダーの育成に向けた内部通報窓口制度などの体制整備を進めています。また、長期で働ける会社を目指し、定期昇給や医療費負担の軽減など、持続的な成長を支える人材確保に向けた柔軟な対応を行っています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 29.7歳 | 4.0年 | 5,465,839円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 18.2% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | - |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用) | - |
| 労働者の男女の賃金の差異(非正規) | - |
※同社は公表義務の対象外であるため、育児休業取得率および男女の賃金の差異については有報に記載がありません。
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有給休暇取得率(総務部)(103.8%)、有給休暇取得率(全社)(80.2%)、有給休暇消化率(子どもがいる社員)(83.4%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 特定事業への依存
同社は現在、収益の多くをインターネットサービス事業から獲得しています。サービスの幅の拡大に努めているものの、当該事業を取り巻く環境の変化により事業が縮小し、新しい事業も想定通りに成長しなかった場合、同社の経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 有利子負債への依存度
同社の主力事業は収益の計上に先行して通信設備投資が必要であり、資金は金融機関からの借入金によって調達しています。売上債権の流動化により自己資金による投資も行っていますが、流動化に失敗した場合や金利が上昇した場合には、支払利息が増加し業績に影響を与える可能性があります。
■(3) 通信データ量の急激な増加
近年、スマートフォンの普及やテレワークの拡大により、インターネット通信量は急増しています。想定を上回る通信量の急増が生じた場合、通信回線整備が追いつかずにサービス品質が低下し、新規通信回線確保に伴う原価率の上昇が発生することで、同社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 個人情報の保護
同社は電気通信事業者として、ユーザーの個人情報を取得しており、個人情報取扱事業者としての義務が課せられています。外部からの不正アクセスや関係者の過失により個人情報が流出した場合、損害賠償の請求や社会的信用の低下により、同社の事業運営に重大な影響を及ぼすリスクがあります。



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