※本記事は、株式会社セイファートの有価証券報告書(第36期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. セイファートってどんな会社?
美容業界に特化し、求人メディアの運営や人材紹介・派遣を通じて美容室の経営課題解決を支援する企業です。
■(1) 会社概要
1991年に美容業界専門の就職情報誌を創刊して設立され、美容業界向けの広告求人サービスを開始しました。1999年には人材紹介・派遣業へ進出し、2007年に美容師向け求人サイト「re-quest/QJ navi」を開設して事業基盤を拡大しました。2022年には東京証券取引所への上場を果たしています。
現在の従業員数は連結で133名、単体で122名です。筆頭株主は創業者の長谷川高志氏が代表を務める資産管理会社のビューティープロスペリティーで、第2位はアーム、第3位は美容業界向け商社であるビューティガレージとなっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| ビューティープロスペリティー | 23.31% |
| アーム | 14.59% |
| ビューティガレージ | 9.16% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は長谷川高志氏が務めています。社外取締役比率は12.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 長谷川高志 | 代表取締役社長 | 1987年東京カレン入社。1991年同社代表取締役社長に就任。その後グループ会社の代表を歴任し、2017年より現職。 |
| 藤本宏志 | 専務取締役 | 1983年日本加工製紙入社。ワールド、サイバード等を経て2014年同社入社。2025年より現職。 |
| 鹿島修司 | 取締役 | 2001年カメガヤ入社。2003年同社入社。営業部門の要職を歴任し、2025年より現職。 |
| 村瀬慶祐 | 取締役 | 2002年同社入社。営業部門やメディア部門の責任者を歴任し、2024年より現職。 |
社外取締役は、柳堀泰志(柳堀公認会計士事務所所長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「サロンサポート事業」の単一セグメントを展開しています。
広告求人サービス
美容師に特化した求人情報サイト「re-quest/QJ navi」や美容学生向け就職情報誌の発行、合同会社説明会の開催、美容室でのサンプリング等を行うプロモーションメディアなどのサービスを提供しています。
収益源は、美容室経営企業からの求人広告掲載料や就職フェアの出展料金、サンプリング実施企業からのプロモーション料です。運営は同社が行っています。
紹介・派遣サービス
美容師と美容室をマッチングする成果報酬型の人材紹介や、必要な時だけ人材を確保できる人材派遣、シーズンイベント時のヘアメイク手配サービスなどを提供しています。
収益源は、美容室経営企業からの紹介手数料や、派遣した美容師の派遣料金、各種企業からのヘアメイク手配依頼料です。運営は同社が行っています。
教育(その他)サービス
英国教育機関に認証された美容教育プログラムの提供や海外研修の実施、米国カリフォルニア州での日系美容室「PIA HAIR SALON」の店舗運営などを行っています。
収益源は、導入美容学校からのプログラム認定費用や研修費用、一般顧客からの美容施術料金です。運営は同社および子会社のSEYFERT International USA, Inc.が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の売上高は21億円から22億円台で安定推移していましたが、当期は主力求人サイトの応募件数減少等の影響で19.3億円に減少しました。経常利益と当期利益も競争激化やコスト増により漸減傾向にあり、当期は赤字に転落するなど、収益性の改善が急務となっています。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 22.8億円 | 22.4億円 | 21.7億円 | 21.3億円 | 19.3億円 |
| 経常利益 | 2.5億円 | 2.2億円 | 1.7億円 | 0.3億円 | -1.1億円 |
| 利益率(%) | 11.1% | 9.8% | 8.1% | 1.3% | -5.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 1.5億円 | 1.5億円 | 1.2億円 | 0.2億円 | -1.8億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で減少しており、それに伴い売上総利益も減少しています。一方で販売費及び一般管理費は高止まりしており、結果として営業利益は前期の黒字から当期は1.1億円の営業赤字へと大幅に悪化する結果となりました。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 21.3億円 | 19.3億円 |
| 売上総利益 | 12.4億円 | 10.9億円 |
| 売上総利益率(%) | 58.1% | 56.8% |
| 営業利益 | 0.2億円 | -1.1億円 |
| 営業利益率(%) | 1.0% | -5.9% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当が4.8億円(構成比40%)、地代家賃が1.2億円(同10%)を占めています。
■(3) セグメント収益
同社はサロンサポート事業の単一セグメントです。当期は海外研修や資格証明等の教育関連サービスが好調だったものの、主力の広告求人サービスで求人サイトの応募件数や広告掲載単価が低下したこと、大型プロモーション案件の受注減が響き、全体として減収となりました。
| 区分 | 売上(2024年12月期) | 売上(2025年12月期) |
|---|---|---|
| サロンサポート事業 | 21.3億円 | 19.3億円 |
| 連結(合計) | 21.3億円 | 19.3億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
本業・投資・財務いずれもマイナスで資金繰りが危機的な末期型の状態となっています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 0.7億円 | -0.2億円 |
| 投資CF | -0.4億円 | -0.2億円 |
| 財務CF | -1.0億円 | -0.7億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は当期純損失のため算出されていませんが前期実績は1.9%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は57.8%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「CREDO(クレド)-ミッション」として、「美容に携わるひとたちとともに、世の中に新しい価値を創造する。」を掲げています。美容師の社会的地位向上、美容師への一生を通じたサポート、及び美容室経営者の抱える課題解決を支援し、美容業界の発展のための原動力となることを目指しています。
■(2) 企業文化
事業を「未来を創る営み」と位置づけ、「ひとびとの役に立ち、喜ばれる未来を創ること」を活動の目的としています。不要なものを壊し必要なものを創造することで「世の中を変える」ことを重視し、美容の秘められた可能性を開拓・具現化することで社会を変革していくという価値観を大切にしています。
■(3) 経営計画・目標
美容業界の発展とともにグループの持続的成長を目指し、中長期的な企業価値の向上を達成するため、売上高および営業利益を経営上の重要な指標と位置付けています。事業収益性を意識しながら事業の拡大と成長を図ることを経営上の目標としています。
■(4) 成長戦略と重点施策
「コンサルティング型営業」と「デジタル(IT)」の融合により既存商品を拡販し、市場シェアの奪還を計画しています。主力の求人サイトではデジタルマーケティング強化やソリューション提案により業績回復に注力します。また、成長基調にある就職フェアの規模拡大や、SNSを活用したインフルエンサーマーケティングにも積極的に取り組みます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
サステナビリティ基本方針を実現させるため、企業文化に合った人材の採用および育成を行うことが重要であると認識しています。年齢や性別に関係なく様々な人材が活躍・成長できる環境や仕組みの整備、多様な人材が意欲を持って活躍する活力ある組織の構築を図り、人材育成並びに社内環境の向上を目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 38.3歳 | 10.8年 | 5,079,000円 |
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 25.9% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 67.8% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 67.9% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 66.3% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) ブランド影響力の低下リスク
長年発行してきた就職情報誌による高いブランド認知度を有していますが、近年のWeb媒体への移行によりその影響力が低下する可能性があります。プラットフォーム拡充等で維持に努めますが、維持できない場合は各サービスに波及し業績に影響を及ぼすリスクがあります。
■(2) IT商品開発力の維持リスク
提供サービスの一部はインターネット関連市場に属しており、技術革新や市場変化への対応が不可欠です。技術動向に注視し継続的な開発に取り組んでいますが、方向性の判断を誤り顧客が求めるサービスを適切に提案できない場合、業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) インターネット求人市場の競合リスク
インターネット求人市場の活発化により競合他社の参入が相次ぎ、環境が激化しています。独自の有益なサービス開発や営業体制の構築で優位性の維持に努めていますが、異業種の大手企業等による参入が生じた場合、業績および財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。



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