※本記事は、monoAI technology株式会社の有価証券報告書(第13期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. monoAI technologyってどんな会社?
同社は、オンラインゲーム開発で培った通信技術とAI技術をコアとし、幅広い産業向けにXR事業を展開しています。
■(1) 会社概要
2013年1月にモノビットとして設立され、オンラインゲーム開発ミドルウェア「モノビットエンジン」をリリースしました。2019年11月に現在の社名に変更し、2020年7月に仮想空間共有技術プラットフォーム「XR CLOUD」の提供を開始しています。2022年12月には東証グロース市場への上場を果たしました。
従業員数は連結・単体ともに126名です。筆頭株主は創業者で代表取締役会長の本城嘉太郎氏で、第2位は事業会社として資本業務提携を結んでいる大日本印刷、第3位は本城氏の資産管理会社であるロータスです。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 本城 嘉太郎 | 17.98% |
| 大日本印刷 | 14.64% |
| ロータス | 10.03% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役会長は本城嘉太郎氏、代表取締役社長は山下真輝氏です。社外取締役は3名で構成されています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 本城 嘉太郎 | 代表取締役会長 | NHS、トーセを経て、DropWave、ロータスなどを設立。2013年に同社代表取締役に就任し、2025年3月より現職。 |
| 山下 真輝 | 代表取締役社長 | SBI証券、オプト等を経て、2020年に同社へ入社し執行役員に就任。XR CLOUD事業本部長等を経て、2025年3月より現職。 |
社外取締役は、谷間真(T-REVIVEコンサルティング代表取締役)、植田修平(NASSO代表取締役)、辰己光平(大日本印刷ユニット長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「XR事業」を展開しています。
■メタバースサービス
仮想空間内で行われるライブや展示会等の需要に対し、顧客ごとのシステム開発や仮想空間の構築、イベント運営、集客代行などを提供しています。企業の要望に合わせて、自社プラットフォーム「XR CLOUD」をOEMで提供し、迅速かつ安価に独自のメタバース構築を支援しています。
収益は主にシステム開発の成果物の対価として受け取る初期収益のほか、プラットフォーム利用におけるライセンス料や運営費等による中長期収益から構成されています。運営は同社が行っています。
■XRイベントサービス
同社の仮想空間共有技術プラットフォーム「XR CLOUD」を活用し、あらかじめ構築された仮想空間をベースに、採用説明会や社内会議、展示会などを簡単に開催できるサービスを提供しています。一般個人向けや企業の社内イベント向けなど多様な用途に対応しています。
主な収益源は、プラットフォームのライセンス料やイベント制作・運営委託による手数料です。各種イベントをパッケージ化することで低コストかつ短納期を実現し、高い収益を見込むモデルとなっています。運営は同社が行っています。
■XR周辺サービス
「XR CLOUD」での実績をベースに、AR・MR・VRなどXR全般で企業の課題解決を支援するソリューション開発や、様々なメタバースプラットフォームを駆使したコンサルティングを提供しています。また、AIエージェント基盤を活用した業務の自律化支援も行っています。
ソリューション開発やコンサルティングサービスの提供、およびAIエージェントの外部販売などによる対価が主な収益源となります。運営は同社および連結子会社のロボアプリケーションズが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は増減を繰り返していますが、直近では大幅な減収となっています。また、経常利益および当期利益に関しても、一時的に黒字化した期間を除き、赤字が継続して計上されており、収益性の改善が急務となる厳しい状況が続いています。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 12.9億円 | 14.5億円 | 12.4億円 | 14.3億円 | 9.8億円 |
| 経常利益 | -1.7億円 | 0.6億円 | -1.7億円 | -2.9億円 | -3.8億円 |
| 利益率(%) | -13.5% | 3.9% | -13.5% | -20.1% | -39.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -2.1億円 | 0.6億円 | -2.1億円 | -5.4億円 | -3.4億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の減少に伴い、売上総利益も低下していますが、売上総利益率は概ね同水準を維持しています。一方で、営業損失は拡大しており、コスト構造の見直しや収益基盤の強化による営業赤字の縮小が課題となっています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 14.3億円 | 9.8億円 |
| 売上総利益 | 4.6億円 | 3.4億円 |
| 売上総利益率(%) | 32.3% | 34.4% |
| 営業利益 | -2.8億円 | -3.9億円 |
| 営業利益率(%) | -19.7% | -39.8% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が2.3億円(構成比32%)、研究開発費が1.2億円(同17%)を占めています。売上原価については、労務費が3.3億円(構成比54%)、業務委託費を中心とした経費が2.8億円(同46%)を占めています。
■(3) セグメント収益
同社はXR事業の単一セグメントですが、提供するサービス区分ごとに売上を計上しています。当期は各サービスとも前期を下回る結果となり、特に主要顧客の事業再編等の影響により大幅な減収となりました。
| 区分 | 売上(2024年12月期) | 売上(2025年12月期) |
|---|---|---|
| メタバースサービス | 7.8億円 | 5.6億円 |
| XRイベントサービス | 1.8億円 | 1.5億円 |
| XR周辺サービス | 4.8億円 | 2.7億円 |
| 連結(合計) | 14.3億円 | 9.8億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
キャッシュ・フローの状況は、営業CFがマイナス、投資CFがプラス、財務CFがマイナスとなる「事業検討型」です。本業が低迷し、事業の見直しが迫られる状況を示しています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -4.8億円 | -1.1億円 |
| 投資CF | -0.7億円 | 0.4億円 |
| 財務CF | 9.1億円 | -0.5億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は当期純損失のためデータがありませんが、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は86.5%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「先進技術で、社会の未来を創造する」というミッションを掲げています。通信技術とAI技術をコアとして、オンラインゲーム開発で培った大規模通信技術などの先進技術をあらゆる産業へと展開し、新しいサービスを開発することを通じて、持続的な企業価値の最大化を目指しています。
■(2) 企業文化
同社は特定の産業に依存せず、常に技術の最前線で革新を続けることを重視しています。メタバースやXR技術とAIを高度に融合させ、企業の業務自律化を支援する「産業AX」の確立を推進するなど、新しい領域へ能動的にアプローチしていく姿勢が根付いています。
■(3) 経営計画・目標
同社は中長期的な経営計画の実現に向けて、成長性、収益性、効率性を重視した経営を目指しています。そのため、経営上の客観的な指標として「売上高」「営業利益」「売上高営業利益率」を設定しています。
* 2026年12月期第4四半期での四半期黒字化
* 2027年12月期での通期黒字化
■(4) 成長戦略と重点施策
独自AI基盤「monoAI Agent」を核とした「産業AXソリューション」の外部販売を開始し、高付加価値サービスの提供による売上総利益率の向上を図ります。また、他社とのアライアンスや組織横断的な営業体制の刷新を通じて、トップラインの回復と安定した案件受注の確立に注力します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、持続的な成長や企業価値向上の源泉を「人材」と位置づけ、多様なスキルやバックグラウンドを持つ人材を年齢・性別を問わず採用しています。リモートワークを活用して柔軟な働き方を促進するとともに、公平な評価制度や教育研修制度の整備、AI等を用いた生産性向上を推進し、多様化する価値観に合わせて働きやすい環境づくりに努めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 34.6歳 | 5.0年 | 4,804,482円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) IT投資動向の変化
同社のサービスは幅広い業界へ提供されていますが、国内外の景気悪化等により企業のソフトウエア投資が大幅に抑制された場合や、XRやメタバースへの需要が変化した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 技術革新と市場環境の激変
XR業界は新技術の開発や新サービスの導入が頻繁に行われる変化の激しい市場です。競合他社が画期的なサービスを開発し価格競争が激化した場合や、同社が急激な技術革新への対応に遅れた場合には、競争力が低下する恐れがあります。
■(3) 情報管理とシステム障害
業務において個人情報や機密情報を扱うため、厳格な情報セキュリティ体制を構築しています。しかし、外部からの不正アクセスや人的ミス、通信障害などによるシステムトラブルや情報漏洩が発生した場合、損害賠償や信用の失墜につながるリスクがあります。



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