※本記事は、株式会社アイビス の有価証券報告書(2025年12月期、2025年1月1日 ~ 2025年12月31日、2026年3月23日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
アイビスグループは、モバイル事業、ソリューション事業、AI歌声合成事業の3つの事業を展開しています。同社グループは、自社開発のモバイルペイントアプリ「ibisPaint」を主軸に、企業向けITソリューションやAI歌声合成技術も提供しています。
単体従業員数は341名、連結従業員数は356名です。セグメントはモバイル、ソリューション、AI歌声合成の3つです。
主な国内グループ会社は、テクノスピーチ(AI歌声合成)、ゼロイチスタート(ソリューション)などです。
2025年1月に株式会社テクノスピーチを、同年11月には株式会社ゼロイチスタートを完全子会社化し、事業基盤の強化を図っています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
株式会社アイビスは、モバイル、ソリューション、AI歌声合成といった事業を展開するIT企業です。若手社員が多く活躍しており、新しい技術やサービス開発に意欲的に取り組むことができる環境がうかがえます。給与水準や働き方に関する具体的なデータは、以下の各項目で詳しくご紹介します。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
アイビスでは、平均年齢が比較的若く、平均勤続年数も短めであることから、活気ある組織であることがうかがえます。新しい技術や変化に対応しながら、キャリアを築いていきたいと考える方にとって、成長機会の多い環境であると考えられます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 4,608,000円 |
| 平均勤続年数 | 4.1年 |
| 平均年齢 | 33.8歳 |
| 単体従業員数 | 341人 |
| 連結従業員数 | 356人 |
| 単体のグループ内比率 | 95.8% |
同社は確定拠出年金制度を採用しています(会社が拠出した資金を従業員が運用する制度)。
なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
当連結会計年度における確定拠出制度への要拠出額は28百万円です。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、人材を最も重要な経営資源と位置づけ、持続的な成長と企業価値向上のために、多様な人材の確保、育成、定着を重視しています。会社の成長に合わせた人事制度の改訂を進めており、目標管理制度、人事評価制度、賃金制度の改善に取り組んでいます。
また、従業員のスキルアップを支援するため、最新技術に関する教育研修制度や勉強会の拡充に力を入れています。働きやすい環境の推進にも注力しており、シフト制や時短勤務、育児休業取得などの制度整備を進めています。これらの取り組みを通じて、従業員が長期的に活躍できる基盤を構築しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データを示します。管理職に占める女性労働者の割合は、女性活躍推進法に基づく公表義務の対象項目として選択しておらず、公表されていません。連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、記載を省略しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 75.6% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 81.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 70.9% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
アイビスは、モバイルアプリの開発・運営を主軸とするモバイル事業、法人向けのITソリューションを提供するソリューション事業、そしてAI歌声合成技術を活用したAI歌声合成事業の3つのセグメントを展開しています。これらを通じて、世界中のユーザーや企業に多様なデジタルサービスを提供し、収益を上げています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、モバイル、ソリューション、AI歌声合成の3つの事業セグメントを通じて、幅広い顧客層にサービスを提供しています。モバイル事業は自社製品の収益性を重視し、ソリューション事業は創業以来の安定成長を支え、AI歌声合成事業は新たな成長領域として展開されています。
モバイル事業
このセグメントは、iOS・Android用モバイルペイントアプリ「ibisPaint」の開発とサービス運営、およびユーザーコンテンツのオンラインギャラリー「ibispaint.com」の運営を行っています。収益は、アプリ上の広告表示による広告収入と、広告非表示機能や追加機能・素材を提供する定額課金型のプレミアム会員サービス、および売切型アプリの販売から得ています。特に課金収入へのシフトが進んでおり、海外ユーザーが全体の大部分を占める点が特徴です。
ソリューション事業
このセグメントでは、スマートフォンやタブレット端末向けのアプリケーション開発、クラウドサーバ環境構築・運用保守などの受託開発事業と、システムエンジニア等のIT技術者派遣事業を展開しています。同社が長年培ってきたモバイル開発技術とノウハウを活かし、企業のIT戦略やデジタルトランスフォーメーション(DX)化を支援しています。2025年11月には株式会社ゼロイチスタートを完全子会社化し、事業基盤の強化を図っています。
AI歌声合成事業
このセグメントは、AI音声合成技術関連事業を展開するテクノスピーチの事業で構成されています。BtoC向けのAI歌声合成アプリ「VoiSona」事業と、BtoB向けの受託開発事業の2つを手掛けています。収益は、「VoiSona」を通じて提供される有料ボイスライブラリなどのアプリ課金と、企業ニーズに合わせたボイスライブラリ開発や音声エンジンのライセンシングから得ています。運営は、テクノスピーチが行っています。
同社グループの売上高は、モバイル事業が最も大きく、次いでソリューション事業、AI歌声合成事業が続きます。モバイル事業では、Google LLCとApple Inc.が主要な取引先となっており、収益の大部分を占めています。また、モバイル事業の累計ダウンロード数のうち、海外比率が非常に高い水準にあり、グローバル市場での展開が特徴です。
| セグメント | 売上高(2024年12月期) | 売上高(2025年12月期) |
|---|---|---|
| モバイル事業 | - | 28.3億円 |
| ソリューション事業 | - | 20.6億円 |
| AI歌声合成事業 | - | 1.2億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループは、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、直近の業績推移は当期のみの開示となっています。売上高は50億円を超え、経常利益も12億円を超える水準で推移しています。親会社株主に帰属する当期純利益も8億円台を記録しており、堅調な経営成績を示しています。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | - | - | - | - | 50.1億円 |
| 経常利益 | - | - | - | - | 12.2億円 |
| 経常利益率 | - | - | - | - | 24.3% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | - | - | - | - | 8.5億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | - | - | - | - | 46.37 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は14.1百万円、従業員1人あたりの営業利益は3.4百万円となっています。これらの数値は、同社グループが従業員一人ひとりの貢献によって効率的に収益を生み出している状況を示しています。連結財務諸表の作成が当期からであるため、前期との比較はできませんが、現在の従業員規模でこれだけの売上高と営業利益を創出していることは、組織の生産性の高さを示す一つの指標となります。
| 指標 | 2025年12月期(当期) |
|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 14.1百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 3.4百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
アイビスは、本業で資金を生み出しつつ、将来に向けた投資を積極的に行っている状況です。財務基盤の安定性と成長への意欲を両立していることがうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
アイビスの自己資本比率は高い水準にあり、強固な財務基盤を示しています。ROE(自己資本利益率)も高い水準で推移しており、効率的な経営が行われていることがうかがえます。手元資金も十分に確保されており、事業運営における安定性が期待できます。
| 指標 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 21.3億円 | 29.0億円 |
| 自己資本比率 | - | 67.8% |
| ROE(自己資本利益率) | - | 29.9% |
| 現金及び預金 | 22.3億円 | 20.8億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
アイビスの当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローはプラスとなっています。これは主に税金等調整前当期純利益の計上によるものです。本業で安定的に資金を生み出している状況を示しています。
投資活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなっており、主に連結子会社株式の取得や無形固定資産の取得に資金を投下しています。これは事業拡大に向けた積極的な投資が行われていることを示しています。
財務活動によるキャッシュ・フローもマイナスであり、配当金の支払いなどが行われています。結果として、フリーキャッシュ・フローはマイナスとなっており、本業で得た資金を上回る投資を行っている成長投資フェーズにあることがうかがえます。このような資金の流れは、将来の成長を見据えた事業展開を進めていることを示しており、入社後の事業成長への期待につながります。
| 項目 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | - | 9.6億円 |
| 投資CF | - | △9.8億円 |
| 財務CF | - | △1.3億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | - | △16百万円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、売上構成比において特定のサービス「ibisPaint」への依存度が高い状況です。ユーザーの興味・関心を維持できない場合や競合他社のサービスにより競争力が低下した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、海外ユーザーとの取引が多く、海外売上高の比率が全社売上高の約4割以上を占めています。想定を超える円高の進行や海外の法的規制内容の変更があった場合、事業展開や業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、持続的な成長のために優秀なモバイルアプリ開発エンジニアやシステムエンジニア、管理人材の確保と育成が不可欠であると認識しています。人材獲得競争の激化や市場ニーズの変化により、想定どおりの採用が進まない場合や、在職する人材の流出が生じた場合、事業や業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
アイビスは、モバイルに精通した技術者集団として、イラストを通じた世界的なコミュニケーション創造を目指しています。技術力とスピード感を重視し、常に新しい価値を生み出すことに挑戦する企業文化が特徴です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
アイビスは「モバイルペイントアプリで世界のコミュニケーションを創造する」ことをミッションに掲げています。ビジョンとしては「世界での Made in Japan のプレゼンスを上げていく」ことを目指しています。同社グループは、イラストが言語や民族、宗教、ジェンダーを超えたコミュニケーション手段であると考えています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
アイビスは「高い技術のエキスパート集団」「スピーディな意思決定と実行」「継続的なチャレンジ」をValueとして掲げています。最新技術を習得し、高度な技術で社会課題を解決する自覚を持ち、迅速な意思決定と実行、そして挑戦し続けることで新しい価値を創造することを重視しています。同社グループは、人材を最も重要な経営資源と位置づけ、多様な人材の確保、育成、定着に力を入れています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、モバイルセグメントにおいて、AIやディープラーニングなどの技術革新に対応できる開発人材の確保、育成、維持を重要な課題としています。ソリューションセグメントでも、ハイスキルな技術力を有するITエンジニアの採用、育成、維持を安定成長の源泉と位置づけています。また、グループ全社としては、M&Aの推進に伴い、組織体制の最適化、内部統制とリスク管理の高度化、グループガバナンスの強化に取り組んでいます。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
アイビスは、監査等委員会設置会社として、社外取締役が取締役会での議決権を持つことで、監督機能や牽制機能の強化を図るガバナンス体制を採用しています。取締役会は社外取締役を含む7名で構成されています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
アイビスの株主構成を見ると、代表取締役社長である神谷栄治氏が筆頭株主であり、常務取締役の村上和彦氏も上位株主となっています。このように、創業家および経営陣が主要な株主として同社を支えていることが特徴です。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 神谷 栄治 | 40.22% |
| 村上 和彦 | 7.70% |
| 株式会社リオライト | 5.43% |
| 畠山 敬多 | 4.96% |
| 渡辺 秀行 | 4.69% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は7名(男性7名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は神谷栄治氏が務めています。社外取締役比率は28.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 神谷 栄治 | 代表取締役社長 | 1998年4月 ㈱アルモニコス入社、2000年5月 ㈲アイビス(現 同社)設立 代表取締役社長、2016年12月 ㈱アイビスモバイル代表取締役社長、2025年1月 ㈱テクノスピーチ取締役より現職。 |
| 村上 和彦 | 常務取締役ソリューション事業部担当 | 1991年6月 個人事業主として営業代行業に従事、2001年4月 同社常務取締役、2021年1月 同社常務取締役ソリューション事業部担当より現職。 |
| 丸山 拓也 | 取締役モバイル事業部担当 | 2017年4月 ㈱アイビスモバイル入社(現 同社)、2020年4月 同社取締役モバイル事業部担当より現職。 |
| 安井 英和 | 取締役管理部門担当 | 1990年4月 丸万証券㈱(現 東海東京証券㈱)入社、2007年6月 ㈱ヤマナカ入社、2018年6月 同社執行役員総合企画室長、2021年2月 同社取締役管理部門担当より現職。 |
社外取締役は、宮﨑陽平氏(宮﨑陽平公認会計士・税理士事務所所長・監査等委員)、近藤直生氏(弁護士法人大江橋法律事務所パートナー・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、社外取締役が取締役会での議決権を持つことで、独立した客観的な立場からの助言や提言が期待されています。これにより、取締役会の監督機能や牽制機能の実効性を向上・強化する体制となっています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
アイビスの役員報酬は、監査等委員を除く取締役に対しては固定報酬、業績連動報酬、退職慰労金、ストック・オプションで構成されています。一方、監査等委員である取締役の報酬は固定報酬のみで構成されています。業績連動報酬の指標には、前事業年度の売上高成長率が採用されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 4名 | 2.2億円 | 55.3百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 7百万円 | 7.3百万円 |
| 社外役員 | 2名 | 7百万円 | 3.4百万円 |
なお、取締役(監査等委員及び社外取締役を除く。)に対する非金銭報酬等の総額の内訳は、ストック・オプション24,682千円であります。退職慰労金は、当事業年度に役員退職慰労引当金繰入額として費用処理した金額であります。
役員報酬等の総額が1億円以上の役員は存在しないため、個人別の開示は行われていません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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