※本記事は、株式会社 Veritas In Silico の有価証券報告書(2025年12月期、2025年1月1日 ~ 2025年12月31日、2026年3月23日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
Veritas In Silicoは、AI創薬を通じてメッセンジャーRNA(mRNA)を標的とする医薬品の創出に取り組む企業です。同社は、独自のaibVISプラットフォームを活用した製薬会社との共同研究による「プラットフォーム型」ビジネスと、自社パイプラインを保有する「パイプライン型」ビジネスを展開しています。
Veritas In Silicoの単体従業員数は19名です。同社の事業セグメントは創薬プラットフォーム事業の単一セグメントとなっています。
Veritas In Silicoは、インシリコRNA構造解析技術とAIを統合したaibVISプラットフォームを主軸に、mRNA標的創薬を推進しています。製薬会社との共同研究や自社での核酸医薬創薬を通じて、医薬品候補化合物の創出に取り組んでいます。
Veritas In Silicoは、これまでのプラットフォーム型ビジネスから、自社パイプラインも創出しつつプラットフォーム事業も営むハイブリッド型ビジネスへと転換しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
Veritas In Silicoは、創薬プラットフォーム事業を展開する企業です。従業員数は19名と少数精鋭の体制であり、専門性の高い環境で働くことが期待されます。給与水準や働き方については、同社の事業特性や規模に応じた特徴が見られます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均年齢が比較的高く、平均勤続年数も一定の期間を示しています。これは、専門性の高い分野において、経験豊富な人材が長期的に活躍している傾向を示していると言えるでしょう。人材の定着感と年齢構成から、安定したキャリア形成が可能な環境であると推測されます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 8,374,000円 |
| 平均勤続年数 | 4.4年 |
| 平均年齢 | 45.8歳 |
| 単体従業員数 | 19人 |
| 連結従業員数 | - |
| 単体のグループ内比率 | - |
退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
Veritas In Silicoは、事業活動の原動力となる社員を最も重要な資本と位置づけています。優秀な人材の確保と育成を事業基盤構築の要とし、社員の人権尊重と働きがいのある企業風土の醸成に注力しています。
具体的には、「人的資本経営」と「健康経営」を実践し、社員の当社への帰属意識や満足度の向上、職場の活性化を目指しています。人材の多様化と一人ひとりを活かす組織づくり、社員の健康管理・健康増進へのコミットメントを通じて、持続的な成長を追求しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データは開示されていません。
人材育成・エンゲージメント
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 年次有給休暇取得率 | 83.5% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
Veritas In Silicoは、AI創薬技術を駆使してメッセンジャーRNA(mRNA)を標的とする医薬品の創出を目指す企業です。独自の創薬プラットフォーム「aibVIS(エイアイビス)」を活用し、製薬会社との共同研究を通じて医薬品開発を進める「プラットフォーム型」と、自社で核酸医薬品のパイプラインを保有する「パイプライン型」のハイブリッド型ビジネスを展開しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社は、AI創薬によってmRNAを標的とする医薬品の創出に取り組んでいます。医薬品市場において最大のセグメントである低分子医薬品と、最も成長率が高いセグメントである核酸医薬品の両方に対応する創薬アプローチを追求しています。
プラットフォーム型ビジネスでは、同社独自のaibVISプラットフォームを用いて、複数の製薬会社と共同でmRNA標的低分子医薬の創薬研究を進めています。このビジネスモデルでは、契約一時金や研究支援金に加え、研究の進捗に応じたマイルストーン収入、医薬品上市後のロイヤリティや売上マイルストーンを収益源としています。
パイプライン型ビジネスでは、自社で核酸医薬品の創薬研究に取り組み、医薬品候補化合物の権利を製薬会社に導出することで収益を得ることを目指しています。導出契約が締結された際には、契約一時金や開発マイルストーン、ロイヤリティ、売上マイルストーンが発生するモデルです。
また、将来的な事業の多角化として、インシリコRNA構造解析技術を応用した農薬事業や、核酸医薬品の課題克服を目指したドラッグデリバリーシステム「Perfusio(パーフュージオ)」の事業化も進めています。同社は創薬プラットフォーム事業の単一セグメントで事業を展開しており、本邦以外の外部顧客への事業収益はありません。
2025年12月期における主要な取引先は、ラクオリア創薬、三菱ガス化学、武田薬品工業、塩野義製薬となっています。これらの企業からの事業収益が全体の大部分を占めており、特定の顧客への収益集中が見られます。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
2025年12月期の事業収益は91百万円となり、前期から減少しました。営業損失は△397百万円、経常損失は△391百万円、当期純損失は△426百万円と、いずれも前期から損失額が拡大しています。
事業収益の減少は、新規案件の交渉不調により、契約一時金等の発生が見込めなくなったことが主な要因です。一方、事業費用は研究開発費の増加や販売費及び一般管理費の増加により、前期から増加しています。当期純損失には、特別損失として31百万円の減損損失も計上されています。
営業活動によるキャッシュ・フローは△299百万円の支出となりました。これは税引前当期純損失や減損損失などが影響しています。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
Veritas In Silicoの財務状況は、本業での損失が継続しており、資金の流れに変動が見られます。自己資本比率は高い水準を維持しているものの、収益性の改善が課題となっています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
Veritas In Silicoの自己資本比率は、当期で94.6%と高い水準を維持しており、前期の98.2%からは減少しています。これはプライム市場平均と比較しても非常に高い水準を示しています。
手元資金である現金及び現金同等物は当期で3.3億円となっており、前期の1.7億円から増加しています。高い自己資本比率は財務の安定性を示す一方で、ROEは開示されていません。
| 指標 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 22.1億円 | 17.8億円 |
| 自己資本比率 | 98.2% | 94.6% |
| ROE(自己資本利益率) | - | - |
| 現金及び現金同等物 | 1.7億円 | 3.3億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
Veritas In Silicoの当期のキャッシュフローを見ると、営業活動によるキャッシュフローは3.0億円の支出となりました。これは主に税引前当期純損失や減損損失の計上によるものです。
投資活動によるキャッシュフローは4.5億円の収入となっており、定期預金の払戻収入が主な要因です。財務活動によるキャッシュフローは発生していません。
これらの結果、フリーキャッシュフローは1.5億円のプラスとなっています。本業での資金創出が課題となっており、今後の収益改善が雇用や給与の安定性にも影響を与える可能性があります。
| 項目 | 2025年12月期(当期) |
|---|---|
| 営業CF | △3.0億円 |
| 投資CF | 4.5億円 |
| 財務CF | 0億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 1.5億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社は、共同研究契約に基づく収益の発生時期や金額が案件ごとに異なり、新規契約の遅延や提携先との研究方針の不一致により、収益が想定通りに得られない可能性があります。また、医薬品の創薬研究は成功の可能性が低いとされており、提携先の方針に左右される不確定要因も存在します。
③ 人材・組織に関するリスク
同社は医薬品研究を行う企業としては小規模な組織であり、事業拡大に伴う人員補強が計画通りに進まない場合や、多くの人材流出があった場合には、今後の事業運営に影響が生じる可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
Veritas In Silicoは、mRNAを標的とした低分子創薬を通じて、治療法がない患者に希望をもたらす社会の実現を目指しています。革新的な技術と理念に基づき、医薬品を社会に届けることを追求する企業です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
Veritas In Silicoは、「どんな疾患の患者さまも治療法がないと諦めたり、最適な治療が受けられないと嘆いたりすることのない、そんな希望に満ちたあたたかい社会を実現し発展させる」ことを経営理念としています。mRNAを標的とした低分子創薬のプラットフォーム型ビジネスと、自社での医薬品創出を行うパイプライン型ビジネスを展開しています。同社は創薬のブレイクスルーを実現し、スペシャリティファーマとして、より多くのmRNA標的医薬品を社会に届けることを目指しています。中長期的には、2030年を目途にスペシャリティファーマとしての地歩を確立することを目標としています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
Veritas In Silicoは、事業活動の原動力を「同社で働く全ての社員」と位置づけています。社員の人権を最大限に尊重し、働きがいのある企業風土の醸成(社内環境整備)に努めています。人材の多様化と一人ひとりを活かす組織づくりを進め、社員の健康管理・健康増進にも経営としてコミットし、同社への帰属意識や満足度の向上を図り、職場の活性化を実現することを目指しています。サステナビリティに関する重要な事項は、サステナビリティ委員会で審議・決定される体制です。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
Veritas In Silicoは、優先的に対処すべき課題として、株主価値の向上を目指す経営の実践に取り組んでいます。健全性と透明性の高い経営を実践しつつ、適時的確で積極的な情報開示や株主との対話等を通じて、適正な株主価値の構築とその向上に努めています。
また、優秀な人材の確保・育成も重要なテーマです。同社の事業を持続的かつ安定的に発展させるため、RNA研究に関する高い専門性や豊富な創薬研究経験を有する人材の確保を進めています。従業員が働きやすく、業務を通じて成長できる環境を整備することにより、同社への帰属意識や従業員満足度を高め、事業基盤を盤石にすることを目指しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
Veritas In Silicoは監査役制度を採用しており、2025年4月より執行役員制を導入しています。これにより、経営の意思決定・監督機能と業務執行機能の分離を図っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
筆頭株主は代表取締役社長の中村慎吾氏です。その後には三菱瓦斯化学やNew Life Science1号投資事業有限責任組合といった事業会社や投資ファンドが続きます。創業者が筆頭株主として経営を支えつつ、多様な株主によって資本が構成されていることが特徴です。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 中村 慎吾 | 21.60% |
| 三菱瓦斯化学 | 11.30% |
| New Life Science1号投資事業有限責任組合 | 8.60% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は7名(男性6名・女性1名)で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長は中村慎吾氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 中村 慎吾 | 代表取締役社長 | 武田薬品工業、Dow Chemical Japan、Catalent Pharma Solutions、産業革新機構を経て、2016年11月より同社代表取締役に現職。 |
| 萩原 宏昭 | 取締役執行役員管理部長 | 桧家ホールディングス、VTホールディングス、アイティエルホールディングス、エムエスジャパンサービスを経て、2019年5月同社入社。2025年4月より同社取締役執行役員管理部長に現職。 |
| 甲田 伊佐男 | 取締役執行役員事業開発部長 | 日産化学工業、MSDを経て、2018年12月同社入社。2025年4月より同社取締役執行役員事業開発部長に現職。 |
社外取締役は、小南欽一郎氏(テック&フィンストラテジー代表取締役)です。
同社は監査役会設置会社であり、取締役会は社外取締役1名を含む4名で構成されています。社外取締役は客観的・中立的な立場から経営に助言・監督を行う役割を担っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
業務執行取締役には基本報酬と業績連動報酬(賞与)が支給され、社外取締役には基本報酬のみが支払われる体系です。業績連動報酬の支給は原則として同社業績が黒字化することを前提とし、目標となる業績指標は年度予算や中期経営計画と整合するように設定されます。監査役の報酬は固定報酬のみであり、株主総会で決議された報酬枠の範囲内で監査役の協議により決定されます。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 3名 | 53百万円 | 17.8百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 27百万円 | 6.7百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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