※本記事は、コロンビア・ワークス株式会社の有価証券報告書(第13期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. コロンビア・ワークスってどんな会社?
同社は不動産開発サービスを主力とし、賃貸管理やホテル運営も手がける企業です。
■(1) 会社概要
2013年5月に東京都渋谷区にて設立され、同年8月に不動産開発サービスを開始しました。2014年に合弁会社(現コロンビア・コミュニティ)を設立して賃貸管理サービスを開始し、2018年にはホテル運営サービスも開始しました。2024年3月に東京証券取引所スタンダード市場へ株式を上場しています。
従業員数は連結で84名、単体で44名体制です。筆頭株主は創業者の資産管理会社であるNstyleで、第2位は代表取締役の中内準氏、第3位は取締役の水山直也氏となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| Nstyle | 33.69% |
| 中内 準 | 24.91% |
| 水山 直也 | 4.14% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役は中内準氏です。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 中内 準 | 代表取締役 | 2000年明和地所入社。オリックス等を経て、2013年5月より現職。 |
| 水山 直也 | 取締役 | 2007年オリックス入社。2013年同社に入社し、2020年3月より現職。 |
| 魚住 剛 | 取締役 | 2006年森トラスト入社。ヒューリック等を経て、2023年9月より現職。 |
社外取締役は、小俣学(プライムホーム代表取締役)、田代尚子(フジテレビジョン出身)、髙嶋希(長島・大野・常松法律事務所)、大庭崇彦(公認会計士事務所所長)です。
2. 事業内容
同社グループは、不動産開発事業の単一セグメントで事業を展開しています。
■不動産開発サービス
レジデンス(賃貸マンション)、オフィス、ホテル等を対象とした不動産開発を行っています。用地の仕入れから企画、開発、販売までを一貫して手がけ、投資家や一般事業法人向けに販売しています。
開発物件の売却による収益を主な収入源としています。自社単独での開発に加え、他社との協業やファンド型のスキームなども活用し、利益の最大化を図っています。事業運営は同社が主体となって行っています。
■不動産賃貸管理・ホテル運営・アセットマネジメントサービス
開発した物件の販売後も顧客をフォローするため、賃貸管理サービスを提供しています。また、地域性やアートを取り入れたホテル運営や、投資家向けの資産形成を支援するアセットマネジメント事業も展開しています。
賃貸管理手数料やホテル宿泊料、投資助言業務の受託による手数料などを収益源としています。事業運営は、コロンビア・コミュニティやコロンビアホテル&リゾーツ、コロンビア・アセットマネジメントが担当しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の売上高は右肩上がりで成長を続けており、特に当期は前期比で大幅な増収を達成しています。経常利益と当期純利益も継続して増加傾向にあり、利益率も10%台後半から10%台半ばの安定した水準を維持し、力強い成長軌道を描いています。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 100億円 | 110億円 | 145億円 | 210億円 | 371億円 |
| 経常利益 | 10億円 | 19億円 | 24億円 | 35億円 | 51億円 |
| 利益率(%) | 10.3% | 16.8% | 16.5% | 16.8% | 13.8% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 7億円 | 12億円 | 12億円 | 22億円 | 31億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の大幅な成長に伴い、売上総利益および営業利益ともに前期から拡大しています。売上総利益率と営業利益率も一定の水準を維持しており、事業拡大と収益性のバランスがとれた損益構造となっています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 210億円 | 371億円 |
| 売上総利益 | 57億円 | 87億円 |
| 売上総利益率(%) | 27.0% | 23.3% |
| 営業利益 | 39億円 | 60億円 |
| 営業利益率(%) | 18.6% | 16.3% |
販売費及び一般管理費のうち、租税公課が6億円(構成比21%)、給料が4億円(同16%)を占めています。売上原価は284億円で、売上高に対する構成比は77%となっています。
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
コロンビア・ワークスは、不動産開発事業を単一セグメントとして展開しており、安定した収益確保のため賃貸用不動産の取得に注力しています。
営業活動では、不動産開発・販売に伴う資金の増減が主な要因です。投資活動では、賃貸用不動産の取得による支出がありました。財務活動では、増資による収入や借入金の増減がありました。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -143億円 | -43億円 |
| 投資CF | -16億円 | -17億円 |
| 財務CF | 171億円 | 96億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「人が輝く舞台を世界につくる」という企業理念のもと、人々が安心して生活し、個々人が自らの価値観に基づき豊かな生活を送ることができる社会の実現を目指しています。「ユニキュベーション(UniquenessとIncubationの造語)」によって想像と体験のサイクルを生み出し、心の底から思う「あったらいいな」を実現することを使命としています。
■(2) 企業文化
時代と共に進化し、世界中の誰もが人生の主役になれる舞台を提供できる「誰もが主役」という姿を目指しています。また、「好奇心、上昇志向、一体感」を大切にする価値観として掲げています。同社が創出する都市開発により、利用者や居住者、そこに訪れる人々の人生の質(Quality of Life)を向上させる街づくりを社会に提供し続けることを重視しています。
■(3) 経営計画・目標
財務基盤の強化及び健全な企業経営の維持を重要な経営課題として位置付けています。資産を効率的に活用し、適切なリターンを確保することで自己資本の充実を図る観点から、売上高や営業利益に加えて、ROA及び自己資本比率を経営上の重要な指標として重視しており、以下の目標を掲げています。
・ROA:8%の水準を維持
・自己資本比率:20%台の水準を維持
■(4) 成長戦略と重点施策
純資産の充実を意識したB/S経営を基本方針とし、持続的な成長に向けた経営基盤の構築に取り組んでいます。従来の用地特性に応じた開発に加え、テナント需要を踏まえたBTS(Build To Suit)型施設の開発など、開発手法の多様化を推進しています。また、事業環境の変化に左右されずに安定的な資金調達を行うための財務体質の強化や、SNS等を利用したリーシングの多様化を進めています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
今後の事業展開のため、優秀な人材の採用・確保および育成を重要課題と位置づけています。従業員同士のコミュニケーションの促進や企業理念の浸透を図ることで、優秀な人材の確保に努めています。また、サステナビリティの観点から「健やかで上昇志向のある組織風土の醸成」や「ダイバーシティ&インクルージョンの推進」を重要課題に掲げ、事業戦略と連動した取り組みを推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 37.1歳 | 3.1年 | 8,747,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有給取得率(62.9%)、所定外労働時間(17.1時間)、女性管理職比率(3.2%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 建設コストの上昇と工期遅延
資材価格の上昇、労務費の増加、施工人材の不足などを背景に建設工事費が高止まりしています。想定を上回るコスト増が見込まれる場合や、施工会社の確保が困難になり工期が長期化する可能性があります。同社グループでは、見積精度の高度化や複数の施工会社候補の確保によりコスト上昇の抑制に努めていますが、事態が悪化した場合は開発案件の収益性低下を招き、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) ホテル運営事業における需要変動
同社グループはホテル運営事業を手がけており、景気動向や為替変動、感染症の流行、地政学的リスクなどの影響を受けやすい特性があります。これら外部要因の悪化により宿泊需要が減少した場合には、稼働率および客室単価が低下し、同社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 引渡時期の集中による業績変動
不動産開発サービスにおける売上高は、主に開発案件の売却によるものであり、案件の引渡時期によって売上と利益が計上されます。そのため、引渡時期が特定の四半期や期末に集中した場合、四半期ごとの業績が大きく変動する特徴があります。天災や事故、行政手続きの長期化などの要因により引渡時期が期末を越えて遅延した場合には、同社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。



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