トーホー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

トーホー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所プライム市場に上場。主要事業は外食産業向けの業務用食品卸売。2025年1月期の連結業績は、インバウンド需要の拡大等により主力事業が伸長し増収となる一方、食品スーパー事業からの撤退に伴う損失拡大等により営業利益・経常利益は減益となりました。


※本記事は、株式会社トーホー の有価証券報告書(第72期、自 2024年2月1日 至 2025年1月31日、2025年4月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. トーホーってどんな会社?


1947年創業の業務用食品卸売大手です。「食を通して社会に貢献する」を理念に、外食産業向け食材供給や店舗運営支援を展開しています。

(1) 会社概要


1947年に佐賀県で創業し、1953年に東蜂産業を設立しました。2000年に東京証券取引所市場第一部へ上場し、2022年にプライム市場へ移行しました。業務用食品卸売事業を主力とし、近年ではM&Aによるエリア拡大や、シンガポール等への海外展開を推進しています。

連結従業員数は2,409名、単体では152名です。筆頭株主は資産管理業務を行う信託銀行で、第2位および第3位には、業務提携関係にある食品卸売大手・国分グループの持株会社および中核事業会社が名を連ねています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 10.59%
国分ホールディングス 9.06%
国分グループ本社 5.11%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性3名の計13名で構成され、女性役員比率は23.1%です。代表取締役社長は奥野邦治氏が務めています。社外取締役比率は44.4%です。

氏名 役職 主な経歴
古賀 裕之 代表取締役会長 1976年入社。ディストリビューター事業部中国地区統括支店長等を経て、トーホー・北関東社長などを歴任。2017年より社長を務め、2025年4月より現職。
奥野 邦治 代表取締役社長 1984年入社。トーホーキャッシュアンドキャリー社長、トーホービジネスサービス社長、取締役執行役員商品戦略本部長などを歴任。2025年4月より現職。
土井 弘光 取締役執行役員物流戦略部長 国分(現 国分グループ本社)入社後、同社取締役常務執行役員などを経て、2022年に入社。2023年4月より現職。
田上 玲子 取締役執行役員法務・コンプライアンス部担当、コーポレート・コミュニケーション部担当、人事部長 三洋電機を経て2013年入社。執行役員人事部長、コンプライアンス室担当などを経て、2025年4月より現職。
原田 大介 取締役執行役員財務部担当、海外事業担当、IT戦略部担当、グループ戦略部長 2001年入社。海外子会社担当、グループ戦略部長などを歴任。2025年4月より現職。


社外取締役は、佐藤尚文(元株式会社DACS社長)、原田比呂志(元神戸ハーバーランド社長)、渡真利千恵(元株式会社チノー取締役)、山村和正(元室町建物取締役専務執行役員)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ディストリビューター事業」「キャッシュアンドキャリー事業」「食品スーパー事業」「フードソリューション事業」の4報告セグメントを展開しています。

ディストリビューター事業


ホテル、レストラン、テーマパーク等の外食産業に対し、業務用食材を直接納入販売しています。インバウンド需要や外食市場の動向に対応した営業活動を展開しています。

収益は、外食事業者への商品販売代金等から得ています。運営は主にトーホーフードサービス、トーホー・北関東、トーホー沖縄などの国内子会社および海外子会社が行っています。

キャッシュアンドキャリー事業


中小の飲食店等を主な顧客とし、業務用食材を現金販売する店舗「A-プライス」等を展開しています。顧客ニーズに対応した食材提案やプライベートブランド商品の販売を行っています。

収益は、店舗での商品販売代金等から得ています。運営は主にトーホーキャッシュアンドキャリーが行っています。

食品スーパー事業


生鮮食品を中心とした食品スーパーを運営していましたが、2024年11月21日をもって全店舗の営業を終了し、当該事業から撤退しました。

収益は、一般消費者への商品販売代金から得ていました。運営はトーホーストアが行っていました。

フードソリューション事業


外食ビジネスを支援する多様なサービスを提供しており、品質管理サービス、業務支援システムの販売、業務用調理機器の輸入・販売、店舗内装設計・施工等を行っています。

収益は、サービスの提供や機器の販売代金等から得ています。運営はトーホービジネスサービス、アスピット、エフ・エム・アイ、トーホー・コンストラクションなどが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は2022年1月期以降増加傾向にあり、2025年1月期には2,465億円に達しました。利益面では、2021年1月期に最終赤字を計上しましたが、2022年1月期以降は黒字転換し、経常利益・当期純利益ともに回復基調にあります。特に2024年1月期には利益率が大きく改善しました。

項目 2021年1月期 2022年1月期 2023年1月期 2024年1月期 2025年1月期
売上高 1,862億円 1,886億円 2,156億円 2,449億円 2,465億円
経常利益 -21億円 2億円 39億円 80億円 77億円
利益率(%) -1.1% 0.1% 1.8% 3.3% 3.1%
当期利益(親会社所有者帰属) -36億円 3億円 10億円 36億円 45億円

(2) 損益計算書


売上高は微増となりましたが、売上原価の増加などにより売上総利益は減少しました。営業利益も減少しており、営業利益率は3.0%となっています。

項目 2024年1月期 2025年1月期
売上高 2,449億円 2,465億円
売上総利益 500億円 490億円
売上総利益率(%) 20.4% 19.9%
営業利益 78億円 75億円
営業利益率(%) 3.2% 3.0%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給料が141億円(構成比34%)、運賃及び荷造費が69億円(同17%)を占めています。

(3) セグメント収益


ディストリビューター事業は増収増益となり業績を牽引しました。キャッシュアンドキャリー事業は増収ながら減益となりました。食品スーパー事業は大幅な減収および営業赤字となりました。フードソリューション事業は減収減益となりました。

区分 売上(2024年1月期) 売上(2025年1月期) 利益(2024年1月期) 利益(2025年1月期) 利益率
ディストリビューター事業 1,729億円 1,840億円 59億円 62億円 3.4%
キャッシュアンドキャリー事業 435億円 449億円 18億円 17億円 3.8%
食品スーパー事業 151億円 47億円 -7億円 -8億円 -18.0%
フードソリューション事業 134億円 129億円 8億円 4億円 3.1%
調整額 -361億円 -380億円 - - -
連結(合計) 2,449億円 2,465億円 78億円 75億円 3.0%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFはプラス、投資CFと財務CFはマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」に該当します。

項目 2024年1月期 2025年1月期
営業CF 93億円 65億円
投資CF -12億円 -22億円
財務CF -66億円 -46億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は15.5%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は34.8%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは創業以来、「食を通して社会に貢献する」を経営理念としています。「美味しさ」そして「安心・安全、健康、環境」を経営のキーワードに、「食」のあらゆるシーンを支え続ける企業グループとして、外食事業者の役に立つ商品やサービスの提供に努め、「外食ビジネスをトータルにサポート」できる企業グループとして事業を拡大しています。

(2) 企業文化


同社は経営憲章において、「企業は人である」とし、人格を重んじ、実力主義に基づいた適材適所の配置を行うことを掲げています。また、「誠実と信用」「勤勉質素」「公私の別」などを重視し、公正・透明で風通しの良い企業風土の構築に努めています。

(3) 経営計画・目標


同社は中期経営計画(3ヵ年計画)「SHIFT-UP 2027」(2025年1月期~2027年1月期)を推進しています。持続的な成長を実現するための「新たな成長ステージへの変革」と、持続可能な社会の実現と事業の安定的成長を目指す「サステナビリティ経営の推進」に取り組み、中長期的な企業価値向上を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


「新たな成長ステージへの変革」として、エリア毎の市場環境に沿った事業展開(首都圏・沖縄再編)、新たな市場の開拓(プライベートブランド強化、C&C事業拡大、海外事業拡大)、外食ビジネスをトータルにサポートする機能の拡充(業務支援システム刷新等)を推進しています。また、IT/DX戦略の推進やM&Aの継続も掲げています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は「企業は人である」という考えのもと、従業員の健康を維持・向上させる「健康経営」を最重要テーマと位置づけています。また、「個性の尊重と能力を発揮できる組織の構築」を目指し、従業員エンゲージメント向上、ダイバーシティ推進、自律的なキャリア形成支援などに取り組み、グループ横断的に活躍する人材を育成しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年1月期 43.6歳 16.4年 6,777,202円


※平均年間給与は、税込支給実績によるもので、基準外賃金及び賞与を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 2.8%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 63.1%
男女賃金差異(正規雇用) 70.4%
男女賃金差異(非正規雇用) 54.4%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性管理職・リーダー職比率(10.8%)、従業員エンゲージメントスコア(74.2%)、健康診断 再検査受診率(100%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 消費者や得意先のニーズへの対応遅れ


外食市場の動向などに対する情報収集とその対応が遅れることで、品揃えやサービスが市場に受け入れられず、市場シェアを落とすリスクがあります。これに対し、日々の営業活動や取引先とのコミュニケーションを通じて情報を入手・分析し、ニーズの変化に対応しています。

(2) 海外からの商品調達の停滞等


海外からの輸入に依存する商品について、産地での事故や紛争、輸送時のトラブル等により供給が滞るリスクがあります。また、為替変動による原価上昇のリスクもあります。これらに対し、情報の共有、調達先の分散、円建て決済の活用などで対応しています。

(3) 海外でのカントリーリスクや紛争


シンガポール、マレーシア、香港で事業を展開しており、現地の法改正、制度変更、政変、テロ等の発生により事業継続に支障を来すリスクがあります。現地との密な情報交換や公的機関からの情報収集を行い、従業員の安全確保を最優先に対応策を講じています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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