シーイーシー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

シーイーシー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

シーイーシーは東京証券取引所プライム市場に上場し、ICT全般のワンストップ提供、モビリティやスマートファクトリー分野のシステム開発、セキュリティやデータセンターを活用したソリューションを展開しています。直近の業績は顧客のICT投資が堅調に推移し、増収増益のトレンドを維持しています。


※本記事は、株式会社シーイーシーの有価証券報告書(第58期、自 2025年2月1日 至 2026年1月31日、2026年4月21日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. シーイーシーってどんな会社?


同社はシステム開発を中心に、インフラ構築からデータ分析、セキュリティまでICT全般を提供する企業です。

(1) 会社概要


1968年にコンピューターエンジニアーズとして設立され、ソフトウエア開発事業を開始しました。1978年に現在のシーイーシーへと社名を変更し、1990年には東京証券取引所市場第二部へ上場を果たしました。その後もデータセンターの開設や積極的な子会社化を通じて、ICTサービスの領域を拡大し続けています。

現在、同社の従業員数は連結で2,401名、単体で1,659名体制となっています。筆頭株主は事業会社のミツイワで、第2位と第3位には資産管理業務を行う信託銀行が名を連ねており、安定した株主基盤のもとで事業を展開しています。

氏名 持株比率
ミツイワ 14.24%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 11.79%
日本カストディ銀行(信託口) 7.51%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性2名の計12名で構成され、女性役員比率は16.0%です。代表取締役社長は姫野貴氏が務めており、社外取締役比率は41.7%です。

氏名 役職 主な経歴
姫野貴 代表取締役社長 1992年同社入社。プラットフォームサービス事業部長などを経て、2023年2月より現職。
高木英樹 取締役(兼執行役員)マーケティング&事業戦略担当 1992年同社入社。デジタルエンジニアリング事業部長などを経て、2025年2月より現職。大分シーイーシーの代表取締役社長も務める。
大北敦司 取締役(兼執行役員)品質革新担当 1990年ロビン入社、2007年同社転籍。サービスインテグレーション事業本部長などを経て、2025年2月より現職。
酒井靖男 取締役(兼執行役員)技術革新担当 1989年同社入社。デジタルインダストリー事業本部長などを経て、2025年2月より現職。シーイーシーカスタマサービスの代表取締役社長も務める。
江上太 取締役(兼執行役員)コーポレートグループ管理本部長 1989年同社入社。中部サービス事業部長やスマートファクトリー事業部長などを経て、2026年2月より現職。
石原直樹 取締役(兼執行役員) 1989年トヨタ自動車入社。トヨタシステムズを経て2025年2月に同社へ入社し、2026年2月より現職。
境俊治 取締役(常勤監査等委員) 1987年同社入社。総務部長や監査部長を経て2023年4月より現職。


社外取締役は、髙橋静代(元フューチャー執行役員人財本部長)、小杉乃里子(元ユニゾホールディングス常務取締役)、名和亮一(元電通総研代表取締役社長)、谷口勝則(公認会計士)、國安幹明(元ユニキャリア・ホールディングス取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「インテグレーションセグメント」「コネクティッドセグメント」「ソリューションセグメント」の事業を展開しています。

インテグレーションセグメント


従来のシステム開発を中心に、情報システムの企画からインフラ設計・構築、運用まで、ICT全般をワンストップで提供しています。クラウド化やレガシーシステムの移行、官公庁向けのネットワーク機器を含むインフラ構築など、幅広い顧客のデジタル変革を支援しています。

収益源は、企業や官公庁などの顧客から受け取るシステム開発やインフラ構築、クラウド連携等の各種サービスの対価です。運営は主に同社のほか、フォーサイトシステムやシーイーシークロスメディアなどのグループ会社が担っています。

コネクティッドセグメント


モビリティ分野やスマートファクトリー分野でのシステム開発をはじめ、デジタルデータを分析・活用したサービスを提供しています。自動車産業向けのIoTシステムや組み込み開発、車載検証サービスに加え、ビッグデータの利活用基盤構築なども手がけています。

収益源は、モビリティや製造業などの顧客から受け取るシステム開発費用やデータ分析基盤の構築・シミュレーションサービスの対価です。運営は主に同社およびシーイーシーカスタマサービスが行っています。

ソリューションセグメント


高度なセキュリティ技術と堅牢なデータセンターを活用し、公共、文教、物流、医療などの多様な分野へ自社の製品やサービスを提供しています。自社セキュリティ製品の提供や監視サービス、業界特化型の各種ソリューションを展開しています。

収益源は、多様な分野の顧客から受け取るセキュリティ製品の販売代金や監視サービスの利用料、データセンターの利用料金などです。運営は主に同社および宮崎太陽農園が担当しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は右肩上がりで推移しており、直近の第58期では659億円を記録しました。経常利益も売上拡大に伴い堅調に増加しており、安定した成長を続けています。利益率も10%前後の高水準を維持しており、強固な収益基盤を確立しています。

項目 2022年1月期 2023年1月期 2024年1月期 2025年1月期 2026年1月期
売上高 452億円 482億円 531億円 562億円 659億円
経常利益 43億円 44億円 64億円 68億円 74億円
利益率(%) 9.5% 9.2% 12.1% 12.1% 11.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 30億円 52億円 45億円 40億円 52億円

(2) 損益計算書


直近2期間では、売上高の増加に伴い売上総利益も順調に拡大しています。売上総利益率は25%台で推移しており、営業利益も堅調な伸びを示しています。

項目 2025年1月期 2026年1月期
売上高 562億円 659億円
売上総利益 153億円 169億円
売上総利益率(%) 27.3% 25.6%
営業利益 67億円 73億円
営業利益率(%) 11.9% 11.1%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が30億円(構成比32%)を占めており、人材基盤を支えるコストが大きな割合を占めています。

(3) セグメント収益


主力であるインテグレーションセグメントはシステム・インフラ構築の伸長が牽引し、大幅な増収増益を達成しました。コネクティッドセグメントやソリューションセグメントも堅調に推移しており、各セグメントがバランスよく利益に貢献しています。

区分 売上(2025年1月期) 売上(2026年1月期) 利益(2025年1月期) 利益(2026年1月期) 利益率
インテグレーションセグメント 357億円 430億円 76億円 88億円 20.5%
コネクティッドセグメント 114億円 118億円 21億円 23億円 19.5%
ソリューションセグメント 91億円 111億円 18億円 19億円 17.1%
連結(合計) 562億円 659億円 67億円 73億円 11.1%


営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業です。

項目 2025年1月期 2026年1月期
営業CF 53億円 58億円
投資CF -17億円 -22億円
財務CF -49億円 -39億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は12.5%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は68.4%であり、いずれも市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「ICTの力で新たな価値を創造し、社会、顧客、そして社員が、もっと輝く未来へ」をパーパスに掲げています。社会、顧客、社員、ビジネスパートナー、株主などのすべてのステークホルダーにとって、なくてはならない「エッセンシャルカンパニー」として、更なる進化と成長を目指しています。

(2) 企業文化


同社は、経営の透明性と効率性の向上に加え、企業倫理の徹底がコーポレート・ガバナンスの基本と考えています。「シーイーシーグループ行動指針」を役員および従業員の行動基準とし、法令遵守や公正な競争、互いの尊重を重視しています。透明性の高い経営と迅速な意思決定により、ステークホルダーからの信頼獲得に努めています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、社会や産業課題の解決を目指し、2026年1月期から2028年1月期の3カ年を対象とした「中期経営計画2025-2027」を策定しています。2028年1月期の事業目標として以下の数値を設定し、継続的な成長と資本効率の向上を目指しています。

・売上高:720億円
・営業利益:86億円

(4) 成長戦略と重点施策


長期経営計画「VISION 2030」のもと、事業モデルの転換や提供サービスの拡充を進めています。主力事業の垂直・水平展開による領域拡大と新たな収益の柱となる新規事業の創出を推進する方針です。コーポレート戦略としては、採用・教育の強化や多様な人材が活躍できる職場環境の整備、社内DXの強化といった施策に注力しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社グループは、持続的な成長を実現するため、人材確保を最重要課題の一つと位置づけています。キャリア採用や高度IT技術者の確保に積極的に取り組むとともに、従業員の持続的な成長を支援する階層別・専門別教育を展開しています。多様性の尊重やワークライフバランスの充実を通じ、エンゲージメントの向上を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年1月期 38.7歳 12.7年 6,400,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 4.1%
男性育児休業取得率 104.0%
男女賃金差異(全労働者) 82.6%
男女賃金差異(正規労働者) 81.3%
男女賃金差異(非正規労働者) 68.3%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) プロジェクトマネジメントに関するリスク


事業拡大に伴い、プロジェクトの大規模化や技術的・業務的な難度や複雑性が増しています。プロジェクトの遂行に問題が生じた場合、解決に想定以上の費用や時間を要するほか、納期遅延や想定外のリカバリーコストが発生し、採算が悪化することで業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 人材の確保・育成に関するリスク


高度な技術力やノウハウを有する人材の確保・育成が不可欠です。経済情勢や雇用環境の変化、人材獲得競争の激化などにより、必要な人材の確保や育成が計画どおりに進まない場合、将来の成長基盤が弱体化し、同社グループの業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) 情報セキュリティ・サイバー攻撃に関するリスク


顧客の機密情報や個人情報を取り扱う機会が多く、サイバー攻撃の高度化や生成AIの利用拡大に伴い、情報漏えいや業務停止のリスクが高まっています。万が一、情報セキュリティ事故が発生した場合、損害賠償請求や社会的信用の低下を招き、業績に重大な影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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