TOKYO BASE 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

TOKYO BASE 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

TOKYO BASEは東京証券取引所プライム市場に上場し、日本発のファッションブランドを国内外に展開するアパレル企業です。セレクトショップ「STUDIOUS」や自社ブランド「UNITED TOKYO」を運営し、実店舗とECを組み合わせて成長を続けており、直近の業績も増収増益を達成しています。


※本記事は、株式会社TOKYO BASEの有価証券報告書(第18期、自 2025年2月1日 至 2026年1月31日、2026年4月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. TOKYO BASEってどんな会社?


日本発のファッションブランドを国内外の実店舗とECで展開するアパレル企業です。

(1) 会社概要


2008年12月にSTUDIOUSとして設立され、2009年に事業を開始しました。2015年に自社オリジナルブランド「UNITED TOKYO」を立ち上げ、同年に東証マザーズへ上場しています。2016年にTOKYO BASEへ商号を変更し、2017年に東証一部へ市場変更しました。その後は中国本土、香港、米国、韓国へと海外展開を進めています。

現在の従業員数は連結で402名、単体で374名です。筆頭株主は創業者の谷正人氏で、第2位は法人株主、第3位は信託業務を行う信託銀行となっています。

氏名 持株比率
谷正人 23.06%
MT7 6.93%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 6.63%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役CEOは谷正人氏です。社外取締役比率は62.5%です。

氏名 役職 主な経歴
谷正人 代表取締役CEO デイトナ・インターナショナル等を経て2008年に同社を設立し代表取締役CEOに就任。海外子会社役員を歴任し、事業を牽引。
髙木克 取締役 CFO ワールド、ポイント(現アダストリア)等を経て2019年に同社入社。海外子会社役員を務め、2022年に取締役就任。2025年より現職。
久保歩史 取締役 2011年に同社入社。STUDIOUS店長、営業部長、教育推進室長、A+ TOKYO事業部長、営業本部長等を経て、2024年より現職。


社外取締役は、高下浩明(元ルシェルブルー社長)、佐々木陽三朗(中小企業診断士)、徐進(エスプール監査役)、松本高一(元AGSコンサルティング)、澁谷宗紀(伸梯社代表社員)です。

2. 事業内容


同社グループは、「衣料品販売事業」の単一セグメントで事業を展開しています。

(1) セレクトショップ事業


TOKYOブランドを世界に発信する「STUDIOUS」や「THE TOKYO」などのセレクトショップを展開しています。主に20代から50代のファッション感度の高い顧客をターゲットとしています。

収益源は、日本国内のファッションブランドから買い付けたブランド商品の一般消費者への販売代金です。同社が実店舗およびインターネット販売を通じて提供しています。

(2) オリジナルブランド事業


「ALL MADE IN JAPAN」にこだわった「UNITED TOKYO」や「PUBLIC TOKYO」などの自社オリジナルブランドを展開しています。20代から40代の幅広い世代をターゲットとしています。

収益源は、国内縫製メーカー等と連携して企画・製作した高品質なオリジナル商品の販売代金です。同社が企画から販売までを一貫して行い、実店舗およびインターネット販売を通じて提供しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は、国内外での店舗展開や新業態の立ち上げにより拡大基調にあり、直近の2026年1月期には237億円に達しています。経常利益についても、インバウンド需要の取り込みや既存店の好調な推移が寄与し、増益傾向となっています。

項目 2022年1月期 2023年1月期 2024年1月期 2025年1月期 2026年1月期
売上高 176億円 192億円 200億円 202億円 237億円
経常利益 11億円 3億円 11億円 15億円 19億円
利益率(%) 6.1% 1.4% 5.6% 7.3% 8.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 6億円 7億円 -11億円 6億円 12億円

(2) 損益計算書


直近の2026年1月期は、実店舗およびECでのプロパー販売(定価販売)比率が高まったことで売上総利益が増加しました。出店拡大等による販売費及び一般管理費の増加を吸収し、営業増益を達成しています。

項目 2025年1月期 2026年1月期
売上高 202億円 237億円
売上総利益 104億円 123億円
売上総利益率(%) 51.6% 51.8%
営業利益 15億円 20億円
営業利益率(%) 7.3% 8.2%


販売費及び一般管理費のうち、地代家賃が35億円(構成比33%)、給与及び手当が24億円(同23%)を占めています。

(3) セグメント収益


同社は衣料品販売事業の単一セグメントです。国内のインバウンド需要の増加や新業態の展開、海外での事業拡大により、全社売上高は前期から大きく伸長しています。

区分 売上(2025年1月期) 売上(2026年1月期)
衣料品販売事業 202億円 237億円
連結(合計) 202億円 237億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

TOKYO BASEは、実店舗の拡大を続ける衣料品販売事業を展開しています。

営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税金等調整前当期純利益や棚卸資産の増加、売上債権の増加、仕入債務の減少、法人税等の支払いによって得られました。投資活動では、有形固定資産の取得や差入保証金の差入れ、関係会社株式の取得により資金が支出されました。財務活動では、長期借入れや短期借入れによる収入があった一方で、長期借入金の返済やリース債務の返済、配当金の支払いが行われました。

項目 2025年1月期 2026年1月期
営業CF 17億円 13億円
投資CF -8億円 -17億円
財務CF -15億円 11億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「日本発を世界へ」を企業スローガンとして掲げ、「日本発を世界に発信するファッションカンパニーを創造するとともに、事業拡大を通じて、顧客、従業員、取引先、株主の幸せと夢を実現します」という企業理念のもとで経営を行っています。

(2) 企業文化


企業理念の実現に向けて、「全世界顧客感動」「ファッションプロフェッショナル集団」「Next Made in Japan」などのVISIONを掲げています。年齢や勤続年数にとらわれない実力主義を重視し、高い能力を持つ人材には若手でも大きな裁量を与える環境を整備しています。

(3) 経営計画・目標


資本効率を重視した経営の実現に向けて、中期経営計画においてROE(自己資本利益率)を主要な財務指標として位置づけ、株主資本コストを上回るリターンの創出を目指しています。

- ROE(自己資本利益率):2028年度に20%超

(4) 成長戦略と重点施策


「日本発・日本製」にこだわったブランドポートフォリオを基盤とし、海外市場への展開と新業態の継続的な開発を推進します。特にアジア主要都市を中心としたグローバル展開や、WOMENS市場の開拓に注力し、持続的な企業価値の向上を図ります。

- 戦略的な店舗展開および出店強化
- 海外都市への事業拡大および継続的な新業態開発
- 商品力の強化とM&Aの検討・実施

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


経営ビジョンである「全世界顧客感動」を実現するため、「営業力=人材」を最重要資源と位置付けています。年功序列を廃止して実力主義・成果主義に基づいた人事評価制度を導入し、業界トップ水準の給与体系を目指すことで、優秀な人材の確保と定着を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年1月期 27.1歳 2.1年 6,787,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 36.8%
男性育児休業取得率 0.0%
男女賃金差異(全労働者) 89.0%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 89.0%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 61.0%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、外国人従業員比率(7.2%)、女性従業員比率(44.7%)、新卒月給(400,000円)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) カントリーリスク


同社グループは中国本土および香港において海外展開を行っているため、進出国における予期せぬ法規制の変更や、政治的・経済的な事象、社会的混乱が発生した場合、事業展開や業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 消費者嗜好の変化


日本の最先端TOKYOブランドに特化した商品展開を行っていますが、流行や生活様式の変化に対応しきれない場合や、競合の激化により顧客の支持を得られなくなった場合、業績に影響が生じるリスクがあります。

(3) 商業施設やオンラインモールへの出店集中リスク


実店舗は特定の企業が運営する集客力の高い商業施設に集中しており、インターネット販売も特定のオンラインモールへの依存度が高い状況です。これらの施設の集客力低下や運営方針の変更があった場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。