TOKYO BASE 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

TOKYO BASE 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社は東京証券取引所プライム市場に上場しており、日本製にこだわった衣料品等の小売販売事業を実店舗およびECで展開しています。2025年1月期の業績は、売上高202億円(前期比1.1%増)、経常利益15億円(同31.5%増)となり、構造改革の成果による増収増益を達成しました。


※本記事は、TOKYO BASE の有価証券報告書(第17期、自 2024年2月1日 至 2025年1月31日、2025年04月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. TOKYO BASEってどんな会社?


セレクトショップ「STUDIOUS」や自社ブランド「UNITED TOKYO」などを展開し、「日本発を世界へ」を掲げるアパレル企業です。

(1) 会社概要


2008年に株式会社STUDIOUSとして設立され、セレクトショップ事業を開始しました。2015年に自社ブランド「UNITED TOKYO」を開始し、同年9月に東京証券取引所マザーズ市場へ上場しました。2016年に現社名へ商号変更し、2017年には市場第一部へ変更しました。近年では2024年5月に米国ニューヨークへ出店するなど、海外展開を加速させています。

2025年1月31日現在、従業員数は連結で278名、単体で262名です。筆頭株主は創業者の谷正人氏で、第2位は元取締役の中水英紀氏、第3位は谷氏の資産管理会社と思われる法人です。

氏名 持株比率
谷 正人 23.97%
中水 英紀 7.52%
MT7 7.28%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性1名、計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役CEOは谷正人氏が務めています。社外取締役比率は62.5%です。

氏名 役職 主な経歴
谷 正人 代表取締役CEO デイトナ・インターナショナルを経て2008年同社設立。2016年より現職。
髙木 克 取締役 ワールド、アダストリア等を経て2019年同社入社。2022年より現職。
久保 歩史 取締役 2011年同社入社。店長、営業部長、営業本部長等を経て2024年より現職。


社外取締役は、佐々木陽三朗(元日本アジア投資)、徐進(元三菱電機)、松本高一(アンビグラム代表取締役)、高下浩明(元BALENCIAGA JAPAN代表取締役)、澁谷宗紀(元日本システムクリエイト)です。

2. 事業内容


同社グループは、「衣料品販売」の単一セグメントで事業を展開していますが、展開するブランドや業態によって特性が異なります。

セレクトショップ事業

国内のファッションブランドから商品を買い付ける(約80〜90%)ほか、一部自社のオリジナル商品(約10〜20%)も展開する業態群です。

収益は主に一般消費者向けの実店舗およびECでの衣料品販売によって構成されており、TOKYO BASEが運営を行っています。

STUDIOUS(ステュディオス):TOKYOブランドを世界に発信するトレンド型セレクトショップとして、20~30代のファッション感度の高い若い世代を主なターゲットとしています。

THE TOKYO(ザ トウキョウ):30~50代の大人層をターゲットとし、TOKYOブランドを世界へ発信するハイエンド型のセレクトショップです。

CONZ(コンズ):Z世代を中心とする20代前半のファッション高感度層をターゲットに、雑然とした日本特有のミックススタイルを発信する新業態です。

自社ブランド事業

「ALL MADE IN JAPAN」に徹底してこだわり、高品質・高原価率を特徴とする自社オリジナル商品のみ(100%)を展開する業態群です。ターゲット層やコンセプト(モード、カジュアル、アクティブ等)を細分化することで、幅広い顧客層にアプローチしています。

収益は主に一般消費者向けの実店舗およびECでの衣料品販売によって構成されており、TOKYO BASEが運営を行っています。

UNITED TOKYO(ユナイテッド トウキョウ):20~40代の幅広い世代をターゲットにした、コンテンポラリー「モード」ブランドです。

PUBLIC TOKYO(パブリック トウキョウ):20代~40代の幅広い世代をターゲットにした、コンテンポラリー「カジュアル」ブランドです。

CITY TOKYO(シティ トウキョウ):20~40代の幅広い世代をターゲットにした「アクティブ」ブランドです。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2024年1月期に経常利益が大きく回復し、2025年1月期も増収増益基調を維持しています。特に当期は売上高が200億円を突破し、利益率も7.3%まで向上しました。一時期の最終赤字(2024年1月期の当期純損失)から脱却し、収益性が改善しています。

項目 2021年2月期 2022年1月期 2023年1月期 2024年1月期 2025年1月期
売上高 147億円 176億円 192億円 200億円 202億円
経常利益 2.1億円 11億円 2.7億円 11億円 15億円
利益率(%) 1.4% 6.1% 1.4% 5.6% 7.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 1.0億円 5.9億円 7.4億円 -11億円 6.3億円

(2) 損益計算書


売上高は微増ながら、売上総利益率が改善したことで売上総利益が増加しました。一方、販売費及び一般管理費は抑制され、営業利益率は4.4%から7.3%へと大きく向上しました。コストコントロールと粗利率改善が利益押し上げに寄与しています。

項目 2024年1月期 2025年1月期
売上高 200億円 202億円
売上総利益 100億円 104億円
売上総利益率(%) 50.1% 51.6%
営業利益 9億円 15億円
営業利益率(%) 4.4% 7.3%


販売費及び一般管理費のうち、地代家賃が29億円(構成比32%)、給与及び手当が21億円(同24%)を占めています。

(3) セグメント収益

2025年1月期は、第3四半期までEC事業等の構造改革に伴う減収が続いていましたが、第4四半期にコート等の冬物重衣料アイテムの販売が好調に推移し、全社で増収(前期比1.1%増)を達成しました。

「STUDIOUS」「UNITED TOKYO」「PUBLIC TOKYO」といった主力業態は、自社ECの収益性向上のための構造改革(過度な値引きプロモーションの見直し等)によりマイナス成長となりましたが、期末にかけて回復傾向を見せています。

リニューアルとブランド変更を行った「CITY TOKYO」や、ハイエンド層をターゲットとする「THE TOKYO」(前期比31.8%増)が大きく伸長し、全体の売上を牽引しました。また、新業態として「CONZ」が売上に寄与し始めています。

区分(業態) 売上(2025年1月期) 前年同期比
STUDIOUS 88.5億円 -2.0%
UNITED TOKYO 54.0億円 -5.0%
PUBLIC TOKYO 33.8億円 -3.3%
CITY TOKYO 8.0億円 +4.9%
THE TOKYO 17.6億円 +31.8%
CONZ 1.4億円 -
その他(※) -1.3億円 -
全社合計 202.1億円 +1.1%

※「その他」には、収益認識基準の影響額が含まれています。

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業活動によるキャッシュ・フローはプラスを維持し、投資活動および財務活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなりました。本業で稼いだ現金を投資や借入返済、株主還元に充てる健全な財務状態と言えます。

項目 2024年1月期 2025年1月期
営業CF 8億円 17億円
投資CF -1億円 -8億円
財務CF 9億円 -15億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は14.6%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は44.5%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「日本発を世界へ」を企業スローガンとし、「日本発を世界に発信するファッションカンパニーを創造するとともに、事業拡大を通じて、顧客、従業員、取引先、株主の幸せと夢を実現します」という企業理念を掲げています。この理念のもと、日本製品や日本ブランドの価値を世界市場へ届けることを目指しています。

(2) 企業文化


同社は「全世界顧客感動」「ファッションプロフェッショナル集団」「Next Made in Japan」「世界10大都市展開」「最速売上1,000億円/EC売上500億円」という5つのVISIONを掲げています。年功序列を廃し、成果に応じて若手にも大きな裁量権を与える実力主義・成果主義の文化が根付いています。

(3) 経営計画・目標


同社は資本効率を重視し、ROE(自己資本利益率)を中期経営計画の主要な財務指標として位置づけています。

* ROE:2028年度に20%超

(4) 成長戦略と重点施策


中長期的には「日本発・日本製」のブランドポートフォリオを基盤に、アジア主要都市を中心とした海外展開や新業態開発を推進します。店舗展開では国内東名阪エリアでのドミナント出店やインバウンド対応を進めるとともに、海外主要都市への出店によるグローバル収益基盤の多様化を図ります。また、商品力強化やデジタル投資による顧客体験向上にも注力します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は「営業力=人材」を最重要資源と捉え、販売職の社会的地位向上に取り組んでいます。年功序列を廃した能力主義に基づく育成制度により、早期の人材成長を促進しています。また、他業種と比較しても高水準の報酬体系を構築・維持することで、労働人口減少や業界構造上の課題に対応し、優秀な人材の確保を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年1月期 28.1歳 3.1年 6,429,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 45.7%
男性育児休業取得率 0.0%
男女賃金差異(全労働者) 87.2%
男女賃金差異(正規) 96.2%
男女賃金差異(非正規) 87.0%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、外国人従業員比率(10.0%)、女性従業員比率(50.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) カントリーリスク

同社は中国本土及び香港において事業を展開しており、法規制の変更、政治的・経済的な事象、社会的混乱等が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。同社は情報収集を継続し、動向を注視しつつ対策を講じる方針です。

(2) 消費者嗜好の変化

同社は流行の影響を受けやすい衣料品等を扱っており、特に日本国内の最先端ブランドや日本製オリジナル商品に特化しています。顧客の嗜好や生活様式の変化に対応できない場合、業績に影響が出る可能性があります。商品力の強化や新業態の展開、顧客層の拡大によりリスク低減を図っています。

(3) 特定の企業が運営する商業施設への出店集中

ターミナル駅周辺の集客力の高い商業施設に出店する戦略をとっているため、特定の企業グループが運営する施設への出店が集中しています。当該施設の集客力低下や出店方針の変更等があった場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。海外大都市への出店推進等でリスク分散を図っています。

(4) 人材について

店舗スタッフが商品選定に関与するなど専門性が求められるため、人材は重要な経営資源です。人材市場の需給逼迫や人材流出が生じた場合、事業計画や営業活動に支障が出る可能性があります。実力主義に基づく評価制度やインセンティブ制度の拡充等により、人材の確保・定着を図っています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。