Casa 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

Casa 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場の家賃債務保証会社です。家主と入居者の賃貸借契約における連帯保証人代行サービスを主軸とし、初回保証料と年間の継続保証料によるストック型ビジネスを展開しています。直近の決算では、契約数の増加や債権管理強化により、売上高8.3%増、経常利益62.0%増と大幅な増収増益を達成しました。


※本記事は、株式会社Casa の有価証券報告書(第12期、自 2024年2月1日 至 2025年1月31日、2025年4月28日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. Casaってどんな会社?


家賃債務保証事業を中核に、ITを活用した不動産経営支援や養育費保証などの社会課題解決型サービスも展開する企業です。

(1) 会社概要


同社の源流は2008年に設立されたレントゴー保証に始まります。2013年に持株会社体制へ移行後、2014年に現商号へ変更しました。2017年に東証二部へ上場し、翌2018年には東証一部へ指定替えを果たしました。その後、養育費保証サービスの開始や、家主向けサービスを提供する子会社設立など事業領域を拡大しています。

現在の従業員数は連結290名、単体276名です。筆頭株主は同社と業務提携関係にあるリコーリース(事業会社)で、第2位は生活トラブル解決サービスを展開するジャパンベストレスキューシステム(事業会社)、第3位は代表取締役社長の宮地正剛氏です。

氏名 持株比率
リコーリース株式会社 13.73%
ジャパンベストレスキューシステム株式会社 11.05%
宮地 正剛 9.26%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は宮地正剛氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
宮地 正剛 代表取締役社   長 リプラスを経て、2008年レントゴー保証(旧Casa)代表取締役社長。その後グループ各社の代表を経て2014年より現職。
松本 豊 取 締 役営業本部長 藤和不動産、ナイキジャパン、ニューバランスジャパンを経て2018年同社入社。営業部担当部長などを経て2023年より現職。
鹿島 一郎 取 締 役顧客管理本部長 サンクス、ワイド、リプラスを経て2008年レントゴー保証(旧Casa)入社。顧客管理部長などを経て2023年より現職。


社外取締役は、打込愛一郎(元リコーリース副社長)、嶋田一弘(元日本信用情報機構社長)、飯田亜子(公認会計士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「家賃債務保証事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 家賃債務保証事業


賃貸借契約において入居者の連帯保証人となることで、家主の家賃未収リスクを解消するサービスです。主な顧客は賃貸住宅の入居者と家主、不動産管理会社です。入居者の信用調査から滞納時の代位弁済、求償までを一貫して行い、家賃管理の効率化を支援しています。

収益源は、入居者から契約時に受け取る「初回保証料」と、1年ごとに受け取る「年間保証料(継続保証料)」です。この2つを柱とするストック型のビジネスモデルを構築しています。運営は主に同社が行い、集金代行サービス等でリコーリースと提携しています。

(2) その他の事業


自主管理家主向けの賃貸経営支援や、養育費保証などのサービスを展開しています。自主管理家主向けには、ITを活用して客付けから家賃管理、退去までをワンストップで提供するサービスを開発・提供しています。また、ひとり親家庭の養育費不払い問題を解決するための保証事業も行っています。

家主向けの経営支援サービス等は子会社の株式会社COMPASSなどが運営し、養育費保証事業は同社が主体となって展開しています。これらを通じて、不動産市場の課題解決やシングルマザーの自立支援など、社会的なインフラとしての役割も担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は緩やかな増加傾向にあり、直近では120億円を超えています。利益面では、経常利益率が8%台から12%台へと回復傾向にあります。特に直近の決算では、売上の増加に加え、貸倒引当金見積りの見直しなどにより利益が大きく伸長しました。当期純利益も安定して黒字を維持しています。

項目 2021年1月期 2022年1月期 2023年1月期 2024年1月期 2025年1月期
売上高 102億円 103億円 103億円 112億円 122億円
経常利益 11億円 11億円 9億円 10億円 16億円
利益率(%) 10.7% 11.1% 8.7% 8.6% 12.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 6億円 7億円 2億円 7億円 6億円

(2) 損益計算書


売上高は約122億円で前期比増収となりました。売上総利益率は約60.8%と高い水準を維持しています。営業利益は前期の約8億円から約13億円へと大幅に増加し、営業利益率は10.7%となりました。収益性の高いストック収入の積み上げとコストコントロールが寄与しています。

項目 2024年1月期 2025年1月期
売上高 112億円 122億円
売上総利益 61億円 74億円
売上総利益率(%) 54.7% 60.8%
営業利益 8億円 13億円
営業利益率(%) 7.0% 10.7%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が13億円(構成比21%)、租税公課が8億円(同12%)を占めています。売上原価においては、貸倒引当金繰入額が20億円(売上原価比42%)、支払手数料が15億円(同32%)と大きな割合を占めています。

(3) セグメント収益


同社は家賃債務保証事業の単一セグメントですが、売上種別ごとの内訳を見ると、初回保証料と継続保証料がともに順調に増加しています。特にその他売上の伸び率が高く、新規事業等の寄与が見られます。ストック収益である継続保証料が積み上がり、安定した収益基盤となっています。

区分 売上(2024年1月期) 売上(2025年1月期)
初回保証料 57億円 61億円
継続保証料 55億円 59億円
その他売上 1億円 2億円
連結(合計) 112億円 122億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

項目 2024年1月期 2025年1月期
営業CF 11.4億円 0.1億円
投資CF -0.1億円 -3.3億円
財務CF -3.1億円 -4.0億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.2%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は47.6%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「人々の健全な住環境の維持と生活文化の発展に貢献し、豊かな社会を実現する」という企業理念を掲げています。さらに、「誰もが安心して暮らせる社会」の実現を目指し、不動産賃貸管理の課題に対応するソリューションサービスを提供することを基本方針としています。

(2) 企業文化


「三方よし」の精神を基盤とし、顧客本位のホスピタリティと信頼・安心の提供を重視しています。社員に対しては、「専門性」「部門間の協調」「挑戦マインド」を求め、一人ひとりがやりがいと誇りを持って積極的に挑戦できる風土の醸成に取り組んでいます。また、行動規範として「誠実な行動」「探求心と成長」「相互尊重」を定めています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、2026年1月期から2028年1月期までの中期経営計画を策定しています。最終年度となる2028年1月期には、以下の数値目標の達成を目指しています。

* 売上高:154億円
* 営業利益:20億円
* 営業利益率:13.0%
* EBITDA:26億円

(4) 成長戦略と重点施策


営業体制の強化による新規代理店の開拓と、既存取引先の利用促進を進めています。特に事業用賃貸市場への対応強化のため専門チームを新設しました。また、自主管理家主向けにはITを活用した支援サービスを提供し、シェア拡大を図っています。業務効率化のため、AIやRPAを活用した「保証DX」も推進しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


持続的な成長のために、企業理念に共感できる人材の確保と育成を重要課題としています。「三方よし」の精神のもと、専門性や挑戦マインドを重視した環境づくりを進めています。具体的には、営業体制強化のための採用加速や、DX推進のための専門人材の採用、ナレッジマネジメントによる生産性向上に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年1月期 43.2歳 9.7年 5,336,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 20.0%
男性育児休業取得率 -%
男女賃金差異(全労働者) 79.6%
男女賃金差異(正規雇用) 80.0%
男女賃金差異(非正規雇用) 81.6%


※男性労働者の育児休業取得率について、該当者がいないため「-」としています。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 景気や賃貸市場の変動


家賃債務保証事業を展開しているため、家賃相場の変動、住宅建設の動向、人口減少などにより賃貸市場が縮小した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、経済環境や雇用情勢の悪化により賃借人の家賃支払いが困難になった場合、代位弁済が増加し、財務状況が悪化するリスクがあります。

(2) 法規制や制度変更


現在、家賃債務保証事業には直接的な規制法はありませんが、国土交通省による任意登録制度が存在します。今後、制度の義務化や新たな規制の導入、既存規制の改正が行われた場合、事業展開や業績に影響が生じる可能性があります。

(3) システムおよび情報漏洩リスク


業務の多くをシステムに依存しており、かつ多数の個人情報を保有しています。システム障害やサイバー攻撃による停止、または個人情報の漏洩が発生した場合、業務の遅滞や社会的信用の失墜を招き、業績に重大な影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。