Casa 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

Casa 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

Casaは、東京証券取引所スタンダード市場に上場し、家賃債務保証事業を主軸に展開する企業です。賃貸市場での家賃債務保証ニーズを背景に、代理店網の拡大により増収を維持していますが、審査厳格化や貸倒引当金の追加繰入等により直近の業績は大幅な減益となり、純利益は赤字に転落する厳しい経営環境にあります。


※本記事は、株式会社Casa の有価証券報告書(第13期、自 2025年2月1日 至 2026年1月31日、2026年4月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. Casaってどんな会社?


家賃債務保証事業を主軸に、不動産賃貸管理の課題解決に向けたソリューションサービスを提供する企業です。

■(1) 会社概要


同社は2008年10月に家賃債務保証事業を目的に設立されました。2014年2月に現在のCasaへ商号変更し、2017年10月に東証二部へ上場を果たしました。2019年6月には不動産経営プラットフォームを提供するCOMPASSを設立し、近年はプロフィットセンターを子会社化するなど事業領域を拡大しています。

現在の従業員数は連結で276名、単体で260名体制となっています。大株主の状況としては、集金代行サービスなどで提携関係にある事業会社のリコーリースが筆頭株主となっており、第2位には同社の創業者であり代表取締役社長を務める宮地正剛氏が名を連ねています。

氏名 持株比率
リコーリース 15.33%
宮地正剛 10.33%
光通信KK投資事業有限責任組合 4.52%

■(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は宮地正剛氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
宮地正剛 代表取締役社長 2004年リプラス入社。2008年レントゴー保証(旧Casa)代表取締役社長。全国保証機構代表理事等を経て、2014年2月より現職。
松本豊 取締役営業本部長 1991年藤和不動産入社。ナイキジャパン等を経て2018年同社入社。営業部長等を経て2023年10月より現職。
鹿島一郎 取締役顧客管理本部長 1999年サンクス入社。リプラス等を経て2019年同社入社。2022年4月取締役就任、2023年10月より現職。


社外取締役は、打込愛一郎(元リコーリース取締役副社長執行役員)、嶋田一弘(元日本信用情報機構代表取締役社長)、飯田亜子(元有限責任あずさ監査法人)です。

2. 事業内容


同社グループは、「家賃債務保証事業」および「その他」事業を展開しています。

■家賃債務保証事業


同社グループの中核である家賃債務保証事業は、賃貸借契約時に入居者と保証委託契約を結び、連帯保証人として家主への家賃支払いを保証するサービスを提供しています。独自のデータベースを活用した与信管理や、家主・不動産会社向けの集金代行サービスを通じ、未収リスクの軽減と家賃管理の効率化を支援しています。

収益は、契約時に受け取る初回保証料と、1年経過後から毎年受け取る継続保証料を主軸とするストック型のビジネスモデルです。家賃債務保証の運営は主にCasaが行っています。また、自主管理家主向けの賃貸経営プラットフォーム事業は子会社のCOMPASSが担い、新たな収益基盤の構築を進めています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

■(1) 業績推移


売上高は増加傾向にあり直近は128億円に達していますが、利益面は厳しく推移しています。経常利益は審査厳格化や貸倒引当金繰入額の増加により直近で急減し、当期純利益も赤字に転落しました。持続的な収益性改善が課題となっています。

項目 2022年1月期 2023年1月期 2024年1月期 2025年1月期 2026年1月期
売上高 103億円 103億円 112億円 122億円 128億円
経常利益 11億円 9億円 10億円 16億円 0.5億円
利益率(%) 11.1% 8.7% 8.6% 12.9% 0.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 6億円 3億円 6億円 6億円 1億円

■(2) 損益計算書


売上高は増加したものの、信用コストの増加が重荷となり売上総利益が減少しました。それに伴い、営業利益は前期の13億円から赤字へと大きく落ち込んでいます。

項目 2025年1月期 2026年1月期
売上高 122億円 128億円
売上総利益 74億円 61億円
売上総利益率(%) 60.8% 47.8%
営業利益 13億円 -0.6億円
営業利益率(%) 10.7% -0.5%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が12億円(構成比20%)、業務委託費が8億円(同12%)、租税公課が7億円(同11%)を占めています。売上原価では、貸倒引当金繰入額が35億円(構成比54%)と最も大きく、次いで支払手数料が16億円(同25%)を占めています。

■(3) セグメント収益


同社は家賃債務保証事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略されています。継続的な代理店網の拡大により契約件数は伸びていますが、承認率の低下や回収遅れにより全体の収益性が悪化しています。

区分 売上(2025年1月期) 売上(2026年1月期)
連結(合計) 122億円 128億円

■(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業としてのキャッシュ・フロー構成を示しています。

項目 2025年1月期 2026年1月期
営業CF 0.1億円 5億円
投資CF -3億円 -2億円
財務CF -4億円 -5億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は1.7%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は43.5%で、いずれも市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

■(1) 経営理念


同社は「誰もが安心して暮らせる社会」の実現を掲げています。人々の健全な住環境の維持と生活文化の発展に貢献し、豊かな社会を実現することを企業理念とし、不動産賃貸管理の様々な課題に対応するソリューションサービスの提供を通じて、社会インフラとしての使命を果たすことを目指しています。

■(2) 企業文化


「三方よし」の精神を基盤とし、お客様本位のホスピタリティと信頼・安心の提供を重視しています。また、行動規範として「誠実な行動」「探究心と成長意欲」「社員一人ひとりの尊重」を掲げ、社員がいきいきと活気ある職場で新たなサービスの創出に積極的に挑戦できる文化の醸成に取り組んでいます。

■(3) 経営計画・目標


同社は中期的な企業価値向上に向け、売上高、営業利益、営業利益率、EBITDAを重要な経営指標として設定し、量と質の両面から事業運営を進める計画です。

* 2028年1月期:売上高153億円
* 2028年1月期:営業利益12億円
* 2028年1月期:営業利益率7.6%
* 2028年1月期:EBITDA18億円

■(4) 成長戦略と重点施策


持続的な成長と収益性改善を目指し、営業戦略の推進と売上原価の圧縮に注力します。新規および既存代理店の利用促進で収益基盤を拡充するとともに、信用コスト管理の精度向上と回収体制の専門化により原価構造の改善を図ります。さらに、保証DXを基盤としたAI活用による業務の標準化や自動化を推進します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

■(1) 人材戦略・方針


持続的な成長を支える人的基盤の強化を重要課題と位置づけ、企業理念に共感する人材の採用強化と育成を進めています。「Casaアカデミー」を設立して専門人材を体系的に育成し早期戦力化を図るとともに、残業時間の圧縮や働きやすい環境整備を推進し、人材の定着率向上を目指しています。

■(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年1月期 42.6歳 10.3年 5,098,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

■(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 20.3%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 76.0%
男女賃金差異(正規雇用) 78.7%
男女賃金差異(非正規雇用) 67.2%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

■(1) 景気や賃貸市場の変動による影響


家賃相場の変動や人口減少等により賃貸市場が縮小した場合、新規契約件数の減少や保証引受機会の縮小が生じ、同社グループの収益や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

■(2) 法規制や制度変更によるリスク


家賃債務保証事業に関する国土交通省の任意登録制度の義務化や新たな法規制が導入された場合、業務運営方法や管理体制の変更が必要となり、対応コストの増加が事業展開に影響を与える可能性があります。

■(3) 信用リスクと貸倒引当金の追加


賃借人の支払能力悪化に伴う代位弁済の増加や、長期滞留債権の回収遅れ等により損失見込額の見積りと実績に乖離が生じた場合、追加の貸倒引当金繰入が必要となり、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

■(4) システムや情報漏洩に関するリスク


業務のシステム化を推進し多くの個人情報を保有しているため、システム障害の長期化や外部からの不正アクセスによる情報漏洩が発生した場合、事業活動への支障や社会的信用の低下を招くリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。