※本記事は、GENDA の有価証券報告書(第8期、自 2025年2月1日 至 2026年1月31日、2026年4月28日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. GENDAってどんな会社?
アミューズメント施設やカラオケの運営などを通じて、グローバルにエンタメ経済圏を構築する企業です。
■(1) 会社概要
2018年にアミューズメントマシンレンタルを目的に設立されました。2020年にセガエンタテインメント(現GENDA GiGO Entertainment)を取得して施設運営を本格化し、2021年に純粋持株会社へ移行しました。2023年に東証グロース市場へ上場し、直近もM&Aでカラオケや映画分野等へ事業を拡大しています。
従業員数は連結で2018名、単体で158名です。筆頭株主はミダスキャピタルが運営する投資事業有限責任組合で、第2位は創業者の片岡尚氏、第3位は金融機関のファンドプラットフォームとなっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 吉村英毅・ミダスB投資事業有限責任組合 | 28.99% |
| 片岡 尚 | 12.74% |
| CEPLUX-THE INDEPENDENT UCITS PLATFORM 2 | 5.28% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性5名の計13名で構成され、女性役員比率は38.5%です。代表取締役社長CEOを片岡尚氏が務めています。なお、取締役13名のうち社外取締役は3名です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 片岡 尚 | 代表取締役社長CEO | イオン等を経てイオンファンタジー代表取締役社長を歴任。2018年に同社を設立し代表取締役社長に就任。現在はギャガ代表取締役会長等を兼務し、2025年より現職。 |
| 渡邊 太樹 | 常務取締役CFO | みずほ銀行やゴールドマン・サックス証券を経て2021年に同社入社。CFO兼管理本部長兼財務部部長、執行役員等を経て、2025年より現職。 |
| 羽原 康平 | 常務取締役CSO | PwCアドバイザリーを経て2019年に同社入社。経理部長や経営企画部長を歴任し、米国子会社取締役なども務める。2023年に執行役員CSOとなり、2025年より現職。 |
| 佐藤 雄三 | 取締役CCO | 博報堂に入社し、執行役員やTBWA\HAKUHODO代表取締役社長兼CEO、博報堂プロダクツ取締役等を歴任。2022年に同社取締役に就任し、2023年より現職。 |
| 二宮 一浩 | 取締役 | バンダイナムコアミューズメント執行役員や海外子会社役員等を経て2021年に同社入社。GENDA GiGO Entertainment代表取締役社長等を経て、2025年より現職。 |
| 申 真衣 | 取締役 | ゴールドマン・サックス証券に入社し、マネージングディレクター等を歴任。2018年に同社取締役に就任し、現在は複数社の社外取締役等も兼任し現職。 |
社外取締役は、嶋津紀子氏(Japan Search Fund Accelerator代表取締役社長)、林真理子氏(日本大学理事長)、田尻佳菜子氏(森・濱田松本法律事務所パートナー)です。
2. 事業内容
同社グループは、「エンタメ・プラットフォーム事業」および「エンタメ・コンテンツ事業」を展開しています。
■エンタメ・プラットフォーム事業
アミューズメント施設「GiGO」等の開発・運営や、カラオケ施設「カラオケBanBan」、さらにフード&ビバレッジ、外貨両替機、フォトスタジオなど、国内外のリアルなエンターテイメント体験の場を幅広く提供しています。多様な立地や顧客層に対応し、グローバルに店舗網を拡大しています。
収益は主に施設利用者からのプレイ料金や飲食代、カラオケ利用料、機器のレンタル・販売から得ています。運営はGENDA GiGO Entertainment、シン・コーポレーション、キャラット、SMART EXCHANGEなど多数のグループ企業が行っています。
■エンタメ・コンテンツ事業
人気のIP(知的財産)に登場するキャラクターの魅力を活かした商品の企画・販売や、アニメ等の制作・映画配給、VRアトラクションの開発・運営を行っています。エンターテイメントビジネスの上流領域からバリューチェーン全体にコンテンツを供給しています。
収益は主にアミューズメント施設等へのプライズ(景品)の卸売や、映画の配給収入、VRコンテンツ等の販売から得ています。運営はフクヤ、アレスカンパニー、ギャガ、ダイナモアミューズメント、映画.com等の各グループ企業が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は一貫して右肩上がりで推移しており、特に直近2年間は積極的なM&A戦略により急激な規模拡大を遂げています。一方、のれん償却費やM&A関連費用の増加により利益率は一時的に低下傾向にありますが、事業領域の拡大に伴って当期利益は大幅な増益を達成しており、成長への投資成果が表れつつあります。
| 項目 | 2022年1月期 | 2023年1月期 | 2024年1月期 | 2025年1月期 | 2026年1月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 381億円 | 461億円 | 557億円 | 1118億円 | 1708億円 |
| 経常利益 | 39億円 | 40億円 | 52億円 | 73億円 | 62億円 |
| 利益率(%) | 10.3% | 8.7% | 9.4% | 6.5% | 3.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -0.5億円 | 0.5億円 | 3億円 | 4億円 | 39億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の大幅な成長に伴い、売上総利益も順調に拡大しており、総利益率も安定して推移しています。一方で、M&Aに伴うのれん償却額や関連費用の増加により販売費及び一般管理費が拡大した影響で、営業利益率は低下しています。
| 項目 | 2025年1月期 | 2026年1月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1118億円 | 1708億円 |
| 売上総利益 | 254億円 | 393億円 |
| 売上総利益率(%) | 22.7% | 23.0% |
| 営業利益 | 79億円 | 77億円 |
| 営業利益率(%) | 7.1% | 4.5% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当が74億円(構成比24%)、のれん償却額が36億円(同12%)、支払手数料が33億円(同10%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力のエンタメ・プラットフォーム事業は、新規出店や国内外でのロールアップM&A、新領域(カラオケ、外貨両替機等)の連結子会社化により売上が大きく伸長しました。エンタメ・コンテンツ事業も、グループ内でのプライズ供給の集約や映画配給等のコンテンツ領域拡大により、順調な成長を見せています。
| 区分 | 売上(2025年1月期) | 売上(2026年1月期) |
|---|---|---|
| エンタメ・プラットフォーム事業 | 1008億円 | 1565億円 |
| エンタメ・コンテンツ事業 | 110億円 | 143億円 |
| 調整額・その他 | 0億円 | 0億円 |
| 連結(合計) | 1118億円 | 1708億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う状態です。
| 項目 | 2025年1月期 | 2026年1月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 79億円 | 139億円 |
| 投資CF | -201億円 | -724億円 |
| 財務CF | 256億円 | 650億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.6%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は29.2%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「世界中の人々の人生をより楽しく」というAspiration(アスピレーション:大志)を掲げています。人が人らしく生きるために「楽しさ」は不可欠であると考え、グローバルにエンターテイメントのネットワークを構築し、世の中に流通する「楽しさの総量」を増やすことを目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、世界一のエンターテイメント企業を目指す中で、M&Aを経営資源の獲得や事業成長を早急に実現する非常に有効な手段として位置付けています。多様なバックボーンを持つ人材が急速に集まる事業環境において、多様な価値観や貢献のあり方、多様な人材の共存を維持する文化を重視し、組織全体の健全な運営に努めています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、2040年に「世界一のエンターテイメント企業」になることを長期的な目標として掲げています。また、M&Aを成長ドライバーとし、持続的な成長を実現するため、中長期的には海外事業を含めたグループ全体のキャッシュ・フロー創出力の向上を目指しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、M&Aを通じた「連続的な非連続な成長」を成長戦略の柱としています。エンターテイメント企業経営、ファイナンス、テクノロジーの3領域のチームが連携し、既存事業の規模拡大と新規領域の獲得を推進します。具体的には以下の施策に取り組みます。
* アミューズメントやカラオケ領域でのロールアップM&A
* テクノロジーを活用した店舗業務の効率化とDX推進
* 北米市場を中心とした海外展開の強化とIP関連景品の供給
* 財務規律を維持した投資対象の厳選と資金調達の多様化
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は「連続的な非連続な成長」を目指す上で、優秀な人材の確保と育成を不可欠な財産と考えています。M&Aにより多様なバックボーンの人材が集まる環境下において、多様な価値観が共存できるオープンな職場作りを進めるとともに、資格取得補助などの能力向上や、健康診断・ストレスチェックの拡充による健康維持に注力しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年1月期 | 38.1歳 | 1.7年 | 8,911,332円 |
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 25.8% |
| 男性育児休業取得率 | 40.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 76.3% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 75.0% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 162.4% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、単体の離職率(7.0%)、GENDA GiGO Entertainmentの離職率(3.1%)、シン・コーポレーションの離職率(12.2%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) アミューズメント業界への依存と環境変化
同社の収益はアミューズメント施設業界に大きく依存しています。アニメ人気の追い風があるものの、余暇の多様化や少子化、ゲーム機メーカーの寡占化が進むことで革新的な機器が減少し、業界全体が低迷した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) M&A戦略に伴う事業リスク
成長戦略の柱としてM&Aを積極的に推進していますが、事前のデューディリジェンスで把握できなかった偶発債務の発生や、統合後の事業計画が想定通りに進まない場合、のれんの減損等により財務状況や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 店舗の賃貸借契約と出店コスト
国内外で多数の店舗を運営しており、好条件での賃貸借契約の維持が重要です。賃料の大幅な増加や、競合との出店競争によるコスト増、家主の破産等による敷金の回収不能などが発生した場合、収益性を圧迫するおそれがあります。



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