※本記事は、株式会社セイヒョー の有価証券報告書(第114期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月28日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. セイヒョーってどんな会社?
同社は新潟県を拠点に、自社ブランド「もも太郎」などの氷菓・アイスクリームや和菓子の製造販売を行う企業です。
■(1) 会社概要
1916年に新潟製氷として設立され、1948年に冷氷菓の製造販売を開始しました。1949年には新潟証券取引所へ上場し、2000年に東京証券取引所市場第二部へ上場しました。その後、2022年の市場区分見直しに伴いスタンダード市場へ移行しています。長年にわたり製氷、冷蔵倉庫、冷菓製造へと事業を拡大し、地域に根差した経営を続けています。
従業員数は単体で89名です。大株主構成は、筆頭株主が物品賃貸業を営む企業で、第2位は資産管理業務を行う信託銀行、第3位は地方銀行となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 大協リース | 12.90% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 7.92% |
| 第四北越銀行 | 4.38% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.2%です。代表取締役社長は飯塚周一氏が務めています。社外取締役比率は57.1%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 飯塚周一 | 取締役社長(代表取締役) | 1984年同社入社。営業本部新潟支店部長、取締役新潟支店長などを経て、2011年より現職。 |
| 髙澤陽介 | 取締役営業部長 | 2004年同社入社。製品開発室、経営企画室、執行役員営業部長などを経て、2024年より現職。 |
| 安藤力 | 取締役管理部長 | 1999年同社入社。営業部業務課長、管理部次長、執行役員管理部長などを経て、2024年より現職。 |
社外取締役は、嵜山淳子(元ダニスコジャパン代表取締役社長)、伊藤伸介(公認会計士)、若槻良宏(弁護士)、前田博(元株式会社にいがた村統括本部長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「アイスクリーム部門」「仕入販売部門」「和菓子部門」「物流保管部門」の事業を展開しています。
■(1) アイスクリーム部門
かき氷製品や新潟県内で高い知名度を誇る「もも太郎」などの氷菓、アイスクリーム類を製造・販売しています。自社ブランド品のほか、他社からの受託加工(OEM)も行っており、新潟工場が製造拠点となっています。
主な収益源は、卸売業や小売業、OEM委託元からの製品販売代金や加工料です。運営は主にセイヒョーが行っており、夏の天候が業績に大きく影響する特性があります。
■(2) 仕入販売部門
自社製造以外の冷凍食品やアイスクリーム、飲料などを他社から仕入れ、販売を行っています。ホテルや飲食店向けの業務用商品なども取り扱っています。
主な収益源は、卸売業、小売業、飲食店などの顧客からの商品販売代金です。運営はセイヒョーが行っています。
■(3) 和菓子部門
三条工場において、「笹だんご」や「大福」などの冷凍和菓子を製造・販売しています。主力製品の自社販売に加え、OEMによる受託製造も行っています。
主な収益源は、製品の販売代金です。運営はセイヒョーが行っており、冷凍技術を活かした和菓子の展開を進めています。
■(4) 物流保管部門
豊栄工場および各工場の冷凍倉庫設備を活用し、寄託品の保管業務を行っています。また、一部運賃収入も含みます。
主な収益源は、荷主からの保管料や入出庫料などの倉庫業務収益です。運営はセイヒョーが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は35億円から45億円へと順調に拡大傾向にあります。利益面では、2023年2月期に利益率が低下したものの、その後回復し、直近の2025年2月期には経常利益率2.7%まで改善しています。当期純利益も増益基調にあり、堅調な推移を示しています。
| 項目 | 2021年2月期 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 35億円 | 40億円 | 42億円 | 43億円 | 45億円 |
| 経常利益 | 0.6億円 | 0.7億円 | 0.3億円 | 0.7億円 | 1.2億円 |
| 利益率(%) | 1.6% | 1.8% | 0.8% | 1.6% | 2.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 0.5億円 | 0.6億円 | 0.2億円 | 0.6億円 | 1.2億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間を比較すると、売上高の増加に伴い売上総利益が増加し、売上総利益率は17.0%から19.4%へと改善しました。営業利益も約1.8倍に伸長しています。増収効果に加え、製造コスト上昇に対応した価格改定などが利益率改善に寄与していることが読み取れます。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 43億円 | 45億円 |
| 売上総利益 | 7億円 | 9億円 |
| 売上総利益率(%) | 17.0% | 19.4% |
| 営業利益 | 0.5億円 | 1.0億円 |
| 営業利益率(%) | 1.3% | 2.1% |
販売費及び一般管理費のうち、運搬保管費が2.8億円(構成比36%)、給料及び手当が1.5億円(同20%)を占めています。売上原価においては、材料費が20億円(構成比61%)、労務費が5.6億円(同17%)、経費が7.4億円(同22%)となっています。
■(3) セグメント収益
主力の「アイスクリーム部門」は自社ブランド品の好調やOEM受注により増収となりました。「和菓子部門」もOEM増加により微増しています。一方、「仕入販売部門」と「物流保管部門」は前年を下回りました。全体としてはアイスクリーム部門の成長が業績を牽引しています。
| 区分 | 売上(2024年2月期) | 売上(2025年2月期) |
|---|---|---|
| アイスクリーム部門 | 30億円 | 32億円 |
| 仕入販売部門 | 7億円 | 7億円 |
| 和菓子部門 | 4億円 | 4億円 |
| 物流保管部門 | 2億円 | 2億円 |
| 連結(合計) | 43億円 | 45億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は、冷凍食品製造事業を単一セグメントとして展開しています。
営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税引前当期純利益や売上債権の減少等により収入となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、アイスクリーム等製造に伴う設備投資等により支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金や社債の発行等により収入となりました。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 1.7億円 | 0.3億円 |
| 投資CF | -5.3億円 | -0.8億円 |
| 財務CF | 0.0億円 | 1.6億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、企業活動を通じて社会に貢献し、親しまれ信頼される会社を目指すことを理念としています。また、過去にとらわれず常に前進し、創造的で活力のある会社を目指しています。これらの実践を通じて企業価値を増大させ、その成果を株主、従業員、顧客、取引先、地域社会などの全ステークホルダーに適正に配分し、存在価値のある企業となることを基本方針としています。
■(2) 企業文化
同社は、「全社員が自身と会社の成長を実感でき、働きがいのある職場環境づくりに努める」という考え方を重視しています。事業環境の変化に左右されず安定的な利益を確保するとともに、自社の強みを活かして環境変化に対応し、企業価値向上に努める姿勢を持っています。また、コンプライアンスの重要性を認識し、企業の社会的責任を全うすることを経営の最重要課題の一つと位置づけています。
■(3) 経営計画・目標
「中期経営計画2027」(2025年2月期~2027年2月期)を策定し、最終年度である2027年2月期の数値目標を掲げています。資本コストを意識した経営を実現するため、新たにROE(自己資本利益率)を目標指標に設定しています。
* 売上高:47億円
* 営業利益:1.3億円
* 営業利益率:2.7%
* ROE:7.5%
■(4) 成長戦略と重点施策
「中期経営計画2027」において、7つの戦略的推進事項を設定しています。事業領域の拡大として既存事業の強化や新工場建設による領域拡大、新製品の投入を掲げています。また、販売単価の上昇、原価率の引き下げ、変動費の抑制・圧縮、費用対効果の改善、販売数量アップに取り組み、収益性の向上とシェア拡大を目指しています。
* 事業領域の拡大(新工場建設、新製品投入)
* 販売単価の上昇(売価コントロール、付加価値創出)
* 原価率引き下げ(集中購買、不良品削減)
* 変動費の抑制・圧縮(物流費適正化、自動化・省人化)
* 費用対効果の改善(生産性向上、広告宣伝効果改善)
* 販売数量アップ(シェアアップ)
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、「全社員が自身と会社の成長を実感でき、働きがいのある職場環境づくり」を目指しています。生産性向上による時間外労働の削減や、半日・1時間単位で取得可能な有給休暇制度の導入など、環境整備に努めています。また、従業員持株会への奨励金支給や譲渡制限付株式報酬制度の導入により資産形成を支援するとともに、計画的な教育・研修や自己啓発学習支援制度を通じて人材育成を推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年2月期 | 39.7歳 | 10.5年 | 4,356,958円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、すべての部署での女性割合(18.1%)、有給休暇取得率(69.7%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 食の安全性
同社はISO22000認証を取得し品質管理に努めていますが、異物混入等の不具合品の流通や製造工程での予期せぬ問題が発生した場合、製品回収や製造停止などにより、業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 経済情勢・消費動向及び市場競争力
同社製品の市場は国内に限定されています。景気後退による需要減少、不測の事態の発生、消費者の嗜好の変化などにより販売が低迷した場合、業績に影響を与える可能性があります。また、新製品開発やコストダウンに努めていますが、市場競争の影響を受ける可能性があります。
■(3) 天候不順(冷夏等)の影響
事業特性上、売上が夏季に偏っており、特に第2四半期の売上高が高くなる傾向があります。そのため、冷夏や長雨などの天候不順が発生した場合、主力のアイスクリーム等の販売が伸び悩み、業績に悪影響を与える可能性があります。
■(4) OEM供給のリスク
他社ブランド製品の受託製造(OEM)を行っていますが、委託元の業績不振、調達方針の変更、契約打ち切り、値下げ要求などが発生した場合、同社の生産稼働率や収益性に影響を及ぼす可能性があります。



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