セイヒョー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

セイヒョー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

セイヒョーは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、氷菓・アイスクリーム類や和菓子の製造販売、冷凍食品等の仕入販売を主力事業としています。直近の業績では、自社製品や受託加工品が好調に推移し増収を達成したものの、原材料価格やエネルギーコストの高止まりの影響を受けて経常利益は減益となりました。


※本記事は、株式会社セイヒョーの有価証券報告書(第115期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. セイヒョーってどんな会社?


氷菓・アイスクリーム類や和菓子の製造販売、寄託品保管業務を展開する新潟発祥の食品メーカーです。

(1) 会社概要


同社は1916年3月に新潟製氷として設立されました。1949年7月に新潟証券取引所へ上場し、1961年2月にアイスクリームの製造を開始しました。1982年には和菓子部門に進出し、1995年に現在のセイヒョーへ社名変更しました。2025年には富山工場を取得し、生産能力の飛躍的な拡大を図っています。

従業員数は単体で108名です。筆頭株主は物品賃貸業を展開する大協リースで、第2位は信託業務を行う日本マスタートラスト信託銀行、第3位は第四北越銀行となっており、主に金融機関や事業会社が上位の株主を占めています。

氏名 持株比率
大協リース 12.82%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 5.41%
第四北越銀行 4.36%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.2%です。代表取締役社長は飯塚周一氏が務めており、社外取締役比率は57.1%となっています。

氏名 役職 主な経歴
飯塚周一 取締役社長(代表取締役) 1984年同社入社。営業本部新潟支店部長、営業部新潟支店長、取締役新潟支店長を経て、2011年5月より現職。
髙澤陽介 取締役営業部長 2004年同社入社。営業部営業1課、製品開発室、営業企画開発部を経て、2020年執行役員営業部長。2024年5月より現職。
安藤力 取締役管理部長 1999年同社入社。管理本部、営業部業務課長、管理部課長、管理部次長、執行役員管理部長を経て、2024年5月より現職。


社外取締役は、嵜山淳子(合同会社サキコンサルティング代表社員)、伊藤伸介(伊藤伸介公認会計士事務所所長)、若槻良宏(弁護士法人青山法律事務所代表社員弁護士)、前田博(元有限会社中山食茸専務取締役)です。

2. 事業内容


同社は、「冷凍食品製造事業」の単一セグメントで事業を展開しています。

(1) アイスクリーム部門・和菓子部門


同社は、新潟工場および富山工場において氷菓(もも太郎等)やアイスクリーム類を製造し、三条工場では冷凍和菓子(笹だんご・大福等)や冷凍果実を製造しています。製造した商品は主に卸売業や小売業を通じて一般消費者に提供されており、約6割が他社からの受託加工品となっています。

収益源は、自社ブランド商品の販売代金および他社ブランド商品のOEM製造に伴う受託加工代金です。主力である氷菓の販売を中心としており、運営は同社が主体となって全国の量販店等へ展開しています。

(2) 仕入販売部門・物流保管部門


仕入販売部門では、自社製造品以外の飲料、アイスクリーム、冷凍食品などを他社から仕入れて販売しています。物流保管部門では、豊栄工場や三条工場の冷凍倉庫を活用し、寄託品の冷凍保管業務や運送サービスを提供しています。

収益源は、ホテルや飲食店向け等への商品販売代金のほか、顧客から受け取る入出庫料および冷凍倉庫の保管スペース提供に伴う寄託保管料です。運営は同社が一貫して担っており、物流から保管まで総合的なサービスを提供しています。

3. 業績・財務状況


同社の業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5年間の業績推移を見ると、売上高は右肩上がりの成長を継続しており、直近では新工場の取得効果などにより順調に事業を拡大しています。一方で経常利益は、原材料価格やエネルギーコストの変動等の影響を受けやすく、年度によって増減を繰り返す傾向にあります。

項目 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期 2026年2月期
売上高 40億円 42億円 43億円 45億円 48億円
経常利益 0.7億円 0.3億円 0.7億円 1.2億円 0.5億円
利益率(%) 1.8% 0.8% 1.6% 2.7% 1.1%
当期純利益 0.6億円 0.2億円 0.6億円 1.2億円 0.1億円

(2) 損益計算書


売上高は前期から増加したものの、原材料価格やエネルギーコストの高騰により売上原価が上昇した結果、売上総利益および営業利益はともに減少しています。

項目 2025年2月期 2026年2月期
売上高 45億円 48億円
売上総利益 8.7億円 8.4億円
売上総利益率(%) 19.4% 17.6%
営業利益 1.0億円 0.4億円
営業利益率(%) 2.1% 0.7%


販売費及び一般管理費のうち、運搬保管費が3.3億円(構成比41%)、給料及び手当が1.5億円(同19%)を占めています。売上原価については、当期製造費用における材料費が21億円(構成比59%)、経費が8.2億円(同23%)となっています。

(3) セグメント収益


アイスクリーム部門は新商品の投入や受託製造が好調で増収となりました。仕入販売部門は概ね横ばいで推移しましたが、和菓子部門は主力商品の販売価格転嫁の影響で減収となっています。

区分 売上(2025年2月期) 売上(2026年2月期)
アイスクリーム部門 32億円 35億円
仕入販売部門 7億円 7億円
和菓子部門 4億円 4億円
物流保管部門 2億円 2億円
合計 45億円 48億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業で得た資金を用いて設備投資を行いながら、借入金の返済も進めている健全型のキャッシュ・フロー状況です。

項目 2025年2月期 2026年2月期
営業CF 0.3億円 0.4億円
投資CF -0.8億円 -1.3億円
財務CF 1.6億円 -0.1億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は0.7%で市場平均を下回っており、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も37.6%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「企業活動を通じて社会に貢献し、親しまれ、信頼される会社を目指す」「過去にとらわれることなく、常に前進する会社を目指す」「創造的で活力のある会社を目指す」という3つの企業理念を掲げています。これらを実践することで大きな相乗効果を創出し、全てのステークホルダーに対して適正な配分を行う存在価値のある企業を目指しています。

(2) 企業文化


同社は、環境等に左右されることなく常に安定的な利益の確保に努め、自社の強みを正しく捉えて変化に対応する文化を重視しています。また、全社員が自身と会社の成長を実感でき、働きがいのある職場環境づくりに努めることを基本方針に組み込んでおり、ウェルビーイングの実現や人材の継続的な成長を支える社内風土を育んでいます。

(3) 経営計画・目標


同社は、売上高100億円企業への飛躍を見据え、資本コストを意識した経営を実現するための新中期経営計画を策定しています。中長期的な目標として以下の数値を設定し、成長基盤の構築に取り組んでいます。

* 2029年2月期 売上高:70億円
* 2029年2月期 営業利益:2.1億円
* 自己資本利益率(ROE):8.0%以上

(4) 成長戦略と重点施策


新潟工場と富山工場を主力エンジンと位置づける「ダブル・コア」戦略を推進し、アイスクリームの量産・供給能力を最大化します。また、三条工場と佐渡工場を専門工場として冬季収益の貢献を目指します。営業面では新ブランドの展開や西日本への商圏拡大を図り、収益構造改革として生産の自動化や製造ロスの削減を進めて高収益体質への転換を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、健康経営優良法人として従業員のウェルビーイング実現に取り組んでいます。拠点分散による負荷集中の解消や時間外労働の削減、有給休暇取得率の向上を推進するとともに、業績向上分の賃上げ・賞与への還元を行っています。また、自己啓発学習支援制度によるスキルアップ環境の整備や工場間人材交流を通じて、自律的な成長と技術継承を支援しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年2月期 40.5歳 9.3年 4,538,656円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 15.3%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規雇用労働者) -
男女賃金差異(非正規雇用労働者) -


※同社は従業員規模が300人以下のため、有報には一部項目の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 食の安全性


製造工場において食品安全マネジメントシステムの認証を取得し品質管理に努めていますが、異物混入などによる不具合品の流通や製造工程で想定外の問題が発生した場合、製品の回収や製造の停止により業績に影響を与える可能性があります。

(2) 季節的要因及び気候的要因


事業の特性上、売上高が夏季期間に偏る傾向があり、特に第2四半期の売上比率が高くなっています。そのため、夏季期間における冷夏や異常気象などが発生した場合、商品の販売動向を通じて業績や財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。

(3) OEM供給のリスク


顧客企業へのOEM(受託製造)供給は、顧客の業績不振や調達方針の変更、予期できない契約の打ち切り、値下げ要求など、同社が直接管理できない要因により大きな影響を受ける可能性があり、業績を左右する懸念があります。

(4) 原材料・エネルギーコストの上昇


氷菓・アイスクリーム類や和菓子の製造において、乳製品、糖類、農産物原料や包装資材、電力などのエネルギーを使用しています。これらが為替変動や国際的な需給バランス、気候変動により大幅に価格上昇した場合、コスト増につながるリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。