マルゼン 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

マルゼン 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード市場に上場し、業務用厨房機器および大型製パン機械の製造販売、ビルの賃貸を行う企業です。外食産業の回復やインバウンド需要を背景に、主力製品の販売が好調に推移しました。直近の決算では売上高、各段階利益ともに過去最高を更新し、増収増益を達成しています。


#記事タイトル:マルゼン転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

※本記事は、株式会社マルゼン の有価証券報告書(第64期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月29日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. マルゼンってどんな会社?


業務用厨房機器および大型製パン機械の総合メーカーとして、製造から販売、メンテナンスまで手掛ける企業です。

(1) 会社概要


1961年3月に業務用石油ガスバーナーの製造販売を目的として設立されました。1999年2月に東京証券取引所市場第二部に上場し、2003年4月には株式会社フジサワより営業譲渡を受け、子会社フジサワ・マルゼンを設立しました。2013年9月にはタイに子会社を設立するなど海外展開も進め、2022年4月の市場区分見直しによりスタンダード市場へ移行しています。

同社グループの従業員数は連結で1,291名、単体で838名です。筆頭株主は資産管理等を行うマサトヨで、第2位は投資事業等を行うUH Partners 2です。創業家や関連企業が安定的に株式を保有する構造となっています。

氏名 持株比率
マサトヨ 22.96%
UH Partners 2 8.25%
光通信 7.26%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性2名の計13名で構成され、女性役員比率は15.4%です。代表取締役社長は渡辺恵一氏が務めています。社外取締役比率は23.1%です。

氏名 役職 主な経歴
渡辺 恵一 代表取締役社長 1980年入社。取締役統轄製造本部長などを経て、2006年3月より現職。マルゼン工業、フジサワ・マルゼン等の代表取締役社長も兼務。
渡辺 雄大 取締役副社長営業本部長兼海外営業担当 2008年入社。東関東事業部長、専務取締役営業本部長などを経て、2020年3月より現職。
山野井 誠 常務取締役東関東・南関東・信越・北海道・東北事業部担当 1989年入社。南関東ブロック長、取締役東関東・南関東事業部担当などを経て、2019年3月より現職。
箭内  隆 常務取締役首都圏・中部・近畿・九州事業部・営業開発部、商品購買担当 1984年入社。首都圏事業部長、取締役首都圏事業部・営業開発部担当などを経て、2025年5月より現職。
種村 浩樹 取締役中四国事業部長 1984年入社。中四国ブロック長、中四国事業部長を経て、2018年5月より現職。
田中 快之輔 取締役首都圏事業部長 1997年入社。首都圏ルート支社長、執行役員首都圏事業部長を経て、2024年5月より現職。
君塚 浩二 取締役経理・財務グループ部長 商工組合中央金庫資産サポート部長などを経て2022年入社。2023年5月より現職。


社外取締役は、中丸康(元中央不動産常務理事)、矢部孝治(元芝パークホテル常務取締役)、菅沼友子(東京中央法律事務所弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「業務用厨房機器製造販売業」「大型製パン機械製造販売業」「ビル賃貸業」の3つの報告セグメントを展開しています。

(1) 業務用厨房機器製造販売業


外食産業、学校、病院、福祉施設、スーパーマーケット等に対し、熱機器(フライヤー、オーブン等)や作業機器、冷機器等の業務用厨房機器を提供しています。顧客は飲食店チェーンから集団給食施設まで多岐にわたります。

収益は、顧客への製品・商品の販売および修理・保守サービス等の対価として得ています。運営は、仕入・販売を同社、製造をマルゼン工業、海外販売を台湾丸善股份有限公司およびMaruzen(Thailand)Co.,Ltd.が行っています。

(2) 大型製パン機械製造販売業


大規模施設の製パンや製菓ライン向けに、工場設備や機器(オーブン、ミキサー等)を提供しています。主な顧客は製パンメーカーや製菓工場などです。

収益は、機器の製造・販売およびメンテナンス等の対価として得ています。運営は、フジサワ・マルゼンが行っています。

(3) ビル賃貸業


保有する不動産の有効活用として、ビジネスホテルや介護型有料老人ホーム等の賃貸を行っています。

収益は、テナントからの賃貸料として得ています。運営は同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は一貫して増加傾向にあります。特に直近の2025年2月期は売上高643億円、経常利益67億円に達し、利益率も10%を超えました。コロナ禍からの経済活動の正常化や価格改定の効果もあり、順調に成長を続けています。

項目 2021年2月期 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期
売上高 454億円 528億円 575億円 606億円 643億円
経常利益 37億円 42億円 41億円 53億円 67億円
利益率(%) 8.2% 8.0% 7.1% 8.7% 10.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 21億円 27億円 26億円 36億円 42億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、売上総利益および営業利益ともに増加しました。売上総利益率は28.0%と前期から1.2ポイント改善しており、価格改定の効果が現れています。営業利益率も9.5%へ向上し、収益性が高まっています。

項目 2024年2月期 2025年2月期
売上高 606億円 643億円
売上総利益 163億円 180億円
売上総利益率(%) 26.8% 28.0%
営業利益 49億円 61億円
営業利益率(%) 8.0% 9.5%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給料及び手当が48億円(構成比41%)、運賃及び荷造費が20億円(同17%)を占めています。売上原価については、商品及び製品の仕入や製造費用が中心となります。

(3) セグメント収益


主力の業務用厨房機器製造販売業は、外食需要の回復やインバウンド効果により増収増益となりました。大型製パン機械製造販売業も海外大型案件の計上等により大幅な増収増益を達成しました。一方、ビル賃貸業は一部物件の契約満了により減収減益となっています。

区分 売上(2024年2月期) 売上(2025年2月期) 利益(2024年2月期) 利益(2025年2月期) 利益率
業務用厨房機器製造販売業 574億円 603億円 52億円 63億円 10.4%
大型製パン機械製造販売業 26億円 34億円 1億円 3億円 9.9%
ビル賃貸業 6億円 5億円 4億円 4億円 66.4%
連結(合計) 606億円 643億円 49億円 61億円 9.5%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

マルゼンは、事業運営に必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

営業活動によるキャッシュ・フローは、事業活動から生み出される資金の状況を示しています。投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資や有価証券の取得・売却等による資金の増減を表しています。財務活動によるキャッシュ・フローは、借入や返済、配当金の支払い等による資金の変動を示しています。

同社は、短期運転資金および設備投資や長期運転資金の調達について、自己資金を基本としております。

項目 2024年2月期 2025年2月期
営業CF 47億円 54億円
投資CF -8億円 -129億円
財務CF -24億円 -17億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは「顧客第一主義」を企業理念として掲げています。業務用厨房機器並びに大型製パン機械の総合メーカーとして、「適正な価格で、より質の高い製品並びにサービスを提供し、お客様に貢献すること」を使命としています。

(2) 企業文化


使命実現のため、「株主の信頼と期待に応えられる魅力ある企業を目指す」「お客様の信頼に応え、感謝の気持ちを大切にして相互の発展に努める」「良き企業市民として地域社会に貢献する」「社員の能力を最大限に引き出す企業風土を創造する」という4つの基本方針を掲げています。

(3) 経営計画・目標


株主利益重視の観点からEPS(1株当たり当期純利益)を重視し、売上高と利益の拡大によるEPS上昇を目指しています。また、競争激化の中でのシェアアップを図り、業界トップとなる売上高700億円の達成を目標としています。

* 売上高700億円
* ROE10%

(4) 成長戦略と重点施策


メーカーとしての技術開発力強化、ルート販売と提案営業の推進、新規顧客の開拓、アフターサービスの充実を掲げています。特に、SDGsに寄与する省エネ・省資源製品の開発や、生産合理化による顧客要望への対応力向上、メンテナンスサービス体制の強化に注力しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


OJTを軸とした人材育成や各種研修の実施により、従業員の知識・技能向上を図っています。また、株式給付信託制度の導入による経営参画意識の向上、女性従業員の積極採用、定年後の継続雇用など、多様な人材が活躍できる環境整備を進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年2月期 40.8歳 14.3年 6,455,448円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 0.0%
男性育児休業取得率 8.3%
男女賃金差異(全労働者) 50.4%
男女賃金差異(正規) 68.9%
男女賃金差異(非正規) 48.0%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、1級厨房設備施工技能士(252人)、1級厨房設備士(157人)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 販売先市場の動向


主な販売先である外食産業は経済情勢や感染症等の影響を受けやすく、市場の休業期間長期化や設備投資減退が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、幅広い業種への販売分散によりリスク回避を図っています。

(2) 製品の安全性・品質


製品の安全性や品質確保に努めていますが、万が一トラブルが発生した場合、業績や財政状態に影響を与える可能性があります。完成品の検品強化等、安全対策に全力で取り組んでいます。

(3) 調達資材の価格変動


鋼材や部品等の原資材価格が高騰し、販売価格への転嫁が困難な場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。市況価格の監視、価格交渉、新規取引先の選定等に加え、必要に応じて販売価格への転嫁を行うことで対応しています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。