TENTIAL 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

TENTIAL 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証グロース市場に上場し、リカバリーウェア「BAKUNE」を中心としたコンディショニングブランド事業を展開しています。第8期は決算期変更による7ヶ月間の変則決算ながら、売上高111億円、経常利益12億円を計上し、実質的な増収増益基調を維持しています。


※本記事は、株式会社TENTIAL の有価証券報告書(第8期、自 2025年2月1日 至 2025年8月31日、2025年11月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. TENTIALってどんな会社?


健康課題を解決する商品を通じて「コンディショニング」を提案する、リカバリーウェア「BAKUNE」が主力のD2C企業です。

(1) 会社概要


2018年に設立され、翌2019年にインソール販売でブランドを始動しました。2020年には主力となるリカバリーウェア「BAKUNE」を発売し、急成長を遂げています。2025年2月には東証グロース市場への上場を果たしました。また、2024年には第二種医療機器製造販売業許可を取得し、医療機器としての展開も強化しています。

2025年8月31日時点の単体従業員数は161名です。筆頭株主は創業者の資産管理会社を含む中西裕太郎氏で、第2位は資産管理業務を行う信託銀行です。

氏名 持株比率
中西 裕太郎 26.47%
Anchor 7.72%
日本カストディ銀行(信託口) 4.45%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性0名の計6名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は中西裕太郎氏が務めています。社外取締役比率は66.7%です。

氏名 役職 主な経歴
中西 裕太郎 代表取締役社長 2014年にインフラトップ入社後、リクルートキャリアを経て、2018年に同社を設立し代表取締役社長に就任。現職。
南日 政俊 取締役執行役員ビジネス本部長 パナソニック、デロイトトーマツコンサルティング、エムスリー等を経て、2024年に同社入社。執行役員を経て現職。


社外取締役は、猿渡歩(アンカー・ジャパン代表取締役CEO)、石田和也(元新光投信取締役常務執行役員)、降幡武亮(元みずほ証券執行役員)、山﨑大世(Akatsuki Ventures)です。

2. 事業内容


同社グループは、「コンディショニングブランド事業」を展開しています。

(1) コンディショニングブランド事業


睡眠の質向上を目的としたリカバリーウェア「BAKUNE」シリーズを主力とし、普段着ライン「MIGARU」、インソール、リカバリーサンダルなどを開発・販売しています。「休養(睡眠)」「運動」「食事」の中でも特に「休養」に焦点を当て、科学的根拠に基づいた商品を展開しています。

収益は、自社ECサイト「tential.jp」、Amazonや楽天市場等のECモール、直営店舗、および卸売先からの商品販売収入によって構成されています。運営はTENTIALが行っており、製造・物流は外部委託(ファブレス化)しつつ、企画・開発・マーケティング等は内製化しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近の業績は、売上規模、利益ともに急激な拡大傾向にあります。第8期は決算期変更により7ヶ月間の変則決算となりましたが、期間按分を考慮しても高い成長率を維持しており、利益率も10%を超える高水準で推移しています。

項目 2022年1月期 2023年1月期 2024年1月期 2025年1月期 2025年8月期
売上高 8.5億円 20億円 54億円 128億円 111億円
経常利益 -3.5億円 0.4億円 4.8億円 14億円 12億円
利益率(%) -41.3% 1.9% 8.8% 11.2% 10.4%
当期利益(親会社所有者帰属) -3.5億円 -0.1億円 5.1億円 11億円 8.2億円

(2) 損益計算書


直近2期間を比較すると、変則決算の影響を除いても、高い売上総利益率を維持していることがわかります。積極的な広告宣伝投資を行いながらも、営業利益率は10%台を確保しており、収益性の高いビジネスモデルが構築されています。

項目 2025年1月期 2025年8月期
売上高 128億円 111億円
売上総利益 92億円 81億円
売上総利益率(%) 72.0% 72.6%
営業利益 15億円 12億円
営業利益率(%) 11.3% 10.5%


販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費が29億円(構成比41%)、業務委託料が9億円(同13%)を占めています。売上原価では、商品仕入高が主な構成要素となっています。

(3) セグメント収益


同社は単一セグメントですが、販売チャネル別の売上構成を見ると、自社ECが最大規模を維持しています。ECモールも堅調ですが、直営店や卸売の売上も伸長しており、オンラインとオフラインを組み合わせたオムニチャネル化が進展しています。

区分 売上(2025年1月期) 売上(2025年8月期)
自社EC 57億円 49億円
ECモール 43億円 33億円
直営店 17億円 18億円
卸売 11億円 11億円
その他 0億円 0億円
連結(合計) 128億円 111億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社は、事業運営上、必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

仕入や事業拡大に係る運転資金は、主に自己資金で賄い、必要に応じて銀行借入も活用します。重要な資本的支出の予定はありません。

収益拡大のため、既存事業の拡大、広告活動、新規事業・商品開発を進める上で、優秀な人材確保や組織体制整備に注力します。

項目 2025年1月期 2025年8月期
営業CF 26億円 -2.3億円
投資CF -3.7億円 -2.6億円
財務CF 5.3億円 6.6億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「健康に前向きな社会を創り、人類のポテンシャルを引き出す。」をミッションとして掲げています。個々人が持つ潜在能力を発揮するために不可欠な健康を支えるため、「コンディショニングを実装する」というビジョンのもと、日々の生活の中で心身を整える商品やサービスを展開しています。

(2) 企業文化


「地球のコンディショニング」も整えることを重要テーマとして捉えています。Philosophyとして、休むことと進むことの両立、心身の健康による他者への思いやり、個人の前向きなチャレンジが世界を良くするという考え方を示し、これらを事業運営や組織文化の基盤としています。

(3) 経営計画・目標


持続的な成長と企業価値向上を目指し、以下の指標を重視しています。また、健康や運動に対する意識の高まりを背景に、予防医療やリカバリー分野への還元を目指すエコシステムの実現を掲げています。

* 売上高
* 営業利益
* 売上高営業利益率
* オンライン販売チャネルにおける受注件数と受注単価

(4) 成長戦略と重点施策


商品開発体制の強化による継続的な新商品展開や、新規事業への投資、海外市場への進出を掲げています。また、SKUの拡大によるターゲット層の広がり、直営店出店や卸売拡大による顧客接点の強化、会員プログラムを通じたロイヤリティ向上、マスプロモーションによる認知拡大を重点施策としています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「人材」を競争優位性の源泉と位置づけ、多様な人材がポテンシャルを発揮し安心して働ける環境整備や、次世代経営者の育成を重要課題としています。ミッション・ビジョン・バリューの理解・浸透を人材育成の最重要項目とし、性別・国籍・年齢等を問わず活躍できるサポート体制を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年8月期 36.0歳 1.7年 8,305,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 15.4%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 57.7%
男女賃金差異(正規) 62.2%
男女賃金差異(非正規) 151.7%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) システム障害について


売上高の約7割をECが占めるため、通信ネットワークやシステムへの依存度が高くなっています。ISMS認証取得や対策を行っていますが、自然災害やアクセス集中、予期せぬトラブル等でシステムが停止した場合、収益機会の逸失を招き、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 季節的変動について


商品は冬季やギフトシーズン(母の日、父の日、クリスマス等)に需要が高まる傾向があります。新商品発売等で平準化に努めていますが、これら繁忙期の販売施策が計画通り進まない場合、業績に影響が出る可能性があります。

(3) 特定の商品への依存について


リカバリーウェア「BAKUNE」シリーズが売上の8割超を占めており、同シリーズへの依存度が高い状態です。競合他社の参入や競争激化により同シリーズの販売が低迷した場合、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(4) 特定の取引先への依存


商品の製造を外部委託しており、特に豊島への仕入高が全体の8割超を占めています。関係は良好ですが、委託先の方針変更や工場でのトラブル等により供給に支障が生じた場合、主力商品の製造販売に影響が出るリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。