ワキタ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ワキタ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ワキタは東京証券取引所プライム市場に上場し、土木・建設機械等の販売や賃貸を行う建機事業を中核に、商事事業、不動産事業を展開しています。直近の業績では、建機事業のレンタル需要が底堅く推移し売上高は932億円と増収となった一方、先行投資や株主優待引当金の追加計上などにより営業利益は減益となりました。


※本記事は、ワキタの有価証券報告書(第66期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月25日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ワキタってどんな会社?


土木・建設機械の販売・賃貸を中核に、商事事業や不動産事業を幅広く展開する企業です。

(1) 会社概要


1955年に機械工業所として創業し、1962年に建設機械等の賃貸事業を開始しました。1979年の上場を経て事業を拡大し、2019年に介護事業への新規参入を目的としてサンネットワークリブを買収しました。近年も積極的なM&Aを進め、直近では2025年にケアレックスをグループ化しています。

現在の従業員数は連結で2,160名、単体で633名です。筆頭株主は創業家等の資産管理会社である脇田興産で、第2位は信託業務を行う日本マスタートラスト信託銀行、第3位は日本生命保険となっています。

氏名 持株比率
脇田興産 9.97%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 6.63%
日本生命保険 4.13%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は13.0%です。代表取締役社長は脇田貞二氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。

氏名 役職 主な経歴
脇田貞二 代表取締役社長 1992年同社入社。社長室長、営業本部副本部長などを経て、2004年に代表取締役社長に就任。2016年より現職。
清水一弘 専務取締役建機事業部門統括責任役員兼国際営業部担当 1979年同社入社。東京中央支店長、執行役員、建機賃貸部門副責任役員などを経て、2024年より現職。
石川惠次 取締役商事事業部門統括責任役員兼SV事業部長兼フロンティア事業部長 1984年同社入社。システム営業部長、システム事業部長などを経て、2024年より現職。
成山敦彦 取締役総務部長 1992年住友銀行入行。2021年に同社へ入社し、執行役員総務部長を経て、2024年より現職。
大野茂 取締役(監査等委員) 1984年三和銀行入社。マニュライフ生命保険などを経て、2023年に同社へ入社し、2024年より現職。


社外取締役は、蔵口康裕(蔵口公認会計士事務所代表)、青木克彦(元三菱UFJリース常務取締役)、矢倉昌子(アスカ法律事務所パートナー弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「建機事業」「商事事業」「不動産事業」の報告セグメントを展開しています。

建機事業


土木・建設機械や荷役運搬機械などの各種建設関連機器の販売および賃貸を提供しています。建設業界の顧客向けに、災害復旧やインフラ整備に向けた機材の提供のほか、ICT技術を活用したソリューション提案なども行っています。

顧客からの機械レンタル料や販売代金を主な収益源としています。同社ならびに子会社の千葉リース工業や東日興産などが事業を運営しており、全国の拠点ネットワークを通じてサービスを展開しています。

商事事業


カラオケ機器などの映像・音響機器をはじめとする商業設備のほか、高齢化社会に対応した介護福祉用具の販売および賃貸サービスを展開しています。カラオケ市場や介護業界の課題解決に向けた製品の提供を幅広く行っています。

カラオケ周辺機器の提供に伴う代金や、介護福祉用具のレンタル料などを収益として受け取っています。同社ならびに子会社のサンネットワークリブやワキタケアネットなどが運営を担っています。

不動産事業


商業用ビルやマンションといった不動産の賃貸、分譲などの販売事業に加え、ホテルの経営を行っています。快適なオフィス環境や住空間、くつろぎのホテル空間の提供を通じて、安定的な収益基盤の構築を目指しています。

入居者からの不動産賃料収入、不動産売却に伴う販売代金、およびホテル宿泊客からの宿泊料金を主な収益源としています。同社および子会社のコルディアが事業を運営しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は過去5期間にわたり継続的な増収基調を維持しており、直近では932億円規模まで成長しています。一方で利益面は、先行投資の継続や一時的な引当金の計上などにより期ごとに増減が見られ、利益率は概ね6〜7%台で推移しています。

項目 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期 2026年2月期
売上高 750億円 789億円 887億円 923億円 932億円
経常利益 57億円 59億円 57億円 65億円 55億円
利益率(%) 7.5% 7.5% 6.4% 7.0% 5.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 38億円 39億円 32億円 33億円 29億円

(2) 損益計算書


売上高は緩やかに増加しており、それに伴い売上総利益も拡大しています。しかし、事業拡大や人材への先行投資、引当金の計上などにより各種費用が増加した結果、営業利益および営業利益率は前年度と比較して低下しています。

項目 2025年2月期 2026年2月期
売上高 923億円 932億円
売上総利益 269億円 274億円
売上総利益率(%) 29.1% 29.4%
営業利益 64億円 53億円
営業利益率(%) 6.9% 5.7%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が73億円(構成比33.1%)、賃借料が22億円(同10.1%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力である建機事業はレンタル需要が堅調に推移し増収となったものの、先行投資や株主優待引当金の追加計上により減益となりました。商事事業は安定した推移で増益を確保しましたが、不動産事業は前年度の収益物件売却益の反動により減収減益となっています。

区分 売上(2025年2月期) 売上(2026年2月期) 利益(2025年2月期) 利益(2026年2月期) 利益率
建機事業 743億円 768億円 33億円 28億円 3.6%
商事事業 106億円 108億円 6億円 6億円 5.9%
不動産事業 75億円 56億円 25億円 18億円 32.9%
調整額 - - - - -
連結(合計) 923億円 932億円 64億円 53億円 5.7%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローは営業CFがプラス、投資CFおよび財務CFがマイナスの「健全型」です。営業利益で借入返済を進めつつ、投資も手元資金で賄う優良な資金循環を保っています。

項目 2025年2月期 2026年2月期
営業CF 156億円 125億円
投資CF -21億円 -65億円
財務CF -97億円 -115億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は3.4%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は69.1%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、社是の「幸せ」を体現すべく「顧客と社会の課題解決に応える」ソリューション提供カンパニーでありたいと考えています。業績伸長を通じて企業価値を向上させ、顧客、仕入先、従業員、金融機関、株主、社会というステークホルダーの「幸せ」を実現し、物心ともに豊かになっていただくことを目指しています。

(2) 企業文化


同社は社是である「幸せ」を共通の価値観として重んじています。事業活動を通じて顧客や社会にとってなくてはならない存在になることを目指し、ステークホルダーとの共存共栄を図る文化があります。また、持続的な成長を支える基盤として、次世代のリーダー養成を柱とした人材育成の強化にも積極的に取り組んでいます。

(3) 経営計画・目標


同社は2028年2月期を最終年度とする「2028 中期経営計画」を策定し、「飛躍への基盤造り」をスローガンに掲げて持続的成長と中長期的な企業価値向上を図っています。最終年度における具体的な数値目標は以下の通りです。

・売上高:1,110億円
・営業利益:77億円
・EBITDA:161億円
・ROE:5.0%

(4) 成長戦略と重点施策


店舗ネットワークの拡充、DXの推進、事業領域の拡大、および資産効率の向上を注力方針としています。また、株主還元を重要な経営課題と位置づけつつ、蓄積した資本を活用してM&Aや人的資本への積極的な投資を実施する方針です。

・拠点ネットワークの拡充(M&Aと新規出店)
・建設および介護DXの推進
・保有資産のバリューアップと稼働率の向上

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、人材こそが企業成長の原動力であるとの認識のもと、多様な人材の確保と育成に積極的な投資を行っています。個々の従業員が能力を最大限に発揮できるよう、社内研修制度の構築や資格取得支援などを進めています。また、年齢や性別にかかわらず、意欲と能力のある優秀な人材を平等に管理職へ登用する人事制度を整備しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年2月期 38.8歳 10.8年 6,290,064円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 2.6%
男性育児休業取得率 89.5%
男女賃金差異(全労働者) 72.5%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 71.0%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 73.8%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、採用した労働者に占める女性労働者の割合(25.9%)、女性労働者の育児休業後の復帰割合(83.3%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 各事業における市場環境の変動


建機事業における公共投資や民間設備投資の減少、商事事業における介護保険制度の変更、不動産事業における賃料低下などが、同社の経営成績やキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。

(2) 商品および貸与資産の購入価額の上昇


同社グループが取り扱う土木・建設機械や介護用品などの資産において、市況の変動によって購入価額が上昇した場合、利益率の悪化などを通じて業績に直接的な影響を与えるリスクがあります。

(3) 取引先の倒産等に伴う与信リスク


同社は割賦債権をはじめとする売上債権を有しており、取引先の信用度に応じた与信管理を実施しています。しかし、取引先の倒産などにより予期せぬ貸倒損失が発生した場合、業績にマイナスの影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。