タキヒヨー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

タキヒヨー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

タキヒヨーは東京証券取引所スタンダードおよび名古屋証券取引所プレミアに上場し、アパレルやテキスタイル関連事業を主力とする企業です。直近の業績は売上高640億円、経常利益19億円と増収増益のトレンドにあり、コスト上昇リスクへの対応とコア事業の強靭化を進め、持続的な企業価値の向上を図っています。


※本記事は、タキヒヨー株式会社の有価証券報告書(第115期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. タキヒヨーってどんな会社?


タキヒヨーはアパレルやテキスタイル関連製品の企画から販売までを主力とし、長年の歴史を持つ商社です。

(1) 会社概要


同社は1751年に京呉服・絹織物の卸商として創業し、1912年に滝兵商店として設立されました。1956年には婦人服製造を開始し、1967年に現在のタキヒヨーに商号変更しています。1994年に名古屋証券取引所に上場、2002年には東京証券取引所に上場し、近年では品質管理センターの開設など事業基盤の拡大を続けています。

現在の同社グループは、連結従業員数731名、単体従業員数540名の体制で事業を運営しています。筆頭株主は事業会社のキョクヨーホールディングスで、第2位も同関連の旭洋興産、第3位は金融機関の立花証券となっています。安定した事業基盤を背景に、サプライチェーン全体を通じた商品提供を展開しています。

氏名 持株比率
キョクヨーホールディングス 28.27%
旭洋興産 4.95%
立花証券 3.32%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役社長執行役員は滝一夫氏が務めており、社外取締役比率は44.4%です。

氏名 役職 主な経歴
滝 一夫 代表取締役社長執行役員 1990年同社入社。テキスタイル事業部副事業部長などを経て、2011年より取締役社長。2021年より現職。
武藤 篤 取締役専務執行役員社長補佐兼スタッフ担当 2006年同社入社。特命担当兼スタッフ部門担当や専務取締役スタッフ部門統轄などを経て、2023年より現職。
板倉 秀紀 取締役常務執行役員ガーメントグループマネジャー兼QC/生産統括グループマネジャー 1994年同社入社。アパレル営業部メンズ部長などを経て、2026年より現職。
土屋 旅人 取締役常務執行役員スタッフ副担当兼グローバルブランドグループ管掌 2002年同社入社。グローバルトレードグループマネジャーなどを経て、2026年より現職。


社外取締役は、小笠原剛(元三菱UFJ銀行副頭取)、金子靖代(元シーボン社長)、鷲野直久(鷲野公認会計士事務所所長)、海老澤美幸(三村小松法律事務所弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「アパレル・テキスタイル関連事業」「賃貸事業」「マテリアル事業」および「その他」の各事業を展開しています。

アパレル・テキスタイル関連事業


同社グループの中核として、レディスおよびベビー・キッズ向けを主体とする衣料品と、毛織物を主体とするテキスタイル(生地)の企画・製造・販売を提供しています。量販店や専門店など多岐にわたる顧客のニーズに合わせ、国内外のネットワークを活かした商品開発を行っています。

収益は顧客への製品販売から得ており、主に同社が事業を運営しています。海外生産品の品質管理や納期管理は海外子会社がサポートし、国内のティー・エフ・シーがパターン・サンプルの製造や縫製を、タキヒヨー・オペレーション・プラザが仕分け・デリバリー業務を担っています。

賃貸事業


同社およびグループ企業向けを中心に、不動産の賃貸、管理およびそれらに関連する事業活動を提供しています。安定的な収益基盤の確保と、グループ内の資産の有効活用を図っています。

収益は不動産の賃貸収入や機器リース料から得ています。事業の運営は主に同社と、グループ企業に対して機器リースや不動産の賃貸管理を行う子会社のティー・ティー・シーが担っています。

マテリアル事業


アパレル関連以外の素材分野として、合成樹脂や化成品等の販売を提供しています。多様な産業分野に向けた素材を供給し、事業の多角化に貢献しています。

収益は顧客への合成樹脂や化成品の販売代金から得ています。この事業の運営は主に同社が単独で担っています。

その他事業


フランチャイジーとしての飲食店運営や、グループ外企業の物流業務受託などを提供しています。既存のリソースを活用した周辺事業として展開しています。

収益は飲食店の売上や、物流業務の受託手数料から得ています。事業の運営は同社および子会社のタキヒヨー・オペレーション・プラザが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は一時的に変動があったものの、近年は回復傾向にあり増収を達成しています。利益面でも、過去の赤字から着実に改善を進め、直近では経常利益、当期利益ともに順調に拡大しており、収益力の向上が確認できます。

項目 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期 2026年2月期
売上高 538億円 618億円 577億円 606億円 640億円
経常利益 -20億円 3億円 8億円 14億円 19億円
利益率(%) -3.7% 0.5% 1.4% 2.2% 3.0%
当期利益(親会社所有者帰属) -19億円 0億円 6億円 9億円 14億円

(2) 損益計算書


売上高の増加にともない売上総利益も増加しています。売上総利益率は安定して推移しており、営業利益も大幅な増益を達成するなど、本業での稼ぐ力が向上していることがわかります。

項目 2025年2月期 2026年2月期
売上高 606億円 640億円
売上総利益 128億円 134億円
売上総利益率(%) 21.0% 21.0%
営業利益 13億円 19億円
営業利益率(%) 2.2% 3.0%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が32億円(構成比28%)、運賃諸掛が25億円(同22%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力の「アパレル・テキスタイル関連事業」が増収増益を牽引しており、収益基盤の強化が進んでいます。「賃貸事業」や「マテリアル事業」などの周辺事業も安定した売上を維持しており、全体として堅調な推移を示しています。

区分 売上(2025年2月期) 売上(2026年2月期) 利益(2025年2月期) 利益(2026年2月期) 利益率
アパレル・テキスタイル関連事業 538億円 567億円 5億円 10億円 1.7%
賃貸事業 9億円 9億円 6億円 6億円 62.8%
マテリアル事業 49億円 53億円 3億円 4億円 7.7%
その他 10億円 10億円 -0億円 0億円 0.7%
連結(合計) 606億円 640億円 13億円 19億円 3.0%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFがプラス、投資CFがマイナス、財務CFがマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う健全型のキャッシュ・フロー状況です。

項目 2025年2月期 2026年2月期
営業CF 26億円 25億円
投資CF 3億円 -3億円
財務CF -20億円 -13億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.2%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は63.8%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、「信用第一」、「謙虚利中」、「客六自四」を経営哲学とし、「夢のあるおもしろい企業を創り、心の豊かな社会を目指す」という経営理念を掲げています。創業以来の精神を受け継ぎ、顧客との信頼関係を大切にしながら、社会の豊かさに貢献する企業を目指しています。

(2) 企業文化


同社の企業文化は、「信用第一」や「客六自四」といった長年の歴史の中で培われた価値観をベースにしています。また、「グローバルチャレンジ/変革と前進」をキーワードに掲げ、中長期的な視点から新しいマーケットの開拓に積極的に挑戦する姿勢を重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社は、2025年度よりスタートした中期経営計画「Create Future with Passion」において、持続的な成長に向けた基盤のアップデートを掲げています。具体的な数値目標として、「年間5億円以上の株主還元」を実行し、資本効率の向上と持続的な企業価値の向上を図る方針を示しています。

(4) 成長戦略と重点施策


今後の成長戦略として、既存卸売ビジネスの強靭化を進め、事業分野ごとにROIC(投下資本利益率)に基づいた構造改革を推進します。重点分野として、人的資本の拡充や、AI・新たなグループウェアを活用したDXの加速、サプライチェーンと物流基盤の強化、品質管理の向上などに的確に経営資源を配分する方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、人的資本への投資を企業価値向上の原動力と位置づけ、「マルチタスク人材の育成」や「多様な人材登用による組織の活力向上」に取り組んでいます。また、業績貢献度合いを重視した人事給与制度への刷新や、若手および女性のマネジメント階層への積極登用を通じ、組織全体のパフォーマンス向上を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年2月期 42.7歳 14.2年 5,419,107円


※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 8.8%
男性育児休業取得率 40.0%
男女賃金差異(全労働者) 59.0%
男女賃金差異(正規雇用) 61.9%
男女賃金差異(非正規雇用) 53.9%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性管理職比率(8.0%)、男性育休取得率(66.7%)、男女賃金格差(57.9%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 消費者の嗜好の変化等に伴うリスク


同社グループが扱う衣料品は、ファッショントレンドの変化や景気動向による消費意欲への影響を受けやすい傾向があります。情報力や分析力の強化による企画精度の向上に努めていますが、競合の激化や予測と異なるトレンド変化が生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 為替に関するリスク


同社グループは海外商品の仕入依存度が高く、主として米ドルでの決済を行っています。為替リスクをヘッジするために実需の範囲で為替予約等を実施していますが、予期せぬ為替レートの変動が生じた場合、仕入コストの上昇等を通じて業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 生産地に関するリスク


同社グループは中国等のアジア地域における生産依存度が高くなっています。現地の法律や規制の変更、政治体制・経済政策の変化、天災や流行性疾患の蔓延などにより商品の調達に支障が生じた場合、事業活動や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(4) 原料価格や物流費の高騰に関するリスク


地政学リスクを背景とした原油やエネルギー価格の高騰、それに伴う物流費や原材料費の上昇リスクが存在します。想定を超えるコスト上昇や、物価高による消費の減退が生じた場合、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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