タビオ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

タビオ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

タビオは、東京証券取引所スタンダード市場に上場し、靴下及びパンスト・タイツの企画販売を主力とする企業です。「靴下屋」などの直営店・FC展開に加え、ECや海外展開も手掛けています。直近の業績は、売上高が微減となったものの、値引き抑制やスポーツ卸の好調等により、営業・経常利益ともに増益を達成しています。


※本記事は、タビオ株式会社の有価証券報告書(第49期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月20日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. タビオってどんな会社?


タビオは「靴下屋」等の専門店を展開し、高品質なMade in Japanの靴下を企画・販売する企業です。

(1) 会社概要


1977年3月、ダンとして設立されました。1984年11月にフランチャイズ第1号店である「靴下屋」を開設し、2000年10月に大阪証券取引所市場第二部へ上場しました。2002年3月に海外直営第1号店をロンドンに出店し、2006年9月にタビオへ商号変更しています。その後、EC事業の強化や海外子会社の設立を進めています。

従業員数は連結で268名、単体で234名です。筆頭株主は創業家関連の有限会社越智産業で、第2位も創業家に関連するエム・エス・エヌ、第3位は越智ホールディングスとなっています。

氏名 持株比率
有限会社越智産業 27.32%
エム・エス・エヌ 14.69%
越智ホールディングス 9.23%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性1名の計11名で構成され、女性役員比率は9.1%です。
代表取締役社長は越智勝寛氏が務めています。社外取締役比率は27.3%です。

氏名 役職 主な経歴
越智勝寛 代表取締役社長 ハウスオブローゼを経て1997年に同社入社。第一営業本部長等を経て2008年より現職。
越智康彦 取締役 1995年に同社入社。商品本部長、執行役員等を経て2014年より現職。
真砂輝男 取締役 2000年に同社入社。戦略ビジネス本部長等を経て2018年より現職。
関淑束 取締役 監査法人を経て2008年同社入社。システムソリューション部長、財務部長を経て2022年より現職。
今川弘明 取締役 1986年に同社入社。営業本部長、メンズ営業部長等を経て2024年より現職。


社外取締役は、金井路子(グロースエンジン代表取締役)、和田真治(和歌山大学教授・副センター長)、髙原聡(ナイガイ専務取締役専務執行役員)です。

2. 事業内容


同社グループは、「国内専門店事業」「国内EC事業」「海外事業」「スポーツ卸事業」を展開しています。

国内専門店事業

主力事業として、ブランド価値を直接提供・体験できる拠点となる国内靴下専門店を展開しています。多様化するライフスタイルに応えるため、「靴下屋」「Tabio」「TabioMEN」などの店舗ブランドを、直営店およびフランチャイズ店舗を通じて全国の消費者へ企画販売しています。

収益は、主に直営店での消費者への販売額およびフランチャイズ加盟店への卸売販売等から得ています。事業の運営はタビオが主体となり、商品の保管や出庫、物流、品質管理などの業務は子会社のタビオ奈良に委託しています。

国内EC事業

自社ECサイトをはじめ、主要なECモールへの展開を積極的に推進し、幅広い顧客層へリーチできるオンライン販売体制を構築しています。AI診断コンテンツなどの導入による顧客体験の向上を図りながら、場所や時間を問わず顧客に商品を提供しています。

収益は、オンラインでの消費者への直接販売額から得ています。事業の運営はタビオが主体となり、商品の保管から出荷までの物流業務や品質管理等については、子会社のタビオ奈良に委託しています。

海外事業

「Made in Japan」を中心とした高品質な靴下を、欧州、アジア圏、北米市場に向けて展開しています。グローバルブランドとしての認知度向上を目指し、現地での実店舗の運営およびECサイトを通じた商品の企画・販売を行っています。

収益は、海外店舗やECサイトでの消費者向け販売および現地代理商への卸売販売等から得ています。事業はタビオを中心に、フランスのTabio France S.A.S.や中国の踏比鴎商貿(上海)有限公司などの子会社と連携して運営されています。

スポーツ卸事業

機能性に特化したスポーツソックスブランド「TABIO SPORTS」の企画・開発を行っています。ランニング、フットボールに加え、ベースボール部門などの強化を図り、プロアスリートからのフィードバックを反映した商品展開を推進しています。

収益は、全国のスポーツ専門店や作業服専門店などの新規販路に対する商品の卸売から得ています。本事業の運営はタビオが担い、商品の保管や出荷等の関連業務は子会社のタビオ奈良に委託しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績推移を見ると、売上高は安定的な成長基調にありましたが、直近の期では生活防衛意識の高まりによる地方店舗の客数減等の影響により横ばいとなりました。一方、値引き販売の抑制やスポーツ卸事業の好調、海外事業の収益改善が奏功し、経常利益および利益率は継続して上昇傾向にあります。

項目 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期 2026年2月期
売上高 137億円 153億円 162億円 169億円 168億円
経常利益 2億円 5億円 6億円 8億円 9億円
利益率(%) 1.5% 3.5% 3.8% 4.5% 5.5%
当期利益 2億円 2億円 4億円 5億円 5億円

(2) 損益計算書


売上高は都市部のインバウンド需要が好調だった一方で地方店舗の客数減があり微減となりました。しかし、値引き販売の抑制が大きく寄与し、売上総利益および売上総利益率は改善しています。結果として営業利益も増加し、収益性の向上が確認できます。

項目 2025年2月期 2026年2月期
売上高 169億円 168億円
売上総利益 95億円 98億円
売上総利益率(%) 56.3% 58.1%
営業利益 7億円 9億円
営業利益率(%) 4.4% 5.3%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給料・賞与が26億円(構成比29%)、家賃が17億円(同19%)、支払手数料が11億円(同12%)を占めています。また、売上原価は71億円で、売上高に対する構成比は42%となっています。

(3) セグメント収益


セグメント別の売上高を見ると、主力の国内専門店事業は地方店舗の客数減が影響し微減、国内EC事業も横ばいでの推移となりました。一方、海外事業は中国でのライブコマース強化や米国での販売好調により増収となり、スポーツ卸事業もプロ選手との契約活用や価格改定が寄与し大幅な増収を記録しました。

区分 売上(2025年2月期) 売上(2026年2月期)
国内専門店事業 127億円 125億円
国内EC事業 21億円 21億円
海外事業 13億円 14億円
スポーツ卸事業 7億円 9億円
連結(合計) 169億円 168億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CF・投資CF・財務CFの推移は以下の通りです。本業の営業活動で創出した資金をベースに、成長のための投資を行いながら借入金の返済等も進める「健全型」のキャッシュ・フロー状況となっています。

項目 2025年2月期 2026年2月期
営業CF 10億円 9億円
投資CF -3億円 -5億円
財務CF -2億円 -6億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は11.2%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は60.3%であり、いずれも市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は創業の理念として「凡そ商品は 造って喜び 売って喜び 買って喜ぶようにすべし 造って喜び 売って喜び 買って喜ばざるは 道に叶わず」を掲げています。また、「私たちは世界一の靴下総合企業を実現します」というビジョンのもと、Made in Japanの靴下の素晴らしさを世界中の方々へ届けることを目指しています。

(2) 企業文化


Made in Japanの品質に夢と誇りを持ち、技術、品質、サービスのあらゆる面において世界最高の水準を追求する文化が根付いています。製造から販売までを一体化させた自己完結型の国内生産体制を構築し、在庫ロスや廃棄ゼロを目指すなど、品質へのこだわりと環境への配慮を両立させる価値観を重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社は、インバウンド消費の変化や物価高騰による消費者の生活防衛ニーズの高まりといった経営環境のなかで、新たな販売機会の創出と商品価値の向上による持続的な成長と収益基盤の強化を目標としています。エントリー層の再獲得や新規販路の開拓などを通じて、顧客基盤の拡大を図っています。

(4) 成長戦略と重点施策


同社は持続的成長に向けた重点課題として、幅広い顧客の入り口となる戦略的な低価格帯商品(3足1,100円ゾーン等)の展開や新ラインの投入により客数の底上げを図っています。また、自社ECサイトを世界水準のシステムへ移行し、AI活用による顧客体験の向上などDXを推進するほか、スポーツ分野やBtoB領域の新規販路開拓にも注力しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、従業員一人ひとりの多様性を尊重し、部門を超えた「共創」による総合力の発揮を持続的な企業価値向上の源泉と位置付けています。人的資本の最大化に向けて、デジタルツールの活用などリテラシー教育を推進し、付加価値の高い業務に注力できる人材を育成するとともに、仕事と育児・介護の両立支援や柔軟な働き方の実現を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年2月期 41.5歳 15.1年 5,732,000円


※平均年間給与には、賞与支払額及び基準外賃金を含んでいます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 26.9%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 55.5%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 69.6%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 64.4%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) フランチャイズ契約の解除や業績悪化

同社は直営店のほか、多数のフランチャイズ加盟店や海外代理商に対して商品の卸売販売を行っています。全店舗数に占めるFC加盟店の割合が大きいため、加盟店周辺の環境変化や加盟者の財政状態の悪化等によりフランチャイズ契約を解除せざるを得ない状況が生じた場合、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 出店計画の遅れや退店

直営店やフランチャイズチェーン店の新規開拓を推進していますが、店舗の経営状態の悪化や、出店先である商業施設の閉鎖・テナント入れ替え等により退店を余儀なくされるリスクがあります。また、加盟店の獲得や直営店の出店が計画通りに進まない場合、同社の業績に影響を与える可能性があります。

(3) 消費動向や市況の変動

同社が取り扱う靴下などの商品に対する需要は、天候不順や景気減退による個人消費の落ち込み、ファッションのトレンド変化といった市況の変動による影響を受けます。これら外部要因により商品の需要が減少した場合、同社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(4) 仕入先や協力工場との提携維持

素材の調達から研究・開発、商品の製造に至るまで、靴下製造協力工場等と一貫した体制を構築しています。しかし、協力企業が財務上の問題や事業上の困難に直面したり、戦略目標の変更等により同社との提携関係が維持できなくなった場合、安定的な商品仕入に支障をきたし、業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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