#記事タイトル:タビオ転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態
※本記事は、タビオ株式会社 の有価証券報告書(第48期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. タビオってどんな会社?
靴下・タイツ等の企画販売を主力とし、「靴下屋」「Tabio」等の専門店を国内外で展開する企業です。
■(1) 会社概要
1977年に靴下の企画・販売を目的として株式会社ダンが設立され、1982年に直営第1号店を開設しました。1984年にはフランチャイズチェーン「靴下屋」の展開を開始し、2000年に大阪証券取引所市場第二部へ上場を果たしています。2002年に英国ロンドンへ出店し海外展開を開始するとともに、2006年には現在のタビオへ商号を変更しました。近年では2023年にナイガイと資本業務提携を締結するなど、業界内での協業も進めています。
同社グループは連結従業員数274名、単体従業員数236名の体制で事業を展開しています。筆頭株主は創業家資産管理会社の有限会社越智産業で、第2位は同じく資産管理を行うエム・エス・エヌ株式会社、第3位は越智ホールディングス株式会社となっており、創業家関連企業や資産管理会社が上位株主を占めています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 有限会社越智産業 | 27.27% |
| エム・エス・エヌ | 15.84% |
| 越智ホールディングス | 9.22% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性1名の計11名で構成され、女性役員比率は9.1%です。代表取締役社長は越智勝寛氏が務めています。社外取締役比率は約27.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 越智 勝寛 | 代表取締役社長 | 1994年ハウスオブローゼ入社を経て、1997年に同社入社。商品本部長、第一営業本部長などを歴任し、2008年5月より現職。エム・エス・エヌ代表取締役も兼任。 |
| 越智 康彦 | 取締役 | 1995年同社入社。商品本部長を経て、2008年に執行役員、2011年に上席執行役員に就任。2014年5月より現職。 |
| 真砂 輝男 | 取締役 | 2000年同社入社。メディア部長、執行役員、戦略ビジネス本部長を経て、2018年5月より現職。タビオ奈良代表取締役も兼任。 |
| 関 淑束 | 取締役 | 公認会計士。2008年同社入社。システムソリューション部長、財務部長を経て、2022年5月より現職。現在は経営企画部長を兼任。 |
| 今川 弘明 | 取締役 | 1986年同社入社。ショセット営業部長、執行役員、営業本部長、メンズ営業部長などを歴任し、2024年5月より現職。 |
社外取締役は、金井路子(グロースエンジン代表取締役)、和田真治(元南海電気鉄道執行役員)、髙原聡(元ナイガイ取締役常務執行役員)です。
2. 事業内容
同社グループは、「国内専門店事業」「国内EC事業」「海外・スポーツ卸事業」を展開しています。
■国内専門店事業
「靴下屋」「Tabio」「TabioMEN」といったブランド店舗を展開し、靴下やタイツなどのレッグウェアを販売しています。エリア戦略に基づいた店舗展開に加え、SNSを活用したトレンド対応や、顧客一人ひとりに合わせたサービスを提供しており、一般消費者を主な顧客としています。
収益は、直営店における消費者への商品販売による売上のほか、フランチャイズ加盟店への商品卸売による売上が主な源泉です。運営は主にタビオが行っており、商品の保管・出庫業務等の物流業務については連結子会社のタビオ奈良が担っています。
■国内EC事業
自社ECサイトをはじめとするオンラインチャネルを通じて、世界に向けて商品をアピールし販売を行っています。ECサイトのユーザビリティ向上に取り組み、収益の柱の一つとして強化を進めています。
収益は、ECサイトを通じた消費者への直接販売による売上が中心です。事業運営はタビオが主体となり、物流関連業務については国内専門店事業と同様にタビオ奈良が協力体制をとっています。
■海外・スポーツ卸事業
海外においては欧州でのブランド価値向上やアジア圏の拡大を進め、スポーツ卸事業では機能性を追求したスポーツソックスやフットボールソックスなどの展開を行っています。それぞれの市場において強固なポジショニングの確立を目指しています。
収益は、海外店舗での販売や海外代理商への卸売、およびスポーツ関連商品等の卸売による売上です。運営にはタビオのほか、物流を担うタビオ奈良、海外拠点のTabio France S.A.S.、踏比鴎商貿(上海)有限公司が関わっています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は着実な回復・成長傾向にあります。2021年2月期は損失を計上しましたが、その後は利益面でも改善が進み、経常利益、当期純利益ともに黒字を維持し、利益額も増加トレンドにあります。利益率も改善しており、直近では4%台の利益率を確保しています。
| 項目 | 2021年2月期 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 115億円 | 137億円 | 153億円 | 162億円 | 169億円 |
| 経常利益 | -8.7億円 | 2.0億円 | 5.3億円 | 6.2億円 | 7.5億円 |
| 利益率(%) | -7.5% | 1.5% | 3.5% | 3.8% | 4.5% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -15.5億円 | 1.8億円 | 2.3億円 | 4.7億円 | 5.2億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の増加に伴い、売上総利益も増加していますが、売上総利益率は56%台で安定的に推移しています。販管費も増加傾向にありますが、増収効果により営業利益は増加しており、営業利益率も向上しています。収益性の改善が進んでいることが読み取れます。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 162億円 | 169億円 |
| 売上総利益 | 92億円 | 95億円 |
| 売上総利益率(%) | 56.5% | 56.3% |
| 営業利益 | 6.0億円 | 7.4億円 |
| 営業利益率(%) | 3.7% | 4.4% |
販売費及び一般管理費のうち、従業員給料・賞与が26億円(構成比30%)、家賃が17億円(同19%)を占めています。人件費と地代家賃が主要なコスト要因となっています。
■(3) セグメント収益
全ての事業部門において売上高が増加しています。特に海外・スポーツ卸事業の伸び率が高く、国内EC事業も堅調に成長しています。国内専門店事業は微増ながら安定した収益基盤となっています。
| 区分 | 売上(2024年2月期) | 売上(2025年2月期) |
|---|---|---|
| 国内専門店事業 | 127億円 | 127億円 |
| 国内EC事業 | 19億円 | 21億円 |
| 海外・スポーツ卸事業 | 16億円 | 20億円 |
| 連結(合計) | 162億円 | 169億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社のキャッシュ・フローは、本業で資金を稼ぎ出し、その範囲内で投資を行い、借入金の返済や配当支払いを行っている「健全型」です。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 3.6億円 | 9.5億円 |
| 投資CF | -8.7億円 | -2.5億円 |
| 財務CF | -5.6億円 | -1.8億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は11.2%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は56.7%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は創業の理念として「凡そ商品は 造って喜び 売って喜び 買って喜ぶようにすべし」を掲げています。また、ビジョンとして「私たちは世界一の靴下総合企業を実現します」を掲げ、日本の技術、品質、サービスのあらゆる面において世界最高の水準を追求し、世界中の人々に「Made in Japan」の靴下を届けることを目指しています。
■(2) 企業文化
「Made in Japan」に強い夢と誇りを持ち、ものづくりにこだわる姿勢が根底にあります。顧客、取引先、同社が三位一体となって持続的に発展することを目指し、品質へのこだわりと適正価格での提供、国内生産技術の維持・継承、地域社会や地球環境への貢献といった社会的責任を果たすことを重視する風土があります。
■(3) 経営計画・目標
市場の変化に柔軟に対応し、挑戦的な取り組みで成長基盤の構築を目指しています。具体的な数値目標として、「既存商品×新規販路」「新規商品×新規販路」の開拓などを通じて、持続的な成長を図る方針を示しています。また、サステナビリティに関連する指標として、2027年度末までの女性管理職比率等の目標を設定しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
今後の成長に向けて、商品戦略の最適化と靴下業界における協業推進を重点施策として掲げています。WEBで共感を呼ぶストーリー性のある商品開発へのシフトや、ブランド統一によるラインナップの最適化を行い、ヒット商品の創出を強化します。また、ナイガイとの協業により、クロスセル強化や新規業態の出店を進め、新たな顧客層の獲得を目指します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
従業員一人ひとりの多様性を尊重し、CS(顧客満足)およびES(従業員満足)を最上位の価値観としています。仕事を通じたやりがいと成長を重視し、AI等の先端技術活用に向けた教育やタレントマネジメントを推進することで、組織と個人の成長の両立を図っています。また、多様で柔軟な働き方を推進し、仕事と育児・介護の両立支援など就業環境の整備にも注力しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年2月期 | 41.2歳 | 15.0年 | 5,561,000円 |
※平均年間給与には、賞与支払額及び基準外賃金を含んでおります。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 23.7% |
| 男性育児休業取得率 | 0.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 53.4% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 67.2% |
| 男女賃金差異(非正規) | 67.4% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) フランチャイズ契約に関するリスク
同社は直営店に加え、フランチャイズ加盟店や海外代理商への卸売を行っています。フランチャイズ加盟店が全店舗数に占める割合が大きいため、加盟店周辺環境の変化や加盟者の経営悪化等により契約解除が生じた場合、同社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 出店政策に関するリスク
路面店や商業施設等へ直営店およびフランチャイズ店を展開していますが、店舗の経営悪化や商業施設の閉鎖・テナント入れ替え等により退店を余儀なくされる可能性があります。また、計画通りに出店や加盟店獲得が進まない場合、業績に重要な影響を与える可能性があります。
■(3) 市況変動等によるリスク
取扱商品はファッションの変化、天候不順、景気動向による個人消費の変動などの影響を受けます。これらにより需要が減少した場合、同社グループの業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。