イズミ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

イズミ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

イズミは東京証券取引所プライム市場に上場し、ショッピングセンターやスーパーマーケットなどの小売事業、クレジット取扱業務などの小売周辺事業を展開しています。直近の業績は、サニー事業の承継や客数の回復により、売上高、営業利益ともに増加し、増収増益を達成するなど堅調に推移しています。


※本記事は、株式会社イズミの有価証券報告書(第65期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. イズミってどんな会社?


イズミは、西日本エリアを中心にショッピングセンターやスーパーマーケットなどの小売事業を展開しています。

(1) 会社概要


1961年に設立され、第1号店を開店しました。1987年には東京証券取引所市場第一部に上場しています。その後、西日本各県に「ゆめタウン」を順次開店し事業を拡大しました。2015年にゆめマート北九州やユアーズを子会社化し、2024年には西友の九州地域における食品スーパー事業を承継しています。

現在の従業員数は連結で5,025名、単体で2,895名体制です。筆頭株主は創業家・役員に関連する山西ワールドで、第2位は資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行、第3位は第一不動産となっています。

氏名 持株比率
山西ワールド 28.47%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 6.63%
第一不動産 6.01%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性3名の計11名で構成され、女性役員比率は27.0%です。代表取締役社長は町田繁樹氏が務めています。社外取締役は3名選任されています。

氏名 役職 主な経歴
山西 泰明 代表取締役会長 1977年イズミに入社し、取締役、常務、専務を経て、1993年代表取締役社長に就任。2025年4月より現職。
町田 繁樹 代表取締役社長 1991年イズミに入社。衣料品事業部長、経営企画本部長などを歴任し、2023年に取締役副社長に就任。2025年4月より現職。
山西 大輔 取締役副社長 2005年イズミに入社。SM事業部長、総務部長、業務プロセス改革本部長、経営企画本部長などを歴任し、2025年4月より現職。
田原 英樹 取締役専務執行役員管理本部長 1991年住友銀行に入行。三井住友銀行執行役員広報部長などを経て、2024年にイズミに入社。2025年5月より現職。
青木 孝幸 取締役常務執行役員デベロッパー本部長 1990年住友商事に入社。不動産投資開発事業部長を経て、2024年にイズミに入社し、開発本部副本部長等を経て、2026年2月より現職。


社外取締役は、西川正洋(西川ゴム工業取締役会長)、矢野泉(広島修道大学学長)、青山直美(スタイルビズ代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、小売事業および小売周辺事業などを展開しています。

小売事業


ショッピングセンター、ゼネラル・マーチャンダイジング・ストア(GMS)、スーパーマーケットなどの業態を通じ、衣料品、住居関連品、食料品などの販売を行っています。幅広い世代の顧客をターゲットに、安全で安心な商品を展開しています。

商品の販売代金を顧客から直接受け取ります。運営は主にイズミが担うほか、ゆめマート熊本、ゆめマート北九州、ユアーズなどの子会社が地域に密着した店舗展開を行っています。

小売周辺事業


クレジット取扱業務、店舗施設管理業務、外食など、小売事業を補完するサービスを提供しています。イズミグループの店舗を利用する顧客やテナントが主な対象となります。

ゆめカードを通じたクレジットカード決済手数料のほか、イズミテクノが施設管理費を、イズミ・フード・サービスが外食店舗での販売代金を受け取ります。

その他


衣料品などの卸売事業や、不動産賃貸事業を展開しています。グループ外の企業やテナントを主な顧客としています。

卸売先からの商品販売代金や、賃借人からの不動産賃貸収入を得ています。運営はヤマニシや泉不動産が担当しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近4年間の業績推移を見ると、営業収益は新規出店やM&A効果により増加傾向にあります。一方、経常利益はインフレやシステム障害の影響などで一時的に減少しましたが、直近では回復基調にあり、当期は増収増益となっています。

項目 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期 2026年2月期
営業収益 4,601億円 4,712億円 5,241億円 5,693億円
経常利益 344億円 323億円 260億円 274億円
利益率(%) 7.5% 6.9% 5.0% 4.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 232億円 205億円 123億円 168億円

(2) 損益計算書


売上高は着実に増加し、売上総利益も拡大しています。人件費や賃借料といった販管費の増加はありましたが、それを吸収して営業利益の増益を達成しており、安定した利益水準を維持しています。

項目 2025年2月期 2026年2月期
売上高 4,673億円 5,109億円
売上総利益 1,508億円 1,640億円
売上総利益率(%) 32.3% 32.1%
営業利益 257億円 272億円
営業利益率(%) 5.5% 5.3%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給料及び賞与が394億円(構成比20%)、店舗管理費が147億円(同8%)、減価償却費が132億円(同7%)を占めています。

(3) セグメント収益


小売事業は、システム障害からの回復やサニー事業の承継が寄与し増収増益となりました。小売周辺事業も、クレジットカード取扱高の増加や施設管理業務の好調により順調に成長しています。

区分 売上(2025年2月期) 売上(2026年2月期) 利益(2025年2月期) 利益(2026年2月期) 利益率
小売事業 5,058億円 5,498億円 200億円 208億円 3.8%
小売周辺事業 153億円 165億円 55億円 60億円 36.3%
その他 31億円 30億円 6億円 7億円 23.3%
連結(合計) 5,241億円 5,693億円 257億円 272億円 4.8%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

項目 2025年2月期 2026年2月期
営業CF 403億円 645億円
投資CF -916億円 -196億円
財務CF 550億円 -325億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.8%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は49.4%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「社員が誇りと喜びを感じ、地域とお客さまの生活に貢献し続ける」を経営理念に掲げています。収益の源泉である地域や顧客への貢献を通じて、社員が誇りを持って働くことこそがステークホルダーの期待に応える最短の道であると考え、地域に密着した企業として経済、雇用、環境、文化への貢献を目指しています。

(2) 企業文化


「革新・挑戦・スピード」をイズミグループのDNAとして掲げ、大切にしています。社員一人ひとりが自ら考え、主体的に行動し、変化を前向きに捉えて挑戦と革新を重ねていく組織文化への原点回帰を推進し、心理的安全性を確保することで意見を発信しやすい環境づくりに努めています。

(3) 経営計画・目標


第三次中期経営計画(2027年2月期〜2031年2月期)において、「最も地域に寄り添い、地域のお客さまに頼りにされる『地域の総合生活産業』」を目指すとしています。

・営業収益:7,000億円
・営業利益:350億円以上
・ROE:6.0%以上
・ROIC:5.0%以上

(4) 成長戦略と重点施策


広域型ショッピングセンター「ゆめタウン」や近隣型「ゆめモール」、食品スーパー「ゆめマート」の積極出店と既存店活性化を継続します。また、M&A戦略の積極展開によるドミナント基盤の強化、自社製造ブランド「zehi」やプライベートブランド「ゆめイチ」などの商品開発を通じ、価格と品質のニーズに対応します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「地域の総合生活産業」の実現に向け、変化する顧客の期待に柔軟に対応できる人財の育成を目指しています。専門技術を土台とした現場力とチームとしての成果創出を両立させるため、多様なバックグラウンドを持つ社員が能力を発揮し、柔軟な働き方を選択できる社内環境の整備を進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年2月期 41.3歳 16.9年 5,642,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 12.6%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 55.3%
男女賃金差異(正規労働者) 72.0%
男女賃金差異(非正規労働者) 107.6%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、離職率(4.2%)、離職率(入社3年時)(18.0%)、障がい者雇用率(2.9%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 情報セキュリティに関するリスク

顧客や取引先の個人情報・情報資産を取り扱っており、サイバー攻撃や管理ミスによる情報の漏えい、システム障害等が発生した場合、信用の低下や損害賠償、対応費用の発生により業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 食品の安全性に関するリスク

生鮮食品等の販売において、食中毒や異物混入などの食品事故、または食品表示の誤りが発生した場合、顧客の信頼を損ない、グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) M&Aに関するリスク

成長戦略の一環としてM&Aを実施していますが、期待した収益やシナジー効果が十分に実現しない場合、のれん等の減損損失が生じるほか、事業統合プロセスが計画通りに進まず追加費用が発生する可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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