※本記事は、株式会社イズミ の有価証券報告書(2026年2月期、2025年3月1日 ~ 2026年2月28日、2026年5月26日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
イズミは、ショッピングセンター、ゼネラル・マーチャンダイジング・ストア(GMS)、スーパーマーケットなどの業態で衣料品、住居関連品、食料品などを販売する小売事業を主軸としています。同社グループは、小売周辺事業やその他の事業も展開し、多角的なサービスを提供しています。
単体従業員数は2,895名、連結従業員数は5,025名です。同社グループの事業セグメントは、小売事業、小売周辺事業、その他の3つです。
主な国内グループ会社は、ゆめカード(小売周辺)、ヤマニシ(その他)、ゆめマート熊本(小売)などです。
同社グループは、2024年8月1日付で株式会社西友の食品スーパー事業を承継し、サニー事業の店舗網70店舗を加えました。これにより、九州におけるドミナンスを強化しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
イズミは、地域に根差した小売事業を展開しており、従業員の安定的な雇用と長期的なキャリア形成を重視する傾向が見られます。給与水準や働き方に関する具体的なデータから、同社で働く環境の全体像を把握することができます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高い水準にあります。このことから、従業員が長期にわたって安定して働き続ける環境が整っていることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,642,000円 |
| 平均勤続年数 | 16.9年 |
| 平均年齢 | 41.3歳 |
| 単体従業員数 | 2,895人 |
| 連結従業員数 | 5,025人 |
| 単体のグループ内比率 | 57.6% |
イズミは、従業員の退職給付に充てるため、非積立型の確定給付制度および確定拠出制度を採用しています。国内の従業員を対象としており、一部の連結子会社でも同様の制度が導入されています。
なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。当連結会計年度末における退職給付債務は73.9億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
人材戦略に関する記載はありません。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。男性の育児休業等取得率は、育児休業等および育児目的の休暇制度を利用した男性労働者の合計数で算出されています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 12.6% |
| 男性育児休業等取得率 | 93.0% |
| 男女の賃金格差(全労働者) | 55.3% |
| 男女の賃金格差(うち正規雇用労働者) | 72.0% |
| 男女の賃金格差(うちパート・有期労働者) | 107.64% |
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。連結子会社の男性の育児休業等取得率は、育児休業を利用した男性労働者の数を、配偶者が出産した男性労働者の数で除して算出されています。
▼ ㈱ゆめカード
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 22.6% |
| 男性育児休業等取得率 | 100.0% |
| 男女の賃金格差(全労働者) | 46.2% |
| 男女の賃金格差(うち正規雇用労働者) | 62.1% |
| 男女の賃金格差(うちパート・有期労働者) | 59.6% |
▼ ㈱イズミテクノ
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 6.0% |
| 男性育児休業等取得率 | 80.0% |
| 男女の賃金格差(全労働者) | 53.2% |
| 男女の賃金格差(うち正規雇用労働者) | 81.6% |
| 男女の賃金格差(うちパート・有期労働者) | 61.3% |
▼ イズミ・フード・サービス㈱
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 7.1% |
| 男性育児休業等取得率 | 66.6% |
| 男女の賃金格差(全労働者) | 56.5% |
| 男女の賃金格差(うち正規雇用労働者) | 72.5% |
| 男女の賃金格差(うちパート・有期労働者) | 116.7% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
イズミは、小売事業を主軸に、小売周辺事業やその他の事業を展開する企業グループです。地域に密着した店舗運営と多角的なサービス提供を通じて、顧客の生活に貢献しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、主に小売事業、小売周辺事業、その他の事業の3つのセグメントで構成されています。主力の小売事業では、ショッピングセンターやスーパーマーケットなどの店舗を通じて、衣料品、住居関連品、食料品といった生活必需品を幅広く提供しています。小売周辺事業は、クレジット業務や店舗施設管理、外食サービスなど、小売事業を多角的にサポートする役割を担っています。その他の事業では、卸売業や不動産賃貸業などを展開し、グループ全体の収益基盤を強化しています。
小売事業
ショッピングセンター、ゼネラル・マーチャンダイジング・ストア(GMS)、スーパーマーケット等の業態で、衣料品、住居関連品、食料品などを販売しています。収益は、これらの商品販売から得ています。運営は、イズミ、ゆめマート熊本、ゆめマート北九州、ユアーズなどが行っています。
小売周辺事業
クレジット取扱業務、店舗施設管理業務、外食など、小売事業を補完する業務を展開しています。収益は、クレジット手数料収入や施設管理業務の受注、外食サービスの提供などから得ています。運営は、ゆめカード、イズミテクノ、イズミ・フード・サービスなどが行っています。
その他の事業セグメント
卸売業や不動産賃貸業などを手掛けています。収益は、卸売販売や不動産の賃料収入などから得ています。運営は、ヤマニシ、泉不動産などが行っています。
| セグメント | 営業収益(2025年2月期) | 営業収益(2026年2月期) |
|---|---|---|
| 小売事業 | 5,058億円 | 5,498億円 |
| 小売周辺事業 | 153億円 | 165億円 |
| その他の事業セグメント | 30.7億円 | 29.9億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの営業収益は、過去5期間において、第61期から第62期にかけて減少したものの、その後は増加傾向にあります。経常利益は、第61期から第64期にかけて減少が続きましたが、当期は増加に転じました。親会社株主に帰属する当期純利益も、第64期までは減少傾向でしたが、当期は前期から大きく増加しています。
| 項目 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 営業収益 | 6,768億円 | 4,601億円 | 4,712億円 | 5,241億円 | 5,693億円 |
| 経常利益 | 347億円 | 344億円 | 323億円 | 260億円 | 274億円 |
| 経常利益率 | 5.1% | 7.5% | 6.9% | 5.0% | 4.8% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 232億円 | 232億円 | 205億円 | 123億円 | 168億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 108.15 | 108.12 | 95.49 | 57.33 | 79.40 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり営業収益(連結)は前期から増加しており、生産性が向上している傾向が見られます。また、従業員1人あたり営業利益(連結)も前期から増加しており、効率的な事業運営が進んでいることがうかがえます。これらの指標の改善は、同社グループの収益体質の強化を示しています。
| 指標 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり営業収益(連結) | 106.1百万円 | 113.3百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 5.2百万円 | 5.4百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
イズミグループの財務状況は、安定した基盤と将来に向けた投資のバランスを示しています。本業で着実に資金を生み出しながら、事業拡大のための投資も行っている状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率はプライム市場の非製造業平均を大きく上回っており、強固な財務基盤を構築していることがうかがえます。ROE(自己資本利益率)は前期から改善し、収益性の向上が見られます。手元資金も増加しており、不測の事態への耐性も高い状態です。これらの財務状況は、雇用や給与の安定性にもつながる要素であると言えます。
| 指標 | 2025年2月期(前期) | 2026年2月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 2,996億円 | 3,079億円 |
| 自己資本比率 | 49.6% | 49.4% |
| ROE(自己資本利益率) | 4.3% | 5.8% |
| 現金及び預金 | 157億円 | 281億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
イズミグループの営業活動によるキャッシュフローは、当期に大幅に増加しました。これは主に税金等調整前当期純利益の計上や仕入債務の増加、減価償却費の計上によるものです。投資活動によるキャッシュフローは、店舗新設や既存店舗の活性化、DX投資など、主に有形固定資産の取得による支出が継続しています。
財務活動によるキャッシュフローは、当期は長期借入金の返済や短期借入金の返済、配当金の支払、自己株式の取得などにより減少しました。結果として、事業活動で得た資金が投資活動を上回り、自由に使える資金であるフリーキャッシュフローは当期にプラスに転じています。この状況は、本業で安定的に資金を創出し、将来への投資も適切に行いつつ、財務的な健全性を維持していることを示しており、雇用や給与の安定性、そして会社の成長性につながるものと考えられます。
| 項目 | 2025年2月期(前期) | 2026年2月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 403億円 | 645億円 |
| 投資CF | △916億円 | △196億円 |
| 財務CF | 550億円 | △325億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △513億円 | 449億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、一般消費者への物品・サービスの販売を事業の中核としており、天候や景気・個人消費の動向、小売業他社との競合状況等の影響を受ける可能性があります。また、金利、為替、株価などの想定を上回る変動や地政学リスクの高まりによるエネルギー価格上昇、物流の混乱、為替変動の拡大が、財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性も示されています。
さらに、多額の固定資産を保有しており、店舗の収益性低下等により減損処理が必要となった場合、財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、少子高齢化の進行による労働需給の変化や法令の改正により、人的資本への投資や対応が十分に進捗しない場合、事業活動や成長戦略の遂行に影響を及ぼす可能性を認識しています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
イズミは、「社員が誇りと喜びを感じ、地域とお客さまの生活に貢献し続ける」ことを経営理念に掲げ、地域に根差した総合生活産業を目指しています。
従業員の働きがいと地域社会への貢献を重視する企業文化が特徴です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「社員が誇りと喜びを感じ、地域とお客さまの生活に貢献し続ける」という経営理念を掲げています。
2035年長期ビジョンでは、西日本エリアにおいて最も地域に寄り添い、お客さまに頼りにされる「地域の総合生活産業」を目指しています。
このビジョン達成のため、「地域のお客さまに誰よりも寄り添う」「地域と共に成長する仕組みを構築する」「地域の人々の暮らしの拠り所となる」という基本方針を掲げています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、お客さまニーズの変化に対応できる組織・人材の養成と、競争優位分野への経営資源投入により、独自の付加価値創造と企業価値増大を目指しています。
地域に密着した企業として、経済、雇用、環境、文化への貢献も重視しています。
店舗を起点とした風通しの良い組織づくりを推進し、従業員の自律的な行動や能力開発をサポートする体制を構築することで、働きがいのある職場を実現する方針です。
サステナビリティ推進のため、代表取締役社長を委員長とする全社横断的な「サステナビリティ委員会」を設置し、取締役会がその活動を監督しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、従業員の働きがいのある職場を実現するため、店舗を起点とした風通しの良い組織づくりを進めています。
自律的な行動や能力開発をサポートし、明確な目標に対する成果を評価する体制を構築する方針です。
持続的成長のため、2030年までの目標「youme MIRAI Action」を掲げ、「多様な人財が活躍できる環境を整備する」ことを重点テーマの一つとしています。
店舗作業の効率化と業務のデジタル化により、従業員の労働環境整備とサービス向上に繋げていく方針です。
また、コーポレートガバナンスの充実にも努めています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
イズミは、取締役会と監査役会を設置し、業務執行の透明性と経営責任の明確化を図る体制をとっています。また、任意の指名・報酬委員会を設置し、コーポレート・ガバナンスの充実に取り組んでいます。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
イズミの株主構成を見ると、筆頭株主は山西ワールドであり、そのほかにも第一不動産といった関連会社や、代表取締役会長の山西泰明氏個人も上位株主として名を連ねています。このように、創業家およびその関連会社が主要な株主として同社グループを支えていることが特徴です。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 山西ワールド | 28.47% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 6.63% |
| 第一不動産 | 6.01% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 4.51% |
| 日本生命保険相互会社 | 2.99% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は11名(男性8名・女性3名)で構成され、女性役員比率は27.0%です。代表取締役社長は町田繁樹氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 町田 繁樹 | 代表取締役社長 | 1991年4月同社へ入社、2021年5月同社取締役経営企画部長、2025年4月同社代表取締役社長より現職。 |
| 山西 泰明 | 代表取締役会長 | 1977年12月同社へ入社、1993年3月同社代表取締役社長、2025年4月同社代表取締役会長より現職。 |
| 山西 大輔 | 取締役副社長 | 2005年8月同社へ入社、2023年5月同社取締役経営企画本部長、2025年4月同社取締役副社長より現職。 |
| 田原 英樹 | 取締役専務執行役員管理本部長 | 1991年4月住友銀行(現三井住友銀行)入行、2024年5月同社専務執行役員管理本部長、2025年5月同社取締役専務執行役員管理本部長より現職。 |
| 青木 孝幸 | 取締役常務執行役員デベロッパー本部長 | 1990年4月住友商事入社、2025年5月同社取締役常務執行役員開発本部長、2026年2月同社取締役常務執行役員デベロッパー本部長より現職。 |
社外取締役は、西川正洋氏(西川ゴム工業取締役会長)、矢野泉氏(広島修道大学学長)、青山直美氏(スタイルビズ代表取締役)です。
同社は監査役会設置会社であり、社外取締役3名と社外監査役2名で構成される監査役会が経営の客観性・透明性向上に貢献しています。社外取締役は、豊富な経験と幅広い見識を持つ人材が選任されています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
イズミの役員報酬は、業務執行を担う取締役に対しては基本報酬、業績連動報酬、非金銭報酬(株式報酬)で構成されています。一方、監督機能を担う社外取締役および監査役には基本報酬のみが支給される体系です。この報酬体系は、企業価値の持続的な向上と株主利益との連動を目的として設計されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 7名 | 3.8億円 | 54.4百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 14百万円 | 14.0百万円 |
| 社外役員 | 5名 | 36百万円 | 7.2百万円 |
同社グループの役員報酬等の総額は4億31百万円であり、対象となる役員の総数は13名です。
なお、取締役(社外役員を除く)に対する非金銭報酬等の総額の内訳は、譲渡制限付株式報酬75百万円です。また、業績連動報酬に関する業績指標の実績については、当事業年度の経常利益予算に対して未達成でした。
個人別報酬が開示されている役員は、山西泰明氏(1.08億円)です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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