オークワ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

オークワ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

オークワは東京証券取引所プライム市場に上場し、スーパーマーケットを中心とした小売事業を展開しています。直近の業績トレンドでは、売上高は緩やかな増加傾向にあるものの、利益面では経費増や減損損失等の影響で変動が見られ、当期は増収増益で黒字転換を果たしました。地域密着型の店舗運営と収益力強化を推進しています。


※本記事は、オークワの有価証券報告書(第57期、自 2025年2月21日 至 2026年2月20日、2026年5月13日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. オークワってどんな会社?


近畿・東海地方を中心に、スーパーマーケットを展開して地域社会の生活を支える小売企業です。

(1) 会社概要


1969年2月に大阪市生野区で主婦の店オークワとして設立し、スーパーマーケットの営業を譲受しました。同年9月に本店を三重県に移転後、1974年に本部を和歌山市へ移し、1976年にチェーンストアオークワへ商号変更しました。1987年に大阪証券取引所市場第二部に上場し、2001年には東京証券取引所市場第一部に上場を果たしています。

従業員数は連結で2,068名、単体で1,942名です。筆頭株主は同社の取引先を会員とするオークワ共栄会で、第2位は創業者の大桑堉嗣氏です。第3位には資産管理業務を行う信託銀行が名を連ねています。

氏名 持株比率
オークワ共栄会 8.78%
大桑堉嗣 7.25%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 5.82%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性2名の計11名で構成され、女性役員比率は18.2%です。代表取締役社長は大桑弘嗣氏が務めています。社外取締役比率は36.4%です。

氏名 役職 主な経歴
大桑弘嗣 代表取締役社長 1996年入社。食品事業部長、専務取締役執行役員営業本部長などを経て、2022年2月より現職。
武田庸司 取締役専務執行役員営業本部長 1987年入社。販売本部長、常務取締役執行役員営業本部長などを経て、2026年2月より現職。
大桑堉嗣 取締役 1964年主婦の店新宮店入社。代表取締役社長、代表取締役会長兼CEOなどを経て、2022年5月より現職。
大桑祥嗣 取締役 1969年監査役。専務取締役南紀販売事業部長、取締役副会長などを経て、2003年2月より現職。
大桑啓嗣 取締役 1971年入社。専務取締役、代表取締役社長、取締役副会長などを経て、2011年5月より現職。
大桑俊男 取締役 1976年入社。パーティハウス代表取締役、当社取締役副会長執行役員などを経て、2019年2月より現職。
池﨑好彦 取締役常勤監査等委員 1978年入社。情報管理室室長、内部監査室室長、監査役などを経て、2022年5月より現職。


社外取締役は、木田理恵(女ゴコロマーケティング研究所代表取締役)、岡本一郎(税理士)、栗生建次(元紀陽銀行審査部副部長)、八島妙子(元東京医療保健大学副学長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「スーパーマーケット事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) スーパーマーケット事業


同社グループの中核として、近畿・東海地方を中心にスーパーマーケットのチェーン展開を行っています。地域のお客様のニーズに合わせた商品構成や売場づくりを通じて、食料品や日用品などの生活必需品を広く一般消費者に提供しています。

商品の販売収入が主な収益源です。運営は同社のほか、農産物等の加工や配送業務を担うサンライズ、農産物の卸売業を営む和歌山大同青果が連携して事業を推進しています。

(2) その他事業


スーパーマーケット事業を補完する目的で、外食事業や施設管理業務の受託、クリーニング事業などを展開しています。店舗内に併設される外食店やクリーニング店を通じて、来店客の利便性向上に寄与するサービスを提供しています。

外食事業における飲食代金や、施設管理・クリーニングサービスの提供対価が収益源です。運営は主に、外食店を展開するオークフーズ、施設管理業務を受託するリテールバックオフィスサポート、クリーニング事業を展開するマミーが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の連結業績を見ると、売上高は2,300億円から2,500億円の範囲で安定して推移していますが、経常利益や当期利益は環境変化の影響を受け変動しています。特に前々期は減損損失等の計上で赤字となりましたが、直近では増収とともに黒字転換を果たしており、収益力の改善に向けた取り組みの成果が現れています。

項目 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期 2026年2月期
売上高 2,560億円 2,347億円 2,350億円 2,375億円 2,395億円
経常利益 55億円 31億円 31億円 14億円 20億円
利益率(%) 2.1% 1.3% 1.3% 0.6% 0.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 15億円 9億円 10億円 -24億円 3億円

(2) 損益計算書


売上高の緩やかな増加に伴い、売上総利益も拡大しています。光熱費や人件費などのコスト上昇圧力が続く中でも、荒利益率の改善などにより営業利益・営業利益率ともに向上しており、本業の稼ぐ力が回復傾向にあることがうかがえます。

項目 2025年2月期 2026年2月期
売上高 2,375億円 2,395億円
売上総利益 654億円 664億円
売上総利益率(%) 27.5% 27.7%
営業利益 13億円 19億円
営業利益率(%) 0.6% 0.8%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給料及び手当が294億円(構成比38%)、賃借料が76億円(同10%)、減価償却費が59億円(同8%)を占めています。売上原価は1,731億円で、売上高に対する原価率は72%となっています。

(3) セグメント収益


同社の事業はスーパーマーケット事業が全体の大部分を占めており、当期は客単価の上昇等により増収となりました。また、外食事業等を含むその他事業も、客数の増加等により堅調な推移を示しており、グループ全体の増収に貢献しています。

区分 売上(2025年2月期) 売上(2026年2月期)
スーパーマーケット事業 2,362億円 2,382億円
その他 13億円 14億円
連結(合計) 2,375億円 2,395億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である健全型といえます。

項目 2025年2月期 2026年2月期
営業CF 66億円 76億円
投資CF -87億円 -58億円
財務CF -29億円 -20億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は0.4%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は57.5%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「わが社の成長発展こそがお客様の生活文化の向上を促し、社会への大きな貢献となることを念願し、チェーンストア業界の名門としての地位を永遠に確立する」という経営理念を掲げています。お客様のニーズに合った商品・サービスの提供を通じて、豊かなライフスタイルの実現に貢献することを目指しています。

(2) 企業文化


同社は「商業を通じて地域社会に貢献する」という経営信条のもと、お客様から信頼される企業を目指しています。現場の店長がチェーンストア理論に基づき店舗運営を行うと同時に、「個店経営・個店最適」を実践・推進する組織風土を重んじており、従業員一人ひとりが自ら考え行動できる自律的なキャリア形成と挑戦を後押ししています。

(3) 経営計画・目標


2024年に2026年度を最終年度とする中期経営計画を策定しましたが、市場環境の変化や営業成績を鑑み、目標数値の達成が困難であると判断して目標数値を取り下げています。今後は情勢の推移を慎重に見極めながら、持続的・安定的な経営の確立と企業価値向上を目指していく方針です。

(4) 成長戦略と重点施策


中長期的な成長に向けて、資本政策、店舗戦略、商品戦略、販売促進施策などの基本戦略に継続して注力します。具体的には、多様化するお客様ニーズや変化するライフスタイルに合わせた商品・サービスの提供を進め、店舗の向上発展を図ることで、地域社会への貢献と競争力・収益力の向上を推進していく戦略です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は「仕事を通じて自己実現し、個人の能力を十分に発揮できる人材」を人材ビジョンに掲げています。従業員のキャリア自律実現、能力伸長・スキル開発、挑戦を促す組織風土改革、働き方の多様性を人事戦略のテーマとし、現場の裁量を重視しながらエンゲージメントの向上と成長を支援する人事基盤の構築を進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年2月期 47.6歳 18.4年 5,154,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 3.9%
男性育児休業取得率 75.0%
男女賃金差異(全労働者) 54.7%
男女賃金差異(正規雇用) 70.6%
男女賃金差異(非正規雇用) 94.2%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、外国人技能実習生の在籍数(288名)、店長に占める女性労働者の割合(2.6%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経済環境の変動とコスト高騰


今後の景気動向や金融情勢の変動による消費者の購買意欲の低下や、地政学リスクの高まりに伴う原油・原材料等の高騰が発生した場合、店舗運営における光熱費や商品・店舗資材の調達価格が大きく上昇し、業績に影響を及ぼすリスクがあります。

(2) 競争環境の激化


地域のお客様のニーズに合った商品構成や売場づくりに努めていますが、商圏人口の減少や同業種・異業種を含めた競合が激化した場合、計画通りの収益を確保できず、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 人材確保の難航と人件費増加


お客様に満足いただけるサービスの提供には人材の確保と育成が不可欠です。しかし、労働環境の改善や社内研修等の施策が計画通りに進まず人材確保が難航した場合や、最低賃金の上昇等により人件費等のコストが増加した場合、営業活動や業績に支障をきたすリスクがあります。

(4) 食の安全性に関する問題


食品工場や加工センターを中心に厳格な衛生管理や検査体制、トレーサビリティの確保に努めていますが、万一、食中毒などの予期せぬ事態や衛生面での問題が発生し、商品の安定供給ができなくなった場合、店舗営業や業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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