オークワ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

オークワ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場のスーパーマーケットチェーンです。和歌山県を中心に近畿・東海地方で店舗を展開し、地域密着型の経営を行っています。直近の業績は、売上高が前期比で微増となりましたが、経常利益は減益となり、減損損失の計上等により当期純損失となりました。


※本記事は、株式会社オークワ の有価証券報告書(第56期、自 2024年2月21日 至 2025年2月20日、2025年5月13日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. オークワってどんな会社?


和歌山県を地盤に近畿・東海エリアでスーパーマーケットを展開する企業です。地域社会への貢献を掲げています。

(1) 会社概要


1969年に大阪市で株式会社主婦の店オークワとして設立され、和歌山県へ拠点を移しました。1974年には他社と共同で日本流通産業株式会社(ニチリウ)を設立。2001年に東京証券取引所市場第一部に上場しました。その後、株式会社パレや株式会社ヒラマツなどを吸収合併し、事業規模を拡大しています。

連結従業員数は2,104名、単体では1,987名です。大株主の筆頭は取引先持株会であるオークワ共栄会で、第2位は資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行、第3位は元代表取締役会長で現取締役の大桑堉嗣氏です。

氏名 持株比率
オークワ共栄会 8.17%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 7.49%
大桑 堉嗣 7.19%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性2名の計12名で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長は大桑弘嗣氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
大桑 弘嗣 代表取締役社長 1996年同社入社。食品事業部長、人事総務本部長、営業本部長、代表取締役副社長等を経て2022年2月より現職。日本流通産業代表取締役社長を兼任。
武田 庸司 取締役専務執行役員営業本部長兼販売事業部長 1987年同社入社。スーパーセンター業態部長、販売本部長、食品事業部長等を歴任。2025年2月より現職。
東川 浩三 取締役常務執行役員管理本部長兼IR室長 1987年住友信託銀行入社。同行支店長等を経て2017年同社入社。管理本部副本部長を経て2022年5月より現職。
大桑 堉嗣 取締役 1964年有限会社主婦の店新宮店入社。同社社長、会長兼CEO等を歴任。2022年5月より現職。
大桑 祥嗣 取締役 1969年同社監査役。取締役、専務取締役南紀販売事業部長、取締役副会長を経て2003年2月より現職。
大桑 啓嗣 取締役 1971年同社入社。専務取締役、代表取締役社長、取締役副会長を経て2011年5月より現職。オー・エンターテイメント代表取締役会長を兼任。
大桑 俊男 取締役 1976年同社入社。パーティハウス代表取締役、同社人事総務本部長、経営戦略室長等を経て2019年2月より現職。パーティハウス代表取締役会長を兼任。
池﨑 好彦 取締役常勤監査等委員 1978年同社入社。情報管理室長、内部監査室長、監査役を経て2022年5月より現職。


社外取締役は、木田理恵(女ゴコロマーケティング研究所代表取締役)、岡本一郎(税理士)、栗生建次(元紀陽銀行審査部副部長)、八島妙子(東京医療保健大学副学長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「スーパーマーケット事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) スーパーマーケット事業


和歌山県を中心に、大阪府、奈良県、三重県、兵庫県、愛知県、岐阜県、静岡県において、スーパーマーケットをチェーン展開しています。食料品、住居関連商品、衣料品などを地域の消費者に提供しています。

店舗での商品販売による代金が主な収益源です。運営は主にオークワが行っていますが、連結子会社の株式会社サンライズが農産物の加工・配送を、和歌山大同青果株式会社が農産物の卸売を行っています。また、関連会社の株式会社オー・エンターテイメントが書籍販売やレンタル事業等を営み、店舗内に出店しています。

(2) その他


スーパーマーケット事業を補完する事業として、外食事業、施設管理業務、クリーニング事業などを展開しています。

外食店舗での飲食代金や、施設管理業務の受託料などが収益源です。外食事業は連結子会社の株式会社オークフーズが、施設管理は株式会社リテールバックオフィスサポートが、クリーニング事業は有限会社マミーがそれぞれ運営しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は2,300億円台から2,600億円台で推移していますが、2022年2月期以降は横ばいから微減傾向にあります。利益面では、経常利益率が低下傾向にあり、第56期は当期純損失を計上しました。

項目 2021年2月期 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期
売上高 2,687億円 2,560億円 2,347億円 2,350億円 2,375億円
経常利益 80億円 55億円 31億円 31億円 14億円
利益率(%) 3.0% 2.1% 1.3% 1.3% 0.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 38億円 15億円 10億円 10億円 -24億円

(2) 損益計算書


直近2期間を比較すると、売上高は微増しましたが、売上原価および販売費及び一般管理費の増加により、営業利益は減少しました。売上総利益率はほぼ横ばいで推移していますが、営業利益率は低下しています。

項目 2024年2月期 2025年2月期
売上高 2,350億円 2,375億円
売上総利益 658億円 654億円
売上総利益率(%) 28.0% 27.5%
営業利益 29億円 13億円
営業利益率(%) 1.2% 0.6%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給料及び手当が299億円(構成比39.0%)、その他が84億円(同10.9%)を占めています。売上原価については、商品売上原価が大部分を占めます。

(3) セグメント収益


スーパーマーケット事業が売上の大半を占めており、同事業の売上高は前期比で微増しました。その他事業(外食事業等)も売上高は増加しています。

区分 売上(2024年2月期) 売上(2025年2月期)
スーパーマーケット事業 2,338億円 2,362億円
その他 13億円 13億円
連結(合計) 2,350億円 2,375億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

オークワのキャッシュ・フローの状況についてご説明します。

営業活動によるキャッシュ・フローは、減損損失の計上や棚卸資産の増加などにより、前年同期比で減少しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出が増加しました。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済や自己株式の取得、配当金の支払いなどにより、使用額が増加しました。これらの結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ減少しました。

項目 2024年2月期 2025年2月期
営業CF 97億円 66億円
投資CF -79億円 -87億円
財務CF -10億円 -29億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「わが社の成長発展こそがお客様の生活文化の向上を促し、社会への大きな貢献となることを念願し、チェーンストア業界の名門としての地位を永遠に確立する」という経営理念を掲げています。お客様のニーズに合った商品・サービスの提供を通じて、豊かなライフスタイルの実現に貢献することを目指しています。

(2) 企業文化


「商業を通じて地域社会に貢献する」という経営信条のもと、お客様から信頼される企業を目指しています。また、サステナビリティ基本方針として、地域社会の発展への貢献、安全・安心な商品の提供、地球環境問題への取り組みなどを定めており、地域社会との連携や調和を重視する文化があります。

(3) 経営計画・目標


2024年3月に2027年度を最終年度とする中期経営計画を策定しましたが、市場環境の変化や直近の業績を踏まえ、達成時期の見直しを決定しています。現時点で達成時期は再設定されていませんが、引き続き企業価値向上を目指して取り組みを進める方針です。

(4) 成長戦略と重点施策


安定した経営基盤の確立と企業価値向上を目指し、資本政策(財務戦略)、店舗戦略、商品戦略、販売促進施策等に注力します。また、IR活動を強化し、投資家との対話を深めることでPBRの改善に努めるとしています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「多様な人材が挑戦する魅力ある職場の実現」を重要課題とし、「人材ビジョン」を定めています。従業員の自律的なキャリア形成と、失敗を恐れず挑戦する組織風土への改革を人事戦略の柱としています。人材獲得においては新卒・キャリア採用を強化し、育成面では「オークワ教育研修センター」を活用した体系的な研修を実施しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年2月期 47.0歳 17.9年 5,065,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 4.2%
男性育児休業取得率 76.9%
男女賃金差異(全労働者) 56.0%
男女賃金差異(正規雇用) 69.5%
男女賃金差異(非正規) 112.8%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 外部環境の変化


景気動向や金融情勢による消費者の購買意欲低下、原材料価格やエネルギーコストの高騰が業績に影響を与える可能性があります。また、事業展開エリアにおける大規模な自然災害の発生や、商圏人口の減少、競合激化もリスク要因となります。

(2) 人材確保と人件費


労働力不足の中で人材の確保と育成が計画通りに進まない場合、営業活動に支障をきたす可能性があります。また、最低賃金の上昇や社会保障費の増大による人件費の増加が収益を圧迫するリスクがあります。

(3) 食の安全性と環境問題


食中毒などの発生により商品の安定供給ができなくなった場合、業績に影響が及ぶ可能性があります。また、想定外の気候変動による売上減少や、環境問題への対応遅れもリスクとして認識されています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。