※本記事は、株式会社オークワ の有価証券報告書(2026年2月期、2025年2月21日 ~ 2026年2月20日、2026年5月13日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
オークワは、小売事業としてスーパーマーケットをチェーン展開しています。同社グループは、施設管理業務の受託や外食事業なども手掛けています。
単体従業員数は1,942名、連結従業員数は2,068名です。報告セグメントはスーパーマーケット事業の1つです。
主な国内グループ会社は、(連結子会社)(スーパーマーケット事業)、オークフーズ(その他・(外食事業))、リテールバックオフィスサポート(その他・(施設管理業務の受託))などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
オークワは、地域社会への貢献を経営信条とする小売業を展開しており、従業員の働き方やキャリア形成にも力を入れています。給与水準や人材の定着傾向、そして多様な人材が活躍できる職場環境の整備に積極的に取り組んでいることがうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均年齢が比較的高く、平均勤続年数も長めであることから、長期的なキャリア形成が可能な環境であり、人材が定着しやすい傾向にあることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,154,000円 |
| 平均勤続年数 | 18.4年 |
| 平均年齢 | 47.6歳 |
| 単体従業員数 | 1,942人 |
| 連結従業員数 | 2,068人 |
| 単体のグループ内比率 | 93.9% |
同社は、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の退職給付制度を設けています。これらの制度は、同社を対象としています。退職一時金制度も存在しますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。確定給付型の退職給付債務は90.4億円、年金資産は149.3億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、「商業を通じて地域社会に貢献する」という経営信条のもと、「多様な人材が挑戦する魅力ある職場の実現」を重要課題と位置付け、人的資本価値の最大化を目指しています。小売業界の厳しい環境において、従業員一人ひとりの成長が持続的な成長を支えるとの考えから、人材戦略を経営上の重要テーマとして捉えています。
新たに「人材ビジョン」を定め、従業員が自ら考え行動できる自律的なキャリア形成と、失敗を恐れず挑戦する組織風土改革を人事戦略の二本柱としています。2023年4月には人事戦略部を設置し、経営戦略と連動した人事戦略の立案・遂行に取り組んでいます。また、2025年2月には人事制度改革プロジェクトを継続設置し、従業員の勤務地や定年延長をテーマに議論を進めています。賃金制度・体系において性別による差異はなく、女性の勤続年数改善と役職・管理職への登用を推進しています。
人材ビジョンは「仕事を通じて自己実現し、個人の能力を十分に発揮できる人材」であり、従業員のキャリア自律実現、能力伸長・スキル開発、組織風土改革、働き方の多様性を取り組みテーマとしています。1990年に設立された「オークワ教育研修センター」を中心に、OJT、Off-JT、自己啓発を組み合わせた戦略的かつ継続的な研修体系を構築しています。入社時研修から経営幹部育成研修まで、多様な階層別・部門別研修を実施し、特に店長の育成を最優先課題としています。
2020年には「教育推進室」を設置し、従業員のスキルに合わせた教育プログラムを開発。また、「自己申告制度」を導入し、従業員のキャリアプラン設計支援とタレントマネジメントを強化しています。ダイバーシティ推進では、女性活躍推進として店舗サポート部の設置や女性バイヤーの配置、2018年度からの外国人技能実習生受け入れ、シニア社員の活躍機会拡大に向けた再雇用制度の見直しを進めています。働きやすい職場環境の整備として、「オークワ倫理ホットライン」の設置、オンライン商談ブースの導入やDX推進による業務効率化、通年ノーネクタイの実施などの働き方改革に取り組んでいます。健康経営も推進しており、時間外労働の短縮、勤務間インターバル制度の運用強化、有給休暇取得促進、管理職への第2種衛生管理者資格取得義務付け、会社敷地内の全面禁煙に向けた取り組みなどを実施しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 3.9% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 75.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 54.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 70.6% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 94.2% |
多様性・登用
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 店長に占める女性労働者の割合 | 2.6% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
オークワは、スーパーマーケット事業を主軸に、地域社会の生活文化向上に貢献する小売事業を展開しています。同社グループは、食の安全・安心と豊かな生活を提供することを目指し、多様なサービスを提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
オークワグループは、小売事業としてスーパーマーケットをチェーン展開しており、これが事業の中核を担っています。お客様の多様なニーズに応える商品力と販売力の強化、サービスの創造を通じて、地域社会に貢献するビジネスモデルを推進しています。
同社グループは、スーパーマーケット事業の他に、施設管理業務の受託や外食事業なども展開しています。具体的には、外食事業を営むオークフーズや、農産物等の加工・配送業務を担うサンライズといった連結子会社が、それぞれの事業を通じてグループ全体の収益に貢献しています。
収益は主に商品の販売から得ており、その他には物流センター等利用手数料収入などの営業収入、不動産賃貸収入といった収益源があります。同社グループは、本邦以外の国や地域に連結子会社がなく、海外売上高もありません。また、外部顧客への売上高において、特定の顧客への集中は見られない状況です。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの業績は、直近5年間で売上高は概ね横ばいから微増傾向にあり、経常利益は変動が見られます。親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に損失を計上しましたが、当期は黒字に転換しました。
前期の当期純損失は、特別損益における減損損失の計上が影響したと説明されています。当期は減損損失が減少したこともあり、利益が改善しています。営業活動によるキャッシュ・フローは、この数年間安定してプラスを維持しており、本業による資金創出力は継続している状況です。
| 項目 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,560億円 | 2,347億円 | 2,350億円 | 2,375億円 | 2,395億円 |
| 経常利益 | 54.6億円 | 31.5億円 | 31.0億円 | 14.4億円 | 19.7億円 |
| 経常利益率 | 2.1% | 1.3% | 1.3% | 0.6% | 0.8% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 15.2億円 | 9.3億円 | 10.0億円 | △23.8億円 | 2.6億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 34.74 | 21.18 | 22.79 | △55.89 | 6.44 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの稼ぐ力を見ると、当期は前期に比べて改善が見られます。従業員1人あたり売上高は前期から増加しており、従業員1人あたり営業利益も前期から増加しています。
これらの指標の改善は、同社グループが推進する商品力・販売力の強化や業務効率化の取り組みが、従業員一人ひとりの生産性向上に寄与していることを示しています。
| 指標 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 112.9百万円 | 115.8百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 0.6百万円 | 0.9百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務基盤は、事業活動による資金創出と投資活動のバランスから、安定した状態にあることが示されています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率がプライム市場の非製造業平均と比較して高い水準にあり、安定した状態を示しています。
ROE(自己資本利益率)はプライム市場平均を下回っていますが、前期からは改善傾向にあります。
手元資金として十分な現金及び預金を確保しており、事業運営における不測の事態への耐性があることがうかがえます。
これらの財務状況は、入社後の雇用や給与の安定性にも影響を与える要素となります。
| 指標 | 2025年2月期(前期) | 2026年2月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 745億円 | 746億円 |
| 自己資本比率 | 57.7% | 57.5% |
| ROE(自己資本利益率) | -3.1% | 0.4% |
| 現金及び預金 | 115億円 | 114億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの当連結会計年度におけるキャッシュフローは、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローがプラスとなっています。
これは主に税金等調整前当期純利益の増加や減価償却費、減損損失の計上によるものです。
投資活動によるキャッシュフローは、固定資産の取得による支出が主な要因となり、マイナスで推移しています。
その結果、事業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュフローはプラスとなっており、本業で得た資金で投資を賄い、なお余剰資金を生み出している状況です。
財務活動によるキャッシュフローは、長期借入金の返済や自己株式の取得、配当金の支払いがあった一方で、長期借入れによる収入もあり、マイナスとなっています。
これらの資金の流れは、同社グループが安定した事業運営を継続しつつ、将来に向けた投資も行っていることを示しており、雇用や給与の安定性にも寄与する要素と考えられます。
| 項目 | 2025年2月期(前期) | 2026年2月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 66.0億円 | 76.2億円 |
| 投資CF | △87.4億円 | △57.5億円 |
| 財務CF | △28.9億円 | △20.2億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △21.5億円 | 18.7億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、商圏人口の減少や同業種・異業種を含めた競合の激化が、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があると認識しています。
また、景気動向や金融情勢の変動による消費者の購買意欲の低下、原油・原材料等の高騰もリスクとして挙げられています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、お客様に満足いただけるサービス提供のため、人材の確保と育成を重要な課題と認識しています。
最低賃金の上昇や社会保障費の増大により、中長期的に従業員に関する費用が増加していくことが見込まれており、これが業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
オークワは、スーパーマーケットを中心とした小売事業と外食事業を展開する企業です。お客様の生活文化向上と社会貢献を目指し、地域に根差した経営を重視しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「わが社の成長発展こそがお客様の生活文化の向上を促し、社会への大きな貢献となることを念願し、チェーンストア業界の名門としての地位を永遠に確立する」という経営理念を掲げています。お客様のニーズに合った商品・サービスの提供を通じて、豊かなライフスタイルの実現に貢献することを目指しています。中長期戦略として、資本政策、店舗戦略、商品戦略、販売促進施策等に引き続き注力し、持続的成長と企業価値向上を実現させることを目標としています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは「商業を通じて地域社会に貢献する」という経営信条のもと、サステナビリティ基本方針と6つの重要課題を定めています。行動規範として「店舗の向上発展を図り、お客様に愛される店舗を作る」ことを重視しています。従業員一人ひとりが仕事を通じて自己実現し、個人の能力を十分に発揮できる人材となることを「人材ビジョン」としています。自律的なキャリア形成と挑戦を促す組織風土改革を人事戦略の二本柱とし、多様な人材が挑戦し、お客様に支持される店舗運営を可能にするカルチャーです。倫理ホットラインの合言葉は「黙認は愛社精神ではありません」であり、コンプライアンス遵守を徹底しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、サステナビリティを経営上の重点課題と位置付け、環境保全、多様な人材の活躍、サステナビリティに配慮した商品提供などを重要課題としています。気候変動対策として、GHG排出量削減目標を設定し、Scope3の算出・精緻化やCDPへの回答の精緻化に取り組む方針です。人的資本の価値最大化を目指し、人材の獲得、研修体系の充実、教育環境の整備、ダイバーシティの推進、働きやすい職場環境の整備を重点テーマとしています。IR活動の充実にも努め、投資家との対話を深め、企業価値向上を目指しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
オークワは監査等委員会設置会社であり、経営の健全性、透明性、効率性、迅速性を重視したガバナンス体制を構築しています。取締役と監査等委員が連携し、経営チェック機能の充実を図ることで、持続的な成長と企業価値向上を目指しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
オークワの株主構成を見ると、筆頭株主は同社の取引先を会員とするオークワ共栄会です。また、取締役である大桑堉嗣氏をはじめ、複数の大桑姓の個人株主が上位に名を連ねています。これらの状況から、創業家および関連団体が同社の経営に一定の影響力を持っていることがうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| オークワ共栄会 | 8.78% |
| 大桑堉嗣 | 7.25% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 5.82% |
オークワ共栄会は、同社の取引先を会員とする持株会です。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は11名(男性9名・女性2名)で構成され、女性役員比率は18.2%です。代表取締役社長は大桑弘嗣氏が務めています。社外取締役比率は36.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 大桑 弘嗣 | 代表取締役社長 | 1996年同社入社。食品事業部長、人事総務本部長、営業本部長などを経て、2022年より同社代表取締役社長、日本流通産業代表取締役社長、サンライズ代表取締役会長より現職。 |
| 武田 庸司 | 取締役専務執行役員営業本部長 | 1987年同社入社。販売部長、販売本部長兼業務改革室長、食品事業部長などを経て、2026年より同社取締役専務執行役員営業本部長より現職。 |
| 大桑 堉嗣 | 取締役 | 1964年有限会社主婦の店新宮店入社。同社常務取締役、代表取締役社長、代表取締役会長などを経て、2022年より同社取締役より現職。 |
| 大桑 祥嗣 | 取締役 | 1969年同社監査役。同社取締役、専務取締役南紀販売事業部長、取締役副会長などを経て、2003年より同社取締役より現職。 |
| 大桑 啓嗣 | 取締役 | 1971年同社入社。同社取締役、専務取締役、取締役副社長、代表取締役社長などを経て、2011年より同社取締役、オー・エンターテイメント代表取締役会長より現職。 |
| 大桑 俊男 | 取締役 | 1976年同社入社。同社取締役サンレディ事業部長、パーティハウス代表取締役などを経て、2019年より同社取締役、2026年よりパーティハウス代表取締役会長兼社長より現職。 |
社外取締役は、木田理恵氏(女ゴコロマーケティング研究所代表取締役)、岡本一郎氏(税理士・監査等委員)、栗生建次氏(元紀陽銀行支店長・監査等委員)、八島妙子氏(東京医療保健大学名誉教授・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、取締役会に議決権を有する監査等委員である取締役を置いています。独立社外取締役の割合を高め、指名報酬委員会を新設することで、経営の透明性・公平性の強化と中長期的な企業価値向上を図っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
オークワの役員報酬は、企業価値の持続的な向上を促すインセンティブとして設計されています。業務執行取締役には月額固定報酬、業績連動報酬、譲渡制限付株式報酬が支給され、非常勤取締役および監査等委員である取締役には月額固定報酬のみが支払われます。業績連動報酬は事業年度ごとの業績向上を反映し、譲渡制限付株式報酬は中長期的な企業価値向上への貢献を目的としています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 7名 | 62百万円 | 8.9百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 8百万円 | 8.0百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 16百万円 | 4.0百万円 |
非金銭報酬等として取締役(監査等委員である取締役、社外取締役等の非業務執行取締役を除く。)に対して譲渡制限付株式を付与しています。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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