ジュンテンドー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ジュンテンドー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ジュンテンドーは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、中国・近畿地方を中心に農業・園芸・資材等を主力とするホームセンター事業を展開する企業です。直近の業績は物価高による消費者の買い控え等の影響で減収となり、人件費増加や店舗減損損失の計上等により最終赤字に転落しました。地域インフラとしての成長を目指しています。


※本記事は、株式会社ジュンテンドーの有価証券報告書(第65期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ジュンテンドーってどんな会社?


ジュンテンドーは地方都市や中山間地で農業・園芸用品などを提供し、地域インフラを支えるホームセンターです。

(1) 会社概要


1894年に順天堂薬局として創立され、1969年に第1号店を開店してホームセンター事業を開始しました。1989年に広島証券取引所に上場し、2000年に東京証券取引所市場第二部に上場後、2022年にスタンダード市場へ移行しています。2024年に島根県農業協同組合等と包括連携協定を締結し、農業分野を強化しています。

現在の従業員数は単体で555名です。筆頭株主は創業者一族で代表取締役社長の飯塚正氏で、第2位は有限会社サンデーズ、第3位は安定的な金融取引等の関係維持を目的として株式を保有する山陰合同銀行となっています。

氏名 持株比率
飯塚 正 27.76%
有限会社サンデーズ 13.21%
山陰合同銀行 4.50%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性1名の計12名で構成され、女性役員比率は8.0%です。代表取締役社長は飯塚正氏が務めています。社外取締役比率は22.2%です。

氏名 役職 主な経歴
飯塚 正 代表取締役社長 1987年野村證券退社、同年ジュンテンドー入社。1994年取締役、1997年常務取締役を経て、2005年より現職。
重白 定之 常務取締役営業本部長 1984年ジュンテンドー入社。商品事業部長を経て2020年取締役。2023年営業本部長となり、2024年より現職。
尾原 司 常務取締役管理本部長 2019年山陰合同銀行退社、山陰債権回収代表取締役専務。2021年ジュンテンドー入社、同年取締役。2024年より現職。
松浦 誠 取締役開発本部長 2015年山陰合同銀行から出向。2017年同行退社、ジュンテンドー理事経理部長。2018年取締役、2025年より現職。
藤井 恭司 取締役販売事業部長 1982年ジュンテンドー入社。2020年販売事業部長兼店舗統括部長を経て2021年取締役。2024年より現職。
福富 達朗 取締役人事部長 1986年ジュンテンドー入社。2014年第2店舗指導部長を経て、2023年人事部長となり、同年より現職。
大石 英樹 取締役管理本部副本部長兼総務部長 2019年山陰合同銀行退社。松栄入社後、2020年ジュンテンドー入社。2022年経理部長、2024年取締役となり、2025年より現職。


社外取締役は、村上正行(元島根県警察本部警備部長)、藤山浩(持続可能な地域社会総合研究所代表理事・所長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ホームセンター事業」および「関連事業」を展開しています。

(1) ホームセンター事業


農業・園芸用品、建築・DIY関連、家庭雑貨、趣味・嗜好品などを幅広く取り揃え、地方都市や中山間地の一般顧客向けに販売しています。専門性の高い商品ラインナップや修理・配達サービスなどを充実させることで、地域生活になくてはならないインフラとしての役割を担っています。

収益は、店舗における不特定多数の一般顧客に対する商品の販売代金から得ています。また、自社ポイント制度を通じてポイントカード会員に付与したポイントの利用に伴う収益も含まれます。事業の運営は主にジュンテンドーが担っています。

(2) 関連事業・その他事業


ジュンテンドーが運営する書籍・CD・DVDなどの販売を行うブックセンター事業のほか、非連結子会社を通じた保険代理業などを展開しています。なお、ブックセンター事業については経営資源の集中のため順次閉店を進め、2025年4月をもって事業を終了しています。

収益は、書籍等の販売代金や保険代理業務に伴う手数料収入から得ています。事業の運営はジュンテンドーおよび非連結子会社のジャストサービスがそれぞれ行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は消費者の節約志向や他業態との競争激化を背景に減少傾向が続いています。利益面でも、エネルギー価格の高騰や円安による仕入コストの上昇、人件費等の増加が利益を圧迫しており、経常利益は減少傾向にあります。当期は店舗の固定資産減損損失や店舗閉鎖に伴う損失を特別損失として計上した結果、最終赤字に転落するなど、収益構造の改革が急務となっています。

項目 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期 2026年2月期
売上高 461億円 450億円 447億円 444億円 430億円
経常利益 13億円 9億円 3億円 5億円 2億円
利益率(%) 2.7% 2.1% 0.7% 1.0% 0.5%
当期利益 6億円 4億円 2億円 2億円 -4億円

(2) 損益計算書


売上高は物価上昇に伴う買い控えや客数の減少により減収となりました。一方、値入の改善などに努めたことで売上総利益率は上昇しています。しかし、賃上げによる人件費の増加や設備投資に伴う減価償却費の増加などが販売費及び一般管理費を押し上げた結果、営業利益は減少しました。

項目 2025年2月期 2026年2月期
売上高 435億円 421億円
売上総利益 129億円 127億円
売上総利益率(%) 29.7% 30.1%
営業利益 5億円 2億円
営業利益率(%) 1.1% 0.6%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給料手当が46億円(構成比34%)、賃借料が26億円(同19%)、減価償却費が12億円(同9%)を占めています。

(3) セグメント収益


商品部門別の売上動向を見ると、強化している農業・園芸部門が猛暑の影響で農業関連用品が伸長し、前年を上回って堅調に推移しました。しかし、食料品を中心とした値上げによる消費者の買い控えが影響し、家庭雑貨・家庭電器や趣味・嗜好、建築・DIY部門などは前年を下回りました。

区分 売上(2025年2月期) 売上(2026年2月期)
家庭雑貨・家庭電器 120億円 114億円
趣味・嗜好 64億円 60億円
農業・園芸 117億円 119億円
建築・DIY 117億円 115億円
その他 17億円 13億円
関連事業 2.9億円 0.3億円
合計 444億円 430億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業キャッシュ・フローはプラス、投資キャッシュ・フローはマイナス、財務キャッシュ・フローはプラスとなっており、営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う「積極型」の状況にあります。企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は当期が最終赤字となったため市場平均を下回る水準にとどまり、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も30.5%で市場平均を下回っています。

項目 2025年2月期 2026年2月期
営業CF 20億円 17億円
投資CF -19億円 -30億円
財務CF -0.5億円 19億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「関わる人々の幸せに貢献できる会社を創造しよう」を社是とし、「地方都市、中山間地、離島のなくてはならないインフラになろう」という経営理念を掲げています。地域社会への貢献と持続的な成長を目指し、生活基盤を支える役割を担うことで、関わるすべての人々の幸せを追求する姿勢を明確にしています。

(2) 企業文化


「私たちの誓い」を行動規範として社内に徹底し、コンプライアンス経営を推進しています。また、人事制度の刷新を通じて、「みんないきいき、ジュンテンドー」をスローガンに掲げています。社員の多様性を尊重し、主体的な挑戦を促すことで現場力を強化する組織風土の構築を目指しています。

(3) 経営計画・目標


同社は、早期の売上回復と収益性の向上を目指し、以下の目標を掲げて経営を行っています。

* 営業収益:早期に500億円の復活
* 経常利益率:3%以上

(4) 成長戦略と重点施策


厳しい外部環境を組織風土の刷新と生産性向上の好機と捉え、農業・園芸部門を起点とした営業力の強化や、農業協同組合との連携推進による差別化を図ります。「DIYアドバイザー」などの専門人材を育成し、修理や配達・取付サービス等の高付加価値分野へ経営資源を再配置します。また、新物流センター稼働によるコスト削減やプライベートブランド商品の拡充、AI活用による業務改革を推進し、さらなる収益基盤の強化に努めます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、持続的な企業価値向上の源泉を「人財」と捉え、人的資本経営を推進しています。従来の年功序列型から職務の役割に応じた「ジョブ型等級制度」へと人事制度を刷新し、若手層の早期登用や多様な働き方を支援しています。人材育成においては、各種アドバイザー資格の取得支援や階層別の研修を強化し、社員の成長意欲を引き出すことで、専門性の向上と組織パフォーマンスの底上げを図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年2月期 43.1歳 19.5年 4,916,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 5.1%
男性育児休業取得率 80.0%
男女賃金差異(全労働者) 92.0%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 74.7%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 99.2%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性正社員の採用割合(21%)、DIYアドバイザーの総取得者数(240人)、グリーンアドバイザーの総取得者数(108人)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 出店と法的規制への対応


同社は中国・近畿地方を中心にホームセンターを出店し、商圏のドミナント化を進めていますが、経済環境や競合他社の動向により出店計画に影響が生じる可能性があります。また、売場面積が一定規模を超える店舗の出店には「大規模小売店舗立地法」の規制が適用され、環境対策等の基準を満たすためのスケジュール遅延やコスト増加が生じるリスクがあります。さらに、医療機器や農薬など法的規制を受ける商品の販売にあたっては、有資格者の確保が課題となります。

(2) 天候要因による季節商品の販売変動


同社のホームセンターでは、農業・園芸用品、季節家電、レジャー用品といった天候や季節に大きく影響される商品を多数取り扱っています。そのため、冷夏や暖冬、予期せぬ天候不順などが発生した場合、想定していた販売高を達成できず、売上の減少や過剰在庫を抱える事態が生じる可能性があります。これらは同社の業績や財政状態に直接的な悪影響を及ぼすリスクとなります。

(3) 多様な他業態との競争激化


ホームセンター業界では、同業他社だけでなくドラッグストアや大規模商業施設など他業態との垣根を越えた競争が激化しています。同社の主力エリアにおいても大型店舗の進出によりオーバーストア状態となっている地域があり、ドミナントエリアでの競争環境は厳しさを増しています。これに対し、同社は店頭修理や配達・取付サービス等の付加価値提供や専門人材による提案型営業を通じて、顧客ロイヤリティの向上と差別化を図っています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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