カンセキ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

カンセキ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所スタンダード市場に上場するカンセキは、ホームセンター事業を核に、アウトドア専門店「WILD-1」や業務スーパー、リユース店舗など複数の事業を展開しています。第52期の業績は、物価高による買い控えや記録的猛暑などの天候不順の影響を受け、売上高、営業利益ともに減少する減収減益となりました。


※本記事は、カンセキの有価証券報告書(第52期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. カンセキってどんな会社?


同社は、地域密着型のホームセンターと全国展開のアウトドア専門店などを運営する小売企業です。

(1) 会社概要


1969年に石油販売店として創業し、1975年にホームセンター事業へ進出したのが同社の始まりです。1976年に現在のカンセキに商号変更しました。1989年にアウトドア専門店「WILD-1」の1号店を開店したほか、1999年に「オフハウス」、2003年に「業務スーパー」のフランチャイズ運営を開始し事業を拡大しています。

現在の従業員数は単体で280名です。大株主の状況を見ると、筆頭株主は資産管理を主な事業内容とする服部商会で、第2位は創業家とみられる服部京子氏、第3位は資本業務提携を締結している事業会社のDCMとなっています。

氏名 持株比率
服部商会 29.23%
服部京子 19.55%
DCM 9.79%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性2名の計8名で構成され、女性役員比率は25.0%です。代表取締役社長は大田垣一郎氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。

氏名 役職 主な経歴
大田垣一郎 代表取締役社長兼営業本部長 1986年同社入社。ホームセンター事業部長兼商品部長、営業本部長などを歴任。2018年代表取締役社長に就任。2025年より現職。
大野昌利 常務取締役管理本部長兼総務人事部長兼コンプライアンス担当 1987年足利銀行入行。同行監査部長などを経て2022年同社入社、取締役経営企画部長に就任。2023年常務取締役就任。2025年より現職。
星一成 取締役WILD-1事業部長兼商品部長 1989年同社入社。WILD-1事業部長、営業本部長、経営企画部長、事業開発室長、専門店事業部長などを歴任。2025年より現職。
野尻昌彦 取締役専門店事業部長 1987年同社入社。ホームセンター店長、総務人事部長などを歴任。2022年取締役に就任し、2025年より現職。
福田誠 取締役店舗開発部長 1987年同社入社。総務部人事教育課長、ホームセンター店長、人事部長などを経て、2022年取締役に就任。現在に至る。
益子和也 取締役(常勤監査等委員) 1986年同社入社。ホームセンター店舗運営部長、営業本部専門店事業部長、内部統制監査室長などを歴任。2024年より現職。


社外取締役は、横山幸子(横山法律事務所所長)、藤沼千春(元東武宇都宮百貨店取締役総務部長兼人事部長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ホームセンター事業」「WILD-1事業」「専門店事業」「店舗開発事業」および「その他」事業を展開しています。

ホームセンター事業


同社は、地域密着型のホームセンターを展開しています。DIY用品、家庭用品、カー・レジャー用品、文具、食品などを取り扱い、一般消費者からプロの職人まで幅広い顧客の住まいと暮らしを豊かにする商品やサービスを提供しています。

店舗での商品販売による売上を主な収益源としています。プライベートブランド商品の販売拡充や各種サービスの提供を通じて収益を確保しており、運営は同社が行っています。

WILD-1事業


同社は、アウトドアライフ用品の専門店である「WILD-1」を全国展開しています。キャンプ用品や釣り具、アパレルなどを取り扱い、アウトドアレジャーを楽しむ顧客に対して専門性の高い商品や体験型イベントを提供しています。

店舗およびオンラインストアでの商品販売による売上を主な収益源としています。自社開発のプライベートブランド商品の展開による収益性向上やフランチャイズ事業からの収益も得ており、運営は同社が行っています。

専門店事業


同社は、リユース商品の販売や業務用食品の販売、飲食店の経営を行っています。具体的には、リユース店舗「オフハウス」「ハードオフ」、食品販売の「業務スーパー」、および飲食店を展開し、幅広い顧客層のニーズに対応しています。

フランチャイズ加盟店として商品を販売することによる売上を主な収益源としています。店舗での一般消費者や事業者向けの商品販売のほか、飲食店舗でのサービス提供による収益も得ており、運営は同社が行っています。

店舗開発事業


同社は、不動産賃貸管理およびアミューズメント施設の経営を行っています。自社保有の建物や土地などの不動産を活用し、テナント企業に対して賃貸スペースを提供しているほか、アミューズメント施設の利用者に対してサービスを提供しています。

テナント企業から受け取る不動産賃貸収入や、アミューズメント施設における利用者からのプレイ料金を主な収益源としています。これらの事業運営および施設管理は同社が行っています。

その他


上記の報告セグメントに含まれない不動産事業などのその他の事業活動を展開しています。これらの事業からの収益を得ており、運営は同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


同社の業績推移を見ると、当期利益は変動を伴いながら推移しています。2024年2月期には減損損失などの影響から大幅な赤字を計上しましたが、その後のコスト削減やプライベートブランド商品の拡充などの取り組みにより、直近2期間は黒字を確保しています。

項目 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期 2026年2月期
売上高 409億円 - - - -
経常利益 24億円 - - - -
利益率(%) 5.8% - - - -
当期利益 -0.2億円 7億円 -52億円 5億円 3億円

(2) 損益計算書


売上総利益および営業利益は前事業年度と比較して減少傾向にあります。天候不順による季節商品の販売不振などが影響した一方、プライベートブランドの拡充による利益率の改善や継続的なコスト削減策の実施により、営業利益の減少幅は小幅にとどまっています。

項目 2025年2月期 2026年2月期
売上高 - -
売上総利益 98億円 95億円
売上総利益率(%) - -
営業利益 5億円 5億円
営業利益率(%) - -


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が33億円、地代家賃が18億円、水道光熱費が6億円を占めています。

(3) セグメント収益


各セグメントの売上動向を見ると、生活防衛意識の高まりを背景に業務スーパーなどが好調だった専門店事業が増収となりました。一方で、ホームセンター事業およびWILD-1事業は、記録的猛暑や長引く残暑などの天候不順が影響し、アウトドアレジャー関連商品や季節商品の売上が伸び悩み、減収となっています。

区分 売上(2025年2月期) 売上(2026年2月期)
ホームセンター事業 160億円 149億円
WILD-1事業 93億円 85億円
専門店事業 115億円 122億円
店舗開発事業 4億円 3億円
その他 0.1億円 0.1億円
連結(合計) 371億円 360億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、「住まいと暮らしを豊かに快適にするための商品とサービスを提供し、地域の皆様の生活文化の向上に貢献する」を経営理念として掲げています。主力であるホームセンター事業を核に複数の事業を展開し、「快適な暮らしの創造」から「人生を豊かにするライフスタイルの提案」までのニーズを満たすことを目指しています。

(2) 企業文化


同社は、「お客様にとって、安心・親切・便利な店」をスローガンとして掲げ、地域の顧客に愛される「地域一番店」であり続けることを基本方針としています。地域社会への理解と貢献を通じて、持続可能な地域社会の実現と企業価値の向上を目指し、特定の枠組みにとらわれない柔軟かつ機動的な経営判断を重視する文化を持っています。

(3) 経営計画・目標


同社は、資本効率の向上と持続的な成長による企業価値の向上を図るため、自己資本利益率(ROE)の改善を経営の最重要課題と認識しています。これを達成するため、以下の目標に向けた取り組みを推進しています。

* 売上高営業利益率の向上
* 商品在庫の適正化や店舗資産の効率的運用による資産回転率の改善

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、特定の枠組みにとらわれない柔軟な経営判断を基本とし、ホームセンター事業における地域ドミナントの深耕と、全国展開を行うアウトドア事業(WILD-1)における専門性の追求を進めます。さらに、専門店事業を組み合わせた「独自の事業ポートフォリオ」を最大限に活かし、環境変化に対する耐性の高い収益基盤を中長期的に構築していくことを成長戦略として掲げています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、人材育成・活用の基盤となる人事制度を刷新し、組織パフォーマンスを向上させることを目指しています。また、即戦力や専門スキル人材として期待できる中途採用を強化するとともに、多様な部署やポジションで女性の活躍を推進するため、女性社員比率(正社員)を向上させる社内環境整備に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年2月期 45.5歳 20.2年 5,313,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 6.3%
男性育児休業取得率 85.7%
男女賃金差異(全労働者) 41.8%
男女賃金差異(正規労働者) 80.7%
男女賃金差異(非正規労働者) 73.8%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 他社との競合によるリスク


同社が取り扱う商品は競合他社との差別化が困難であり、地域市場における競争激化が予想されます。独自のサービスによる差別化を図っていますが、競合他社の動向や新規参入業者の状況によっては、販売価格の下落を招き、売上高の減少や利益率の低下など業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 個人情報等の漏洩に関するリスク


同社は各種会員サービスやイベントの申込などにより、多数の顧客の個人情報を保有しています。「個人情報取扱規程」を設けて十分な管理体制で臨んでいますが、予測を超えた原因で情報流出が発生した場合、同社の経営成績や今後の事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) 法的規制に関するリスク


同社はホームセンターをはじめ多様な店舗展開を行っており、特に1,000㎡を超える出店や増床の際には「大規模小売店舗立地法」の規制を受けます。環境対策を考慮した計画を立案していますが、同法の規制により計画通りの出店ができない場合、今後の業績に影響を与える可能性があります。

(4) 金利変動による業績に関するリスク


同社は店舗の出店や改装に伴う資金の多くを借入金により調達しており、総資産に占める借入金の割合が高くなっています。金利動向によって金利が予想以上に上昇した場合、金利負担の増加や将来の資金調達コストの増加が発生し、同社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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