ピエトロ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ピエトロ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場の食品メーカー兼レストラン運営企業。主力製品「ピエトロドレッシング」の製造販売とパスタ専門店等の経営を展開しています。2025年3月期の連結業績は、売上高が前期比10.3%増と伸長した一方、原材料価格高騰や販促費用増加等の影響で経常利益は20.5%減の減益となりました。


※本記事は、株式会社ピエトロ の有価証券報告書(第40期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ピエトロってどんな会社?


ドレッシング等の食品製造販売と、パスタ料理をメインとしたレストラン経営を両輪とする企業です。

(1) 会社概要


1980年に福岡・天神でパスタ専門店「洋麺屋ピエトロ」を創業し、1985年にドレッシング販売のためピエトロを設立しました。2002年に東証二部へ上場し、2015年に東証一部銘柄となりました。2021年には米国フロリダ州に連結子会社を設立し、北米でのドレッシング事業を強化しています。

連結従業員数は308名、単体では305名です。筆頭株主は創業者の資産管理会社であるM・LYNX、第2位は資本業務提携先の日清オイリオグループ、第3位は創業メンバーで会長の西川啓子氏です。

氏名 持株比率
株式会社M・LYNX 21.33%
日清オイリオグループ株式会社 15.34%
西川  啓子 3.62%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性3名の計11名で構成され、女性役員比率は27.3%です。代表取締役社長は高橋 泰行氏、社外取締役比率は37.5%です。

氏名 役職 主な経歴
高橋  泰行 代表取締役社長 元全日本空輸。1999年に入社し、社長室長、営業企画部長などを経て2017年より現職。
西川  啓子 代表取締役会長 「洋麺屋ピエトロ」創業メンバー。専務取締役、副社長を経て2017年より現職。
宮川  慎一 代表取締役専務取締役商品事業本部管掌 元日清製油(現・日清オイリオグループ)。日清物流社長を経て2015年に入社し、2025年より現職。
相薗  好伸 取締役新工場担当兼 製造本部管掌 1994年入社。レストラン事業部長などを経て2025年より現職。
田島   潤 取締役サポート本部長兼 店舗事業本部管掌 1996年入社。人事・総務部長などを経て2025年より現職。


社外取締役は、髙田 聖大(九州総合信用社長)、シュードル 祐子(AES JAPON取締役副社長)、髙橋 康徳(カウテレビジョン社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「商品事業」「店舗事業」および「その他(本社ビルの賃貸等)」事業を展開しています。

(1) 商品事業


ドレッシング、パスタソース、スープ、冷凍食品等の製造販売を行っています。主力製品「ピエトロドレッシング和風しょうゆ」をはじめとする各種商品は、問屋を経由して全国の量販店やスーパーマーケット等に供給されています。

収益は、製品の販売に伴う対価として受領します。運営は主にピエトロおよび米国の連結子会社PIETRO NORTH AMERICA, INC.が行っています。

(2) 店舗事業


パスタ専門店「洋麺屋ピエトロ」等のレストランや、ファストフード業態「MIOMIO」、直販店「PIETRO A DAY」を国内で展開しています。

収益は、店舗における飲食提供や商品販売の対価として一般顧客から受領するほか、フランチャイズ加盟店からのロイヤリティ等も含まれます。運営は主にピエトロが行っています。

(3) その他(本社ビルの賃貸等)事業


福岡市中央区にある本社ビルの賃貸事業を行っています。

収益は、テナントからの賃貸料収入です。運営はピエトロが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績推移です。売上高は着実な増加傾向にあり、直近では111億円を超えています。利益面では、2023年3月期に赤字を計上しましたが、その後は黒字を維持しています。ただし経常利益率は1〜2%台で推移しており、収益性の向上が課題となっています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 86億円 85億円 91億円 101億円 111億円
経常利益 6億円 4億円 -0.8億円 2億円 2億円
利益率(%) 6.7% 4.3% -0.9% 2.0% 1.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 4億円 2億円 -3億円 2億円 0.6億円

(2) 損益計算書


売上高は増加しましたが、売上原価の増加により売上総利益率は若干低下しています。販売費及び一般管理費も増加しており、結果として営業利益率は低下しました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 101億円 111億円
売上総利益 53億円 57億円
売上総利益率(%) 52.7% 51.2%
営業利益 2億円 2億円
営業利益率(%) 2.2% 1.6%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が20億円(構成比37%)、地代家賃が5億円(同10%)を占めています。積極的な人財投資やマーケティング強化に伴い、販管費全体が増加傾向にあります。

(3) セグメント収益


商品事業は増収となったものの、主力ドレッシングの販売伸び悩みやコスト増により減益となりました。店舗事業は既存店・新店ともに好調で増収となり、利益も大幅に改善しました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
商品事業 61億円 67億円 17億円 16億円 23.4%
店舗事業 39億円 43億円 0.2億円 1.0億円 2.3%
その他(本社ビルの賃貸等)事業 1.7億円 1.7億円 0.8億円 0.7億円 42.4%
調整額 - - -15億円 -16億円 -
連結(合計) 101億円 111億円 2億円 2億円 1.6%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFはプラスを維持していますが、新工場建設や店舗出店などの積極的な設備投資により投資CFのマイナス幅が大きく拡大しました。手元資金を活用して投資を行っている健全型のキャッシュ・フローと言えますが、投資規模が大きくなっています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 7億円 5億円
投資CF -6億円 -15億円
財務CF 10億円 -4億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は0.9%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は61.9%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「『おいしさ』と『健康』を追い続けます」「感謝してお客様を大切にします」「新しい食文化を提案します」「会社の発展と社員の豊かな暮らしを実現します」という経営基本方針を掲げています。商品事業と店舗事業を併せ持つ強みを活かし、日本のみならず海外でも愛される味を追求して豊かな食文化創りに貢献することを目指しています。

(2) 企業文化


「しあわせ、つながる」というビジョンのもと、小さくても歩みを止めない「年輪経営」を掲げています。創業当初より大切にしてきた「ファンを大切にする」という理念に基づき、お客様、取引先、社員、社会とのつながりを重視し、着実で緩やかな成長を図る姿勢を大切にしています。

(3) 経営計画・目標


中長期的な企業価値向上と持続的な成長に向け、営業利益と当期利益を重視した経営を行っています。継続的な増益を目標とし、ファンベース経営の強化や魅力ある商品開発、価値訴求に重点を置いた販売体制の構築に取り組んでいます。

(4) 成長戦略と重点施策


新工場建設による生産体制の合理化と業容拡大を重要課題としています。商品事業ではドレッシングを収益基盤としつつ、パスタ、冷凍食品、スープ等の成長カテゴリーを強化します。店舗事業では収益構造改革を継続しつつ、年2~3店舗のペースで新規出店を行い、エリアマーケティングを強化する方針です。

* 2026年春竣工予定の新工場「PIETRO FACTORY PARK」への移転・集約
* 環境配慮型容器への切り替え(2025年までに100%)
* 自社施設使用電力の100%再生可能エネルギー化(2026年度目標)

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「会社の総合力は社員の力の総和」「会社の成長は社員の成長の総和」と考え、社員一人ひとりの成長と働きがいを重視しています。多様な研修や人事制度を通じて成長機会を提供し、性別や採用態様にとらわれない人材育成や登用を推進しています。また、社員が活き活きと働ける風土と一体感の醸成を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 36.8歳 9.3年 530万3000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 22.7%
男性育児休業取得率 66.7%
男女賃金差異(全労働者) 73.2%
男女賃金差異(正規雇用) 76.6%
男女賃金差異(非正規雇用) 71.0%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性店長比率(20.6%)、有給休暇取得率(70.3%)、リフレッシュ休暇取得率(94.8%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 主力製品への依存


商品事業において「ピエトロドレッシング」への依存度が高く、売上の過半数を占めています。同製品の製法には特許権がないため、競合他社の参入や類似・低価格商品の販売により、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 原材料価格等の高騰


原材料の一部は天候不順や疫病、国際紛争等の影響を受けやすく、エネルギー価格も変動する可能性があります。価格改定や生産性向上に努めていますが、著しい価格上昇が起きた場合、経営成績に悪影響を与える可能性があります。

(3) 生産拠点の集中


製品やレストラン用食材の生産拠点が福岡県古賀市に集中しています。火災や天災等で工場の操業が停止した場合、生産供給が滞り、経営成績や財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。現在、リスク分散と能力増強のため新工場の建設を進めています。

(4) 人財獲得競争の激化


少子高齢化による労働人口減少の中、店舗や工場において多数のスタッフを雇用しており、人財獲得競争が激化しています。適切な人財を確保できない場合、事業運営に支障をきたし、業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。