ヤマザワ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ヤマザワ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ヤマザワは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、山形県や宮城県でスーパーマーケット事業、ドラッグストア事業、食品製造事業を展開する企業です。直近の業績では、売上高が1,054億円と増収となり、経常利益も12億円と前年の赤字から見事な黒字転換を果たし、堅調な回復傾向を示しています。


記事タイトル:「ヤマザワ転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態」

※本記事は、株式会社ヤマザワ の有価証券報告書(第64期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ヤマザワってどんな会社?


同社は、スーパーマーケット事業を中心に、ドラッグストアや食品製造など幅広く展開する地域密着型企業です。

(1) 会社概要


1962年10月に山形市で設立され、翌月に第1号店を開店しました。1970年代にドラッグストア事業や食品製造事業の基盤となる子会社を設立して業容を拡大し、2005年に東証第一部へ上場しました。2026年には事業構造改革の一環として一部事業を分離し、選択と集中による筋肉質な財務体質づくりを進めています。

従業員数は連結で1,107名、単体で816名です。筆頭株主は教育振興を目的とする公益財団法人ヤマザワ教育振興基金で、第2位には関連会社のヤマザワ産業、第3位にはヤマザワ取引先持株会が名を連ねており、関係の深い法人や団体による安定した株主構成となっています。

氏名 持株比率
公益財団法人ヤマザワ教育振興基金 8.70%
ヤマザワ産業 8.13%
ヤマザワ取引先持株会 6.41%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性1名の計12名で構成され、女性役員比率は8.3%です。代表取締役社長は古山利昭氏が務めています。社外取締役は3名選任されています。

氏名 役職 主な経歴
古山 利昭 取締役社長(代表取締役) 1993年山形銀行入行。2011年ヤマザワ入社。企画室長や営業本部長等を経て、2015年5月より現職。
山澤 廣 取締役会長(代表取締役) 1999年ヤマザワ薬品入社。同社社長等を経て、2023年5月より現職。ヤマザワ薬品代表取締役会長も兼務。
上畑 日登美 専務取締役 1999年ヤマザワ薬品入社。同社調剤部長や専務等を経て、2023年5月より現職。ヤマザワ薬品代表取締役社長も兼務。
工藤 和久 取締役管理本部長 1982年入社。山形ブロック長や販売部長等を歴任し、2021年より管理本部長。2026年2月より現職。
柿崎 泰之 取締役営業本部長 1988年入社。グロサリー商品部長や店舗運営部長等を経て、2023年3月より営業本部長。2026年2月より現職。
山本 哲也 取締役 1999年入社。店舗運営部ブロック長や情報物流部長を経て、2023年5月より現職。2026年2月より物流統括管理者等も兼務。


社外取締役は、髙橋一夫(元新日本有限責任監査法人山形事務所長)、半田稔(弁護士)、髙橋修(ネッツトヨタ山形代表取締役社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「スーパーマーケット事業」「ドラッグストア事業」「食品製造事業」および「その他事業」を展開しています。

(1) スーパーマーケット事業


食料品や家庭用品、衣料品の販売を主力とし、山形県や宮城県を中心に地域密着型の店舗を展開しています。移動スーパー「とくし丸」などのサービス提供や、ECサイトを活用した特産品の販売を通じ、地域のお客様の利便性向上を図っています。

店舗やオンラインでの商品販売による売上が主な収益源です。運営はヤマザワが担っており、地域食材を利用した独自ブランド惣菜の立ち上げや、デジタルを活用した販売促進など、顧客ニーズに応える多様な取り組みを進めています。

(2) ドラッグストア事業


医薬品や化粧品の販売に加え、調剤薬局の経営を行っています。地域の皆様が健康で楽しく、より便利で豊かに生活できる商品と情報を提供し、地域の人々の生活の質の向上を実現することを基本理念としています。

店舗での商品販売および調剤薬局での調剤報酬が主な収益源となります。この事業の運営は子会社のヤマザワ薬品が担っており、ドラッグストア内への調剤薬局の併設を推進し、お客様の利便性向上と収益基盤の強化を図っています。

(3) 食品製造事業


寿司や米飯などの惣菜類、牛乳や麺類といった日配商品の開発と製造販売を行っています。最新設備を導入したデリカセンターを活用し、徹底した衛生管理のもとで安全・安心かつ高品質なオリジナル商品を生産しています。

製造した惣菜や日配商品は主に同社グループのスーパーマーケット向けに供給され、グループ内での内部売上が収益の柱となっています。製造や供給に関する運営は、子会社のサンコー食品が担っています。

(4) その他事業


スーパーマーケットなどの主力事業を補完し、顧客の多様なニーズに応えるため、保険や携帯電話の代理店業務、および農産物の生産や加工、製造、販売といったサービスを展開しています。

保険契約による手数料や農産物の販売代金などが収益源となります。保険や携帯電話の代理店業はヤマザワ保険サービスが担当し、農産物の生産や販売に関連する業務はヤマザワ天童錦の会ファームがそれぞれ運営を担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は1,000億円規模で安定して推移しており、堅調な事業基盤を維持しています。経常利益は一時的に赤字を計上したものの、直近の決算では12億円の黒字へと回復しており、収益力の改善傾向が鮮明に表れています。

項目 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期 2026年2月期
売上高 1,107億円 995億円 1,019億円 1,026億円 1,054億円
経常利益 12億円 9億円 7億円 -4億円 12億円
利益率(%) 1.0% 0.9% 0.7% -0.4% 1.2%
当期利益(親会社所有者帰属) 3億円 2億円 5億円 -26億円 14億円

(2) 損益計算書


売上高の堅調な伸びに伴い、売上総利益も増加傾向にあります。継続的なコスト削減やオペレーション改革の効果もあり、営業利益は前年の赤字から11億円の黒字へと大きく改善し、本業の稼ぐ力が回復していることが読み取れます。

項目 2025年2月期 2026年2月期
売上高 1,026億円 1,054億円
売上総利益 286億円 296億円
売上総利益率(%) 27.9% 28.1%
営業利益 -8億円 11億円
営業利益率(%) -0.8% 1.1%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が116億円(構成比41%)、減価償却費が31億円(同11%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力であるスーパーマーケット事業がグループ全体の売上高の大部分を牽引しており、前年比で堅調に推移しています。また、ドラッグストア事業も売上を伸ばしており、主要セグメントがいずれも増収に貢献しています。

区分 売上(2025年2月期) 売上(2026年2月期)
スーパーマーケット事業 897億円 923億円
ドラッグストア事業 128億円 131億円
食品製造事業 0億円 0億円
連結(合計) 1,026億円 1,054億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFがプラス、投資CFがプラス、財務CFがマイナスとなっており、営業利益や資産売却等によって得た資金で借入の返済を進める「改善型」のキャッシュ・フロー状況を示しています。

項目 2025年2月期 2026年2月期
営業CF 33億円 60億円
投資CF -24億円 11億円
財務CF -12億円 -74億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.2%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は51.5%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「ヤマザワグループは、お客様に安心と豊かさを提供し、地域の健康元気を応援するとともに、従業員一人一人が輝く企業を目指します」をグループ経営理念として定めています。また、「地域に愛される、健康元気な100年企業を目指す」をグループビジョンに掲げ、地域社会にとって欠かせない企業となるべく総力をあげて取り組んでいます。

(2) 企業文化


「すべてのステークホルダーにご満足いただく」ことを基本姿勢としています。企業活動を通じてお客様や株主、取引先、地域社会との絆を強固にし、従業員が「働いてよかった」と思える魅力的な組織づくりを目指しています。挨拶と笑顔を大切にし、全員参加でチャレンジする風土の醸成や、対話による合意形成を重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、各ステークホルダーへの適切な還元や持続的な成長のための投資を可能にするため、連結売上高経常利益率を重要な経営指標と位置づけています。業界水準を概ね1.5%〜4%と認識したうえで、売上高経常利益率を継続的に確保する方針です。

* 連結売上高経常利益率:3%

(4) 成長戦略と重点施策


第4次中期経営計画において、スーパーマーケット事業を中心としたグループ一体運営の実現を目指しています。早期黒字化と安定収益の確保、新規出店や不採算店整理を含む店舗戦略の最適化、サステナビリティの推進を重点課題としています。また、商品改革やデジタル活用による生産性向上、物流改革を通じて競争力の強化を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


従業員一人ひとりが輝く企業を目指し、人材を必要不可欠な経営資源と位置づけています。魅力的な店舗づくりや生産性向上を実現するため、「リーダーシップ」「育成」「スキル」「採用」を重視した教育体系を整備し、ワークライフバランスの推進や健康経営など、多様な人材が長く働き続けられる環境づくりに注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年2月期 41.8歳 17.5年 5,305,620円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 6.4%
男性育児休業取得率 83.3%
男女賃金差異(全労働者) 61.8%
男女賃金差異(正規雇用) 74.0%
男女賃金差異(非正規雇用) 90.2%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、障がい者雇用率(3.2%)、育児休業等後の復職率・定着率(100%)、全役員に占める女性役員比率(8.3%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 業界垣根を越えた競争激化


スーパーマーケット業界は消費の飽和やオーバーストア状態にある上、大手量販店やドラッグストア、ネット宅配など業種を超えた競争が激化しており、品質や価格、サービス面での差別化が十分に進まない場合は業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 出店政策に伴う計画変更リスク


既存店の活性化や新規出店において、用地選定や地権者との交渉、各種法的手続き等にある程度の期間を要します。また、建築単価の高騰や人手不足による工期の遅れなどが生じた場合、開発計画の変更や中断を余儀なくされるリスクがあります。

(3) 商品の安全性と衛生管理


生鮮食品から日用品、薬品まで広範囲な商品を扱うため、万一食中毒や異物混入、調達商品の予期せぬ汚染等が発生した場合、顧客の信頼低下や食品に対する不安感からの需要減少により、業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(4) 店舗運営に必要な人材の確保と育成


出店計画の推進や更なる成長の実現には、優秀な人材の確保と育成が不可欠です。人材獲得競争の激化などにより十分な採用が行えない場合や育成が計画どおり進まない場合、店舗の営業活動に支障をきたし、人件費負担が増加するリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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