#記事タイトル:スリーエフ転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態
※本記事は、株式会社スリーエフ の有価証券報告書(第44期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. スリーエフってどんな会社?
大手コンビニエンスストアチェーンとの提携モデルで地域密着型の店舗運営を行う企業です。
■(1) 会社概要
1979年に富士スーパー(現富士シティオ)のコンビニエンス事業部として発足し、1981年に設立されました。2000年に東京証券取引所市場第二部へ上場しています。2016年にローソンと資本業務提携を締結し、2018年には「ローソン・スリーエフ」へのブランド転換を完了しました。2025年にローソンとの新たな業務提携契約を締結しています。
連結従業員数は111名、単体では33名です。筆頭株主は創業家資産管理会社のJMK瑞穂で、第2位は個人株主(取締役)、第3位は事業提携先のローソンです。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| JMK瑞穂 | 35.68% |
| 菊池 淳司 | 6.42% |
| ローソン | 4.77% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は山口 良介氏です。社外取締役比率は25.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 山口 良介 | 代表取締役社長 | 1995年入社。経営企画室長、取締役運営本部長、顧問などを経て2025年5月より現職。 |
| 山口 浩志 | 取締役会長 | 1992年入社。マーケティング室長、マーチャンダイジング本部長、代表取締役社長などを経て2025年5月より現職。 |
| 菊池 淳司 | 取締役 | 1991年ジェイエムケイ瑞穂設立。富士シティオ代表取締役社長を経て同社会長。2016年より現職。 |
社外取締役は、増田 格(元三井信託銀行代表取締役副社長)、鈴木 伸佳(鈴木伸佳法律事務所所長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「コンビニエンスストア事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) コンビニエンスストア事業(ローソン・スリーエフ)
東京・神奈川・千葉・埼玉の一都三県において、「ローソン・スリーエフ」ブランドのコンビニエンスストアを展開しています。地域密着型の店舗運営を行い、生活者に身近な商品やサービスを提供しています。
収益は主に、フランチャイズ契約に基づく加盟店からのロイヤリティ収入や、直営店の運営収益から構成されています。運営は、株式会社ローソンと企業フランチャイズ契約を締結している連結子会社の株式会社エル・ティーエフが行っています。
■(2) コンビニエンスストア事業(gooz)
インストアファストフード強化型フォーマット「gooz(グーツ)」を展開しています。店内で調理するベーカリーやお弁当などを提供し、「できたて感」や安らぎを訴求する独自性の高い店舗運営を行っています。
収益は、直営店における一般消費者への商品販売によるものです。この事業の運営は、親会社であるスリーエフが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
2021年2月期から2025年2月期までの推移を見ると、営業総収入は120億円台から130億円台へと緩やかに増加しています。経常利益は2024年2月期に大きく伸長して9億円台となり、2025年2月期には10億円を突破しました。当期利益も黒字化して安定推移しており、ブランド転換後の収益基盤が確立されつつあります。
| 項目 | 2021年2月期 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 営業総収入 | 125億円 | 123億円 | 132億円 | 139億円 | 139億円 |
| 経常利益 | 2.2億円 | 2.5億円 | 1.6億円 | 9.1億円 | 10億円 |
| 利益率(%) | 1.7% | 2.0% | 1.2% | 6.6% | 7.2% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -0.2億円 | -0.8億円 | -1.6億円 | 2.2億円 | 2.9億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の業績は、営業総収入が微増し、各利益段階でも増益となりました。営業利益率は6.6%から7.2%へと改善しています。既存店の堅調な推移や効率的な店舗運営が寄与し、収益性が向上しています。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 41億円 | 39億円 |
| 売上総利益 | 11億円 | 10億円 |
| 売上総利益率(%) | 26.8% | 27.1% |
| 営業利益 | 9.1億円 | 10億円 |
| 営業利益率(%) | 22.0% | 25.8% |
販売費及び一般管理費のうち、賃借料が41億円(構成比41%)、支払手数料が19億円(同19%)を占めています。売上原価については、直営店の商品原価が中心です。
■(3) セグメント収益
同社グループはコンビニエンスストア事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略されています。
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業活動によるキャッシュ・フローがプラスで、投資活動および財務活動によるキャッシュ・フローがマイナスであるため、本業で稼いだ資金で借入返済等を行っている「健全型」と言えます。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 8.2億円 | 5.2億円 |
| 投資CF | 0.4億円 | -0.4億円 |
| 財務CF | -1.9億円 | -4.0億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.7%で市場平均(7.2%)を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は75.3%で市場平均(48.5%)を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「営業活動を通して地域社会のより豊かな暮らしと幸福のためにご奉仕します」という経営理念を掲げています。地域社会に貢献し、顧客の生活を豊かにすることを使命として事業活動を行っています。
■(2) 企業文化
同社グループは、顧客と同じ地域の生活者としての視点を持つことを重視しています。画一的なチェーン展開ではなく、店舗ごとの個性を大切にした商売に取り組む姿勢が企業文化として根付いています。
■(3) 経営計画・目標
持続的な成長と企業価値向上を目指し、7ヶ年の「中長期経営計画」(2021年2月期~2027年2月期)を策定しています。ブランド転換後の収益変動を見据え、10年周期での経営を実践しています。最終年度である2027年2月期には以下の目標を掲げています。
* 個店平均日販13%増(2020年2月期比)
* 加盟店利益28%増(2020年2月期比)
* 経常利益10億円以上
* 親会社株主に帰属する当期純利益3億円以上
■(4) 成長戦略と重点施策
「個店最適化」と「加盟店経営の安定化」を重点戦略としています。「ローソン・スリーエフ」では競合に対する比較優位な売場の実現による「“総”最強店舗化」や、独自商品の提案による差別化を目指します。「gooz」ではイノベーションセンター機能への原点回帰を進めます。また、既存店のハード改善や、加盟店への経費支援強化により、持続的な成長を図ります。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
持続可能な社会への貢献と自らの発展を実現するため、人材への投資を重視しています。業務に必要な知識習得に向けた自己研鑽を促進することで継続的な人材育成に取り組むとともに、多様な属性や経験を持つ人材が活躍できる環境や仕組みの整備を進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年2月期 | 48.9歳 | 22.4年 | 6,695,415円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 経営環境の動向によるリスク
景気や個人消費の動向、異常気象、同業他社や異業種との競争激化など、国内の経営環境の変化が業績に影響を及ぼす可能性があります。また、災害や事故による店舗への物流遅延や店舗損害もリスク要因となります。
■(2) フランチャイズ事業に関するリスク
ローソンとの企業フランチャイズ契約に基づき事業展開しているため、信頼関係の悪化等により契約が解消された場合、業績に重大な影響が及ぶ可能性があります。また、加盟店の法令違反や不祥事によるブランドイメージの毀損や、加盟店とのトラブル・訴訟リスクも存在します。
■(3) 食品の安全性や衛生管理に関するリスク
食品を販売する事業の性質上、品質管理や衛生管理には万全を期していますが、万が一食中毒などの事故が発生した場合、顧客の信頼失墜や損害賠償責任、対策費用の発生などにより、業績に影響を与える可能性があります。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。